分福茶釜
2008年 09月 06日
「だから自民党と民主党が交代交代でやるようにすればいいんだよ。そしたら腐らないんだよ」。
かように政権交代への機は熟していることに、これがまた気がつかないんだな政治家も新聞社の「政局記者」も。
タクシー乗んないから。黒塗りのハイヤーだから。
まあそんなことはさておきだな。
この細野晴臣、聞き手・鈴木惣一郎の分福茶釜って本が不思議で面白かった。なにが不思議ってこのなんともいえないのほほんとした味わいですよ。そもそも聞き手・鈴木惣一郎とあるんだからインタビュー本かというと、まあ大筋そうなんでしょうけどむしろこれは先輩後輩がコーヒー飲みながらとりとめもなく喋ってる感じ。
年のひとまわりくらい離れた先輩後輩がとりとめもなく喋ってると、まあふつう先輩がいろいろ話すところに後輩が相槌を打つ、あるいはちょっと茶々入れる、またはなにかとりとめもなく質問してみる、なんて感じで会話が進むもんですけどもようするにそれが本になってんの。
ふだんこの二人が仕事の合間にやってる茶飲み話(の延長)を本にしたってことのようで、これはそういうまあひとときの幸福感に包まれた気分のよい本なんでした。
音楽の話というのはあんまり出てこないね。YMO当時の精神状態について話してるとこなんかがあって「あーなるほど。そうだったんだ」という感じだったりするところもあるんだけど、それだって音楽のことというよりかココロのことについて喋ってんだよな。
読んでると細野晴臣みたいなこーゆー団塊おじさんなら許せるかなあと、つか団塊の人もこーゆーふうに年取ってくれれば付き合えるかもしらんなあと、聞き手の鈴木惣一郎と同様団塊世代苦手なおれは、ふと思ったりなんかもしたんでした。
で読者としては、そういうとりとめないよーな会話を楽しんで読んだわけだけども、ふとこれ作った編集者ってのはたいしたもんだなと思った。
この「対談」は本のさいごのとこにあるクレジットによれば去年から今年初めにかけて6回行われたとあるんだけど、本のほうは「第1章 ああだこうだ考えない世界」、第2章「自分の意志でしか生きられない」、第3章「本当のことは静かに聞こえる」、第4章「祈りのときはもう過ぎた」、第5章「ぶんちゃっちゃダンス」つう章立てになっていて、それぞれにまた「北風と太陽」とか「そんなに泣くかよ」とか「長老になる」とかの小見出しに沿って話が進んでくんだけどさ。
しかしこんなふうに章立てし小見出したてて、このとりとめのない(ように読める)ユルい感じで喋るなんてことはどだいムリな注文だと思うんだよな。
よーするに6回おおよそこんな話をしようっていうことだけ約束して、あとはこの二人が本当にとりとめもなく喋りそれをテープ起こしして、とりとめなく流れていく会話のところどころに付箋を貼って小見出しを立て、それをまたなんとなく同じ方向性のような会話ごとに(多少強引でもムリ筋でも)分類して順番入れ替えて、気の利いた章のタイトルを振っていく。
おーまるでこれはテオ・マセロではありませんか。
みごとなお手並み。
でもたぶん語り手・聞き手もスタジオワークに長けた手練れの音楽家だからできたって側面もきっとあるんだろうな。
以上、例によっておれの勝手な憶測なので信用しないよーに。
でも、いい本だと思うよ。読んでるほうもいっとき幸せになれる。
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で、だからこれはきっと大量の未編集・未発表テープがあるんでないかとか、そのうち「分福茶釜 COMPLETE EDITION」上中下3巻本が出るんじゃないかとか、そーゆーことを考えちゃいけません。
だれも考えねーよ。
お久です。
思わず読みたくなってしまう素晴らしい紹介・推薦文ですね。
god-zi-lla さんは文章家で食べていけそう。でもそうすると今の文章が読めなくなるから,寂しいですけど。
思わず読みたくなってしまう素晴らしい紹介・推薦文ですね。
god-zi-lla さんは文章家で食べていけそう。でもそうすると今の文章が読めなくなるから,寂しいですけど。
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god-zi-lla at 2008-09-06 13:14
tokuさん、こんにちは。
自分が気に入った本を勝手な解釈で書いてるだけなので、あんまり信用しないでくださいませ(笑
細野晴臣については「名前を知ってます」程度なので逆に楽しんで読めた1冊かもしれないですが、ゆったりと急がない、いい1冊だと思います。
自分が気に入った本を勝手な解釈で書いてるだけなので、あんまり信用しないでくださいませ(笑
細野晴臣については「名前を知ってます」程度なので逆に楽しんで読めた1冊かもしれないですが、ゆったりと急がない、いい1冊だと思います。
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ノイ
at 2008-09-06 13:36
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わたしも読んでみたいです まったり いいですね
細野さんの御祖父さんはタイタニックに乗って助かった一人
だそうで たいそうびっくりしました
細野さんの御祖父さんはタイタニックに乗って助かった一人
だそうで たいそうびっくりしました
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god-zi-lla at 2008-09-06 18:09
そうなんですってね。この本読むまで知りませんでした。日本人唯一の乗客だったんだそうですね。なんかすごいなあ。タイタニックに乗ってたってのもすごいし、助かったのはもっとすごい。
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bassclef
at 2008-09-07 11:25
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god-zi-llaさん、こんにちわ、初めまして。bassclefと申します。
>まるでこれはテオ・マセロではありませんか~
先に好きなように話しを(演奏)させておいて「後付け」で意味ありげなタイトルを付ける・・・なるほどです!(笑)
それと事後連絡になってしまい恐縮ですが・・・たまたま拙ブログで「ベル・サウンド話題」になり、検索していたところ、あの「ベルサウンド」記事を見つけました。Bell Sound刻印の写真が素晴らしいので、貴ブログの2008年1月13日の記事とBell Sound刻印の写真をを拙ブログ《夢見るレコード》の本記事に引用させて頂きました。ありがとうございました。
>まるでこれはテオ・マセロではありませんか~
先に好きなように話しを(演奏)させておいて「後付け」で意味ありげなタイトルを付ける・・・なるほどです!(笑)
それと事後連絡になってしまい恐縮ですが・・・たまたま拙ブログで「ベル・サウンド話題」になり、検索していたところ、あの「ベルサウンド」記事を見つけました。Bell Sound刻印の写真が素晴らしいので、貴ブログの2008年1月13日の記事とBell Sound刻印の写真をを拙ブログ《夢見るレコード》の本記事に引用させて頂きました。ありがとうございました。
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god-zi-lla at 2008-09-07 19:33
bassclefさん。すばらしくディープなブログですね。これからも拝見したいと思いますので、よろしくお願いします。
ベルサウンドの件、了解しました。
ベルサウンドの件、了解しました。
by god-zi-lla
| 2008-09-06 09:01
| 本はココロのゴハンかも
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Comments(6)