神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla
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いつも行ってるスーパーの〈産直野菜〉コーナーにゴロっとひとつだけ、ゲンコツくらいの大きさの「かぶら」が転がってた。手に取ってみるとそれは珍しくも『聖護院かぶら』なのだった。いやーずいぶんぶりに見たなー聖護院かぶら。つか、ここいらへんのスーパーで売られてるのを見るのって初めてな気がする。

だけど、外観はちょっとショボい。葉っぱも付いてないし、夕方遅い時間でほかの「産直野菜」がおおかた売り切れたそのコーナーで、なんとなく売れ残りっぽい雰囲気でごろっと転がってたんだった。

もしもし。おまえをここから助け出してあげるから、きっと美味しい千枚漬けになるのだよ。

ずっと以前(もう10年以上前か)、これより大きくて立派な聖護院かぶらを手に入れたときは結構マジメに京都の漬物屋で売ってるような「本格的」な千枚漬けをこさえてしまったモンだが、近ごろそういう凝り性な台所仕事は(寄る年波で)極力やらないようにしてますから、今回はもっとずっとチャチャっとやっつけてみたんでした。

見つけたコイツは聖護院かぶらとしちゃ結構ちっちゃいから、「まる」のまんまをスライスして漬けてもそんなに面倒はなさそうだったけど、どうせ食べるときには包丁で切ってやらなきゃなんないしさ。タテ半分に切ればスライサーでシャラシャラと薄切りに出来そうだったから、「まる」じゃなくって「半月」にして漬けることにした。

そしてまず塩で下漬けして16時間くらい。本漬けは味醂と砂糖と塩と酢、それに刻み昆布と輪切りの唐辛子。ホントの千枚漬けは「かぶら」と昆布を1枚1枚交互に重ねて漬けてくんでしょうが、そんなことはもちろんやらない。ま、テキトーに重なってくように漬け物器へ仕込んでく。



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こんな感じに漬けてって、フタをしてぐりっとハンドルをひねってちょっとだけ「圧力」かけてひと晩置いて、それから別の保存容器に移して冷蔵庫。





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どうです、見た感じはなかなかイイでしょ。食べてみてもフツーにうまい。

まだちょっと浅漬かりで薄味ですけど、少しずつ取り出して食べてくうちちょっとずつ深く漬かるようになって、そういう変化も一緒に味わえばよろしいんです。





ところで最近、台所で普段使う「塩」を変えました。

長いこと愛用してたベトナムの《カンホアの塩》の500グラムの袋入りが手に入らなくなって、ここしばらくいろんなのを試してみてるんだけども、今回の千枚漬けは下の写真の《シママース》ってのを使ってる。



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料理の味つけはもちろん、野菜やパスタを茹でるときとか、なにかを塩蔵するときとか、よーするにお値段のこと気にせず遠慮会釈なく使えて、なおかつそこそこ美味しい塩を「常用」したいわけだ。

沖縄の塩っつうと、たとえば《粟国の塩》なんてのはたしかにとても美味しい。だけどおれの感覚としてはうんと高い。高いからパスタを茹でるのに使おうとすると、おれみたいな気の小さいニンゲンは手が震えちゃう。その点これはそんなに高くない。そのうえわりとどこでも買える。だけど、そこそこ美味しい。

こういうの大事よね。

ところでコイツのパッケージの表面には "メキシコまたはオーストラリアの天日塩と沖縄の海水でつくりました" と比較的大きく表示してある。

これがさ。国産のわりかしお高い塩のなかに、「どこそこ(国内の地名)の塩」と謳ってるんだけど裏面に小さく「なんちゃら国の海塩に『どこそこ』の海水(あるいはニガリ)をブレンドしました、みたいなことをコッソリ記載してるのが意外とある。そのくせ結構高い。

やっぱ正直なほうがいいと思うよ。表示してるんだからウソついてるわけじゃないでしょうけど、なんかこのシママースのバカ正直っぽいところも一緒に気に入っちゃったりしてさ。

しばらくこの塩を使ってみようと思ってる。









# by god-zi-lla | 2023-12-02 19:10 | 食いモンは恥ずかしいぞ | Comments(3)

段ボール6箱分、レコード出てった「跡地」は本棚_d0027243_12433695.jpg




夏の盛りの、ずいぶん前の続きである。
あれから気温は25度くらい下がった。3か月かそこらで、なんかすごいよな。

つうわけで上の4枚のうち左端のJ.J. ジョンソンは、ほかのレコードと一緒に段ボールに詰めてユニオンに売り払い(買い取り価格110円)、代わりに1800円でオリジナル盤をゲットしたんでした。

