やあ、こんな野菜だったのかヤーコン(すまん)
2015年 11月 30日
ヤーコンはアンデス原産の野菜なんだそうです。だけどね。南米大陸の地図見れば一目瞭然、大陸の左側(てゆうか西側)に近いところを南北に長く伸びてまるでこの大陸の背骨のようになってんのがアンデス山脈なわけだ。なにしろあのデカい大陸を南北に貫く背骨ですから端から端までいくつもの国にまたがって7,500キロメートルくらいはあるというじゃんか。ちなみに日本列島、稚内から石垣島までがおおよそ3,000キロくらい。それ聞いたらアンデス原産ていう説明がいったい何を意味するのかよくわからなくなってくる。
けど、ちょっと調べてみますとトマトもジャガイモもカボチャもトウガラシもアンデス原産らしいじゃないか。んー。アンデスは世界の野菜の本籍地なんです。なんちて。
ついでだから食材図典(小学館95年刊)でヤーコンを引いてみたらそもそもそんな項目ないじゃんか。んー、20年前だもんなあ。日本に入ってきてたとしても、そりゃあ「食材」と認識するほど人目についてなかったよな。じゃあいまは認識されてんのかと言われれば八百屋やスーパーで売ってるのを見たことないので、前に書いたコリンキーなんかといい勝負かもしれない。
つうようなわけで名前しか知らなかったヤーコンを食ってみたわけだが、ハナシに聞いたとおり見かけはイモでしかないのに皮をむいてみるとなんか大根みたくいかにも水分含有量の高そうで意外性の含有量も高い。なんじゃこりゃ。ネットで検索してみても見かけはイモだが中身は梨だとかね、どっちかっつうとイモのホコホコした食感を想像させる外見にたいして実際は果物的にシャリシャリっていうんだな。
そもそもイモ似のくせにナマで食えるっていうじゃんか。おー、そんならまずナマで食ってみようじゃんと、皮むいて端っこをかじってみたところ、まあ梨ということはないけど甘いといわれればほのかに甘いかもしれない。だけどたしかにシャリっとしてるな。コイツをナマのままいくんだったらこうしといたらまず外れないでしょうと思って下のようにしてみたんであった。
でニンジンや青いパパイヤや、このまえのコリンキーみたく細切りにしたヤーコンを水にさらしてアク抜きをする。 見かけ白っぽいくせに5分も水にさらしとくと結構茶色いアクが出るんだよ。写真はアク抜きしたあと軽く洗って野菜用手動遠心分離器(そんな名前なわけないけどさ)で水を切ったとこ。
でウチじゃ最近ほとんど毎日のように作っちゃ食ってる塩麹(当然自家製なり)とワインヴィネガーとオリーブオイルを合わせたもので和えてみたわけだけども、ぢつはもうこの時点でこれがウマくないわけがないよなと思いながらやってた。だってこのしゃきしゃきした歯触りとクセのなさ(嫌味がないとも個性がないとも言えるけど)と、ちょっと爽やかな感じってのが合わないわけがないんだ。
そして案の定これはじつに結構でした。ほんの少しだけ甘さを感じるけどほとんど無味無臭で頼りないといえば頼りないんだけど、そんなことよりこれはこのしゃきしゃき感を愛でることができるかどうかだな。それができればハッキリいっていくらでも食えます(そんなに食わなくたっていいけどさ)。
でまあ、ナマで食うぶんには刻み方をいろいろ考えさえすればなんの問題もないってことはわかった。たぶん他の野菜と合わせて小さな賽の目に刻んでサラダにするなんてのもぜんぜんオッケーだろうな。
じゃあこんだは加熱してやろうじゃん。
ヤーコンとはなんの関係もなかったんだが、ちょうど常備菜の甘い煮豆を食べきったところで何かつぎの豆を水で戻してやんなきゃならんなあと思ったところ、そういえばまだ大正金時が残ってたからアイツを余分に茹でといてチリコンカーンなんか作ってそこへブチ込んでみたらどうだんべと思いついたんでした。
