フジヤマ・トビウオ・ゲイシャガール。ちがうちがう違うってば
2012年 04月 25日
こないだの日曜日なんて明治座で東京最後の桂三枝の落語聞いてから友だちと人形町界隈で飲もうと劇場の外に出たら小雨まじりで吐く息が白くなるんだもんなー。4月22日、黄金週間まであと1週間の日曜日がだぜ。
まあでもよかったよかった。
これでクリーニング屋さんにも書き入れ時が来るってもんだ。
でこの季節になると魚屋にはトビウオなんて魚がならぶようになるんだけどね。
目立つんだよこれがまた。なにせあのカタチですから。
ちょっとこう細長くて精悍で、なんかアスリートっぽいじゃないっすか。
見えにくいですけど、こんなに飛ぶんだ。
たんにジャンプするだけじゃなくってヒレを広げて滑空するんですね。
すげーなー。
でね。さすがアスリートつうか、ここまで飛ぶんだから当然といえば当然なんでしょうけどいわゆる青魚のくせにトビウオちゃんて体脂肪率が低い。ようするにニンゲンさま的にいえばそうなんだけど、おサカナ的にいえばあんまりアブラが乗ってないってことになっちゃうんだな。
まあすきずきもあるでしょうけど、刺身にしてナマで食うのはともかくあまりアブラの乗ってない魚を塩焼きにしたってジュージューいうわけじゃないしさ。煮付けにするんだってやっぱり脂の乗った魚を煮たほうがうまいとおれは思うんだよな。
いっけんサンマのぶっといような感じだからサンマをぶっとくしたよーな味だったらもうサイコーだと思うんですけどね。じゅうじゅういって焼けてたまに油がぼおぼお燃えたりするのを大根おろしと醤油かなんかで食べられるようなね。そういう魚だったらもう最高にアレなんだけどなあ。いやホント、そこがアレなんだ。
そのうえあの運動能力ですから身も引き締まってるしホネだってけっこうな太さに堅さなんだ。これがあなた、イワシみたいに細いホネに柔らかい身に薄い皮だっりしたら飛んで飛んで飛んで飛んで、着水したらもう自分で自分を手開きにしてお刺身にしたみたいな状態になっちゃうでしょうからまあ仕方ないんでしょうけどね。
で、そのアスリート魚をどうしたらおいしく楽しく旬の魚だよなあと思いながら酒のサカナじゃなく晩メシのおかずとしてやっつけられるかといろいろ考えてためしに空揚げにして南蛮漬けにしてみたら、いやこれがなかなかの思いつきであることがわかったのでした。
ようするに油で揚げることによって体脂肪率の低さを補ってやったらどうだと思ったのね。
そこへもってきてちょうど季節もいいから新タマネギを薄切りにしたのをいっしょに漬け込んでやると、新タマネギの自然な甘さも味わえてさ。こういう甘酸っぱいオカズが苦手じゃない人にはいいんじゃないかと思うんだよね。
魚の南蛮漬けっていうとふだんは豆アジでやるんだけどトビウオだったら魚屋に三枚におろしてもらったりしたら下拵えの手間もあんまりかかんないし豆アジよりかずっと魚の「肉」食ってる感じはあるし、なにより小魚をホネごと食うのに抵抗のあるみなさんにはとくにいいんじゃないでしょうかね。
しかも、もともと身が引き締まってるからしっかり食べ応え噛み応えがあるしね。
春らしい一品ではございますまいか。
by god-zi-lla
| 2012-04-25 14:04
| 食いモンは恥ずかしいぞ
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