神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

ちょいヨレヨレして不格好ですけど (さて、どうしたもんかこの分銅涙の完結編)

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淡路島の大地震、大きな被害はなさそうでとりあえずよかった。

SMEのれい切れたナイロン糸ですけど、たしかこういうテグス状の糸があったんではなかったかとあちこち探してみたら、あるにはあったナイロン糸はどう見てもSMEのやつの最低4倍くらいはある太さでオモリを貫通してる糸を通す穴も滑車のミゾも通りそうにないんだ。

こりゃあ上州屋かユザワヤかハンズかと半分あきらめてたら道具箱のすみっこから「ステンレス線0.1mm径/10m」なんて印刷された袋に入った細っこいやつが出てきたんでした。んー、これはもしかすると使えるんではあるまいか。見た目はまちがいなくSME純正の糸より細いし、これは悪くないんでないの。

おれんちの場合こーゆーのはオーディオ用に買ってあったモンじゃないの。これといっしょにあったのは1mm径の真鍮パイプとか0.3mmのピアノ線とか0.5mm径のビニールチューブとか3mmのスチロールパイプとかその他モロモロ、じつはプラモデルのディテールアップや改造に使うのに買い溜めしてあったいろいろのヤツのなかに混ざっていて、いつかこんなモンを使うこともあるかもしれないくらいの気分で昔どこかで見つけて買ってあったやつのひとつなんだな。

それをまさかオーディオに使う日が来るとは思いませんでした。

だけどやってみると意外と悪くないってことに気がついた。なにせ焼き鈍してある細い針金だからグニャグニャとどうにでもなるんだよ。これがナイロン糸だと弾性があって丸い輪っか作ろうとして慎重にピンセットでつまんでたって、ふと気を抜いたとたんピョンと元に戻っちゃう。ところがこいつは輪っかにしたら手を放したって輪っかのまんまですから。いやー、これはもしかしたら当たりかもしれない。若いころの指先が器用だった時分ならともかく、指先もダメなら目もダメな準老人にはうってつけの素材じゃあるまいことか。

そうはいってもさすがに太さ0.1ミリの針金を指先でつまんで輪っかこさえるのはむつかしいから、左右の手にピンセット1本ずつ持ってそおーっと輪っか作って根本のとこを3回ほどグルグルっと巻いて固定したあとオモリを通し、そのオモリのお尻んとこに糸が抜けないよう玉結びをこさえて出来上がり。

で、通してみたのが上の写真なんだ。ナイロン糸と違ってピンと張ってくれないとこがちょいナサケないってば情けないですけどまあいいや(肉眼だとこんなによく見えないからオッケー)。それより、やってみると滑車のとこを通すのも横棒のミゾミゾに引っかけるのもこのステンレス線のほうがずっとやりやすい。アーム本体を動かしてみても見かけはヨレヨレしてるけどナイロン糸のときとなんら変わらずスムーズに動くしね。

心配なのは耐久性ですけど、なにせ10メートルもあるんだからね。使ったのはそのうちのせいぜい20センチくらい(最初やってみたら短すぎて失敗したのでそのぶん含めて)、残りあと9.8メートルくらいはありますから1年に1回切れたっておれが死んでもまだ何メートルも平気で残ってら。

音はね。一瞬インサイドフォースキャンセラーなしのときよりディテールがシャープに出るようになった気がしたんだけどこれは間違いなく気のせいです。だってナイロン糸切れてインサイドフォースキャンセラーなしで聴き始めたときは音が変わったとは思えなかったんだからさ。だから「ステンレス」っていう語感。合成樹脂から金属に置き換えたっつうイメージ。そんなモンが与えた先入観だな。

まあ、なにかやったら音が変わったと思いたいのがオーディオマニアってやつだし、実際オーディオではそういう語感・見てくれ・先入観・思い込み・信頼してる人や雑誌の評価・おまじない・神様のお告げのたぐいが間違いなく音質を左右しますからいいんです。

つうわけでとりあえず、めでたしめでたし。

それにしても写真見て思うんだけど、この滑車。
オモリを吊った糸の向きを水平から垂直に変える「支点」のとこって、アームベースのとこからナナメに生えた細い支柱の滑車が取り付くあたりをグリっと輪っかにして、そこに糸を通してオモリを下に垂らすだけでもなんら実用上支障ないと思うんだよな。げんにこのテの糸吊り式キャンセラ−が付いたトーンアームって大概そうなってんじゃなかったでしたっけ。

そこへわざわざこの小さな滑車を付けたってのはもしかしたらSMEの、つか創業者エイクマン氏のひそかな遊びゴコロだったんじゃあるまいかとおれは睨んでるんだけど、どんなもんでしょうかね。こういうチマチマと小さい可動パーツって模型ゴコロをいたくくすぐるところがあるんだよ。なにせSMEってのは'Scale Model Equipment'の略称でモトモト精密模型を作る会社だったというのは有名な話ですからね。

そんなこんなでまあ、こんかい極東の元プラモ少年が工作用に買ってあったステンレス線でインサイドフォースキャンセラーのオモリ吊りましたったって言ったら、エイクマンさんニヤっと笑うくらいはしてくれるんじゃないかってちょっと思ったりもしたんだけどさ。いや、だったらもうちょっとキレイに真っ直ぐピンとお張りなさいよキミ、なんて叱られちゃったりするか。なんちて。
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by god-zi-lla | 2013-04-14 07:16 | オーディオもねぇ… | Comments(0)