神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

恐るべき子どもたちは白髪二人に禿二人(KONITZ/FRISELL/PEACOCK/BARON - ENFANTS TERRIBLES)

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本好きになかなかの評判っつう代官山の蔦屋書店におとついの晩初めて行ってみた。

とってもオサレで落ち着いたしつらえだし、たしかにああいうふうにいまどきの都内の地価の高そうなエリアには珍しい低層の建物が三つ(なのかな?)に別れて建っていて、そのそれぞれの1階部分に店舗が分散して広がってるとこなんか新鮮ですごく面白い。

だけどなんていうのかなあ、本好きってのもいろいろなんですというかね。近所まで行くついでがあればきっと覗いてみると思うんだけど、わざわざ行くんだったらおれは神保町の東京堂とかだな。

ただ、おれ代官山へ行く用事ってのがない。

それからおれ、あれがダメなんだよ。蔦屋って本や雑誌に自社の管理用バーコードのシールをペタっと貼ってあるでしょ。あれが非常に苦手なの。簡単に剥がせるんだからオッケーってもんじゃないんだ。

ビル・フリゼールとリー・コニッツがいっしょにやってるCDが出てるというから、へぇーっと思って買ってみたんだけど正直に申し上げますとリー・コニッツのことはよく知らないんです。もうソニー・ロリンズ級に80歳をだいぶ超えてけっこうなトシだと思うのにまだ現役でやってんのかあっていう興味と、フリゼールとコニッツにゲイリー・ピーコックまで付き合ってるっていうんだからさ。

これでドラムスがポール・モーティアンならなおさら面白いじゃんかと一瞬思ったけど、残念ながら一昨年だかに亡くなってるからね。たぶんモーティアンとコニッツならほぼ同年配だったんだろうな。

(と、ここまで書いといて調べたらコニッツが一番年上で27年生まれ。ロリンズは30年。モーティアンは31年だった)

でドラムスは天国のモーティアンに代わってジョーイ・バロンなのだった。
しかしこのバロンがかなりな存在感でね。

フリゼールの入ったバンドが昔ながらのジャズコンボだなんてことを、いまどきはだれも思わないし期待もしないし本人もやらない。しかもゲイリー・ピーコック入りですから聴く前からそこいらへん念押されてるようなモンだしね。リー・コニッツ+リズムセクションなんてことがあるわけないの。

そもそもジョーイ・バロンのドラムスにリズムで下支え感というのがちっともない。曲によったらドラムスがイントロからひとりでテーマ提示してたりする(ようにおれにはきこえる)くらいで、この人はリズム刻んでんじゃなくてずっとドラムスでメロディー奏でてる感じなんだな。

そんなだからリー・コニッツがスポットライト浴びながらバンドスタンドのまん中に出てきて朗々とソロを取るなんてこともぜんぜんなくてさ。なんかいつのまにか吹いてて気がついたら吹いてなかったりみたいに、まあコニッツにかぎらず4人がつねに出たり入ったりしてる印象でね。4人でやってると思ったらいつのまにかドラムスとベースだけになってたりして、それがまたどっちかがソロ取ってんじゃなくてふつうにデュオになってるとかさ。

ビル・フリゼールって人はバシっとしたアタックを意図的に避けて独特のべしゃっとしたサウンドを出す人だと思うんだけど、このアルバムを聴いてるとリー・コニッツもそういう音を出してるふうにきこえる。

そういう共通の要素があるからバンド組んでやってるとも思えるんだけど、もしかしたらコニッツはもう年齢的にそういう鋭いアタックの音を出せなくなってるだけなのかもしれないと言えないこともなさそうだしさ。

だけどそれがわかんないんだ。なにせリー・コニッツのアルバムを棚から探してみたらレコードが3枚、CDはたった1枚あるだけなんだもん。しかもどう考えたって最低ここ20年は取り出して聴いた覚えがないんだからさ。

まあそんなこともあるので、どうせレコードCD合わせたって4枚っきゃないしこの際だからとあらためて全部聴いてやりました。お品書きはヴァーヴのVERY COOL(57年)とMOTION(61年)とソネットのOLEO(75年)という国内盤LP3枚とIN RIOって89年のCD。

で、なんかわかったのかっというと、なにもわかりません。

ヴェリー・クールは意外にも若々しくってハツラツとしたバップでモーションはエルヴィン・ジョーンズ入りのピアノレストリオで気合いのこもったアドリブ勝負がすごい。オレオはピアノ入りドラムレスの変則トリオ。リオってCDはブラジル風フュージョン。なんだかみんな違う。

ただ、いままでおれナニ聴いてたんかあーと例によって例のごとくな反省ではありますけどエルヴィンの入ったモーションというアルバムはいまのおれには聴きごたえがすごくあって、コニッツさんすみませんでした、これらは愛聴しますとお詫びしたいくらいなモンだった。とくにB面のYou'd Be So Nice To Come Home ToとI'll Remember Aprilのスタンダード2曲のエルヴィン・ジョーンズとの間に醸し出される緊迫感がちょっとこたえられん感じだなあ。

このへんのサックス+リズムセクションじゃない対等関係ってとこは同じなのかもしれない。

コニッツのサウンド的にいうとたんなるブラジル風フュージョンにしかきこえないイン・リオのアルトの雰囲気と似てるといえば似てる気がするけど、まあフュージョンだからこういうふうに吹いてるだけなのかもしれないし。

ちなみにモーションB面2曲は大スタンダード名曲ですけど、どっちもエンディングの寸前になってテーマの断片がチラっときこえるだけで全編アドリブの嵐なのに対して、こんどのCDでも同じI'll Remember Aprilをやっててこちらはちゃんと原曲のテーマがきこえてきます(とはいってもメロディを朗々と歌い上げるなんてことはないです)。

こりゃちょっと真剣にリー・コニッツ聴いてみるかな。
ガゼン興味がわいてきた。

この人ってもしかしていつも繰り返しおんなじようなことするのがキライだったり、他人とおんなじことするのがキライだったりするタイプのミュージシャンなんですかね。たまたま持ってるアルバムがそういうめぐりあわせになってるだけなんでしょうか。

まあそのへんも実際レコード買って聴いてみるのがいちばんだな。
つことで、レコード屋行ってきますかね。

ところでアルバムのラストにコニッツらしき声のMCが入ってるんだけど、メンバー紹介しようとして言い淀んだ挙げ句
「わしゃ、忘れちまったよ!」
って叫んでるようにきこえるんだけど(お客は爆笑してる)おれ英語苦手でよくわかんないの。しかし、85歳のじいさんだもんなあ。客の前でアルト吹いてるってだけで立派。メンバーの名前なんて忘れたってぜんぜんオッケーだよな。

(それにしてもジャケット写真のピーコックは殿山泰司だ)
Commented by inikun9 at 2013-02-10 08:33 x
74年にレッド・ミッチェルとのデュオでコール・ポーターの作品集がスティープルチェイスから出ておりまして、決して名演快演のたぐいではないんですがコニッツというと何故か真っ先にこのアルバムに手が伸びてしまいます。
ピーコック近影、確かに、、ですね、
Commented by god-zi-lla at 2013-02-10 09:30
inikun9さん。
んー、アルトとベースのデュオですか。

やっぱりリー・コニッツは他人と同じことするのが好きじゃないタイプのひとなんでしょうね。
これもレコード探してみることにします。


「I Concentrate On You」ですよね。
このジャケット、見覚えあるなあ。
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by god-zi-lla | 2013-02-08 11:57 | 常用レコード絵日記 | Comments(2)