神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

ここんとこの物見遊山

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しばらくぶりでございます。

日々おもしろいことと忙しいことが多ければブログは後回しになる運命なんであった。きのうは梅雨の晴れ間とて家じゅうの掃除しながら昼過ぎまで衣更えで片付ける衣類などいったい何度洗濯機を回したことか。その合間合間には包丁6本研いで、ちょっとしたら夕餉の支度だ。

土曜日は京都からうれしい人が来たので一杯飲み、翌る日は午前中から歌舞伎座の3階席で芝居見物、その前の金曜日は朝から掃除を始め日の暮れる時分から六本木ヒルズ行きの都バスで東京ミッドタウンに向かい、サントリー美術館で尾形乾山の展覧会を覗いてきたりしたんであった。

☆東京ミッドタウンは六本木じゃなくて赤坂なのよ

それはともかくとして乾山はいつどこで見てもとても良いですね。茶碗のひとつも欲しいもんだと思いますけど庶民はそんなこと死んでも思っちゃあいけない。見るだけ見るだけ。見るだけだけどこの人とその工房はたくさんこさえてたくさん商売もきっとしてたんだろうというのがちょっとした親しみやすさにもなって、だからついそんなことを考えてしまうんじゃあるまいかしら。だからこの展覧会にもいくつか出品されてた仁清のこしらえたものを見たって、とんでもなくすごいもんだよなあとは思うけど欲しいなんてこれっぽっちも思わない。

そういえば会場にあった仁清の、鶴のかたちをした香盒、あれがいちばん目に焼き付いてしまって乾山の展覧会に行ったつもりだったのに困ったもんだな。乾山では四角い蓋物の、以前MOA美術館で見たのとは別のやつが大らかに大胆でとても気に入った。

☆駆け出しチャッピーは有楽町

6月になってから映画といえば「チャッピー」と「駆け込み女と駆け出し男」の2本のみなり。チャッピーはAI搭載人型警官ロボットに「意識」を積んじゃったらどうなるかっつう映画だよなーと思って見てたら、終盤近くの意外ななりゆきが面白いんだけど、全体としてB級SFロボットアクションの色が濃厚でエラソーにしないところが一番気に入った。シガニー・ウィーバーの兵器会社CEOは彼女じゃなくてもよかったな。ヒュー・ジャックマンの脳味噌まで筋肉なマッドサイエンティストつう役柄はもしかして新機軸か(笑)

だけど一番はニンジャとヨランディ・ヴィッサー(でいいのか)だな。この人たちラッパーなんだってね。アウトローである意味グロテスクな純愛カップル。この二人がいないとチャッピーはチャッピーじゃなかったとこがシチュエーションとして最高だな。ニンジャの穿いてる「テンション」と太もものところにカタカナで大書してあるニッカズボンもサイコー。

「駆け込み女…」は井上ひさしの連作短編「東慶寺花だより」の映画化なれども、おととし同じ原作を舞台化した新作歌舞伎「東慶寺花だより」も見たんだよ。でさ。映画も芝居も楽しんで見物してきたのに原作読んだことないってのはさすがに片手落ちってもんだろと、文春文庫を本屋で買って読み始めたところなんであった。

こうなると格好なブログねたというようなモンである。
この項to be continued。

5月は「セッション」と「龍三と7人の子分たち」も見た。セッションはとくにコメントありません。「龍三…」はいかにも戦後日本映画らしいオーソドックスなドタバタ喜劇って感じだったな。特筆すべきは中尾彬の怪演、とくに後半は死体になって経帷子着て鼻の穴に脱脂綿詰めてセリフなしアクションなしなのに出ずっぱりで大活躍なところが新機軸か(笑)

☆ライヴは六本木一丁目と渋谷宇田川町と隼町

6月のライヴは3日サントリーホールでストラディヴァリウス・サミット・コンサート2015ってのを聴いてきた。なんか一瞬ウサン臭そうなタイトルでしたがベルリンフィルのメンバーによる(楽器は全員ストラディヴァリの)弦楽合奏でじつに結構でした。プログラムはモーツァルトのディヴェルティメントK.136(125a)、グリークの組曲「ホルベアの時代より」。休憩をはさんで後半はヴィヴァルディの「四季」。

モダン楽器のヴィブラートきっちりかかる「四季」って、もしかしたら40年くらい前に藤沢市民会館で聴いたイ・ムジチ(ソロはミケルッチ)以来かもしれない。これがしかし春夏秋冬四つの協奏曲それぞれ別のソリストがそれぞれのやり方でやって勝手気まま、なのに基本ベルリンフィルがストラドでやる精緻かつ美音だもんだからアタマんなかがクラクラしちゃってね。いやーレコードで繰り返し聴く気にはなんないけど、1回こっきりライヴでならアリだよなあ。そういう意味じゃカルミニョーラのスピード違反の四季もおんなじですね。