そして秋口になってもうひと箱を送り出し、去年からいま現在まで宅配便の兄ちゃんに手渡した段ボール6箱。ユニオンに売ッぱらったレコードはトータル316枚になった。

はじめのひと箱ふた箱送った頃、これで少しはレコード棚にすき間ができるぜと思ってたんだが全然そんな気配がない。そりゃそうだ。棚に収まらずそこいらの壁に立てかけてあったレコードがそのすき間をあっちゅうまに埋めてしまったんであった。

ま、そうだよな。

その後、三箱四箱と送り出すあたりになって、そのうち棚のマス目ひとつ二つぶんゴソっと空きができて、そうなりゃさぞかしキモチ良かろうなあなんて思ってたんだけど、あちこちにちょっとずつすき間ができるだけのことで、ちっともキモチ良くならない。まあ、どこか棚の1か所からエイヤっと抜き出してるわけじゃないくって、棚のあちこちからあーでもないこーでもないと1枚1枚迷いながら引っこ抜いて316枚だもんな。

でもなんか、いわゆるひとつの「達成感」ってのがないの。

スカっと空いた棚を見て、うふふふって笑うとか、その空きスペースに散らかり放題の家のなかのあれこれを詰め込んで「整理整頓」した気になって、うふふふって笑うとかね。なんかそういうのに乏しい。

そりゃあっちこっちに少しずつできたすき間を、レコード動かし動かししながら寄せ集めていけば、もしかするとひとマスやふたマスのまとまったすき間くらい作れるのかもしれない。いや、きっと作れるんだよ(およそ、ひとマスに60枚くらいのレコードが入ってる)。

でもそんなメンドくさいことやりたくない。つか、いままでなん十年その逆の状況、つまり棚にどんどん余裕がなくなってきてスペースやりくりするためにレコードをあっち動かしコッチ動かしさんざんやってきたんだよ。だからそういう作業はもういい。

それよか、いちいちレコードを寄せてまとまったスペース作るなんて面倒はヤメて、たまたま空いたすき間に「本」を詰めてやるってのはどうよ。本といっても、これも置き場所に困ってる大判の写真集とか画集とかレファレンス本とか、そういうヤツ。

やってみると、これが悪くないんだ。

どっか奥にしまい込んでたり何かの下敷きになってた本が、すぐ手に取れる場所に出てきてさ。いやー久しぶりに開いたけど、いい本だよねーこれって、とかね。んー、ぎゃくに言ったら今までレコードがどんだけ優遇されてたかってことでもあるよこの狭小住宅のなかで。なにしろウチにはレコード棚はあっても「本棚」ってモンがないの。わははは。




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以上、字で書きゃ大層なことのようだが、ようするにこれだけのことなんです↑

こんなふうに、棚のあちこちのすき間に現在20冊くらいの写真集やら画集やら展覧会の図録やら(これが結構デカい)が収まってて、たまにはレコードや音楽にカンケイのある本も刺さってる。できたすき間にサイズ的に合う本をジャンル構わず刺してあるだけだからカッコいいとはとても言えませんけど、いいのいいの。そもそもここは「物置部屋」なんだから。

背に 'FULL MOON' と見えるのは熟年夫婦の写真集(だれが見たいかそんなモン)じゃなくて、NASAの 有人月面探査(アポロ計画)を集大成した月面写真集。その右隣のマスにあるのはユージン・スミスのロフトの本。たまたまです。べつに駄洒落じゃありません。



あれま? ずいぶんな枝線に入り込んじゃった。

ジョニー・グリフィンと益田幹夫とオリヴァー・ネルソンの「本題」はあらためて。













# by god-zi-lla | 2023-11-27 13:14 | 常用レコード絵日記 | Comments(0)

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こないだ、気に入った本をひとに押しつけるほうの『読書会』に出たら、棚を「間貸し」してそれぞれの店子が思い思いの本を陳列して売るという新手の本屋が、神保町のすずらん通りにも出来てて面白いと話題になったので、どれどれどんなモンかと見に行ってきたのだった。

