さすが一筋縄ではいかない(Cassandra Wilson / loverly)
2008年 06月 25日
この2年ばかしカサンドラ・ウイルソンといやあ06年リリースの〈Thunderbird〉を愛聴してきたわけですが、いやひさしぶりに今回はスタンダードだってんで、じつは非常に不安なんでした。
ピアノトリオをバックにカサンドラがスタンダードを歌い上げたゴキゲンな1枚♥
なーんてのだったらほんとマジどーしよーかと思うじゃんか。困ったなあ。買うのよそうかなあと一瞬躊躇したりもしたんですが、まさかそんなもんをこの人がセルフプロデュースで作るわきゃなかろうと、思い切って買ったわけでございますね。
いやよかった。ほっとしました。やっぱ一筋縄ではいきません。ちなみにこのカバー写真(ジャケ写って言っていいのかねCDのばやいも)がすでに一筋縄じゃいかないのよ。それでデカく載っけてみたんだけどね。まあこんなこというとまた嫌われちゃうけどさ。ふつうそこいらへんの歌手のスタンダード集のジャケット写真てばイブニングドレスかなんか着て微笑みかけるポートレートとかさ。なんかそんなイメージじゃないですか。
そーゆーステレオタイプに乗っかってるようでこの写真。よく見ると画像処理なのか被写界深度がきわめて浅いレンズなのかカサンドラの唇のところにピントがきてるのに瞼のところはもうピンから外れてます。胸元も額の生え際もボケボケ。カサンドラの表情も笑ってんだかなんだか中途半端だしさ(しかも内側のページにカッと笑ったキョーレツな写真アリ)。
スタンダード集だけども当然ヒネってるぜ。そうは問屋が卸しませんからねって感じを表現してんだとおれはこの写真見て勝手に思い込みましたもんね。
なんつうのかな。意図的にチカラ抜いて、言葉の出だしをシャープに歌わないようにしてる感じ。もともとシャウトする系の歌を歌う人じゃないけどじゅうぶんパワフルではあるのをセーブして敢えて口先で歌うようにしてるっていうか、ヘンなたとえだけどビル・フリゼールのギターみたいな歌い方つうか、なんかそんなふうにきこえるんだけどねおれには。
それでも最初のうちは曲もアレンジもやっぱしスタンダード集だなあという印象でくるんだけど、おれとしちゃトラック7から11の5曲がこのCDのハイライトだと思うんだけど、どんなもんですかね。
トラック7はアコギ1本だけをバックに歌い、ラテンぽいトラック8と続いて9はヒネったギターのバックがよくて10はロバート・ジョンソンのブルース。それで11でこんだはウッドベース1本のバック。しかもこれがマイクから離れたり近づいたりしながら歌って動く気配までわからせる音作り、というような感じ。まあ聴かないとわかんないよな。
よーするにトラック1から6の「A面」は手堅くわりと保守的に、7から始まる「B面」は凝ってヒネった作りっていう感じ(ラストの12はまた手堅い路線に戻って大団円)だと思うんだけど、LP出すのかな。
まあそれはそれとして、聴いてみればさすがカサンドラ・ウイルソンて1枚になってまして大いに結構。でもおれはやっぱり06年の〈Thunderbird〉のほうがスケール大きくて好きだな。「ゴキゲン」がイヤとかイケナイとかいうんじゃないんですけどね。
by god-zi-lla
| 2008-06-25 11:38
| 常用レコード絵日記
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