
京都はいちめんの雪景色って金閣寺の写真を添えてニュースが伝えてる。
しかしこれホントに今日の写真なのってくらい年年歳歳変わらない定番写真よね。まあいいんですけど。
で東京は寒いけど快晴なり。
唐突ですいませんけど、おれも来年はコキだ。いや子機、いやいや呼気、いやいやいや古稀だって。
あ、もしかして今年が古稀なのか? ホントだったら数え年でカウントすんのか?
どっちにせよジジイはジジイだ。誤差範囲。
きのう2月7日、日比谷で《敵》を見てきた。怖いけど面白い。他人事のようで他人事でない感じ。
おれはまだまだ若いモンには負けないなんてことは鼻毛の先っぽほども思ったことないし、まだまだやりたいことがあるとも思わないし(つか、昔から思ったことがほとんどない)、長生きしたいともとくに思ってないし、まあ毎日そこそこに生きて、そのうち死ぬべき時期が来たら死ぬんだろうって、まあそういうのは「思う」ってんじゃなく、「なーんも思ってない」の範疇だろうけどな。
だけどまあ「死ぬ」ってことについて、以前より思いを致すことがすごく増えてるのは間違いない。正直いって、おれのようなテキトーなヤツでもそんなことを思うようになるんだなーなんてボンヤリ思ったりして、ようするにそれが「老い」ってもんでもあるんだろうな。
なんつて。
おれんとこの父親は本人の希望どおり自宅で死んだ。最期のとき、同居している弟が主治医の訪問診療医に来てもらって臨終を確認した。自宅で起き上がれなくなってから2週間後のことだった。
そんなことで、上の写真の本もまた他人事のようで他人事でない感じ。
もともと奥さんが図書館から借りて読んでた本で、これは面白いから読んでみたらと勧められた。そこで奥さんが返却したあと、あらためて自分の名前で借り直して読んだ。奥さんはこの本の仕事のために読んだのかもしれないんだけど、そういうことを抜きにしてこれは非常に考えさせられる本だと言ってたのだった。
おれんとこの父親は寝付いて1週間めくらいから、死を迎えるための医療を訪問診療医に施してもらい、まさに朽ち果てるように亡くなった。だけどそういう医療行為は「病棟の医師」には理解され難く、病院のなかで医師の仕事は命を長らえることであって、そのような行為は医師の「倫理」に反するものと往々にして決めつけられてしまうと著者は言う。
手厚い医療を受けることで、シアワセな「死」を迎えられるとは限らない。自分の思うように「死を生きる」のはなかなか難しい。
つうわけでこのふた月、最後に読んだこの小堀鷗一郎著《死を生きる》が読後の印象を総取り。ほんとは高野秀行《イラク水滸伝》で行こうかと思ってたんだけど、自分の日常と直結してるような本には勝てない。でも高野秀行というひともすごいと思うよホント。書名が毎度毎度フザけたようだから、それで少なからず損してると思うんだけどね。
以下、読了順。
イラク水滸伝 高野秀行(文藝春秋)12/16虎ノ門書房本店
花の命はノー・フューチャー ブレイディみかこ(ちくま文庫)12/22三省堂池袋店
鈴木邦男の愛国問答 鈴木邦男(集英社新書)12/23三省堂有楽町店
ページをめくるとジャズが聞こえる 村井康司《ジャズと文学》の評論集 村井康司(シンコーミュージック)12/29図
夜哭烏 羽州ぼろ鳶組2 今村翔吾(祥伝社文庫)12/30紀伊國屋WS
芸者と遊び 日本的サロン文化の盛衰 田中優子(角川文庫)1/7紀伊國屋WS
人間の土地 サン=テグジュペリ/堀口大學・訳(新潮文庫)1/12借り本
雨月物語 上田秋成/円城塔・訳(河出文庫 古典新訳コレクション)1/20浜書房
歌舞伎の中の日本 松井今朝子(集英社文庫)1/28紀伊國屋WS
よりみち部落問題 角岡伸彦(ちくまプリマー新書)1/30三省堂池袋店
死を生きる 訪問診療医がみた709人の生老病死 小堀鷗一郎(朝日新聞出版)2/6図
今村翔吾《夜哭鳥》は羽州ぼろ鳶組シリーズの2作目。1作目を面白く読んだので2作目を手に取った。まだシリーズは続いてるが、正直2冊でもう飽きた。3冊めを読むとしても当分先のことだな。池波正太郎《剣客商売》なんかのようにシリーズ全巻貪り読み続けるってことにはなりそうにない。
円城塔の現代語訳の《雨月物語》は平易かつ格調高く、さらに円城塔らしい「手口」もあって見事なもんである。いやー面白いんだねえ、雨月物語。
#
by god-zi-lla
| 2025-02-08 23:12
| 本はココロのゴハンかも
|
Comments(0)