神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

B本にしてト本(びーぼんにしてとぼん)

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とうとう南足柄市のお茶っ葉からも放射能出た2011年の、5月の11日という今日この日はおれにだけ非常に感慨深い日ではあってね。
あーなるほど来てしまうとこの日はこんな日なんだってことを、しかもこんな気分で迎えたんだってことを、あんときのおれは当たり前かもしれないけどぜんぜん想像できてなかった。

1979年の、4月1日におれが勤め人になった最初の日。
これからずっとこの会社に勤めてたとして、そのおれがこの会社を定年退職する日ってのは2011年の5月11日なんだなあ。2011年てば21世紀になってからけっこうたってるもんなあ。卒業式の前に2001年宇宙の旅を日比谷で見たばっかだけど、なんかずいぶん遠い先のことだよなあなんてことを夕方ぼおーっと入社式を終えて明日からの研修の説明かなんかを受けてるときに、このぐーたら社員候補生は考えてたのだった。

そのときの会社のキマリでは定年という強制的に会社を追い出される日は55歳の誕生日の前日ってことになってて、それをきいてそんなふうなことをバクゼンと、しかしけっこうハッキリと考えて32年たったいまでも覚えてるわけだ。

あの日あんなことを考えたおれが、その日になってそれをこんなふうなおれになって思い出すなんて思いもしなかった。ただそれだけの日だから、だれともなんの関係もありません。まさか放射能が降り注ぐ日々とは思ってもみなかったけど。

おとつい田町のあゆみブックスを覗いたらこんなものがあって6千なん百円だかの定価がついてるのに売値が1995円だった。

しかしこうやって写真に撮ってみると、一瞬これは重ねたレコードに見えるな。
写真て、なんだかこんなふうにして人間のアタマんなかにそれらしいウソの像を作ってしまうところが面白かったりする。
実物は一瞬だって重ねたレコードになんか見えないのにさ。不思議。

でまあ定価の7割引き近いし、中身はというとこんな感じでレコードだらけだし↓↓↓。
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この見開き全部クインシー・ジョーンズのレコードで、おれ1枚も持ってないの。

あちゃーこの右のネコのやつなんか最高いいじゃんか。初めて見た。
もしかしてクインシーのレコード中ベストのデザインじゃないかな。
こういうのってもしかすると中身はベストアルバムだったりするかもしんないけど、
これは欲しいなあ。左のページのも右下のも欲しいぞ。

なんてふうにパラパラと見てたら24センチ×24センチの大判だし厚さも4センチ以上あるし、オールカラーだし造本も凝ってるし、なにより最初っから最後までレコードジャケットしか載ってないんだもん。それで7割引きだもん。

かわいそうで、かわいそうで、
買わずに帰れませんでした。

いわゆるB本(びーぼん。バーゲンブックってことだったかな)つう再販除外品だと思うんだけど普通わりと古くなった在庫過多本をそういうふうに売るんでしょうけど(御茶ノ水の丸善がよく店先のワゴンでやってる)、この本て奥付みると2009年に出たばっかなんだよな。んー意外と新しい。マニアックな本なのに作りすぎたのか。

でまあ重たい思いして持って帰って眺めてたんだけどね。
いやあもしかして安売りしてる理由ってこれってことあるかもしれないという事実に突き当たりまして(ってほどでもないけどさ)。

キャプションとかの文字部分が間違いだらけだ。
原書は外国のらしいので多分間違いのほとんどは原典の記述が間違いなんだと思うけど、それにしても訳者がジャズに少し詳しいか、あるいは日本語版の編集者がジャズに詳しいか、そうでなかったらジャズに詳しい監訳者がいれば直せたに違いない大量の初歩的な間違い。

B本だと思って買ったら「ト本」(トンデモ本)だったかな。

これはジャズに詳しくないひとが買うと、ちょっとヤバいかもね。
読んでそのまま鵜呑みにされちゃうとマズいくらいの数ありますから。

いやおれもね、自分があんまり知らないミュージシャンのレコードについて書いてあるとこなんかだと、んーこれもしかして間違ってるかもしんないけどわかんないからあぶねーなあ、ってとこがいくつもあります。

だけどまあ間違い多しってわかってりゃ、そのつもりでパラパラやっておればよろしいわけで、そういうひとには結構オススメの1冊ではありますまいか。ぎゃくに笑えるし。なにしろレコードジャケット満載ですから。それだけでワクワクしますし。好事家必携の一書、つか。

それとオリジナル盤とかにセレクトを絞らないでデザイン重視なところも好感が持てる。
だからよけいに眺めてるとけっこう楽しいってのがあるんだろうな。

そこいらへんに転がしといて寝っ転がってパラパラするのに絶好です。
持つと重たいからその姿勢がいちばん。

というわけで、
悪くない買い物でした。

(ちなみにレコジャケ本では最高の1冊だと今でも思ってるのは、「デザインの現場1992年7月号増刊 12インチのギャラリー〜LP時代を装ったレコード・ジャケットたち 沼辺信一・編著」です)
Commented by wati at 2011-05-12 07:25 x
おや、5/11だと妻と同じ日です!
Commented by god-zi-lla at 2011-05-13 10:14
いや、誕生日自体は12日なんです。
その会社の当時の規定では満55歳の誕生日の前日で定年だったので。

でも、奥様もそうだと思いますが5月のそのあたりの誕生日って、母の日といっしょになっちゃうことがけっこうあって、まあ良かったり良くなかったりなんですけど(笑)
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by god-zi-lla | 2011-05-11 20:45 | 本はココロのゴハンかも | Comments(2)