神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

ちょっと特別な気分で読んだから(いとうせいこう/想像ラジオ)

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ブログに書いたことがあるかどうかおぼえてないんだけど、このまえ墓参りしてきたばかりの一ノ関の同級生と、もう20年ちかくも前に死んでしまっている熊本の同級生とおれの3人して79年1月31日と2月1日の二日続きでソニー・ロリンズと秋吉敏子&ルー・タバキンビッグバンドのコンサートを聴きに行った。

その前の年の12月に熊本のやつとおれとでキース・ジャレットを武道館で聴いたという話を一ノ関生まれの彼女にしたら今度またコンサートに行くんだったら私もいっしょに行きたいというので、その二つは3人で行くことになって、それはそれだけで終わってしまえば学生時代最後の思い出のたんなるひとつだった。

それがこんなふうに二人とも日本人の平均寿命なんてお構いなしにあっさりと死んでしまって、おれはあのときの中野サンプラザと新宿厚生年金のことを思い出して話す相手を永遠に失ってしまったじゃんかと、あらためて一ノ関のお墓の前で二人に文句を言ったのだったが、やつらに聞こえたかどうかはわからない。

そうやって死んでしまった者と生き残っている者についてすごくナマナマしく考えてるときにこの小説を読んだものだから、おれはこの小説からことさらよけいにいろんなことを勝手に読み取っているかもしれないと思わないでもないんだけど、それでもやっぱり生き急いだわけでも死に急いだわけでもないのに生きる途中で命を持っていかれてしまった者と、そうやって突然親しい人を失っても生き残らざるをえない者と、それからその両者をつなぐナニカについて語られるこの小説が、おれがことしこれから読むだろう本を含めてもいちばん忘れられない一冊になるのは間違いない気がする。

なにか考えてしまうのが恐くて、寝床では読めなかった。
そういう小説は初めてだったかもしれない。

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by god-zi-lla | 2013-04-30 09:11 | 本はココロのゴハンかも | Comments(0)