ラテンのドルフィーのコンプリートだって?
2009年 04月 25日
メキシコじゃ豚インフルエンザで死者多数。そういえば勤めてた会社でも何年か前インフルエンザ対策を社内で検討始めてましたけど、その後どうなってんのかな。
インフルエンザっつう名前で「たんなる重い風邪だろ」ってみんなが油断しちゃうのがもっともマズい。だから「なんちゃらペスト」とかもっと恐い名前にしたほうがいいと主張してる人もいましたけど、それが正しいのかもしれない。
またドルフィー。仕方ないのよファンだからさ。
〈The Complete Latin Jazz Sides〉つうタイトルの輸入盤CDが発売になったって情報があってさ。ドルフィーのラテンちゃあ〈Caribé〉と〈The Latin Jazz Quintet〉の2枚だけだろよと思ったわけです。それ以外にラテンバンドにドルフィーが混ざって録音したっつう話はきかないし、それにこの2枚のレコーディングに未発表テイクがあるなんちゅう話もまたきいたことないんだよな。
けどあなた、タイトルに「Complete」と入ってるじゃございませんか。
いや困りましたねどうも。この「コンプリート」ってコトバに弱いのよね。もうからっきしってやつです。この一言聞いただけで居ても立ってもいられません。もしかすると新発見のテープなんてのが出てきたのかもしれん。世紀の大発見とか。まずいなあ。
だいたいね。ドルフィーのこのラテンバンドに混じったレコードってそれ自体、よっぽどのドルフィー狂いでもないかぎり話題にするような盤でもなんでもありゃしません。まあたぶんドルフィー本人だってたんなるスタジオ仕事として引き受けただけのもんだと思うよ。そりゃちらほらとドルフィーらしいソロもあったりしてドルフィーマニアはそれなりに楽しんだりはしますけども、それでもめったに聴くようなもんじゃないね。
しかし「コンプリート」は困るのよコンプリートってコトバは。
血圧は上がるわ脈拍は増えるわ、もーたいへんなんですからお客さん。
とりあえずHMVのサイトで見てみました。そしたらさ。
エリック・ドルフィーが1960年代にラテン・ジャズ・グループと録音した2枚のアルバム『Caribé” by The Latin Jazz Quintet + Eric Dolphy』、『The Latin Jazz Quintet』から収録されたアルバム。Booker Little (tp), Julian Priester (tb), Clifford Jordan (ts), Mal Waldron (p), Art Davis (b), & Max Roach (d)と共にレコーデイングした1961年のラテン・フィールなナンバーをボーナス曲として収録。
と説明にありました。
これってたんに既発2枚をカップリングしただけじゃねーのか。
写真でいうと左の2枚がそれですな。左端の〈Caribé〉はつまんない再発ジャケットでございますが、おれはこれしきゃ持ってません。べつにオリジナルなんて欲しくもないけどね。でも目の前に出てきたとしたらわかんないけど。
まんなかもアヤシイ再発盤。ただしデザインはオリジナルをほぼ蹈襲してますけどモンダイは右端のマックス・ローチね。
HMVの説明文の最後んとこにある「ラテン・フィールなナンバー」つうのが一体全体なんなのか。しかもメンバーにブッカー・リトルありジュリアン・プリースターありクリフ・ジョーダンありマル・ウォルドロンありアート・デイヴィスあり。それにドルフィーと。
待て待て待て待て待て。そりゃおまえ、これっきゃないでしょがインパルスのマックス・ローチのリーダー作〈PERCUSSION BITTER SWEET〉。
でもなんで説明文にそうと書いてないんでしょうか。
うむむむ。もしかしてこれこそが世紀の大発見未発表発掘テイクだったりするわけか。
これもしかし記録によれば未発表テイクなんてものはないことになってんだけどね。
でまあ当該盤持ってんですから当然ジャケット見まさね。ふつう見るよ。
そしたらあなた。このCDに収録されてるボーナストラック「Man From South Africa」。ふつうに入ってる曲じゃんこのLPに。なんだよこれ。レーベルまたいでこんな正規盤から1曲だけ持ってきてコンピレってわけでもないし。なんなの?
というわけで買わないことにしました。
あーよかった。余計なお金使わないで。
でもね。もしもこのCDに店頭でブチ当たってしまったらどーしますかあなた。
「あちゃーなにこれコンプリートだってよ。これって未発表曲入ってんの? データないからわっかんねーよ。でもアヤシイ。なんかインチキっぽい気がする。でも、もしかして聴いたことないの入ってたら、ここで買わないと二度と買えないかもしんない。ええいままよ! ダブっても買うぞなもし」でレジへ運搬。店頭なら推定無罪または「疑わしきは買いましょう」。在宅検索のばやいなら即有罪決定「だれが買うかこんなもん」。
ウチにいてネットでCDや本買うのってじつはあんまり好きじゃないんだけどさ。まれにあるこういうケースのときは助かるっちゃ助かるね。ムダな出費しなくていいからさ。大規模なセットものとかこういうあまり良心的とはいえない引っかけ商法みたいな再発とか、さらに犯罪的つか立派な犯罪なブートとかさ。
ふつうのCDダブって買っちゃうことだってあるし(笑
まあそんなことでございましてですね。
カタギの衆にはなーんの役にも立たないお買い物ガイドでございました。
まあどっちの盤も持ってなくて且つドルフィーの小遣い銭稼ぎ仕事に興味のあるお方は2枚バラで買うよりはおトクでっせ、くらいなもんでしょうかね。
すいませんねどうも。
ちなみにマックス・ローチの〈PERCUSSION BITTER SWEET〉ですけども、あたくしとしちゃローチのレコードはほかに聴くべき盤が山ほど存在しますぜと、あたくし如きがまことに僭越ではございますが申し上げる次第でございます。どうもこう大上段に振りかぶりすぎて大仰。かえってその大仰なとこが笑えたりもしますけども、まあ笑うために買うような1枚じゃないからな。
ホームランバッターが大事な場面で気合い入りすぎて高々と打ち上げちゃったたショートフライみたいなアルバム。
by god-zi-lla
| 2009-04-25 17:45
| 常用レコード絵日記
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