きいちのぬりえ(山下洋輔トリオ+5/砂山)
2012年 03月 25日
いい天気の3月25日だってのに、なんとなく寒い。
近所の児童公園の染井吉野はひとつも咲いてない。
関東南部で桜の満開が4月になるっていうのは、いったいいつ以来なんだろうな。
30数年前もちろん山下洋輔トリオはスターだったから、このアルバムが出たことはジャズ聴きはじめて何年もしない学生だったおれでもリアルタイムに知ってました。だけど当時はぜんぜん興味がなかった。もしかしたらこのジャケットのせいだったかもしれないし、べつの理由だったかもしれない。とにかくこのジャケットのことはよく覚えてるんだけど、買わなかったのだけは間違いないんだ。
それをせんだって渋谷のレコファンで、しかもミントコンディションなのを見つけて買った。
特別限定盤1800円とあるから、たぶん再発盤でしょう。
きいちのぬりえ、だ。
持って帰って居間に置いといたら奥さんが「なつかしいよねえ」と言った。
いまはなつかしいんだけど、昭和30年代のコドモだった奥さんやおれにとってはごくありふれた(ってことは絶大な人気があったってことの裏返しなんだろうけど)、女の子向けのぬりえといえばこれ以外に思いつかない、すみっこのほうに「きいち」って書いてあるから「きいちのぬりえ」です。むかしはそれが絵描きさんの名前だなんて知りもしなかった。
だから敬遠したんじゃないかなと思うんだ。
ベルボトムのジーンズを二度と見たくないのと同じだったりして。
いや、そりゃちょっと違うか(笑)
聴いてみると、やっぱり山下洋輔トリオはすごい。
とくに坂田明がすごいと思ったけど、そんなことはだれだって知ってるだろうからべつにおれが言わなくったっていいんですけど、あーこりゃしまったと思ったのはB面の「うさぎのダンス」なんだ。
ソソーラソラソラうさぎのダンスー、
タラッタラッタラッタラッタラッタラッタラー、
の、うさぎのダンスね。
いきなり杉本喜代志のギターが暴れまくるアレンジが(もちろん山下洋輔のアレンジ)、おしゃれなうえに凶暴でめちゃくちゃかっちょいい。最終的にはトリオの音楽としておさまるところにおさまってくとしても、これはすごくいいなあ。
こんなにかっちょいいギター入りのジャズやってたのか。
気づくのが30いや34年遅かった。まいったなあ。
んー。おれのばやいよくあることではあるんだけど、
いまごろになって気がついて30なん年損してた気がする。
あのときリー・リトナー1枚やめて、こっちにしとけばよかったんだよ(笑)
きいちのぬりえだからって、敬遠しなきゃよかった。
そういえばあの頃、エサ箱で見かけても引っぱり出しもしなかったんだろうな。
こんなふうに裏はホントの「ぬりえ」になってるなんて、レコファンの新着箱から引っぱり出してひっくり返すまで知らなかったもん。
by god-zi-lla
| 2012-03-25 09:00
| 常用レコード絵日記
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