アンコールはチャイコフスキーの弦楽セレナーデと、アイネクライネ。

そのちょい前の5月30日には渋谷クアトロで毎年行ってる吾妻光良とスインギング・バッパーズのライヴで、今年のゲストシンガーは元VOW WOWの人見元基。いやーおれロック詳しくないからよくわかってませんでしたけど、吾妻さんより2つ年下の同世代で57歳。つことは、おれも同世代ってことだ。だけどうまいなあ人見元基。爆音でスタンダードナンバーをシャウトしてサマになるシンガーなんて世界じゅう探したってまずいませんぜ。ロッド・スチュワートだってこうは歌わない(ロッドのスタンダードも武道館でいっぱい聴いたけどさ)。声に艶があるしパワフルだし英語うまいし、この人はいったいどーなってんですか。

ネットで検索したらいまは千葉の県立高校の英語の先生なんだってね(高校名すぐわかりますけど、みんな『某』にしてるから『某』)。いやびっくり、高校を定年退職したら本格的にロックシンガーに復帰するんでしょうか。こんどVOW WOWのレコード探しに行ってこよ。

その1週間くらい前に国立演芸場で立川流落語会の千穐楽を見物してきた。お目当てはトリの談四楼ひとり、楽しめたのも談四楼だけなのだった。演し物は「ぼんぼん唄」というおれは初めて聞いた噺だったんだけどもいまは談四楼しかやらないネタで、もとは五代目志ん生の持ちネタだったのを遺族の許しを得て談四楼が復活させたんだそうです。

だけどYouTubeで聞くと志ん生の「ぼんぼん唄」はアッチへ転び、こっち転がりして筋立てとしたら談四楼のやったのとおんなじ噺だってことはわかりますけど、談四楼はキチンと整理してわかりやすい人情噺に仕立て直して、これはやっぱり別物なり。

☆芝居は木挽町界隈

芝居は5月明治座は書いたからその次つうと團菊祭の歌舞伎座、慶安太平記は松緑の丸橋中也。ヨノナカに屈託を抱え腕が立ちながら短慮で道を誤るっつう中也に松緑がよくハマってた。姿もいいし立ち回りも決まってるしね。もっと見たいんだけど、なかなか歌舞伎座に出ない松緑選手なり。自分が中也にならないよう祈る。

海老蔵の蛇柳はパスして「め組の喧嘩」は華やかでキレイで大雑把で理屈いっさい抜きな江戸情緒満点の芝居ですけど、やっぱりこれは菊五郎だよなあ。オトワヤっ! 以上。

それから6月に入って友だちにキップ余ってるからと誘われて新橋演舞場で熱海五郎一座「プリティウーマンの勝手にボディガード」を3階席の端っこの舞台下手から3分の1くらいは見切れて何をやってんだかわかんなくなる安い席で見物なり。

だけどけっこう面白かった。いやしかし、なんつうかこの人たちはいうまでもなく個人技バツグンだしね。脚本がユル目のところは自分で客をなんとかしちゃう感じ、つか、そういうふうに作ってあるのかもしれないけどね。そのあたりが座長三宅裕司のいう東京の軽演劇の見どころというべきなんでしょうか。

そこに見事にハマってなおかつスターっぷりもタップリ見せる大地真央がたいしたもんでした。

歌舞伎がもうひとつ、この前の日曜日の歌舞伎座午前の部の最初が橋之助の勝小吉で「天保遊侠録」。なんだか後ろに控える大幹部お歴々総出演の通し狂言「新薄雪物語」の前座みたいなことになって朝日の劇評でもシカトされてましたけど、橋之助のカラカラっとした鯔背な江戸っ子ぶりが四十俵二人扶持無役のやんちゃな貧乏御家人におれはピッタリだと思うんだけどね。

筋立てもスッキリとしてテンポがいいし、出てくる役者がみんな楽しそうに演じてる感じがしてさ。肩の凝らないおれはいい舞台だと思ったんだけどね。まあシロートの目とプロの目とは、おのずと違うものだし。

でその新薄雪物語はいかにも古典歌舞伎っつう感じでしかも吉右衛門に仁左衛門に菊五郎に幸四郎ですから、ああもこうもございません。そのうえ見てみると話はそう込み入ってもないしセリフはよくわかるし、舞台装置は華やかだし初心者のおれが初めて見てもちゃんと楽しめます(楽しむためには努力が必要な演目というのが、歌舞伎にはやっぱりけっこうあります)。

ちゃんと楽しめると結末が知りたい。なのに昼の部は「夜の部」にto be continuedなのであった。もちろんキップは別途買い求めねばなりません。んー、そんなご無体な松竹さま。

つうわけで、今月はもう1回歌舞伎座へ行こうかどうしようかおサイフとカレンダーと残席表示と首っぴきな今日このごろなのであった(ばやいによっては幕見か)。

最後になりましたが、写真は本文と関係ありません(笑)

だけど何の花かわかる人は教えてくださいませ。4月下旬広尾あたりで見た花なり。
Commented by 中田 at 2015-06-18 16:39 x
(お花、ツルニチニチソウだそうです)
Commented by god-zi-lla at 2015-06-18 17:30
ツルニチニチソウ!

中田さん、ありがとうございます。
きれいで、ちょっと不思議なカタチの花びらがとても印象的だったので、ずっと気になっていました。
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by god-zi-lla | 2015-06-16 13:00 | 物見遊山十把一絡げ | Comments(2)