神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

2年越しのバックオーダー(Piet Noordijk/Jubilee Concert)

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しかし明日(2013年3月16日)から東横・日比谷線直通使って通勤通学してた人たちは気分悪いよな。おれがいまでも学芸大・東銀座直通で通勤してたら東横の電車1両や2両ぶっ壊してたかも。

まあそんなわけですからピエト・ヌードワイク(このカタカナ読みでいいのか?)というアルト奏者を知ったのはサウンドがちょっとエリック・ドルフィーに似てるとごく一部で評判になったCDだった。じっさい聴いてみたらドルフィーに似てるといえば似てないこともないという程度だったんだけど、ミシャ・メンゲルベルクとハン・ベニンクつう大変なクセ者コンビをバックにとても魅力的なプレイを聴かせてくれるアルバムだから一発で気に入っちゃったんだよ。

で当然ヌードワイク、メンゲルベルク、ベニンクがバンド組んでやってる当時の演奏をもっと聴きたいと思って探してはみたんだが、どうも60年代の古いアルバムはそう簡単に手に入りそうにない。

それで最近のものでもいいからこのメンツでやってるのはないもんかとそのCDの解説のおしまいのとこにちらっと書いてあったヌードワイクのジュビリーコンサート"Live at the Bimhuis Amsterdam"がHMVのネットショップに出てたので、さっそくほかのものといっしょにぽちぽちっとやったのがHMVの注文履歴によればおととし2011年の10月6日だった。

たしか在庫表示のとこに「お取り寄せ」とあって、こういう欧州盤はさんざっぱら待たしといたあげく品切れ絶版でしたなんてことも珍しくないからひょっとしたらダメかもなーくらいの気分でいたら案の定、一緒に頼んだほかのやつはすぐに届いたのにこいつはしっかりバックオーダーになっちまったのだった。

それからどのくらいたったかすっかり忘れましたけどこんだは「発売元に発注してるけどまだ来ない。ことによったら絶版かもしんない 待つ キャンセル どっちかポチっとするあるよろし」というような、これもまたおなじみの文面のメールが来たのでありました。

だいたいね。こういうメールが3、4回来てその間にすぐ3か月とかたっちゃって、まあそこまで待ってるとそのうち「調達できなかったんでキャンセルしてちょ」って最後通牒みたいなのが届いてふつうは一巻の終わりなんですけど、どういうわけだかこのときはそういうメールが2回くらい来たあとぱったり音沙汰なくなってしまったんだよ。それからもHMVにはいろんなCDやらLPやらを幾度も注文してヌードワイクよりずっと後に頼んだそいつらはどんどん届き、そいつだけがバックオーダーになって残ったまんま注文履歴のずうーっと下のほうに隠れてしまって、そのうちすっかり忘れてしまったんでした。

それが今月はじめのある日HMVからご注文の商品を発送しましたってメールが来た。
だけど、おれ最近HMVでポチもプチもした覚えがぜんぜんないんだ。

いやーまいったなー、とうとう注文した覚えのないものが届くようになっちまったのか。んー、こりゃあいかんなあ。加速度的にボケてきてんなー。ここんとこほかにも心当たりがあってヤバいよなーこりゃ若年性なんとかかなーいやもう若年じゃないのかなーなんてかなり真剣に思ったんだよ一瞬。いやマジで。

でそのメールにある発送明細を見ると、ありゃまーすっかり記憶の底に沈んでたピエト君を送りましたとあるじゃございませんか。んー、頼んだ本人が忘れちゃってたのにHMVは忘れてなかったのね。つか、おれは多分システムのエラーかなんかでオーダーがどっかいっちゃったせいで途中から念押しメールも来なくなったんだと思ってたんだ。

そしたら生きてたんですバックオーダー。
まるで横井さんや小野田さんのようじゃないか!

そして届いたのがこのCDなんだ。
あのテッド・カーソンのはるか後ろ、カメラのピントの外で指をくわえて立っていた新鋭ジャズマンはいまや芸能生活60年の記念アルバムをリリースする巨匠になっていたのだねえ。

それはともかくとしてだな。届いた2007年アムステルダムであった芸能生活60周年コンサートのCDにはミシャ・メンゲルベルクとハン・ベニンクにベーシストが加わったカルテットの演奏からTake The A TraneとAll The Things You Are、それに66年のアルバムでもやってたメンゲルベルクのDriekusman Total Lossの3曲が収録してあって、ほかにはB3オルガンとギター入りのクインテットで3曲、トランペットの入ったクインテットが3曲という三つのフォーマットの9曲が収められてる。

これがですね、ほかのふたつのバンドのもなかなかいいんだが問題はやっぱこのカルテットです。これがたった3曲だけなんだけどその66年のライヴアルバムから41年もたってるとは思えない、やっぱりミシャとハンがアヴァンギャルド方面に引っぱろう引っぱろうとするのをピエトがバップに踏み止まって頑張るみたいな感じの演奏をじつに楽しそうに繰り広げてるんだよ。

まあ66年のアルバムの解説によればアヴァンギャルドをやりたかったメンゲルベルクとベニンクに対してヌードワイクとベーシストのロブ・ランゲリーズが不満だったんでバンドは解散に追い込まれたとあるんだけど、この2枚のアルバムを聴いてるとそういう当事者のみなさまの思惑はともかくとして聴いてるこっちにはすごく息のあったキュートな演奏ばかりに思えるんだな。

まあそういうとこにメンゲルベルクとベニンクはとどまっていたくなかったんだろうけどね。

ともかくなんだかんだ足かけ3年で届いたアルバムはおれには思いがけなくもうれしいプレゼントのようではあったんだけど、これを書き始めてふとピエト・ヌードワイクをウィキペディアで引いてみたらそのオランダ語版にヌードワイクは2011年10月8日に亡くなったとあるんだ。

おれがHMVに注文した2日後に亡くなってたのか。
たんなる偶然だとわかってはいるんだが。

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by god-zi-lla | 2013-03-15 10:15 | 常用レコード絵日記 | Comments(0)