蟹工船の後はあまりに神保町な夜またはランチョンのカツサンド
2010年 03月 31日
つことで読んでた文庫本の陰からこっそり撮ったようになってしまいましたけど、まあ、あんまりガラでもないことはやめといたほうがいいよな。
神保町のランチョンなんて当然学生のころは入ったこともないわけで、あーゆーとこは立派なおじさんがコロッケなど食いながらビール飲むとこであって学生のブンザイで行くなんてトンでもないと信じてましたし、そんなお金ももちろんなかった。
コロッケなんてものを食うんだったらそりゃあキッチンジローかカロリーか当時できたばっかしのバンビか中央大学学生食堂か明治大学師弟食堂か、まあそういうとこだったわけだ。
ずいぶんと昔、吉田健一だったか久保田二郎だったか池波正太郎だったか逢坂剛だったかだれだったか、ようするにまったく思い出せないんですけども、まだ日が暮れるには少し間のあるころ、神保町の書店で買い求めた本を持ってランチョンに入りビールにオムレツだのカニコロッケだのを注文し、ビールをちびちびとやりつつ買ったばかりの本を取り出しながら横目で道行く人を眺めたりするという随筆がありまして、まあおれもそういう年頃になったらそんな嫌味なことのひとつもやってみたいもんだなあなんてね。
勤め人になってからはランチョンに入れるくらいのお金は稼げるようになったわけですが、まだ明るい時分に外を眺めながらビール舐めつつなんか食うチャンスってのが、これがなかなか意外とあるようでないんです。
しかしまあ年頃的にはそういうことも許されそうな頃合いになりましたし、人品骨柄についても最近とみに嫌味さを増してまいりましたおれなものですから、あとはそのチャンスを待つのみといいますか。
きのうは池袋の東京ゲージツ劇場中ホールで東京芸術座(ゲージツ劇場とのカンケイについては不詳)創立50周年記念公演の蟹工船を昼間2時から見物。30年来通ってる酒場のママがこの劇団の人で(年齢は推して知るべし)、せんだって店を久しぶりに覗いたおり「いま池袋で蟹工船やってるんだけど来る?」と誘われたんで楽日のきのう行ってきたのでした。
いやー演し物がサヨクで劇団がサヨクだと、ほぼ満員の客席もサヨクだねえ。舞台の上はなんというか、こんなに伝統的な感じの芝居というのは歌舞伎だってなかなかないというような、逆にちょっと新鮮だったね。社会主義リアリズム指向というのが当然あるんだと思うんだけどさ。党派的には前衛でも芝居は保守的つかね。
ちょっとお腹いっぱいというようなとこもあったけど、見応えはじゅうぶんでした。
2階席両翼にいた女子高校生諸嬢はどんな感想だったんでしょうか。
でハネたのが4時40分。
だるまやレコード覗こうかとも思ったんだけど、ちょうど晩メシに飲む酒が切れそうだったもんだから東武メトロポリタン地下の酒売り場へついフラフラと。
いかんなー。これから神保町で7時から読書会だっつうのに気づけば手には一升瓶が2本。
これじゃあ御茶ノ水まで行ったってユニオンでエサ箱漁るわけにもまいりません。
どーすんの、これから2時間。
と。
アタマの上に白熱電球1個灯る。
まるで滝田ゆう先生だ。
そーだランチョン行こう。
まだ明るいし。
一人だし。
時は来たれり。
つうわけで丸ノ内線御茶ノ水駅からてくてくてくてく靖国通り神保町交差点近くのランチョンで黒ビールにカツサンド。ちょっと隣の団塊おじさん二人連れが早い時間なのに完全に出来上がっててうるさかったけども、カツサンド齧りつつビール舐めれば靖国通りはまさに薄暮ならむ。
ランチョンも、オトナになってみればふつうのビヤホールなんだけどさ。
そういや、かつての有楽町レバンテだってそんなふうだったかな。
でも、いいねえ。
またやろっと。
それにしても巨大なカツサンドだ。
読書会の会場は交差点渡って「さぼうる」。
ランチョンからさぼうるへハシゴ。
なんて神保町な夜なんだ。
by god-zi-lla
| 2010-03-31 13:48
| 食いモンは恥ずかしいぞ
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