神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

ややこしいレコード(Gil Evans / GIL EVANS AND TEN)

寒いね、底冷えがしますな。雨が雪に変わるかと思ったけど。

ややこしいレコード(Gil Evans / GIL EVANS AND TEN)_d0027243_17948100.jpgそういう日に聴いてたのはギル・エヴァンス。「ギル・エヴァンス・アンド・テン」という1957年録音のPrestige盤ですけども、上下ともおんなじレコードなのね。

上はその国内盤で東芝EMIのやつ。中古で20年以上昔に買ってますね。

下のほうはアルバム名が〈Big Stuff〉となってますが、プレスティッジの傍系レーベルのNew Jazzからタイトルを変えて(当然ジャケットデザインも変えて)再発されたものなんだな。

これ、背が裂けちゃったボロいジャケットで、横浜のユニオンの向かい側の奥にあった小さな中古屋で見つけたもの。ジャズに強くない店で、なおかつボロだから捨て値で買ったと思う。

そのころはまだ、レコードは安く買えりゃ、ただもうそれだけでシアワセでした。
この〈Big Stuff〉も、見たことないギル・エヴァンスのレコードがバカ安で出てたので思わず買ってしまったんでした。

帰ってからよくよく見てみれば、なあんだ「アンド・テン」の再発かよ。紛らわしいなあ、買って損した。とそのまま棚へポイ。

先に買った東芝盤のほうがプレスは新しいけど、ジャケットデザインはオリジナルの復刻。かたや後から買ったNew Jazz盤のほうが古い米国プレスだけどもジャケットデザインは新しい。錯綜してますな。

爾来10有余年、先日「ジャズ批評」の会社から「決定版プレスティッジ・ブック」という困った本が出たのでつい買ってしまい、なにげなくパラパラと見ていたらこの盤のことを思い出したんでした。

思い出しついでに盤を引っぱり出してみたら、これルディ・ヴァン・ゲルダーのRVG刻印入りなのね。しかもレコード番号「NJLP8215」の横には、元盤の「PRLP7120」を上からガシガシと線で消してあるんだわ。むかしはそんなことには全然関心がなかったので見もしませんでしたが、今になってなんかトクしたような気分。バカだねえ。

まー諸般の事情があったんでしょうけど、廉価版として出し直したんでしょうね。タイトル変えて、だまされて買うやつも見込んでたりしてね(おれも被害者?)。ジャケット裏に「$3.98」と特筆大書されてますし。

さらにつくづく見てますと、センターレーベルは「New Jazz」じゃなくて「Prestige」のものが貼られてるじゃんか。
んー、これってあり合わせのやつを使っちゃったんだろうねー。ビンボーなマイナーレーベルだもんねー。

というわけで、またも自宅発掘盤ですな。購入後15年以上経過したと思いますが、たぶん今日初めて聴きました。もちろん東芝EMI盤と聴き比べましたがね。

あーやっぱ東芝盤はおとなしいわ。New Jazzボロっち盤はギルのピアノの高音がカキンカキンきますなあ。スティーヴ・レイシーのソプラノも汚太い(きたなふとい)。
New Jazz盤が「高卒、社会人叩き上げの荒れ球剛球投手」なら、東芝盤は流れるようなフォームで「六大学出身のお坊っちゃま快速球投手」って感じですな。
そういえば東芝のブルーノートもこういう傾向かもなあ。

しかしね、おれは断然New Jazz盤を取るけど、人によっちゃあ東芝盤のがいい音だと感じても全然おかしくないだろうな。スマートな都会のお坊っちゃま好みもいるだろうしな。このあたりの判断て、ホントは微妙なもんがあるよ。

あと、このレコードはスティーヴ・レイシーが全面的にフィーチャーされていて、すごくいいっすよ。レイシーはこの時代から(これ以前もだけど)死ぬまで、全然変わらないトーンで吹いてたんだよなあ。
おれにとっちゃあ、これはスティーヴ・レイシーを聴くレコード。

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GIL EVANS AND TEN
(Prestige 東芝EMI LP Mono)
BIG STUFF
(New Jazz NJLP8215 LP Mono)
Gil Evans(p,arr,cond),Steve Lacy(ss),Johnny Carisi,Jake Koven,Louis Mucci(tp),Jimmy Cleveland,Bart Varsalona(tb),Willie Ruff(frh),Lee Konitz(as),Dave Kurtzer(basoon),Paul Chambers(b),Jo Jones,Nick Stabulas(ds)
Commented by god-zi-lla at 2005-12-12 11:37
【追記】
このNew Jazz盤はレーベルデザインからすると1965~67年の間のプレスのようですな。
Commented by wati at 2024-01-11 09:44 x
こんにちは、お久しぶりです。
このアルバムのSACD盤をもってます。
なんと、発掘されたテープのステレオ盤です(擬似ではなく)。
音もクリヤーです。

でも、線で消してある方のガツーンとした音もいいですね。
Commented by god-zi-lla at 2024-01-11 17:45
おおー、watiさん ご無沙汰です!

ギル・エヴァンス&テンのステレオバージョンって、そんなものがあるんですか?

あー、でもウチはもうSACD聴けないんですよね。機会があったらどっかで聴かせてもらうことにします。ちなみにこの記事にある東芝EMI盤は大分前に処分してしまいました。買い取り価格110円でした。
Commented by wati at 2024-01-12 12:00 x
はい、SACD層とCD層のハイブリッドですので、CDプレイヤーでも聴けます。
お貸出しましょうか。(仕事やめて失業者やっていますので、自由に出歩けます)
以前のメールアドレス(iij4u)はまだ使えますでしょうか?
Commented by god-zi-lla at 2024-01-12 22:38
watiさん

メールありがとうございました。
ダウンロード出来ましたので、聴いてみます。

ありがとうございます。
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by god-zi-lla | 2005-12-11 18:50 | 常用レコード絵日記 | Comments(5)