そもそもチリコンカーンに使う豆ってなレッドキドニーなんだけどさ。見かけも味もほとんど変わらない。もしかしたら金時豆を英語で言ったらレッドキドニーじゃねーのってくらい似てるモンだから、すべて外国産でどうも得体の知れないとこがないわけじゃないレッドキドニーよりちゃんと北海道のお百姓さんが作ってらっしゃる由緒正しき純国産の大正金時のほうがよっぽど信用できるじゃないですか。そう思ってからレッドキドニー買うのはヤメてもっぱら北海道の大正金時。
多少高いったってね。毎日毎日1年365日三度三度金時豆食うわけじゃないですし。
それはともかくとしてだな。チリコンカーンにヤーコンを1センチ未満5ミリ以上くらいの賽の目に刻んで水にさらし、タマネギや肉をナベに入れるよりはずっと後、だけど金時豆をブチ込むよりは前、というようなタイミングで投入してみたわけだ。で出来上がり直後の火を止めた状態が下の写真なんでした。こうなっちゃうとどれがヤーコンかわかんないでしょうけど、よく見れば賽の目です。
んー、ぢつはですね。チリコンカーンてばテックスメックス料理ですから地理的にちょいアンデス方面に近いかもなー、なんてね。理由にもなんにもなってないって自分でも判ってんですけど一瞬そう思わないでもなかったんだよな。同郷のトマトも入るわけですし(チリパウダーには唐辛子も)。
でこのときじつは賽の目に刻んだヤーコンを少し残しといたんですけど、こいつをその日の献立のひとつに考えてたトマトの入った簡単なスープにも入れてやろうと思ったんだよ。いやまあ一般家庭の晩メシの献立ですから材料をあちこち共有するわけね。スープに使うタマネギもトマトもチリコンカーンの残りだから、ついでにヤーコンも使ってやろうというだけで、まあ主夫は日々こんな工夫なのか横着なのか判然としないようなことをやってるんです。
タマネギとほんの少しのベーコンを炒めたところにトマトを粗みじんに刻んだのと賽の目ヤーコンをブチ込み、そこへお湯を入れ固形コンソメを半欠けほど投入して、煮立ったら塩胡椒して味見してからしばらくグツグツ煮てやっただけ。
いや写真ないんですけど(あんまりミバは良くなかったし)これがかなりイケましてね。うちの奥さんなんかはこれがいちばんヤーコンに合ってんじゃないかと言うんだよ。いやヤーコンにはスープにひと味ダシをプラスするっていうような器用なとこはなさそうなんだけどさ。このトマトのなんでもないスープにミョーに馴染んでてさ。んー、たしかに悪くないなこれは。
まあ、ついでにこさえた一品がいちばん評判いいってのは作った本人としましたらちょっとアレなんですけどね。でもいいや、美味しいって言ってくれてんですから。
あと、ちょうど季節がこんな季節になってきておでんをしたもんだから、ここにヤーコン入れて大根みたくじっくり煮てみたらどうかと思って入れてみたんだけどさ。んー、悪かないんだけどね。悪くないんだ。思ってたよかずっと良いと言ったってかまわない。だけど如何にせんおでんと言ったらもう大根がご主人様のようなモンである。皮むいて輪切りにしたヤーコンをじわじわゆらゆら長い時間かけて薄味のおでんのツユのなかで煮込んでやると見かけも大根そっくりになります。歯応えもよく煮えた大根と似てる。
けどやっぱりここは大根だな。おれは少なくともそうです。大根の代わりには残念ながらならないと思った。おでんに対する大根の長年の貢献のいかに大なるか、なんて。
いや、でも、もしかしたら、ヤーコンのほうがクセがないからイイ、という人がいないとも限らないかもしれないな。
(さてあと1本ヤーコンあるんだけど、何作ってみようかな)
by god-zi-lla
| 2015-11-30 11:49
| 食いモンは恥ずかしいぞ
|
Comments(0)