神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

やっぱなあ。(Eric Dolphy / 'OUT TO LUNCH!')

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気温はそれなりに高いけど湿度が少し下がってきて、なんとなく秋めいてきた今日このごろではござるなあご同輩。

きのうは馬の背を分けるような夕立が降ったりもして、これはほんとに秋になっちゃうのでしょうかしらね。

1年も前に「予約」してたレコードがきのう外つ国から届きまして。
いやーそれがまたね。ついせんだってべつの店でちょっと高いレコード買ったとこなの。カードで。そしたらその直後「アンタが1年前に予約注文したレコードがようやく発売になって、これでアンタのカートに入ってた品物全部揃ったんで発送したかんね」なんてメールが来てさ。

あちゃーカード決済が同じ月になっちゃったじゃんか。
どうしてこーゆーことになるんざましょ。
もう今月カード使えないじゃんよ。

45rpmの復刻LPレコードなんて、ふだんはぜーんぜん興味ないし1枚も持ってなかったんだけどさ。「MUSIC MATTERS」って会社のBLUE NOTE復刻シリーズはジャケットがゲートフォールドになって、その見開きにフランシス・ウルフがレコーディングセッションのときに撮った未発表の写真を載せるってんだもんな。

でもさ。おれそもそもブルーノートのレコードそんなに好きでもなんでもなくてさ。だからまあそれだけでしたら「ほおー、その見開きは見るだけ見してもらいたいもんですなあ」くらいな。それでおしまいだったんですけどね普通なら。

そしたらなんとあなた。シリーズ全体のリリース予定に〈'OUT TO LUNCH!'〉が入ってるじゃあございませんか。こうなると俄然ハナシは違ってきます。
これはちょっと欲しいぞ。とくにジャケット中心に欲しい。中心にったってムリでしょうけど。

てなわけで予約したのが思い起こさば去年の夏。

ただね、発売予定リスト見てみると、これはどう考えてもドルフィー盤のリリースは当分先だわなあ。もしかすると1年くらいは待たされますかしらねなんて感じだったもんで、とりあえずウルフの写真てのがどんなもんか見てみたいつう気分もあって、いちおう少し早く出そうなのをまず3枚ほど注文してみたのでした。ハンク・モブレーとケニー・ドリューとルー・ドナルドソンの3枚。

半年くらい前にそれが着いてさっそくジャケットの見開きを見ると、なるほどねえ。

デザインに「芸」というものがぜーんぜんなくて(満足なキャプションもない)、もうブルーノートのジャケットってのをおまいさんはどー考えてるんだ一体全体と一言二言申し上げたくなるような無芸大食ゲートフォールド。リード・マイルスに見開き部のデザインも頼めとまでは申し上げませんが、こりゃあしかしあんまりといえばあんまりな仕打ち。

ブルーノートがたいして好きでもないおれをして、ブルーノートつうレーベルの価値のありようをわかってない相当神経太い連中の仕業だよなあなんて思わせてくれる、これはシロモノなんでした。たしかに写真はオリジナルのネガから印刷したつうことで鮮明なんだけどね。

それでもまあ、これはやっぱドルフィーもツバつけとかないとなとは思ったものの、なんとなく聴く気が失せてそのまんま棚に刺しちゃった。

で、その〈'OUT TO LUNCH!'〉が写真上で立ってるやつすね。
たしかに見たことないセーター姿のドルフィーの写真。ボビー・ハッチャーソンの写真はどっかで見たような気もするけどまあいいや。モンダイはドルフィーすから。

それでゲートフォールドジャケットには45回転だから2枚の盤が入ってんですね当然。

いままでもう何枚もこのテの「高音質」復刻盤を、しかもオリジナル盤と比較しいしい聴かせてもらったりしてきてるんですが、まあ大概の場合オリジナル盤のが音がいいわけです。雑誌やなんかで「オリジナル盤より音いい」と書かれてるものでも、聴いてみるとオリジナル盤のがおれにはいい音にきこえるのね。

で、こんだのこのシリーズについてもさる雑誌じゃあもう背中が痒くなるくらいの大絶賛ですな。

それによればヴァン・ゲルダーはマスタリングにさいして当時の世間一般の安モンの再生装置に合わせる処理をしたんだと。オリジナル盤はそーゆー音がするんだと。だからそういう加工をやめた今回の盤のほうが人為的な加工で情報を削いだオリジナル盤より音がいいんだと。そういうふうに読める記事なんだけどね。

まあ、ウチにゃ〈'OUT TO LUNCH!'〉のオリジナル盤なんてないからさ。だからその記事に書いてあることについて、おれの耳で確かめてみることはできません。ウチにあるのは1970年の、つまりオリジナルから6年後の再発米盤す。だからそいつと聴きくらべてみたんだけどね。

あ、それにウチにあるのは安価な再生装置ですから、もしかすると元々ブルーノートのオリジナル盤がよくきこえる装置なのかもしれないんだけどね。たしかめたことありません。ウチにあるブルーノートのオリジナル盤ちゃあ、LA時代になってからの作品だけだからさ。ここいらへんはおれでも買えるんです。

えー、まだるっこしいから途中省略するとこの45回転盤の音のがヴァン・ゲルダー・スタジオで鳴ってた音にマジで近いんだったら、録音当日トニー・ウィリアムスのドラムセットのシンバルの表面に、何者かが薄いビニールシートのようなものをコーティングしてロクな音がしないよーに細工したんだなきっと。

