神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

意外といえば当然。ありえる話にしちゃ初めて(Allen Toussaint / THE BRIGHT MISSISSIPPI)

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アラン・トゥーサンてば言うまでもなくニューオーリンズ・ファンクの大立者なわけだ。いっぽうニューオーリンズってばジャズ発祥の地のひとつでもあるわけだけしニューオーリンズの音楽のひとつとしてジャズは重要だってことも知ってるような気がしてたわけではあるんだけどもね。

しかしアラン・トゥーサンとトラディショナルなニューオーリンズのジャズが直接結びつく感じってのは、おれのアタマんなかには正直なとこありませんでした。でもこの新しいアラン・トゥーサンのアルバムは全面アラン・トゥーサン流のニューオーリンズ・ジャズなの。

しかしね。「アラン・トゥーサン流」なんていったけど、先入観なしにこのCD聴いてトラディショナルなジャズだと思わない人はいなかろうという、紛れもなくそういう音楽なんだよな。ただ、ついうっかりこれがアラン・トゥーサンのアルバムだと先に知ってから聴いてしまうと、あーこれはもうアラン・トゥーサン流だよなあと、もうつくづくそう思うしかないというシロモノでもあってさ。

なんつうかアラン・トゥーサンの音楽もニューオーリンズの音楽というのも、ともにあれもこれもいろんな顔を持っててそれがどれもこれもみんな同じ根っこから生えてきてるもんなんだってことを、あらためて思い知らされたりするわけだ。このCD聴いてさ。

しかしそんなことをつい思ってしまうのもさ。もしかしたら知恵者のプロデューサー、ジョー・ヘンリーにしっかり乗せられちゃってるからかもしれんなと、ちょっと思ったりもする。

とにかくドン・バイロンが何食わぬ顔でデキシーランドふうなクラリネット吹いてたりするわけで。いやおれなんかみたいな鈍感な人間にはふつうにしか聞こえないんだけども、もしかしてそこにジョー・ヘンリーがなんか仕掛けてんじゃないかとかね。とにかく人脈のなかにオーネット・コールマンまでいるプロデューサーだからさ。なんかかんか埋め込んでんじゃないかとつい勘ぐりたくなるとこはあるんだけどね。

しかしまあなんだな。もしかしたらプロデューサーの錬金術的仕掛けが施されてんのかもしれないけど、そんなことは知ったこっちゃなくてだだもうアラン・トゥーサンの新作としてなんの違和感もない仕上がりつうか、ずっと前からこんなアルバムをいくつも出してるんじゃないかと錯覚してしまうような、べつに「自分のルーツを探って遡る」みたいな気構えたとこなんか微塵もないふつうの音になってんだよな。

1曲だけアラン・トゥーサン歌ってます。1曲しか歌わせないジョー・ヘンリー憎し。
しかもあなた。それがまたスライドギターを従えて珍しく非常にブルースブルースした曲。ディープなブルースを歌うシンガーってわりと張った声で歌うのがふつうだと思うんだけど、それをあのソフト&メロウな声でやられてしまうと、これはまたちょっとたまりませんぜ。うーん、これは1曲だけだからよけい効果抜群なわけだ。ジョー・ヘンリー憎し。

今月すえに来日するんだってね。アラン・トゥーサン。
こういう音楽をやるわけじゃないらしいんだけど(やっぱ本筋の仕事じゃないってことなんだよな)、聴かないテはないよな。

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Allen Toussaint / THE BRIGHT MISSISSIPPI
(Nonesuch WPCR-13336 国内盤CD )
アラン・トゥーサン(p,vo)
ドン・バイロン(cl)
ニコラス・ペイトン(tp)
マーク・リーボー(g)
デイヴィッド・ピルッチ(b)
ジェイ・ベルローズ(ds)

Commented by jazzamurai at 2009-05-07 00:04
マーク・リボーに反応(というか、トゥーサンさんを聴いたことがなくてですね・・・・)。リボーの素っ頓狂なギターが好きです。
Commented by god-zi-lla at 2009-05-07 05:39
マーク・リボーってだいたい「本職」はなんなんですか?
とくにファンということも注目してるってことでもないんですが、なんか最近「え、こんなこともやってんのかよ」的にいろんなところで名前を見るんですが。

しかしこのメンバーも、ジョー・ヘンリーがプロデューサーじゃなかったら絶対共演しないよなーって感じのメンツです。
Commented by jazzamurai at 2009-05-18 23:45
遅レスですみません。もともとラウンジ・リザーズにいらっしゃったようです。トム・ウェイツのライヴでの演奏が印象的です。
Commented by god-zi-lla at 2009-05-19 08:38
あ、ほんとだ!
唯一持ってるラウンジ・リザーズの「ヴォイス・オブ・チャンク」を見たら、たしかに名前ありました。

まったく意識してなかったので、あらためて聴いてみます。
Commented by god-zi-lla at 2009-05-19 10:05
マーク・リボー参加のCDってのをウチの中途半端未完成CDデータベースで検索してみたところ、ウチの棚には梅津和時、ラウンジ・リザーズ、ハル・ウィルナー、ジェームズ・カーター、ジョー・ヘンリー、エルヴィス・コステロのバックにいらっしゃいますね。

うーんコステロにも入ってたのか。ぜんぜん気づいてませんでした。
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by god-zi-lla | 2009-05-05 20:13 | 常用レコード絵日記 | Comments(5)