神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

ラストの1本は幕末太陽傳デジタル修復版

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んー、やられましたね。

なににやられたって、左幸子と南田洋子のあんまりカワイイのに。
日本映画史上に燦然と輝く、夭折した天才・川島雄三の傑作喜劇映画とかそういうことのまえにもう故人になっちゃった大女優ふたりが20代だったころのカワイさに、すいませんけど映画始まっていきなりヤラれっちまいました。

いやー、たまらんなあ。

それが最初の感想かよって言われても、それがいちばんなんだから仕方ないんだ。
おら別に映画評論家でもなんでもないもん。

このポスター上の花魁が左幸子さんです。
下の左が南田洋子さんね。ちょっとわかりにくいけど。

左幸子27歳。
南田洋子24歳。

ついでに(すまん)、
主役のフランキー堺28歳。

石原裕次郎が23歳。
うひゃあ小林旭19歳!

岡田真澄22歳。
二谷英明27歳。

なんとまあ小沢昭一が28歳。

昔からおばあさんなのに菅井きん31歳。
山岡久乃も31歳。

芦川いづみ22歳。
梅野泰靖24歳、この二人が駆け落ちするんだ。

黄門様の西村晃もチンピラ34歳。
金子信雄も34歳。

殿山泰司だって42歳。
市村ぶーちゃん俊幸が37歳。

テアトル新宿で見たんですけど、こーゆー人たちがスクリーンに出てくるたんびに、はあー、みたいな、ほおー、みたいな声にならない感嘆符が客席に充満するんだもんな。

だからもう役者見てるだけでもじゅうぶんモト取れます。

それでもって映画自体が面白いんだからもう最高っすね(とととと)。

喜劇ったってとにかく登場人物がドライなんだな。
どいつもこいつも損得勘定で生きてんの。

女郎屋の下女、芦川いづみは女郎に売られるくらいならって好きでもない若旦那と駆け落ちしちゃうし、南田洋子と左幸子の花魁ふたりはフランキー堺の計算高い抜け目のなさに惚れ込んで年期が明けたら所帯持とうって言い寄るし、その左幸子は借金が返せないからってこれも好きでもなんでもない小沢昭一と心中図って小沢昭一だけ海に突き落としちゃうし。女郎屋の女将、山岡久乃はドジな岡田真澄を陰間茶屋へ売り飛ばそうとするし。いいねえこういうぜんぜんベタベタしない喜劇って。だれもだれに対しても説教なんて垂れないの。

それにしてもフランキー堺はもちろん、出てくる役者のだれもかれも動きがシャープでそれが映画全体のシャープさに直結してる感じがするんだけど、それってのは役者の若さと身体能力の高さのなせるワザなのか川島雄三監督の演出の冴えってやつなのか、その両方なのか、もっとほかにヒミツがあるのか。なんなんですかね。

いやー今年のおしまいに、いい映画見せてもらいました。
ことしはこれで締めて20本。自己最高を軽く更新。

イヤな年を映画館の暗がりで乗り越えようって気分も正直あったけど、まあいいでしょ。

そういえばこの映画、左幸子も山岡久乃も菅井きんもふつうにお歯黒を染めている(言い方ヘンだな)。それがあの時代までの風習だったから映画のなかでもそうしてる。まあ当たり前だよな。

で、終わって映画館出て帰ろうとしてちょっと見上げたら別の映画の大看板が見えた。
そしたらいまふうのメイクにいまふうの眉を引いた女御更衣がこっち見てんだよ。

べつにいいんだけどさ。
どーせ見ないんだから。
Commented by 代助 at 2011-12-30 21:50 x
今年は師走に入ってずいぶん沢山映画をご覧になりましたね。映画館で映画を見ていると、しばし現実のイライラから解放されます。ビデオだとこうはいかないですもんね。
幕末太陽傳ですか、懐かしいですね。
「午前十時の映画祭」に昨年から通っているという事もあるのですが、「私の今年の5本」を選んでみようと考えたら、甘い生活、麗しのサブリナ、バンドワゴン、山猫、シェーン・・・など全部それで見た昔の映画になってしまいます。
映画はやはり旬の新しいものを見るのが本筋だと思い極力見るように7しているのですが、CPグラフィックや大アクションばかりで疲れます。今年最後に見た映画がミッションインポッシブルなので口直しをしなきゃと思っているうちに明日は大晦日です。
ゴジ兄の「今年の5本」は何でしょうか。
Commented by god-zi-lla at 2011-12-31 20:49
代助さん。
20本しか見てないので5本でも全体の25%になっちゃいますが、とりあえず見た順で挙げていきますと、

英国王のスピーチ(2月)
大鹿村騒動記(7月)
ゴースト・ライター(10月)
マネー・ボール(12月)
幕末太陽傳デジタル修復版(12月)

でしょうか。

ドキュメンタリー映画「100000年後の安全」も印象深いです。

ちなみにミッションインポッシブルは最初のヤツ(ジョン・ボイドが出てた)で、わが愛するテレビ映画「スパイ大作戦」のイメージをトム・クルーズが(悪いほうに)ぶっ壊してくれたので、二度と見るもんかと誓いました(笑)
Commented by 虎吉 at 2012-01-03 17:42 x
三千世界の烏を殺し……。
「幕末太陽傳」観ました。観たかったんです、小生も。
10数年ぶりです。ビデオで数回は観ているんですが。
笑い泣きしました。

若い役者の髷が似合わず、仕草も洋風なのに、
筋書きもわかっているのに何度観てもおもろい
です。
Commented by god-zi-lla at 2012-01-04 07:31
虎吉さんも見ましたか。ホント面白い映画です。

モトの話を落語から取ってるので非常にスラップスティックな筋立てですけど、ぜーんぜん古典落語っぽくないモダンな世界がとってもいいです。

また見たい映画です。
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by god-zi-lla | 2011-12-30 07:33 | 物見遊山十把一絡げ | Comments(4)