それに気づいたヴァン・ゲルダーは、この名演をもう1回ドルフィーはじめ同じメンバーに再演しろと言ったって詮無いので、マスタリングの段階でビニールシートを剥がす秘密の「加工」を施したんだなきっと。

そんなわけないけど、そういうふうにきこえる。

オリジナル盤とくらべたわけじゃないし、その記事が書かれたときにはまだ〈'OUT TO LUNCH!'〉の45rpmはリリースされてなかったでしょうから、もしかしたらこのドルフィーの名盤だけが例外なのかもしれないんだけども、おれはこの先の人生どっちを聴いて過ごすかってったら、そりゃもう迷うことなく70年再発盤だなあ。

いやーしかし、いわゆるLater pressの再発盤(いちおうVAN GELDER刻印入りだから本人マスタリングではある)でも、鳴り物入りで登場した(そりゃジャズだから鳴り物入りだけどさ)復刻盤よりよっぽどましな音出してんだから、こうなると〈'OUT TO LUNCH!'〉もやっぱりオリジナル盤を手に入れたいものではあるよなあ。高いだろうなあ。

高いだろうけど、安モンのオーディオをハイエンドにするよりかぜってー安いよなー。

それと、ほんとにこの程度のもんがマスターテープの音にいちばん近いのかどうか、こうなったらそのマスターテープを直接A/Dコンバートした24bit/96kHzの(24/48でもいいかな)ハイレゾ・データで聴いてみたいってもんでもあるじゃありませんか。

さる雑誌のその記事によればブルーノートのマスターテープは「最良のコンディション」で保存されてるっていうしさ。だったらいっそのことカッティングマシーンもスタンパーも通ってないヴァイナル成分抜きの音を聴いてみたいじゃんか。そう思わない?

それにしても「Something sweet, something tender」の、ドルフィーのバスクラとリチャード・デイヴィスのベースのユニゾンのところ。何度聴いてもしみじみといいよなあ。なんかこうドルフィーの音楽的教養の深さつうか、そういうものを感じるとこだよなあ。ああいうアレンジって、ほかのだれのどこにもないんじゃないですかね。

それは東芝EMI盤だって、じゅうぶんすぎるくらいわかります。
Commented by ひろかーちゃ at 2009-08-27 11:04 x
OUT TO LUNCH 45rpm 私も購入しようかなと思っていますが・・・
(ドルフィの写真は魅力ですが)
私としては、音質面でヴァン・ゲルダーのリマスターCDでも充分と思っています。
実は、我家の安物機器ではオリジナルよりもこのCDの方が解像度が高いように聴こえるからです。
このアルバム、5者が一体となった緊密なプレイで全曲とも素晴らしい出来ですが、特にA.ウイリアムスのドラミングには脱帽です。(ある面彼がリーダーと思わせるような)
言い古された表現ですが、ドルフィ音楽の一つの頂点でしょう。
Commented by god-zi-lla at 2009-08-27 12:07
この45rpmはコレクターズアイテムですね。音うんぬんよりも。

思うにトニー・ウィリアムスという人は自分よりも年長の凄腕(マイルスとか)とやったときにこそ真価を発揮するドラマーだったんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。

小生意気な若造に煽られて思わず「このやろー」とばかり気合いを入れてしまう大物リーダーという図式で。

だから晩年の若手とやった彼自身のリーダー作は、ほかのプレイヤーがトニーの凄さを受け止めきれなくて、どこかイマイチな感じがします。

「OUT TO LUNCH」のRVGリマスターCD、全然視野に入ってませんでした。
そうですよね。ここはポイントですよね。探してきます。
Commented by ひろかーちゃ at 2009-08-27 14:22 x
>思うにトニー・ウィリアムスという人は・・・・・
ウーン 言い得て妙ですね。
確かにA.ウイリアムスのドラムに激しく反応するドルフィのプレイは、(小生意気な若造に!)煽られているかのようにも思えますね。
Commented by ん。 at 2009-08-27 21:04 x
初めまして。検索でこちらのブログにたどり着きました。
>ヴァイナル成分抜きの音を聴いてみたいじゃんか
いずれ出ますよ。XRCDです。マスタリング・エンジニアは、45rpm盤のホフマン氏ではなく、最近ステレオサウンド誌で名前を見るアラン・ヨシダ氏のはずです。

Out To Lunchの45rpm盤は、Godzillaさんのおっしゃるシンバルもそうですが、フルートやバイブが、これまでのLPやCDとはずいぶん違ってきこえました。「ガッゼローニ」のフルートなんて、こんなきれいな音色だったんだってびっくり。

マスターテープがそうだといえばそうなのかもしれませんね。カッティングの時にコンプかけたり歪ませたりすると、迫力が出ますから。トニー・ウィリアムスの音は、マイルスのコロンビア盤だと、ブルーノート盤とはずいぶん違って聞こえますし、たしかに45rpmの方が近いようにも思います。

ヴァン・ゲルダー御大は、今やリマスターCDにオリジナル盤以上のきっつーいデジタルコンプかけてますよね(本人がやってるのか、シックラーがやってるのかは知りませんが(笑))
Commented by god-zi-lla at 2009-08-28 10:55
はじめまして ん。さん。

なるほどXRCDですか。

できればもうメディアの上に焼いたモノの比較じゃなくて、データそのものを聴いてみたいと思うんですが。

もし「板」にするんでしたら、いまさらムリに決まってますがDVDオーディオでリリースしてくれるとうれしいんですけども。

それだったらむしろ、24/96のデータそのもののほうが望みがあるかな。
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by god-zi-lla | 2009-08-25 19:34 | 常用レコード絵日記 | Comments(5)