場所はすずらん通りを靖国通り側から入れば東京堂書店の前を通り過ぎて、もうちょい白山通りのほうへ歩いたあたりの通りに面したところ。

すずらん通りといやあ三省堂(建て替え中)や東京堂といった新刊本屋もあれば、もちろん古本屋もある。それ以外にも天ぷら屋とか、いまは代替わりして別の場所に移った『キッチン南海』のようなメシ屋に居酒屋。あー居酒屋、減ったよなー。古本屋も減った気がするけど安い飲み屋も減った。それから神保町っちゃあ喫茶店。

そういやすずらん通りの古本屋って演芸とか芸能とかアート系とかが多くて、文庫やゾッキ本のワゴンが店頭にあるようなところはあんまりないかもしれない。

「アート系」とカンケイあるのかどうか知らんけど、そういえば額縁屋もありますね。

それはともかくその本屋。このあたりの古本屋とは店の雰囲気がまるで違うから一瞬戸惑うんだけども、そういうすずらん通りにあったんであった。'PASSAGE by ALL REVIEWS' って店だ。

なんかオサレじゃんか。読書会のときはオサレな本屋かどうかなんて話題になってなかった気がするけど、まあいい。とにかく、入るに如くは無し。

入ってようやく気がついたんだげど、この本屋は愛書家・鹿島茂のプロデュースになるんですってね。だから店の名前含めフランス語だらけなのか。そして鹿島茂という著名文筆家の店らしく内田樹とか四方田犬彦とか大澤真幸とか俵万智とか柴田元幸なんていうひとたちの棚がけっこうあるんだ。しかしそういうひとらの棚には基本自著が並んでるのでそんなに面白いわけでもない(あ、これ読んでなかった、そのうち読まなきゃって発見は二、三あったけど)。

店内ぐるっと回ってみると、それらのほか有名無名の個人のらしい棚、古書店、新刊書店、小さな出版社、小さくもない出版社なんかの棚がたくさんあって、これがなかなか見飽きないんだ。

でもさ。小一時間ずうーっと本の背を眺めてるうちに結局それがどこのどなたの「棚」かなんてことは別にどーだってよくなってきた。何度か通ってみれば、ヒイキの「棚」が出来たりなんかしてまたちがうんでしょうけど、初めて入ったおれとしたら「ヘンテコリンな品揃えの本屋」が1軒増えたなってのが単純にうれしい。こりゃ神保町へ出たとき寄るところが増えたぞって。

で、ある棚でふと目に止まった文庫が一冊。『ライカでグッドバイ』。あー懐かしいねえ。青木冨貴子が沢田教一を描いたノンフクション。読んだのは学生のときだったかしらん。当時ずいぶん話題にもなり売れもした本だった。だけどずいぶん唐突に『ライカでグッドバイ』だけど、なんで? 

そう思いながら見ればその棚、ほかに並んでるのが太宰治の文庫本の古本とか、映画が面白かった津軽三味線弾く女子高生が主役の『いとみち』の原作だとか、寺山修司の本だとか。

おーなるほどそうか。沢田教一も青森のひとだった。そうか、そういう本を並べてる本屋さんか。そういや三内丸山遺跡の本や『今すぐ話せる津軽弁』なんてブックレットもある。あははは。

面白いから、この棚から初めて覗いた記念になんか1冊買って帰ろう。↓




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早世してしまったけれど、彼女も沢田教一と同郷なり。
ちょっと高いような気もする古本300円。不思議なくらいの美本ながら、中身は「毒」満載の1冊。

だけど、こういう毒を「表向き」だけ拒絶することで、かえってきょうびヨノナカ全体に陰々滅々、悪臭紛々の毒が回ってしまったような気がする。いまならだれを彫りなにを書けるかナンシー関。




ところで話は変わりますけどこの本屋の店長は鹿島茂の子息なんだそうだ。

ずいぶん前、鹿島茂のたしか『子供より古書が大事と思いたい』ってエッセイ集のなかだったか、パリの古書店で著者が大量の古書(百科事典の揃いかなんか)を買い込んでクルマに積んだら幼い息子を座らせるスペースがなくなって、仕方なく本のすき間に息子を詰め込んだって話が出てきて爆笑してしまったことがあったのを思い出した。

ひょっとして、あの息子さんですか?











# by god-zi-lla | 2023-11-18 12:13 | 本はココロのゴハンかも | Comments(0)