神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

鳩首会議だったよな(Dave Holland / CONFERENCE OF THE BIRDS)

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1週間のゴブサタでございました。それほどでもないか。

おれ、ここ20年くらいジャズ雑誌ってのを読まないもんだから全然知らないんだけど、デイヴ・ホランドって最近お元気なんでしょうか。

おれの勝手な先入観かもしんないんだけど、いつもビミョーに尖った最先端よりちょっと手前くらいのとこにホランドって人は位置取りしてきたような気がする。マイルスバンドにいたっていう経歴に印象が左右されてるかもな。ただやっぱし、いつもそこそこかっこいいっつうかね、つねに何か考えながら音楽やってきた人なんだろうって気がするんだけどさ。どんなもんでしょ。軽々に時代に乗っかるわけじゃないけど、いつも世界を見てて外さない感じ。

ずいぶん長いこと、たぶん20年以上聴いてなかったんだけど、たまたまほかのレコード探してるときに目に付いたんで唐突ではありましたが久しぶりに聴いてみたんでした。そしたらさ、こんなに聴きやすい音楽だったっけっつう感じでちょっと驚いた。こんなに印象って変わるもんかなあーっつうくらいでなんか不思議。こんなことがあるもんだから、うっかりレコード処分できないんだよな。

ずっとフリージャズだと思ってたし世間様的にもこれってフリージャズで通ってんじゃなでしょうかね。でもさ、いまになって聴いてみるとこれはなんと申しますか結構規律正しい音楽に聞こえちゃうんだけどね。規律正しいってのもヘンな言い方だけどさ。規律正しく、そして規律正しければ当然ですが獰猛なところのないフリージャズ?

しかしフリージャズってな元来規律正しくなくて、つか規律なんてもんはクソ食らえでしかも獰猛な音楽だろうと思うんだよなあ。するってえとこれはフリージャズじゃないってことなんでしょうかね。昔っからフリージャズじゃなかった? 長い間おれってこの盤聴き間違えてたってことなのかなあ。

なにはともあれ、まじめに音楽突き詰めてる親方ホランドに、知的でIQ高そうだけどもどっかインチキ臭いとこのあるアンソニー・ブラクストンと、ブラクストンより正直で一途かつ荒々しいけど商売下手そうなサム・リヴァースが絡んだECM永遠の問題作のひとつではあるんでしょうね。フリージャズかそうじゃないかは別としてさ。

もったいないことにいま現在はどうも国内盤の現役盤はないようだけど、むかしは「鳩首会議」って邦題がついてなかったっけね。たしかそうじゃなかったかと思ってネットで検索してみたんだけど、何もひっかかってこなかったから少し自信ないんだけどさ。

たぶんアルバムタイトルになってる〈CONFERENCE OF THE BIRDS〉つう曲から思いついたんだろうけどさ。このタイトルについてホランドが裏ジャケに短いコメントを載せてますが、それ読むと「鳩首会議」って邦題がみごとにホランドの意図を無視して付けられたもんだってわかりますな。いっけんいかにも直訳風逐語訳風を装ってるけどさ。かえって罪が重いんじゃないかな。

この盤の不思議と清々しい雰囲気とか意外な親しみやすさってのが、なんかこの邦題でもってどこかへ追いやられちゃったような感じがするんだけどね。そういう時代だったんだろうな。難解で人を寄せ付けないもののほうが価値があると思い込んでた、つか、そういうものをおれはわかるんだぜ的な俗っぽい格好つけの産物つかね。

おれも長いことそういうのに汚染されてたってことなんだろうな結局。
だから久しぶりに何も考えないで聴いたら別のものにきこえちゃった。
そういうことだったんでしょうかね。

どっちにしても、これからはちょくちょく引っぱり出しましょ。

でもなんでおれUS盤のECMなんて買ったんだろ。安かったんだろうなきっと。
音もいいですね。あんまりECMっぽくない録音だなと思っちゃうのは米盤だっつう先入観かな。
Commented by 任三郎 at 2009-04-21 21:05 x
いいですよねー、デイヴ・ホランド。
手元のECMディスコグラフィによりますと、「鳩首協議」だったようです。稲岡邦彌さんの「ECMの真実」でも、「カンファレンス・オブ・ザ・バーズ」の名で出てきますから、あまり気に入った邦題ではなかったのかも知れませんね。
Commented by god-zi-lla at 2009-04-22 06:25
任三郎さん、先日はお疲れさまでした。
> 手元のECMディスコグラフィによりますと、「鳩首協議」だったようです。

あ、「協議」でしたか。どっちにしても、今となっては「なんか、違うんだよなあ」っていう感じの邦題だと思うんですが。

でも、いまどきフリーっぽい音楽って流行らないのかもしれませんが、こういう名盤がカタログ落ちしてるのが残念です。

デイヴ・ホランドは同じECMのスティーヴ・コールマンなんかがフロントにいるバンドも、トンがりつつもかっこよくて好きです。
Commented by jazzamurai at 2009-04-23 01:50
そうそう。その通りっす。昔のプログレによくあった四文字熟語っぽい表題っすね。流行りっすよ。
この仲間では、最も笑えるのがヘンリー・カウの「In Praise of Learning」に対して付けられた「傾向賛美」ですかね。「Learning」を「Leaning」と読み間違えての堂々とした間違い。当時の帯付き日本盤は高価で取り引きされております。
・・・・しかし、やられた。Chick CoreaがCircle解散後に残されたメンバーが乱暴者サム・リヴァースを迎えて録った傑作ですよね、これ。拙者、大好きなんです。作曲と即興の見事な融合、スリリングな展開、無駄が無い本当の名盤だと思っております。ブラクストンが快演。
Commented by god-zi-lla at 2009-04-23 06:30
そういえばフロイドの「原子心母」が70年。ようするに同じ手口ですよね「傾向賛美」も「鳩首協議」も(笑

あははは。並べて眺めるとさらに笑えるなあ。

> 作曲と即興の見事な融合
そうそう。そこなんですよね。
どの曲も長くないですが、そのなかで全員が言いたいことを言い切ってるというか、そのへんがリーダーとしてのホランドの構成力というのか統率力というのか、まあ「協議」や「会議」なんだったら名議長とか名座長とか、そういうものなんでしょうけど(笑
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by god-zi-lla | 2009-04-20 23:35 | 常用レコード絵日記 | Comments(4)