神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

この2か月で本を読んだ本人のほんの備忘録

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交流戦を勝率5割で乗り切ればリーグ優勝いける、なんつってるセリーグ球団のファンがホントに多くて情けないよな。おれもそのうちの一人の阪神ファンなんですけどさ。

左から。
マネー・ボール〔完全版〕 マイケル・ルイス/中山宥・訳(ハヤカワ・ノンフクション文庫)
アナログ穴太郎音盤記 湯浅学(音楽出版社)
結婚式のメンバー カーソン・マッカラーズ/村上春樹・訳(新潮文庫・村上柴田翻訳堂)
青春ピカソ 岡本太郎(新潮文庫)
不明解日本語辞典 髙橋秀実(新潮社)

のっけから野球の話でごめんなさいけど、これは最初ブラッド・ピット主演のこの本を原作にした同名の映画を先に見て、すごく面白かったもんだから読んでみたわけだ。そしたらいやもう映画も面白いがこのノンフィクションはさらに面白いんだ。ただし実際に目で見る野球とデータや記録を通して見る野球の両方が好きなひとには面白くて刺激的なノンフィクションなんだが、そうじゃないひとにはきっとそうじゃないと思うね。

穴太郎さんは罪作りな本で、レジ持ってく前に立ち読みしながらこれはマズいかもなと思ったんだけど、やっぱりマズかったわ。取り上げられるほとんどのレコードがおれの守備範囲の外なのにもかかわらずミョーにそそられるレコードがいくつもあって、ホント困ってんだよな(このハナシはまた後日あらためて)。

でこの造本がちょっと良くて並製でクラフト紙っぽい茶色い紙を見返しに使って二方断ち(天を切り揃えてない)。コストをことさらかけずにいかにも「シュミの本」て感じのつくりに仕立て上げたとこが著者撮影のレコードのウマいんだかヘタなんだかわからないけど味はたしかにある本文写真(猫頻出)ともウマく馴染んで、おれこういうの好きです。

カーソン・マッカラーズは名前も知りませんでしたがこちらがきっかけ。12、3歳の女の子のたった二日か三日かそこらの物語ではあるんだけど、その二、三日の間にもなんかこうときによってコドモだったりオトナだったりする、しかもそれが自分の都合でオトナになろうとしてみたりコドモに逃げ込んでみたり、あるいは周囲のホンモノのオトナの都合でオトナにされたりコドモにされたりする自分でも周囲から見ても精神と肉体がすごくヘンテコリンにアンバランスなこの年頃ってのは、女の子だろうが男の子だろうがアメリカだろうがアジアの果てだろうがあるんだよなーなんてボンヤリ思いながら読み終わった。

ところで、村上春樹の翻訳はとても好きです。読んだどれもがとてもいい。だからもっと読みたいと思う。小説は近頃そうでもないんだけど。

壮年岡本太郎の薄い文庫はなんつうかアジテーションのカタマリである。
若い世代が己れの未熟さを卑下し、ひたすら名人の豊かさと完成に憧れ、そこに悟入することのみは芸術の窮極だと考えるとしたら、まったく馬鹿げきったことである。ピカソが円熟期においてなお、限りなく豊かな光芒を放っているのは、若き日に美の完成を目的としない芸術否定の芸術を武器として既成の芸術の権威を破砕し、簒奪者として己れ自身に反アカデミズムの権威を確立したからこそである。すでに闘い終わった結果である。休息的な到達に憧れて何になろうか。



老ピカソにすでにドラマはない。彼の芸術の弁証法は止揚されたまま停止し対極の相剋は解消された。つまり彼の裡にはすでに反ピカソがないということである。
老岡本太郎に反岡本太郎はあったんだろうか。1953年刊の単行本が底本。

不明解日本語辞典にはぜひ「毒」というコトバも項目として加えてほしかったです。

ところで「日本」の項によれば、この国号を「にほん」と呼ぶか「にっぽん」と発音するか定まってないんだそうだ。本文にある引用を引用すると
片山哲総理大臣も「国名の呼称については、強いて統一するほどの必要もないことと思う」(昭和22年9月20日、国会答弁)として、「凡そこの種の呼称は、民族の歴史、伝統等によって自ら定まるべきもので、これを人為的に固定しようとすることは、必ずしも当を得た態度と称し難いという考え方も成り立つと思う」と付け加えている。
うむむ。そうすると将来「日本」と書いて「むるりん」と呼ぶ時代が来ても、それが伝統等によって自ら定まっちゃうんならいいわけね。国号のキラキラネーム化も可、と。
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by god-zi-lla | 2016-06-01 13:41 | 本はココロのゴハンかも | Comments(0)