神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

たまらんなあ、2週連続ライヴ中継かよ(Coltrane with Dolphy / THE COMPLETE 1962 BIRDLAND BROADCASTS)

たまらんなあ、2週連続ライヴ中継かよ(Coltrane with Dolphy / THE COMPLETE 1962 BIRDLAND BROADCASTS)_d0027243_954379.jpg
ウチの近所にうなぎ屋があってさ。朝の10時少し前くらいからウナギ弁当をこさえるようで蒲焼きを焼くあのなんともいえない香ばしいにおいがしてくるんだよな。でも近所ったってそのうなぎ屋とウチとの間ってば直線距離でも100メートル以上。しかもマンションがその間に2棟も3棟もあるんだからケムリはどこをどう通って来るんだか知りませんけど、たいしたもんです。

これだからウナギは精がつくって昔っからいうんでしょうかしらね。
オオカミのウンチを燃やしてノロシを上げるのとおんなじっすか。

図らずもビローな話になってしまった。すまぬ。

62年2月9日ニューヨーク、バードランドからのラジオ放送のたぶんこれはエアチェックだろうと思うんだけど「OZONE」つうレーベルから出てた、かなり有名なブートです。

それにしてもひでージャケットだぜ。ありモノの白ジャケにモノクロコピーで作った絵を貼っつけただけなんだろうけど、これってコルトレーンじゃなくっててんぷくトリオ時代の戸塚睦夫じゃないんですかもしかして。

しかもローマ字で「重要ラジオプログラム」とか書いてあんの。英語じゃなくてローマ字よローマ字。マジでローマ字。「JUYO RAJIO PUROGURAMU」ってさ。日本で売るために作ったのは間違いないんでしょうけど原産国ってどこなんだろ。おれ30年くらい前に御茶ノ水のユニオンのジャズ館がいまの場所じゃなくて駅前のNARUのとなりあたりの、いまは楽器屋が入ってるビルにあったころそこで買って、ウチに帰ってジャケットにこの文字発見して大爆笑したのをいまでも覚えてるもん。

もしかしてレーベル名の「OZONE」て、いまのいままでオゾンだと思ってましたが「小曽根」?

そーかオゾネだったのか。
さいきんはクラシックにも進出?

違うってば。

そんなことじゃなくてだな。
写ってるCDのほうはさいきんになって出たその同じバードランドのエアチェックなんだけどLP収録の2月9日ぶん、曲目でいうとMr.PC、Miles' Mode、My Favorite Thingsの既出3曲は過去にCHARLY/AFFINITYとかでCD化もされてんですが、それに加えて2月16日放送の演奏ってのがこいつに収録されてんだよ。

曲はThe Inchworm、Mr. PC、My Favorite Thingsの3つ。少なくともおれは初めて聴く演奏なんですけどCDの解説にも「previously unissued」ってクレジットされてるからたぶん未発表だったんだろうな。ちなみにおれが見てるディスコグラフィだとこの3曲、曲名も特定されてprivate tapeとなってるとこみるとエアチェックテープの存在そのものは古くから知られてたってことでしょうね。

いやーしかし、おれはコルトレーンやドルフィーのレコードCD片っ端から蒐集するよーなコレクターじゃないけどさ。それでもまあファンですから発掘ものとか未発表とかいわれると、そりゃあ気にはなるんですよ。でもね、さいきんはなるべく気がつかなかったことにして静かな日々を送ってるんですけどね実際。

でも、たまーにこうやって買ってみると、あー買っといてよかったなあ、これはやっぱいい演奏だよなあーってのにブチ当たっちゃうことがあるから困っちゃいます。

とくにドルフィーのファンとしたらこのMy Favorite Things。
The Inchwormもコルトレーンのレパートリーのなかじゃ残された録音の数それほど多いほうじゃない感じだから貴重でしょうし、コルトレーンとしちゃわりかしユーモラスで明るい曲でもあるからうれしいのはうれしいんですけどね。でもここはやっぱMy Favorite Thingsだわ。

13分17秒と表示されてますからまあこの曲の演奏時間としたら短いほうですけども、ここのドルフィーのフルートがまたいいんだよねえ。振幅が大きいというのか、ものすごく攻撃的なとこから優しく叙情的なとこまで、抽象的な音のカタマリからストレートなテーマ演奏まで、いつものとおりモードもヘッタクレもなくてマッコイ・タイナーの困った顔が見えそうなドルフィーですけど、やっぱすごい。

