神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

砂漠のブルーズ(TINARIWEN / AMAN IMAN : WATER IS LIFE)

砂漠のブルーズ(TINARIWEN / AMAN IMAN : WATER IS LIFE)_d0027243_134431.jpgこないだ正月だと思ったらもう2月もおしまいだねえ。

銀座の山野楽器が改装中で「洋楽」のフロアが2階から地下1階に移動してんだけどさ、ここにいままでなかった「アダルトボーカル」っつー棚がけっこうな領土を獲得してやんの。あんまりおれには関係なさそうだけど、こういうの中心に聴いてる方々にとっちゃ売り場うろうろしなくていいから結構なもんでしょうね。

よけいなこと書きそうだから、これでやめとこ。

2年か3年前にこの「ティナリュウエン」の前作をたしかタワレコで試聴して買ったんですけど、一時期ハマっちゃって毎日聴いてましたもんね。キャッチフレーズが「砂漠のブルース」ってんですけど、たしかにミシシッピ・デルタ・ブルーズのようにきこえるところもあり、ちらっと日本の民謡のようにきこえるところもあり、ギターが殿様キングスのようにきこえたりする瞬間もあったり、オル・ダラの音楽に一瞬似てたり、いずれにしても欧米ポップミュージックのにおいがほとんどしない音楽なんだな。

そのティナリュウエンの新譜が出たんで、さっそくその山野楽器で買ってきた(横浜のタワレコにはなかった。このへん銀座山野はそれなりにエラい)。

ワールド・ミュージックっていう言葉には植民地主義的なものを感じるので大嫌いなんだけども、このCDはそういう売り場にありますね。アフリカのマリあたりのグループのCD。「あたり」ってのは国境に関係なく暮らしてきた民族の人たちのグループということで、常識的な捉え方だと遊牧民ということになるのかもしれないんだけど、どうもそう単純に割り切っちゃいけない問題らしいな。

ようするに国境なんてものは、なにかをすくい取ればなにかがこぼれ落ちるたぐいのもので、それが欧米の植民地主義による身勝手な線引きだったり民族間の交渉(紛争、対立、戦争)だったり、とにかくそういうものからある時すっぽりと抜け落ちて(落とされて)しまった人たちだということらしい。

つまりまあそうしたバックグラウンドを持ったグループの音楽だから当然歌詞もその人たちの言語なわけで対訳なしにはまったく理解できないんだけど、読んでみればこのトゥアレグ人と呼ばれる人たちの置かれた状況が、なんとなくではあるけどわかる。

ただなんというか叫ぶようなところの全然ない音楽なんで、そうしたメッセージを淡々と歌ってるようにもきこえるんだけど、それはおれが日頃必要以上にドラマチックな味付けをした音楽を聴き過ぎてるからじゃねえのか、この人たちにとってこの音楽ってのはぜんぜん淡々となんかきこえてない可能性ってのもあるんじゃないか、なんて、回りくどいこともちょっと考えてしまったぜ。

そんなことも考えちゃうんだけど、それよりもなによりもおれのココロのどこかを刺激するものがある不思議な音楽で、またハマっちまいそうなんだな。うん。

TINARIWEN / AMAN IMAN : WATER IS LIFE
(RICE RECORDS 1DR-5050 CD 国内盤なのがエラいぞ)
Commented by ひろかーちゃ at 2009-06-20 10:51 x
>よけいなことを書きそうだから、これでやめとこ。
よけいなことがこのブログの面白いところなんですよね。ぜひ続けてください。
私はワールドミュージックや民俗音楽にはほとんど関心を持たないのですが、god-zi-llaさんの音楽に対する接し方、聴き方。背景というか、社会的・歴史的な洞察には刺激されます。
今までの狭い音楽にとらわれず、少し貪欲に聴こうかな。
Commented by god-zi-lla at 2009-06-21 00:16
ひろかーちゃさん。
勝手なことを書き飛ばしているだけなのに恐縮です。
勝手といえば、ようするにレコードやCDに閉じ込められた音楽のなかに、なんの根拠もない無責任な「物語」を「発見」して面白がっているだけなのかなと思ったりもしています。
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by god-zi-lla | 2007-02-28 12:46 | 常用レコード絵日記 | Comments(2)