神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

つうわけで聖護院大根

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晩秋から初冬って感じの東京の朝だな。

秋といえばサンマに大根下ろしであるが、サンマがいずこかへ泳ぎ去ったあとは大根といえばおでんである。聖護院大根を毎度おなじみ食材図典95年版226ページ「京野菜」の項を引いてみると
アブラナ科ダイコン属 江戸時代の文政年間(1818〜30)に尾張の国から黒谷の寺に奉納された宮重ダイコンを聖護院に住む篤農家がもらい受け、長根種を丸ダイコンに改良。土地が比較的に浅い京都に適したことから栽培が盛んになった。甘くて苦みが少なく、煮くずれしないので煮物やおでんに最適。…
とあって、京都の人が文政年間からこのかた冬ともなれば聖護院大根をおでんに入れてあったまってたなんてことを初めて知ったんであった。いいなあ(そんなこと書いてないって)。

ところがわが家の冷蔵庫の野菜室にもなぜか聖護院大根がゴロンとふたつ。おかげでいろんな野菜が押し合いへし合い身動きも取れずにどうしたモンかと思っていたんだが、ややカタチの悪いほうを昨夜豚バラ肉を大きく切ったやつと酒、砂糖、醤油にじゃっかんの自作濃縮めんつゆを入れて煮込んで晩メシのひと品にして食ったんだが、これがまたじつにウマい。やっぱりこれからの季節は文化文政だろーが昭和平成だろーがおでんにかぎらず煮物っちゃあ大根ですよ。

で「特選」て金色のシールがおでこのあたりにぺたんと貼られたもう1個の聖護院大根は、皮をむき四つにタテ割りしたうえスライサーでひらひらの薄切りにしたところへ塩をして、しばらく置いたのをさっと水洗いしたのち結構ぎっちり絞って水気を切り、このために買ってきたユズの黄色い皮を包丁で剥いてさらに千切りにしたあと実のほうを搾って、そのすっぱくて香りのいい果汁に酢と塩とミリンを加えて味見しながら漬け汁をこさえ、こいつにせんの絞りきった聖護院大根を漬けてユズの皮も混ぜ込んで、ここまでやったのがきのうの昼前くらい。そのまま密封容器に移し替えて置いたのを晩メシのときに煮物とともに出して食ったら、これがまたユズの香りもさわやかに高くって、いやーコイツもたまらんなーってくらいにウマい。

当然のことながらまるまると太った聖護院大根ひとつまるごと漬け込んだのですから晩メシ1回で食い切れるようなわけもないんであって、写真はけさ、朝ゴハンのときに紫花豆の煮物といっしょに箸休めに出したその聖護院大根の柚子漬けなのであった。これからしばらくはゴハンのたんびに、ちょっとずつ漬かり加減の変わっていくこいつを楽しめるんだからうれしいよ。

あのね。こういう甘酢漬け系の漬け物って市販のやつはすごく甘いでしょ。おれはあれがどうも苦手でね。甘いのとすっぱいのと、これは是非すっぱいほうに比重を置いてほしいところなんだけど市販のものは十中八九甘いほうに大きく傾いてるわけです。甘酢生姜なんかもそうだよな。

だから漬ける材料さえあれば自分でこさえて食うほうがずっといい。だけどまあ、いつもいつも食卓にないと困りますというようなモンでもないわけだから、わざわざどっか遠くの産地から取り寄せたりはしませんけども、この聖護院大根のようにたまに材料が手に入れば自分で仕込んで食いたいものではあるんだ。

なんてことを思いながらこいつをぱりぱり食ってたら、そういや最近山形の赤カブを見かけないよなあ。あれの甘酢漬けがまたいいんだよなあ、なんて思い出しちゃってね。あれもキレイだしウマいんだよねえ。聖護院大根は東京のスーパーにもときどき並びますが、山形の赤カブはホントに見ないもんねえ(このとき1回きりかも)。
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by god-zi-lla | 2014-11-14 08:52 | 食いモンは恥ずかしいぞ | Comments(0)