神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

天下の大名盤 その1(Miles Davis / 'ROUND ABOUT MIDNIGHT)

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どんなジャンルでもそうだと思うんですけども「名盤」てのがあるじゃないですか。巨匠の演奏する名演奏でもって過去たくさんの人に親しまれてきたロングセラー。初出以来いちども廃盤になったことがなくて簡単に手に入れて聴くことのできる「名盤100選」なんつう本やら雑誌の特集やらがあると必ず入ってるようなやつね。

そういう名盤て初心者のころとか若いときとかに買わないと、あとでなかなか買いづらいってことないすか。おれはあるんだよな。しかもたくさんあるのよこれがさ。

根がアマノジャクっつうかエエかっこしいつうか知ったかぶりつうか、まあそういうとこがあるもんだからジャズを聴き始めたころにそういう名盤をわざわざ避けてレコード買ってたようなとこがあったんだよな。まあそういう名盤てのはえてして誰かが持ってたりしたもんだから聴かせてもらってそれでオシマイとかね。

前にマイルスの〈SOMEDAY MY PRINCE WILL COME〉をよく利用してるレコード屋さんのサイトで買ったとき、そこのご主人とメールでやりとりしてるうちに〈SOMEDAY MY PRINCE WILL COME〉みたいな有名盤をジャズ聴き始めて30年以上にもなるのにただの1枚も持ってなくて、じつは〈'ROUND ABOUT MIDNIGHT〉なんつう大名盤も恥ずかしながら持ってないんですよねーなんてことを書いたら、「じゃあ探しといてあげましょう」って返事があったので「お手頃値段のがあったら是非よろしく」なんて厚かましいお願いをしてたんでした。

そしたら半月ほど前に「盤もジャケットもちょっとボロだけど、そのぶんお買い得なオリジナルが出たんだけどどうですか」ってメールをもらったもんで、それで求めたのが写真の盤なんでした。
天下の大名盤 その1(Miles Davis / \'ROUND ABOUT MIDNIGHT)_d0027243_1037613.jpgマイルスのディスコグラフィのなかじゃたぶん一二を争う大甘のアマアマレコードだと思いますが、そのぶんジャズなんか知らなくたって楽しめるポピュラリティのある盤なわけだけどね。ただカインド・オブ・ブルーとかビッチズ・ブルーとかみたいに時代をぐるっと動かしたような盤ではないわけです。

だからまあ後回し後回しにしてるうちにこちとらトシとっちゃったわけで。

せんだってこいつが手元に届いてこのかた、なんていいますかこう味わい深くていいねえ。やっぱ天下の大名盤だよねえなんて相好を崩して聴いておるわけでございますね。いや盤面もイマイチだもんでノイズもけっこう出るんですが、なんだかスクラッチノイズもどっか甘々で穏やかにきこえて心地よかったりするんだよねこれがまた。

でもさ。非常にくちはばったいことを申しますとですね。この〈'ROUND ABOUT MIDNIGHT〉を心おだやかに楽しめるのも、まあこの30何年いろんなもん聴いて聴いて、ぐるーっと一周遠回りして今頃になって忘れ物取りに戻ってきたからこそのもんなんじゃなかろうかってね。まーそんなふうに思わないでもないわけです。

そう思うとこのちょいボロっちいジャケットも「旅路の果てのその果て」みたいな雰囲気を醸し出してるようでもあって(放浪してたのはおれのほうかもしんないけどさ)、なんだかこの気分にぴったりなような気もするんですけどね。

うーん、いつもに似合わずキザな物言いになっちまったかな。
たんにおれがトシ取ったってことだよな。
青い山脈まで出てくるんだもんな。そりゃトシだわ。
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by god-zi-lla | 2008-10-09 16:04 | 常用レコード絵日記 | Comments(0)