神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

こういう映画でも見て少し元気出さないとな(人生の特等席)

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ちょうどブラッド・ピットのGMがマネーボールなかでクビにした古株のスカウト、あっち側にクリント・イーストウッドがいるっていう映画だ。

しかし顔じゅう粉が吹いたように皺だらけで足元はおぼつかず声もしゃがれて通らないこのじいさんぶりは一体演技なのか、いまのイーストウッド本人そのままなのかまるでわからない。

日本語版吹き替え版を作るんだったらイーストウッドの声はもう山田康雄じゃなくて大滝秀治のほうがぴったりだと思うくらいなんだけど、そういや二人とも亡くなってるのだった。

それはともかくとしてだね、天眼鏡がなきゃ新聞も読めない、ガレージからクルマ(古い古いマスタング!)出すだけであっちにブツけ、こっちコワししたあげく「ガレージが縮んだ!」って悪態ついたり、ハンバーグがフライパンの上で真っ黒けになって台所が煙もうもうなのもよくわからないくらい目もしょぼしょぼな辛気くさい独居老人の名スカウトが主役の映画が、辛気くさいだけに終わらないだけじゃなく痛快でお伽ばなしのようなアメリカ野球映画になってんだよ。

そりゃまあこの映画のテーマは監督自身がそう言ってるんだから父と娘の人生と親子の情愛なんでしょうけど、それはそれとしてだね。おれはこれを素晴らしきアメリカ野球の映画として見てしまったのだった。

とはいってもあれです。
ブラッド・ピットのマネーボールは正直なとこプロ野球に興味がないとあんまり面白くないだろうなと思うとこもけっこうあったんだけど、この映画はそんなことないんじゃないかと思いましたね。ここに出てくる野球はただ投げて打って走るだけのシンプルさだし、役者はみんないい味だしてるしさ。

役者といえばクリント・イーストウッドはもちろんいいんだけど、チームのスカウト部長(かな)のピートをやってるジョン・グッドマンという役者さんがよかったねえ。クリント・イーストウッドの古い親友で娘のことも小さいころからよく知ってて二人のことが気にかかって気にかかって仕方ない、なんちゅうかもう全身から「いいヒト」って感じがにじみ出てんです。

わたくし的には今年あと何本映画見られるかわかんないけど、本年の助演男優賞のようなものを勝手に差し上げたいくらいなもんだ。

だけどこのジョン・グッドマンさん。さいきんどっかで見た気がするよなーと思い出してみたら先月見たアルゴ(これも面白かったが、いろいろ考えさせられる)で、ハリウッドの特殊メイクの技術屋さんでCIAの救出作戦に協力する役で出てたんだった。なーるほどなあ。そういえばあの役もなかなか味わい深いとこがあったもんねえ。
Commented by 宗助 at 2012-12-15 22:15 x
今年は随分映画をよくご覧になりましたね
いや、少し気分を変えて、今年の映画納めにこれは絶対おすすめですと、ご連絡しようかと思っていたところでした、ご覧になっていて良かった

良い映画でしたね、マネーボールのGMとは正反対のスカウトのお話だけど、これほどアメリカ映画らしいアメリカ映画もないというくらい、そこまでやるかというくらい「ハリウッド・エンディング」ではありますが、ここまできっちり決めてくれたら嬉しいですね
グラントリノが最後の挨拶かと思ったらイーストウッドはまだまだ元気ですね、やはりイーストウッドの出演するイーストウッド映画とウディーアレンの出ないウディーアレン映画は素晴らしい
然しこの日本語タイトルは何とかもう少し工夫が無いもんですかね
Commented by god-zi-lla at 2012-12-16 07:53
宗助さん まったく同感です! まさにハリウッド映画はこうでなくっちゃっていう「じゃ、おれはバスで帰るとするか」ですもんね。

あのラストシーンで、アメリカのガキんちょのステレオタイプみたいな白人の野球少年をヒスパニックと思しき木訥な少年が最後にきりきり舞いさせてヒーローになるってところが痛快なうえに、いかにもイーストウッドらしい立ち位置って感じもします。

原題のTROUBLE WITH THE CURVEじゃたしかにピンとはきませんが、それにしても「人生の特等席」は情けないというか、あまりにご教訓ぽい邦題に腰が引ける人だって絶対いるでしょうね。

そういう方々には是非あの邦題にダマされずに劇場へお運び下さいと申し上げたい(笑)

いっそ一言「カーブ!」って思い切っちゃうくらいのほうが良かったんじゃないですかね。

決め球はカーブでしたから。
(つづく)
Commented by god-zi-lla at 2012-12-16 07:54
(つづき)
宗助さん。

しかし、

> イーストウッドの出演するイーストウッド映画とウディーアレンの出ないウディーアレン映画

わはははは。確かに。

じつは先日「映画と恋とウディ・アレン」なんてドキュメンタリーも見てしまったのでした。

ダイアン・キートンが颯爽としてじつにキュートなオバチャンで、ウディ・アレンに一目惚れして「この人を絶対落としてやるって思った」ってアッケラカンとインタビューに答えて喋るとこが最高!

だけどミア・ファーローとのドロドロについてはほとんど素通りで本人のインタビューもない、ちょっと物足りないドキュメンタリーではありました。
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by god-zi-lla | 2012-12-15 19:39 | 物見遊山十把一絡げ | Comments(3)