いやースルーせずに買ってよかったぜ。
どーゆー事情でいまのいままでリリースされなかったのか、それがどーゆー事情でいまになって出てきたのかなんて野暮な詮索はいたしません(ちょっとはしたいけど野次馬的に)。
しかしよく出してくれました。

それにしてもと、思うわけです。

1962年2月9日と、その翌週16日。
ニューヨークの人たちはコルトレーンとドルフィーふたりがフロントにいる信じられないようなこのバンドのライヴ演奏を、2週続けてラジオで聴いてたんですぜ兄貴。考えてみるとこりゃあスゴいことだよねえ。いや、ぜんぜん考えなくたって、こいつはスゴいことだよなあ。

ちなみに音質のほうはいかにもラジオっぽいモコモコっとした、まあオーディオマニア向けの音じゃありませんけど私家盤とかブートとしたら悪かないよ。既出分と未発表分の差もとくに感じないしね。LPとCDだとCDのほうがややシャープ、かな。少なくともLPのほうが音がいいってことは、こいつについてはないね。

こうなるとこのチンケなブートLPも用済みかな。
眺めて楽しいようなジャケットじゃないしなー。

だいたいこのコルトレーンの背景のうにょうにょはなんなんだよいったい。
Commented by ひろかーちゃ at 2010-06-21 14:16 x
有名なバードランド・セッションですが、この海賊盤OZONEはシモスコ/テッパーマンの評伝によれば発売元は明確に日本と断定していますね。

昔、ヴィレッジ・バンガードのリリースされた2枚のImp盤に失望していた私ですが、このLPにはビックリしました。(貧弱なジャケットと音にもかかわらず) そこにはコルトレーンとドルフィの壮絶なバトルが繰り広げられていたからです。特に”Mr.PC”でコルトレーンのソロに対しドルフィはそれを遮るかのように(まさに「殴り込みをかける」ような)ソロを掃射する。
音の悪さにもかかわらずそのパワーに圧倒されました。

16日の方は、数年前ある方よりカセットでいただきましたが、元の録音が不完全で、これではどの海賊盤業者でも市販されないだろうなと思っていましたが、やはりリリースされたのですね。
Commented by god-zi-lla at 2010-06-21 14:30
2月9日のMr.PCの、あの無理やり割って入るドルフィーはちょっとスゴいですね。16日のMr.PCのほうはずいぶん穏やかです。

このGAMBITレーベルのCDに収録された16日分の音質は、とくに悪いという感じではないですね。OZONEと同じソースをマスターにしてるような感じです。

しかし、16日のMy Favorite Thingsのドルフィーのソロにはノックアウトされました。すごい!
Commented by ひろかーちゃ at 2010-06-22 07:30 x
ところで、GAMBITレーベルのCDですが、
コルトレーン及びタイナーのソロが途中で切れていませんか? 
また、ドルフィのソロが中途から収録されていませんか?
Commented by god-zi-lla at 2010-06-22 19:25
ご指摘どおりコルトレーンの最初のソロからタイナーのソロに移るところで不自然にフェードアウトし、そのタイナーのソロも中途半端なところで中途半端に音量が下がってそこにドルフィーのフルートソロが、これまた中途半端にかぶってきます。

放送用にハサミを入れてソロを短くしたのか、あるいは現存するテープの劣化部分を取り除いて切り貼りしたのか。

そのあたりの真相をひろかーちゃさんはご存知なんですか?
Commented by ひろかーちゃ at 2010-06-23 10:06 x
いや、もしやGAMBITのCDでは16日完全収録されているのではないかと内心期待していたのですがね。
それでは私の所有する音源と同じで残念。

そのあたりの真相といっても分かりかねますが、出所は多分OZONEと同じボリス・ローズ・コレクションからでラジオ放送のエアチェックでしょう。
9日(実際は9日の深夜から10日)と16日の二つのエアチェック・テープがあり、16日の方は不完全収録だったためリリースをあきらめ、9日の方をOZONEレーベルからリリースしたというところでしょう。
名前
URL
削除用パスワード
by god-zi-lla | 2010-06-19 09:54 | 常用レコード絵日記 | Comments(5)