神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

新しい歌舞伎座

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2009年12月21日、勘三郎の野田版鼠小僧を3階席で見て以来の歌舞伎座なのだった。

毎日毎日飽きもせずに松竹の切符売りサイト(そんな名前のわきゃないけど)を見てるとキャンセルが出るのかふっと3階席に空きが出ることがあって、まず26日午前の部が買え、しばらくするとこんだは29日千秋楽夜の部が出てきてようやく開場以来2か月ちかくたってから新しい歌舞伎座へ行くことができたんでした。めでたしめでたし。

いや1階とか2階のお高い席だったら空いてる公演がないわけじゃないんだ。だけど1階は2万円以上、2階だって15000円とかするんだから有閑階級の奥さまならともかくおれらのような無産人民にはとても手が出るようなお値段じゃないからね。

だけどそれにしたってその3階のA席ですら6000円もするんだ。たしか建て替え前の古い歌舞伎座のときは同じ席が3500円だったんじゃないかと思うんだが、これから先のことを考えればこの六千円がこけら落とし特別料金であることを祈るばかりではあります。

まあそれはともかくとしてだな。
26日昼の部で見た三人吉三、菊五郎の赤い振り袖着たお嬢吉三が夜鷹のうしろについて花道から舞台にかかるあたりでふと振り向いて後ろを伺うその一瞬、盗っ人の本性を肩の動きと視線だけで垣間見せたかと思う間もなく何食わぬ顔で元の小娘に戻る鳥肌の立つような零コンマ何秒。29日夜の部の石切梶原の吉右衛門の、あのなんともいえない威厳と愛嬌のふたつを少ない動きのなかで同時に見せて大向こうから「大播磨!」と大の字がついた声のかかるところのシビレるような感じ。それから玉三郎と菊之助の、お互いがふれあうような近いところで同じ動きをしたその次の瞬間には所作が左右対称になったりして後で考えてみれば信じられないくらいの高難度に違いない踊りを、ただたたうっとりするしかないキレイさで見せる二人道成寺。

いやー歌舞伎初心者のおれだって、もうこれはたまりません。
よかったねえ歌舞伎が歌舞伎座に戻ってきて。

しかしそれにしても話には聞いてたんだがこの外観のもしかして建て替えたなんてウソだったんじゃないかと思うような変わらなさ同様、なかに入ってみてもちまちまと狭いロビーから赤い絨毯からとにかく徹底的にお掃除しただけなように見えてしまう印象の変わらなさというのがもう、ここまでやってくれれば見事としかいいようがないね。

そりゃもちろんよく見りゃあおれら貧乏人のために3階まで上り下りのエスカレーターを左右ふた組もフンパツしてくれたり、ほんの少しではあるけど何をどうやったのか3階席からでも花道が見えるようになってたり、だけどまあそういうことのとばっちりなのか以前3階にあったカレー屋さんがなくなってたりもするんだが、古い歌舞伎座の印象を保ったままちゃんと最新式の劇場になってるところがじつにたいしたモンだと思ったね。

さて明日から6月ですけど歌舞伎座は引き続きこけら落としにつき1日3回公演。いまのところ月末に1回だけ切符が取れてるんだけど、できたらもう1回くらいは見物に行きたいもんです。
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これはいままで一度も座ったことのない1階席を下手から見たところ。この日おれたちが座ったのは写真右上すみっこのあたりです。
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これは緞帳。幕間になると3枚だか4枚だかある緞帳をつぎつぎ上げ下げして解説してくれるのが歌舞伎座恒例。
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この日座った3階席の5列35番から定式幕の引かれた舞台を見下ろしている。こんなふうにして歌舞伎を見てるわけさ、わしら一般大衆は。
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by god-zi-lla | 2013-05-31 10:37 | 物見遊山十把一絡げ | Comments(0)