神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

歌舞伎座で野田版鼠小僧

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なんつうかレコードもCDもオーディオもバゲットもなんもかんも放っぽりだして物見遊山な日々になってますけどもね。いやまったく楽しい年の瀬でございます。まあさすがにこれだけあっちこっち覗いてますとお陰様で懐具合的にはかなりキビシイ年の瀬とは相成りました。

でもこれが今年最後の芝居見物かな。

もしかするとこの古い歌舞伎座もこれっきりになるかもしれないからと、師走の大歌舞伎の賑わいを記念撮影しといたのでした。

歌舞伎座さよなら公演 十二月大歌舞伎(夜の部)の演し物はといいますと。

双蝶々曲輪日記 引窓
御名残押絵交張 雪傾城
野田秀樹 作・演出 野田版鼠小僧

いやー見たかったんだよねー野田版鼠小僧。でもチケット取れないから諦めてたら突然取れてさ。旅行会社かなんかのキャンセルでもあったんでしょうかね。いやなんだっていいんです取れたんだから。ちょっとおれたちにとっちゃ高い席でしたけど奮発して奥さんと見物してきました。

いやあ野田秀樹だねえ。疾走爆走ジェットコースターすね。このスピード感たらもうなんていえばいいんでしょうか。とにかく面白いったらありゃしません。再演してくれてありがとう松竹。やってくんなかったらチクショーだったぜ。いやほんと。

土壇場の逆転劇というか押し詰まって見たこれが、ことし一番面白い舞台だった気がする。

しかしまあなんだな。さんざっぱら笑わせたり面白がらせたりしといて、結末は意外と重たいというか哀れ勘三郎扮するところの鼠小僧になりすました棺桶屋の三太は師走二十四日千両箱枕に屋根の上で息絶えるのでした。

この、なんだかずずんとくる悲しい結末になったりするとこが野田秀樹なのでしょうが、しかし24日の夜棺桶屋の三太はサンタであったりするところも野田秀樹。

野田MAPの「パイパー」は運良くチケット取れて見ることができたけど、そのあとの「ザ・ダイバー」は取れませんでした。でも年の瀬に鼠小僧見られてホントよかったぜ。

つうように歌舞伎ファンじゃなくって芝居ずきの感想なわけですけども、そりゃあやっぱり勘三郎あっての舞台なんだろうなあとシロートが見てもそう思います。それに付け加えてもうひとついえば役者をはじめ歌舞伎にたずさわる人たちの基本的なスキルの高さってんでしょうか。そういうもんがやっぱ前提なんだろうなって気がして、だからやっぱりこれは歌舞伎なんだよなーって。

いやほんとに。

でもね「引窓」もよかった。歌舞伎初心者としてはこういう演し物をいろいろ見物してくうちに、だんだん楽しみ方がわかってくるんだろうなあっつうような、非常にわかりやすく涙腺を刺激してくれる芝居でね。実際おれなんてもうしっかりホロっとさしてもらいました。

ふたつの芝居の間にある「雪傾城」は中村芝翫とその孫6人による踊りで、さすがに初心者のおれなんかにはどう楽しんでいいのか、まだよくわかんない。おっきいのからちっちゃいのまで孫6人に囲まれておじいちゃんはさぞや楽しいのであろうなあとか、いやあほほえましいねえっていうのはあるんですけどね。

まだまだ修行が足りてません。
そりゃそうだ歌舞伎座まだ二回目だもん。

でも、いいもんだねえ歌舞伎。
開演前に柝の音が、ちょん、と聞こえたりするのがまた。

歌舞伎座の近所に30年近くも会社勤めしてたくせに、会社辞めて初めて歌舞伎見物しただなんてさ。すごい後悔。いやまったくもって情けない朴念仁とはあたくしのことでございます。
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by god-zi-lla | 2009-12-14 20:19 | 物見遊山十把一絡げ | Comments(0)