神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

ヒコーキのプラモ

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イタリアのFiat CR.42 Falcoというんだそうだ。

いうんだそうだってのも無責任な言いぐさですが、なんでこれ買ったのか覚えてない。
以前住んでた横浜の近所の模型屋さんのゴム印がハコの裏側に押してあるから20年以上前に買ったのだけは間違いないんだけど、あのころイタリアの複葉戦闘機に興味なんてあったのかなあ。

その思いつきで模型屋の棚から引っこ抜いたらしいヒコーキのプラモを、せんだって思いつきで物置き部屋のすみっこの段ボールからごそごそ引っぱり出して作ってみたのがこいつだった。

もう、腕前は中学生のころの自分よりずいぶんヘタなんだ。

まあ1個1個完成させるたびに腕前が上がってたあの頃とはココロガマエからしてぜんぜん違うからね。だからそんなことはべつにいいんだよ。いまさら上達しようなんて思わない(ウデが落ちたことに思わず笑っちゃう瞬間は多いんだけどさ)。ただもう、ふっと思いつきでテキトーに作ってみたら意外なくらい楽しかった。

このいかにももっともらしい迷彩塗装のようなものも思いつきです。
こういう色でこういうパターンに塗ってみたかっただけなのね。

すると少しジミに過ぎたのでスピナーの先っちょにグロッシーな赤をちょんと塗ってみた。

ほんとはどっか探せばエアブラシもコンプレッサーも引っ越しのときに捨てないで持ってきたからあるはずなんだけど、もうそういう凝ったマネするのもヤメることにして画材屋さんで買って長年使いなじんだ水彩絵の具用の筆でもって全部塗ってやりました。

接着したとこの継ぎ目をキレイに仕上げるとか隙間をパテで埋めるとかそういうことも極力やらないですませた。小学生のころ近所の模型屋さんやオモチャ屋さんで買ってきたらそのままハコから出してパーツをめりめりとむしり取り銀色の小さいチューブに入った接着剤でべとべとにしながら夢中で作った、いっそあの感じで出来れば作ってやりたいんだけど残念ながらオトナの邪念がそこまでのテキトーさを許さない。

さて。
段ボール箱のなかにはこのイタリーの戦闘機を買ったよりずっとむかしの高校生のころ、平塚や代々木の模型屋さんで買ったプラモデルがいくつもいくつもカッターとニッパーとボンドでもって作ってもらえる日を待って静かに40年も過ごしてたりするんだが、そいつらをつぎつぎに引っぱり出して組み立ててやっていいものかどうか。

まだね、そういう意味じゃ高校生のころの自分をどっかで引きずってるらしいんだな。

いまはもう影も形もありませんが、おれの生涯の傑作というのは高校3年生のとき受験勉強そっちのけにして親は怒り心頭に発してたんだろうなんてことをいっさい気にかけずガムシャラに作ったタミヤの四式戦闘機疾風ってやつだった。

もしあの1/48スケールの旧日本陸軍の単発戦闘機に注ぎ込んだ情熱とパワーと根気とあくなき向上心を受験勉強に費やしてたら、しかし、その後のおれの人生はずっとつまんないモンになってただろうなあ。

そんなの、どう考えてもおれじゃない。
あのときのおれは、おれらしくって良かった。
両親が聞いたら怒り狂いそうだけど。

また、ときどきテキトーに段ボールから出してテキトーに作ろう。

もう親の目は盗まないでもいいんだけどさ。
考えてみりゃ、あれもスリルがあってよかったよな。
だからよけいに燃えたんだ。

禁断の愉悦ってやつでしょうか。
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by god-zi-lla | 2012-06-09 07:24 | 日日是好日? | Comments(0)