神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

私の脳味噌またはオレの彼女(Mose Allison / The Way Of The World)

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きのうの晩は東京ゲージツ劇場中ホールで野田地図「ザ・キャラクター」見物してきた。
終わって東武の上のつばめグリルでハンバーグ食って黒ビール飲んだ。
それから地下鉄で帰った。

ご高名はかねがけ存じ上げておりますって程度の認識だったんだけどもジョー・ヘンリーが嫌がるごモーズ・アリソン翁を12年ぶりスタジオに引っぱり出してレコーディングしたっつう、そこんとこになぜか惹かれて買ってみたんでした。

ご隠居さんは82歳なんだそうですね。
どういう勘違いか、おれは長年この人は作曲家だとばっかり思ってましたけどジャズピアニストで歌手だったんだな。んーむ、なんたる無知なおれであることよ。

でも、このアルバムで聴かしてもらえる音楽をジャズっていっちゃうと、なんか間違った枠にはめこんじゃってる気がするんだけどね。ブルースともジャズともロックとも、しいて言うとグレート・アメリカン・アク—スティック・ミュージックっつう感じでしょうかね。なんか雲を掴むような言い方で申し訳ないですけど、でもまったく雲を掴むような音楽であり歌であるんだよな。

ご隠居のピアノ弾き語りにギター、ベース、ドラムスそれにサックスが少し絡むっつうシンプルな構成で、こう、なんと申しますかご隠居の歌が余裕シャクシャクなのか気息エンエンなのか単なる鼻歌なのか、そこいらへんがもうひとつ判然としなくて、でもその判然としなさ、雲を掴むが如きボーヨー感が間違いなくこの盤の良さのひとつだろうという困った1枚なんだよな。

ご隠居はピアノ弾いてるだけのときも、もごもごむにゃむにゃ呻くというか呟くというかメロディラインをつい歌ってしまうというのか、ほら、昔よくいたじゃないですか新聞や本をつい小声で音読しちゃうじっちゃん。おれにはなんかあんな感じに聞こえたりしてさ。

とにかく自然体といえばもう怖いモンなしの老人が気楽にピアノに向かって歌ってるふうではありますけど、しかしどうもそれだけじゃあこの仕上がりにゃ絶対ならんだろーなーってとこがジョー・ヘンリーの仕事なんだろうな。

なんにも考えずに作ってたら、これはきっとスカスカの音になってたんじゃないかって思うよ。
その、ご隠居がピアノ弾きながら発する呻きだか呟きだかまでキッチリ録ってるのにしたって、これだってたまたまマイクが拾っちゃったなんてわけねーもん。間違いなく効果織り込み済みの計算ずくですよ。

とにかく音楽そのもののノホホン感に引き比べ、アレンジといわずエンジニアリングといわずこのサウンドに満ちる濃密な空気感てのはタダゴトじゃありません。いやほんと。じさまの歌とピアノにもヤラれましたけど、ジョー・ヘンリーにも困ったもんです。来るわけないのに一瞬ご隠居来日を期待しちゃいそうになったじゃんか。

いやーそれにしてもアルバム1曲目「My Brain」て曲。
おれ、何度聴いてもあのウィリー・ディクソンの名曲中の名曲「My Babe」。あの、いろんな人がカバーして歌ってるブルーズの名曲とおんなじに聞こえるんですけど、どーなんですか。

作曲のクレジット見るとでもご隠居作ってことになってるんだよな。
「マイ・ベイビ」を「マイ・ブレイン」て駄洒落? 冗談?

それともご隠居が耄碌して自分の曲だと思い込んじゃってんのをジョー・ヘンリーもスタッフも「年寄りだからしかたねーよな」って、大目に見ちゃったりしてる?

それとも逆にディクソンがご隠居の曲をパクってた?

いちおうホンマもんの「My Babe」もあらためて聴いて確かめたんだけどさ。やっぱそうだよなー。んー。でもやっぱ別の曲なのかなあ。おれシロートだから勘違いしてんのかもなあ。

アルバムの別の曲はどうなんだろか。
おれ、詳しくないんでわかないんだけど、もしかしてこのCD全曲替え歌集だったりする? 
まさかね。

ちなみに国内盤が追って発売されるそうですから、もしご購入になって日本語のライナーノーツにそこいらへんのこと書いてあったら教えてくださいまし。

あ、でも雰囲気はとってもいいんですよご隠居のこの「おれの脳味噌」も。
いきなり脳内に気持ちいい成分が分泌されます、1曲目から。

Commented by 野本 at 2010-07-05 23:47 x
 戯れる会の野本です。

 Godzillaさんのページにコメントは初めてですが、Mose Allisonとくるなんて、、、このアルバム、録音も良いしピアノの広がり方がおもしろいし例会に持ち込もうと思ってたんですが、、目をつける人は目をつけるんですねぇ。

 '50年代のPrestige時代から歌い方そんなに変わらない気がします。それと驚くことに声がそんなに変わってないし、、雰囲気も相変わらず都会的かつ牧歌的で最高です。

 最後の曲は孫とのデュエット??

 で、Track3はそのお孫さんの作???

 他の曲は確かに本人作になってますけど、、どなたか国内盤を買わないですかね。。

 それと、Liveだと2000年のロンドンのやつが出てたりします。

 確かに音はちょっとスカスカで、、そして

 Liveではさらに自然体(笑)

 です。
Commented by god-zi-lla at 2010-07-06 12:10
おー、プレスティッジにアルバムがあるんですか。ぜんぜん知りませんでした。おれはもうジョー・ヘンリー・プロデュースっていうことだけで買ってしまいました。

> 歌い方そんなに変わらない気がします。それと驚くことに声がそんなに変わってないし、

つうことは、若いころからじいさまっぽかったってことですか。
なるほどねえ。

でも、すごくいいですね。
一発で好きになりました。
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by god-zi-lla | 2010-07-04 10:47 | 常用レコード絵日記 | Comments(2)