神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

え、65年? 57年どっち?(Sonny Rollins-Don Cherry Quartet / COMPLETE 1963 STUTTGART CONCERT)

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きのうは奥さんの知人の親類が出品してるという公募展みたいのを見に国立新美術館に出かけたんだけど入り口にアルコール消毒液。ルーブル美術館展なんかやってるわりに人出がきもち少ないような気がするのはインフルエンザの影響でしょうか、それともみんなルーブルよか上野の阿修羅さんですかね。

このロリンズのCDは以前聴いた東京のライヴと同じレーベルが出してきたもんなんですけどね。これどっかで見覚えあるよなーっつうトラックもあったんだけどこーゆーばやいは当然「買い」だもんね。買わずに後悔するよりもダブって後悔しましょうね。

もうCDの時代になってた80年代すえに徳間ジャパンから国内盤が出たBLACK LION原盤のあやしげな〈SONNY ROLLINS EUROPIAN CONCERTS〉つうLPがあって、これはA面B面ぜんぶで4曲入ってんだけどそのうち3曲がこんだのCDとダブってましたね。ぎゃくにCDのほうにはほかに未聴4曲あり。これはやっぱ「買い」だったわ。

こんどのCDに収録されてんのはタイトルどおりドン・チェリー含むピアノレスカルテットの演奏でベースがRCAの〈OUR MAN IN JAZZ〉のボブ・クランショウからヘンリー・グライムスに代わってて、CDのパッケージに印刷されたデータによれば1963年1月29日西独(当時)シュトゥットゥガルトのライヴが4曲。そのうちの1曲「SONNYMOON FOR TWO」がまず前から持ってたレコードとダブってんの。

シュトゥットゥガルトの63年ライヴのほかにCDにはボーナストラックと称してあと3曲。3曲ったって時間にしたら22分以上もある「オマケ」だもんな。こういうのボーナスっていうんすかね。なんかすごい薄給の会社がボーナスを「4.8か月×夏冬2回」出してるみたいな、なんかケチなんだか大盤振る舞いなんだかわかんないよーな。どっかダマされてるような不思議な感じではありますけどね。

そのボーナス3曲のうち2曲もLPとダブり。この2曲ってのはロリンズ作のおなじみ「OLEO」とこれもロリンズオリジナル「SONNY'S BLUES」なんですけどね。メンツはミルト・ジャクソン(vib)、ケニー・ドリュー(p)、パーシー・ヒース(b)、アート・ブレイキー(ds)ってこれまたゴーカなメンメンでございますね。

これがしかしCDのデータじゃ1965年10月30日ベルリンの放送録音(拍手きこえるからライヴ中継だったかも)てなってんだけどLPのほうはたんに1957年ヨーロッパ。

LPのほうが地名不詳でヨーロッパってだけの表示なのはもしかして非正規録音(ブートね)なんで出所明らかになるとマズいからこうしてんのかもしれないんだけど、それはともかく先に出たLPと後発のCDでデータが8年も違うってのはどうよ。

いまどきは詳細なディスコグラフィがネット上に公開されててじつにありがたいことでございまして、いつも大変お世話になってるおれとしましてはこういう情報には是非ともお金払いたいと思うんだけど無料なとこが恐縮してしまいます。そこいくとおれのこのアホブログなんて愚にもつかないモン読んでくだすってる皆様にゃこちらからお金差し上げたいくらいなもんでございますけども、残念ながらおれそんなお金持ってないのでゴメンなさいませませ。

いや、そういうことじゃなくてさ。
そのデータを参照さしていただきますと、これはCDにあるとおり65年ベルリンが正解でした。やっぱなー。この徳間のLPはかなりアヤシイよ。さすがアサ芸つうか怪人徳間康快つうか。関係ないけどさ。

でもしかしこのメンツでこの演奏だと57年でも通るかもしれないってとこはありまさね。バップの枠組みの中であんまり時代によって変化しなかった人たちですからね。

それにしてもこのCDやLPに入ってるロリンズのプレイってのはじつにまったくスゴいとしか言いようがないね。ライヴ録音ならではのハイテンション、ハイヴォルテージ。それでいて構造的に崩壊しないというか構造を保ってるというか、それがまたすごい。

いやロリンズはすごいけどドン・チェリーもミルト・ジャクソンもみんなすごいわ。

「OLEO」はドン・チェリー入りバンドとミルト・ジャクソン入りバンドと2曲入ってんだけど、どっちも短いのに吹き切ってる感じがかっちょいい。「OLEO」って曲は短く簡潔にやるのに向いてる曲なんかな。

前の東京ライヴのCDは音質最悪だったけど、こんかいのこのCDはそれほどでもないね。メインのシュトゥットゥガルトのライヴの音質はAMラジオ的にくぐもってんだけど、まあこんくらいのことは「歴史的録音」じゃふつうだろうよ。ボーナストラックはそれにくらべるとかなりいい。たぶん放送録音のこれはエアチェックじゃなくて音源から取ってる感じですね。

それにしてもライヴのロリンズはやっぱいい。前にも書きましたけどナマのロリンズのライヴにおれもこの30年の間に何回か接してますけど、ライヴ聴いちゃうと同時期のスタジオ録音盤が物足りなくなっちゃうってことがある。でもきっと、じゃあ片っ端からライヴ録音してリリースすればいいかっていうと、あとで聴いたら冗長だったりもするんだろうな。

ある意味こうやって残ってきて、いまおれらが聴けるライヴ録音てのはさ。正規不正規にかかわらずある程度淘汰されたものなんだとは思うんだけどね。

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このCDと関係ないんだけど徳間のLPのほうにジミー・メリット(b)、マックス・ローチ(ds)のトリオで演奏してる「LOVER」ってのが入ってて、おれの感じだと今回のエントリーのこのCD、LP2枚のロリンズのプレイのなかで一番すごいトラックなんだけどさ。こいつの録音が表示によると1958年ヨーロッパ。うーん、これを58年にやってたってちょっと信じらんない。ライナーノートで岩浪洋三さんもそう書いてる(書いてるんだけどジャズの演奏史には正規録音に残らない部分もたくさんあるからさ的にデータ肯定しちゃってますけど)。

ついでにディスコグラフィ参照しましたら、あははは。これは1966年12月12日オーストリアのグラーツで録音だってさ。そうだよなー。いくらなんでもこれが58年だったらその後のジャズは別展開してたよなー。あーよかった。

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Sonny Rollins-Don Cherry Quartet / COMPLETE 1963 STUTTGART CONCERT
(RLR RECORDS 88645CD EU盤)
ソニー・ロリンズ(ts)、ドン・チェリー(tp)、ヘンリー・グライムス(b)、ビリー・ヒギンス(ds)
ボーナストラックのメンバーその1>ヘンリー・グライムス(b)、 ロイ・ヘインズ(ds)
ボーナストラックのメンバーその2>ミルト・ジャクソン(vib)、ケニー・ドリュー(p)、パーシー・ヒース(b)、アート・ブレイキー(ds)

*しかしこの〈OUR MAN IN JAZZ〉のジャケ写そのまんま使ってるってのはどうなんでしょ。
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by god-zi-lla | 2009-05-24 12:05 | 常用レコード絵日記 | Comments(0)