神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

吹けば飛ぶようなお試しはヘッドシェルの根っこに付いてるワッシャ

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なにしろ村田英雄の世界である。じっさい写真に撮ってるうちにうっかり鼻息に乗ってひゅうーっと飛んでっちゃって一時はエラい騒ぎだ。あちゃーこれじゃ発見するまでは掃除機もかけられない。自分のモンだったらさっさと諦めるところだったかもしれないが、だいたいこの借り物のワッシャがお値段いくらなのかもわからない。うっかりなくしました弁償しますで家屋敷(そんなもん持ってないけど)売っ払うハメにならないとも今日びのオーディオというのは限らないからコワいんだよ。

あーよかった見つかって。

つうわけでヘッドシェルのコネクタんとこに付ける輪っか、英語で言うとワッシャである。

似てるよね、輪っかとワッシャ。そりゃ語源は同じですから。

なーんつって書いたりすると近ごろはネットに出てることと広辞苑に出てることを等価に見る人がホントにいるらしいので恐いから念のため言っておきますが、このブログの内容はすべてウソだからね。ウソもウソ、大ウソのコンコンチキ。だからそんなものを信じてうっかり大金持ちになったりする人がいたってぼくは責任持ちませんからね。

それで村田英雄の世界である。

借りてきたはいいんだが、そういえばこのヘッドシェルのワッシャって必ず付いてるものだっけという疑問がフツフツを湧き上がってきたんであった。まあなんとなく付いてるのがふつうのような気がするけど、みんながみんなヘッドシェルといえば洋の東西、ネコと杓子、有象と無象を問わず付いてるものなのであろうか。

と思ったのでウチにあるヘッドシェル(だけってわけにはいかないからカートリッジ付いたまま)引っぱり出してしげしげと眺めてみたのであった。

じつはほとんど考えたことなかったのよね。なにしろメンドくさいのが苦手なものですから。

たとえばヘッドシェルのリード線を変えると音が変わるというのは、はるか昔っから知られてたことだからソレ用の製品もずいぶん前から売られてたわけですけどそんなことするのメンドくさいじゃんか。ピンセットとかちまちまちまちま取り出して、あんな細っこちい線を4本も外したり繋いだりしてさ。しかも、うっかりすりゃカンチレバーをボキっといくかもしれないってのに。あーヤダヤダ、おれはイヤだねそんなの。

つうわけで一旦カートリッジを取り付けたヘッドシェルをいじくるなんて今まで一度もありませんのさ。だからじっくり見もしない。たまにコネクタの接点を綿棒につけたアルコールで拭くくらいなもんでワッシャがどーしたかなんてわっしゃ知りませんぞえ。

でまあ、いい機会だからと観察してみたんですけど。
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↑いま使ってるオーディオテクニカのAT-50ANVを付けた同じテクニカのヘッドシェル。あー付いてますね、ゴム系の一見上の写真の借り物と似てるようにも見えるワッシャがたしかに付いてる。厚みは借り物よりも薄いね。
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↑これはつい先日まで使ってて現在ベンチで休養中のベンツマイクロGlider SLを付けてあるシェルターのヘッドシェルだけど、これもよく似た材質のワッシャが付いている。だけどこっちのほうが気持ち厚いかもしれない。んーむ、こうやって見ると同じワッシャでも違うもんだな。それぞれメーカーの主張ってのが出てんでしょうか。
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↑こいつはトラディショナルなSMEの純正ヘッドシェル。いまはシュアーのV15 TypeVを付けてある。いままでのふたつにはないピンが1本突き出してる。もちろん反対側(トーンアーム装着時でいえば上側)にも他のヘッドシェル同様ピンが立っている。

これはね、一瞬ワッシャが付いてないのかと思っちゃってさ。なにしろ25年以上使い続けてきたせいなのか写真では薄いワッシャが見えてますけど、コイツがヘッドシェルの基部側の黒いところに固着してパッと見だとワッシャが付いてるようには見えなかったんだよ。だけど、なんとなく段がついてるように見えたから細いドライバーの先でほじくってやったところがこの写真なり。上のふたつに比べたらかなり薄い。材質はよくわからない。

外してみようとしたら柔軟性がなくて写真に見えるピンをくぐらせることが出来ない。もともとそういう弾力や柔軟性のない素材だったのか経年で硬化したのか。おぼろな記憶を辿ると昔は外せたような気もするんだよな。だいち、このピンのうえを越えていけないんだったら、そもそも取り付けられないじゃんか。

ここまで書いたら突然気になり始めてもう確かめないと気が済まなくなったんだけどさ。ピックアップ交換式のトーンアームのオリジナルがこのSMEで、日本じゃいわゆるデファクトスタンダードになってるわけです。つことは、コネクタ部分の上下にピンのあるSMEが本来の姿ってことなわけだ。

