神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

怪盤 あるいは「またまたまたまたモノラルLP」

怪盤 あるいは「またまたまたまたモノラルLP」_d0027243_2351298.jpgかたやフルトヴェングラー、こなたミンガス。

フルトヴェングラーのベートーヴェンについては、あたくしどものようなポッと出の田舎者の若造の三下奴が四の五の言っちゃあいけない存在ですし、ミンガスの「直立猿人」といやあ教養主義的ジャズレコード入門書では必ず基本コレクションにあげられてるような「名盤」ですな。

で、まずミンガス
なんでミンガスが突然出てきたかってえと、J.R.モンテローズの連想ゲームですね。
このミンガス・グループのフロントはジャッキー・マクリーンとJ.R.なんでした。

あたくし、このレコードを大学生のときに買いました。
で、たぶん1回は聴いてるんだけど、2回は聴いてないんじゃないか。
なぜかというと、つまんないから

J.R.モンテローズつながりでホント久しぶりに聴きましたけど、
いやこれはつまらんレコードだわ。
こういうのを前途有為な若者に勧めちゃイカンね。

おれはミンガスの音楽は嫌いじゃないし、ドルフィーのいたころのミンガス
グループのレコードはいまでもよく聴く。

しかし、これはなんつうか、ミンガスの虚勢(または見栄)
モンテローズたちメンバーとわれわれリスナーが付き合わされてるだけだよ。

アルバムタイトルの曲がなかでも一番くだらねえな。

ライナーノート書いてる岩浪洋三さんも長いものに巻かれてホメてるだけで、
自分が楽しんでない
のがアリアリだもんな。

ライナーノートっちゃあフルトヴェングラー盤に執筆している宇野功芳さんも、
フルトヴェングラーは偉大だ」とは言ってるんだけど、
この盤はちょっとヤリすぎだよねえ」という困ったちゃんトーンになっていて、
おれの耳にも事実そのようにきこえますね。

でもね、おれはこの「ヤリすぎ」ベートーヴェン交響曲第4番は好きです、
てゆうか長年の愛聴盤。

こいつは古くて、高校生のときに買いました。
ジャケット裏に「1000円」と印刷されているから、
ビンボー高校生にも買えたんですな。
なにしろ高校生のときに買ったにレギュラー盤なんてほとんどないもんね。
みーんな廉価盤

それはともかく、これを初めて聴いたとき「すっげぇー」と
ぶっ飛んだのを覚えてます。もう30年以上も昔のことなのに。

イントロは超鈍足でしかも古いライブだからソニーの安物電蓄で聴いてた当時、
ノイズに埋もれてぜんぜん聞こえませんでしたね。
やたら長いリードイン・グルーヴだななんてね。いや実際そう思ったもんね。

もったいつけすぎの遅いテンポから一気にフォルテシモに駆け上がり
ドロドロドロドロ、ティンパニの乱打。
しかもライヴだからホールトーンがわんわん回ってフォルテシモでは響きが飽和してる。

ベートーヴェンの第4シンフォニーって、悪いけどこういう曲じゃないと思うよ。
同じフルトヴェングラーでも52年だかに録音された4番もレコード持ってますが、
それはもっとずっと常識的。

しかし、これを聴いてていつも思うんだけど、こういう演奏をしたのは
1943年というその「時」だったんじゃないかと。
地獄の底へ転がり落ち始めた第三帝国の国民を鼓舞しようと、
フルトヴェングラーは必要以上に勇ましく演奏しようとしてたんじゃないか。

これ「戦時の音楽」なんだよきっと、「平時の音楽」じゃなくて。そう思えてくる。
たんなる、おれの思い込みですけど、そういう想像をして聴くのも悪くないと思える。

ついでだけど、このレコード、マスターはテープなんだろうな。
どう聴いてもこのノイズは針音じゃなくてテープヒスだもん。

あったんだなあー、43年にテープレコーダーがドイツには。

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PITHECANTHROPUS ERECTUS / THE CHARLIE MINGUS JAZZ WORKSHOP
Mingus(b),J.R.Monterose(ts),Jackie Mclean(as),Mal Waldron(p),WIllie Jones(ds)
(ATLANTIC 1237 国内盤 LP)1956年1月録音

BEETHOVEN SYMPHONY NO.4,OP60 / WIHELM FURTWÄNGLER BERLIN PHILHARMONIC ORCHESTRA
(Fontana 国内盤 LP)1943年6月ライヴ録音
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by god-zi-lla | 2005-10-07 01:35 | 常用レコード絵日記 | Comments(0)