神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

この2か月で読んだ本の備忘録(書き足しあり)

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きのうきょうと、2日続けて昼間芝居を見にいってきましたもんね。

きのうは三軒茶屋のシアタートラムに「エドワード・ボンドのリア」。きょうは渋谷のパルコ劇場に「海をゆく者」。なぜかどっちも意図せず席が最前列で、どっちもすごく面白かったんだけど最前列で見物する芝居ってな意外とくたぶれるもんだねえ。

白井晃演出・串田和美主演の「エドワード・ボンドのリア」はこのふたりの前作「ピランデッロのヘンリー4世」のようにそもそも登場人物の人間関係すら判然としないような難解さはないんだけど、より凄惨つか暴力的つか、ぜんぜん違うんだけど自由劇場のあの「クスコ」をどっか思い出させるような音の使い方とかね。

これはしかし歴史上世界じゅうで繰り返し繰り返し、それこそ果てしなく行われてきた学習しない人類の姿ってのかね。

パルコ劇場の「海をゆく者」は小日向文世、吉田鋼太郎、浅野和之、大谷亮介、平田満の5人だけの芝居。全員飲んだくれのオヤジで粗暴。粗暴だけど善良。だけどそのうちのひとりは悪魔で、つまり悪魔含む5人がポーカーで勝負すると。

学習しない男たちのありがちな人生てば人生でさ。おれなんかどっかこの人たちが他人じゃないようなさ。なんかね。そういうとこが。

この芝居のチラシ、ちかごろはフライヤーなんていうんですか、そういえば駅の電飾看板のこといつのまにかコルトンとか言ってたしなあ、おれが留守のあいだに。いやそういう話じゃなくてそのチラシ。みごとなデザインだなあ。とにかくオモテ2色(スミと金)ウラ1色(スミ)で、とくにこのいかにも芝居のチラシらしいウラ面の途方に暮れるほど山ほどな文字情報の見事なさばき方はなんなんですか。

おれシロートでぜんぜん知らなかったんだけど河野真一さんという方のデザインだそうで、検索してみると芝居の宣伝美術の世界じゃタイヘンな人なんですね。

きのうまで本のことやるのすっかり忘れてました。来月だと勘違い。
そのうえ2日続けて見た芝居のことでアタマいっぱいだもんで、いまのいまも本のこと忘れてたわ。
いかんねえ。

で本。

えー勤め人時代からくらべると冊数減ったもんだから写真もこーゆーふうにカバーデザイン見えるようにしてみましたけども、左からね。

ドーン 平野啓一郎
動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか 福岡伸一
それでも、日本人は「戦争」を選んだ 加藤陽子
差別と日本人 野中広務/辛淑玉
生物と無生物のあいだ 福岡伸一
明治キワモノ歌舞伎空飛ぶ五代目菊五郎 矢内賢二
モナドは窓がない 田中小実昌

平野啓一郎は初めて読みました。来月1日の読書会のお題でございます。だからここに書いちゃうと喋ることなくなるのでノーコメント。

福岡伸一先生は前回の読書会のお題で、これも初めて読んだんだけどこんなに面白い先生だとは知らずシツレイしました。なのでその勢いで「生物と無生物のあいだ」も読んでみました。あともう1冊買ってありますがそれはこれから。とにかくいろんなとこで目からウロコ。いろんなエピソードに飛ぶけどみごとに本筋を外さないこの筆力もまたなんというか。

差別と戦争。しかしこっちの「日本人」とそっちの「日本人」の、なんとまあずいぶんと違うことよ。いや待て、ちっとも違わんのじゃないか。両方とも版を重ねてるようだけども、こういう本がそれなりに読まれてるってことは悪いこっちゃないよなあ。

明治と現代とじゃあ、世の中が変わるにつれて歌舞伎っていうジャンルが背負わなきゃなんなかったモンが変わってきたってことなんだろうな。そこがまた面白い。背負うモノが減って「伝統芸能」になったんだろうな。かつて歌舞伎が引き受けてきた一切合財が、いまはほかの芝居に引き継がれてるってことはつまり、あまたある日本の芝居ってのはみんな歌舞伎の子や孫だっていってもいいのかな。なんてね。

田中小実昌は神保町の古書店で求めましたがどうもこれは文庫になってないようで、そのせいだと思うんだけど値付けが定価を上回ってやや高し。まあ仕方ないわね。中身哲学とキリスト教でおれにはやや難解すね。でも難解な本もあのいつもの口調。つい読めてしまうもんだから、わかってもないのにわかったような気になって困る。

急に眠くなってきた。明日また書き直すかも、このエントリ。
と、昨夜(2009年11月29日21時57分)書いたとおり、けっこう書き足しました。
すまんな。
Commented by 虎吉 at 2009-12-02 10:44 x
こんにちは。小春日和で師走が始まりました。
『差別と日本人』かみ合わない話のよーで、どっか響き合っているという微妙な本ですね。

今朝の新聞で、久しぶりにゾクッくとしどきどきし、いまだちょっと興奮して
います。沖縄密約を、元外務相局長が東京地裁で「密約」を証言
しました。91歳、長生きしていただいてよかった。

 「歴史の歪曲は国民のためにならなぬ」

不義密通に焦点を当てた論調に、異を唱えた澤地さん。
『密約』を読み返さねばと思います。
  
Commented by god-zi-lla at 2009-12-02 10:59
ちょうど朝刊を読んでいたところです。

法廷ですれ違うとき。
「落ち着いたらいつかお会いしましょう」
「連絡してください」

なんか、おたがい万感の思いが込められてるような会話です。

しかし、これもまた政権交代のおかげですね。
なにはともあれ西山さんにとってはもちろん、日本にとって非常によかった。
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by god-zi-lla | 2009-11-29 21:57 | 本はココロのゴハンかも | Comments(2)