芝居の今年初見物は下谷万年町物語で疲れたのだった
2012年 01月 26日
奥さんは30年前の初演も見たらしいけど、おれは初めてだった下谷万年町物語。
シアターコクーンで1月25日。
唐十郎に蜷川幸雄だから疲れるだろうと覚悟して行きましたけど案の定疲れた。
だけど疲れたぶんだけちゃんと面白かったっていうか、疲れることと面白いってことが直結してるとでも申しましょうか、うまくいえないけどなんかそんな感じの疲れ方と面白さだったな。
演じられようとして演じられなかった芝居のために、これはポスターに書いてあった惹句で、たしか藤原竜也の洋ちゃんのセリフでもあったんじゃなかったかと思うんだけど、ようするにそういう芝居なんでした。
この池の底では、一つの小さな小屋で、
女の子がひょうたん池色のお化粧をしているんだ!
よくわかんないんだけどすごく面白い。
難解つうのとはちがうと思うんだけど、わかんないんだ。
しかも、不覚にもわけのわかんない場面で感動までしてしまった。
なんなんですかねいったい。
とにかく登場人物みんな、やたらにしゃべりまくるんだ。
やたらめったらな長ゼリフにいったいぜんたい意味があるんだかないんだか、だけど見てるうちに語られてる中身より長ゼリフであることそのものに意味があるんじゃないかって気がしてきたりする。あたかもこの世は語られることによってのみ成り立ってるんだっていうようなね。
とにかくだれもかれもが消防車みたく大量のセリフをどどどどどどどどどって吐き出す。
しかもその長広舌とギトギトとした衣装とクドい舞台装置がみんなおんなじ方角を向いてる。
いったん始まったら最後観客はどーやってもこのクドクドしい世界から逃れられません。
しかもですね。これはオトコばかりが出てくる芝居でなおかつそのほとんどがオカマなうえに唯一オンナの宮沢りえは男装の麗人てやつですから、男のカッコしてんのがオンナで女のカッコしてんのがほとんどオトコだったりしてるんだ。そのうえ残りのオカマじゃないオトコのうちの半分以上はオカマの役を演じる役者の役だったりしてややこしさに磨きをかけるんだからさ。
でもってそのオカマだらけの上野公園で深夜警視総監がオカマにぶん殴られたりするいっぽうで宮沢りえはヒロポン中毒だったりするんだがそれはしかし昭和23年のことで、ようするに出てくるニンゲンがオカシイのか時代そのものがオカシイだけでニンゲンがオカシイわけじゃなかったのか。
とにかくそんなことは考えまいと思うんだけど何かがぐるぐるとアタマの中を渦巻いてしまうとこがもしかすると長ゼリフの効用だったりするのかもしれない芝居なのだった。
しかしまあ突然ハナシが変わってすいませんけど、宮沢りえはいい俳優になったもんですね。
おれ「花よりもなほ」とか「たそがれ清兵衛」なんかの映画で宮沢りえを見て、あーなかなかこの人もいい感じな役者になってきたねえと思ってしばらくしてから、野田秀樹の芝居に出てるのを見てこれがまたずいぶんな長ゼリフの嵐でいやーこいつはたいしたモンだ。こりゃあ相当な鍛錬を重ねたんだろうなあと感心して、それからこの下谷万年町物語のキティなんだ。
まったくもって、いい舞台俳優になったねえ。
しかもモトがあの宮沢りえなんだから、キレイだ(笑)
そして今回はそのキレイなりえちゃんが舞台を埋め尽くすバケモノのよーな(つかバケモノのよーに描かれた)オカマのなかにだた一人いて、そのうえときどき長くてキレイな足まで見せてくれちゃうモンだからもうハッキリいってどこを見てたら気持ちいいのか、どこを見るとキモイいのか、そんなこんなでアタマのなかがヒドいことになって余計疲れたような気もするんだよ。ぐったりしたい方は2月12日まで渋谷。三幕休憩含め3時間半超の長丁場す。
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ノイ
at 2012-01-27 22:35
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をわー こりゃたまらん(笑
とてもじゃないけど 勤め人には耐えられそうにないすね
とてもじゃないけど 勤め人には耐えられそうにないすね
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god-zi-lla at 2012-01-28 00:32
ノイさん。
体調ととのえて見に行って下さいませ。
面白いけど、ムネやけ必至っす(笑)
体調ととのえて見に行って下さいませ。
面白いけど、ムネやけ必至っす(笑)
by god-zi-lla
| 2012-01-26 12:20
| 物見遊山十把一絡げ
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Comments(2)