神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

BILL FRISELL, RON CARTER, PAUL MOTIAN

BILL FRISELL, RON CARTER, PAUL MOTIAN _d0027243_15352075.jpgこちらのサイトで読んだ「…フリー以後のジャズは逆に何をやっても良いわけだし、個人のポリシーと 感性に立ち戻ってしまったような所がある。…」というフレーズに思わずハタと膝を叩いてしまいましたですよ。

かねがねジャズはもう終わってしまった音楽だと、おれは思ってるわけだけども、つまりそういうことだったんだ。

なんでもありのフリージャズまで行き着いてしまった以上、そこでプレイしてる人間が「ジャズだ」と言いさえすればそれはジャズで、つまりジャズというジャンルは個人のなかに溶解してしまったわけだ。

マイルスが「おれの音楽をジャズと呼ぶな」と言ったそうだけども、きっとおんなじことをさかさまの言い回しで言っただけなんだろうな。

ジャズとはつまり「その人の音楽」の意なのだな。

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このエントリーのタイトル、3人ならんだ名前がそのままCDのタイトル。てゆうかそれっきゃ印刷されてないもんだから(あとはカタログナンバーのみ)、まあタイトルだよな。

年末のステレオサウンド誌のレヴューで原田和典が、さいきんのビル・フリゼールのCDのなかではいちばん普通のジャズギターっぽいというようなことを書いてたので、ちょいと気になってたんだよ。

するってえと何ですかい旦那? フリゼールがケニー・バレルのようにでも?

まあ気になるので買ってみたわけですよ。おー国内盤は見当たりませんなあ。フリゼールは「ふつうのジャズファン」には人気ないんですかね。だから国内盤のリリースがない? フリゼールが「ふつうの」ギタートリオをリリースしたんだったら話題性もあるし、そこそこ売れるんじゃないのかね。

聴いてみますとこれは「当社比」てえやつですな。あくまでフリゼールとしては「ふつう」っぽいと。つーかロン・カーターが昔風(てゆうかこれしかできない)のベース弾いてるもんだから、そのせいなんじゃないかね。フリゼールはフリゼールだよ。

それにしてもこの、なめらかなフリゼールのギターサウンドとはウラハラになんともいえずもどかしげな音楽やねえ。どう考えてもフリゼールとロン・カーターの取り合わせがこういう状況を作り出してるとしか思えんのね。フリゼールのねじくれて一筋縄ではいかない冷めてシャープなギターに、もっさあーっとしてんのにやたら出しゃばりで困る例のロン・カーターのベース。

出しゃばろうとするベースをフリゼールが軽く押さえてみたり、フリゼールが気持ちよさそうに音を紡いでるとこへ、カーターがもぞもぞと関係ないフレーズをまき散らしてみたり、しかしどうもこのチグハグなとこが面白いっちゃあ面白いかな。

フリゼール選手、この溶け合わなさを最初っから求めてこのメンツでしょうかね。

おれ、どうも昔から無神経で人迷惑な感じがしてロン・カーターって嫌いなんだけどさ、その無神経さを逆手に取って遊んでしまったフリゼールの性格の悪さってのが、いやまったく恐れ入っちゃうしかないねえ。

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BILL FRISELL, RON CARTER, PAUL MOTIAN
(NONESUCH 7559-79897-2 CD)
Bill Frisell(g), Ron Carter(b), Paul Motian(ds)
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by god-zi-lla | 2007-01-27 16:45 | 常用レコード絵日記 | Comments(0)