神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

近場で黄金週間その2はラフォルジュルネ

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あの台風みたいな風雨の夜のあと、いきなり夏の黄金週間は東京だな。

5月3日憲法記念日。

平和島の骨董市をぶらぶらと2時間あまりも冷やかして結構ふらふらになったところで日比谷に出て、慶楽で奥さんは叉焼炒飯おれは牛バラご飯(メニューにはそう書いてないけど、それで通じる)の遅い昼メシを済ませ、夜になってから切符を買ってあったラフォルジュルネの〈四季をめぐる旅〜フランス・バロックの「四季」〉というプログラムを聴きに行った。

これはちょっと残念なことに予定してた歌手が声帯の不調というので歌手が代わり曲目も変わったせいなのか手探りな感じが少しあってさ。ヴィオラ・ダ・ガンバ(フランスだからヴィオールというのかな)ひとりと、ポジティフオルガンとチェンバロ(じゃあクラヴサンだな)を兼ねるひとり、それと女声。

国際フォーラムのホールB5って200人くらいの会場だったんだけど、ホールったってそもそも音楽ホールじゃなくって展示ホールだからね。きっと中世フランスの宮廷でもあのくらいの容積のサロンはあったろうからクラヴサンとヴィオールというような小音量デュオでもじゅうぶん部屋のすみっこまで美音が響き渡ったでしょうが、如何にせんデッドに作られた21世紀トーキョーの展示ホールだもん。あえかな音色を愛でるバロックのサロン音楽を奏でるには、万全の備えの音楽家だってきっと厳しかったに違いないんだ。

せめてラフォルジュルネの会場のひとつに残響の長い築地の浜離宮朝日ホールか虎ノ門のJTアートホールか紀尾井ホールのどれかでも入ってればなあっていつも思わずにいられないんだけど、そうはいかないオトナの諸事情いろいろなんでしょうね(そうそう。大手町の読売本社の新しいホール、あれはどうなんだ。徒歩圏内だぞ)。

でその後ホールC(ここは収容人員1500人くらい、地方の市民ホールと同じような多目的ホール)に移動して20時30分から〈渋さ知らズ〉。なんつってもまあ、かそけき音色のバロックアンサンブルから爆音集団つうこの落差がすごいんだけど、いっぺんライヴを見たいと思ってた〈渋さ…〉に行けるチャンスがようやくめぐってきたんだからいいんです。

いや面白い。想像してたとおり、いやそれをうんと上回ってすごく楽しんだ。予想どおりこのバンドはCDで聴いててもぜんぜん真価がわからない(悪いんだけどCD聴いてるだけだと、ただただウルサイだけにきこえないでもない瞬間がけっこうある)。まあフリージャズとその親類スジの音楽にはそういうことがままありますけど、完全にその範疇だな。

それにしてもあのダンサーたち。鍛えに鍛えた暗黒舞踏系のひととコンテンポラリーダンス系のすごいうまい人と、それからどたんどたんしたベタ足の素人バイトかよ? というおねえさんたちの混ざり具合がなんかすごい。きっといつもああなんだろうな。でもそこがまたすごくいい気がするのはなんかの錯覚かなあ。

それにしても冒頭いきなりアナウンスで「当公演は45分の予定でしたが、やりたいことが盛り沢山のため、ラフォルジュルネにお願いして倍の90分やります。後のプログラムを予定されてるお客さまには申し訳ありませんが45分たったところで一度インターミッションを入れますので、あとはご自由に」だもんなー。たまたまホールC最後のプログラムだったから可能だったんでしょうけど、こっちは大喜びだね。

で結局90分も超えて大方2時間近く。それで延長料金なしの2600円(笑)。単純にウレシイ。しかも途中退席を余儀なくされたお客さん方にはたいへん可哀想なことに後半のほうが断然盛り上がって楽しかった。

〈渋さ知らズ〉はいまやラフォルジュルネの常連バンド(オフィシャルガイドには『裏フォルジュルネの顔』とあり)らしいから、来年も出たらまた見たい。

それから5月4日憲法記念日とこどもの日の間の「オセロ休日」。

また夜。19時15分こんだはホールB7。これも結構広い展示ホールで、そういえば以前ここで弦楽四重奏聴いたことがあったけど先述のバロックアンサンブルと同じようなことを感じたのを思い出した。思い出したんだが、こんだはなにしろブルンジのタイコだから。

オフィシャルガイドでは〈ドラマーズ・オブ・ブルンジ〉という名前になってる。輪切りにした直径40から50センチメートルくらいの木をくり抜いたところに動物の皮を張った(ように見える)太鼓が10台くらい。それを屈強の若者たちが約50分ほとんど休むことなく叩き続けるんですから。いやまったく、ちゃんと昼メシ食って出てきてよかったよ。

これがまた単純なビートを刻んでるだけに一瞬きこえたりするんだがポリリズムになってて、とにかくなんだかわけわからんくらい一瞬もダレずに小一時間、見た感じ大まかにいって三つのパートに別れてるようで、しかもそれぞれのパートを踊りながら入れ替わっていくんだ(タイコの数より若者が二人多いから適度に休みながらやっている)。その木をくり抜いたタイコ以外の楽器はなし。

なにしろ、こういう音楽を聴くことなんてめったにないから(つか、おれなんかも含めてお客のほとんどが初めてだったろう)、どう反応していいのかよくわかんない。だから客席も最初のうちは拍手していいんだか悪いんだか、だけどズンズン身体に響き渡るからスゲーなあって感じはたぶんみんなヒシヒシとあるんだ。

だからお終いに近づくほどお客のノリが良くなってきて、最後のほうはイエーイって感じになったんだけどね(さすがクラシック音楽のフェスと申しますか、ブラヴォーの声もかかってた)。

ラフォルジュルネって、こういうふだんあんまり聴けないような音楽がプログラムにちょこちょこ入ってるんで、そういうのをやっぱ聴きたいと思って切符取ろうとするんだけど考えることはヨノナカみな同じらしくってさ。そういうプログラムはけっこう早めに売り切れちゃったりするから油断なりません。

さて来年はどんな音楽が聴けますかしらん。
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by god-zi-lla | 2016-05-06 07:24 | 物見遊山十把一絡げ | Comments(0)