いま現行製品として売られてるヘッドシェルを調べてみるとSME以外にもいくつかあるみたいだけど、大多数はおれの持ってるテクニカやシェルターのような上面に1本ピンのあるタイプみたいなんだな。これはいったいどういうことなんでしょうか。1本あればじゅうぶんだからコスト削減のため上面だけすることが多くなったのか。あるいはもっと積極的に2本より1本のほうがしっかり固定できるということでもあるのか。

ここの機構っていうのはようするにヘッドシェルをトーンアームのコネクタに差し込んでアーム側にあるコネクタ外側のリングを回すと、リングの内側に切ってある雌ネジ式の螺旋にピンが導かれてアーム側の接点とシェル側の接点が接触するようになってるんだと思うんだが、上のピンでも下のピンでもそれは同じなのか肉眼で見てもよくわからなかったので写真に撮ってみた。
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ちょっとわかりにくいかもしれないけど、上下ともピンの入る溝の作りは同じみたいだ。そうするとSMEオリジナルでは上下のピン両方が同時に螺旋に従ってトーンアーム奥へ導かれていくわけだ。ふつう考えると上下で引っぱってもらうほうがスムーズにまっすぐ奥へ進むから合理的であちこちにムリな力がかからなくて良いような気がする。

それをわざわざオリジナルと違う機構を採用する理由ってのがよくわからない。たいした違いはないからコストかからないほうでいいやってことだけなのかしらん。

当たってるかどうかわかんないけど、SMEに付いてるワッシャがほかのよりずっと薄いのはピン2本でしっかり引っ張り込めば結構かっちり固定できるのでワッシャはたんなる「念のため」的なものだから薄いものでオッケーなんだってことのように見えないでもない。コスト削減のため1本にしちゃうとやっぱりちょっと引っぱりが足らなくなる(つまり上はちゃんと奥まで行くが下はちょっとだけ手前にとどまるというような事態が起きる)のでやや厚手のワッシャで誤魔化しちゃってるという感じなのかなんて、ちょっと邪推してみたりするわけだ。

だけど、そうじゃなくて1本ピンにする理由ってのがあるのかもしれない。

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↑というのもこのサエクだ。

これはたぶん上のSMEより以前から使ってきたと思う。いまはシュアーのSC35Cが付いている。これもシェルター、テクニカと同じ1ピンなんだけど、いままでの3つとまったく違う金属の(真鍮か)のワッシャが小さなネジで取り付けられてる。ワッシャと一体の出っ張っりを折り曲げたところがネジ止めされてるんだけども、この折り曲げ角度が直角よりごく僅か鈍角なのでワッシャの写真でいえば下側(アームに取り付けたときには上側になる)ではワッシャとヘッドシェル基部にすき間が空くよう作られてる。

ぎゃくにワッシャ表面上部のトーンアームに当たる側にふたつプレス成形による突起があるのが写真でわかりますか。コネクタを締めていってこの突起がトーンアームの先端部にカチっと当たったところでストップ、そうすると反対側は金属ワッシャのスプリング作用でガタを排除するって仕組みらしい。

これってピン1本「節約」するよりよけいなコストがもしかしてかかってるんじゃあるまいかしらん。

ところで、ここにワッシャを入れる理由はあくまでトーンアームにヘッドシェルを取り付けた際のガタつきを取るためのものだと思うんだけど、サエクにこういうことされるとSMEオリジナルの2ピンより、下のピン1本だけにしておいてなおかつアイマイなゴム系のワッシャなんか挟まずに金属のスプリングに同様の働きをさせたほうが音質的に良いのだと主張されてるようじゃんか。

なにしろあの無骨なダブルナイフエッジのトーンアームを作ったサエクの、その純正ヘッドシェルがこれなんだからさ。

で、これからこのワッシャをヘッドシェルの純正ワッシャと取り替えて聴き比べてやろうっつうわけだ。できたらこのサエクの金属ワッシャも取り外して試したほうがいろいろ楽しそうな結果が待ってそうではありますけど、メンドくさがりのおれがはたしてそこまでやるのかしらね(他人事だな)。

ちなみにこのナゾのワッシャはゴム系に見えるけどゴムじゃなくて何か新素材らしいんだけどよくわからない。製品化されるのかどうかもわからない。そもそもホントにヘッドシェルのワッシャなのかどうかよくわからない。たしかにちょうどハマりますけど、ヨノナカここにハマりそうなワッシャなんていくらでもありそうだし。

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で、テクニカのヘッドシェルにナゾのワッシャを付けてみたところ。

しかし色々ゴタクは多いけどホントにこんなもの1個で音が変わるって信じてるのかね、というのが真っ当な世間さまの反応というものである。

けだしオーディオマニアというのは困ったモンではある。


Commented by KT at 2017-08-21 16:22 x
うちは、ヤマハのプレーヤーやカートリッジに付録でついてきた、金属線の輪っかです。これを取り付けると、カートリッジが、ぐらつきません。
昔、エナメル線で輪っかを作って取り付けるというのを評論家の誰かが発表したことがありました。それの製品版ということでしょう。
他に、鉛シートのワッシャー(長岡鉄男氏のアイデアの製品版)と、エジソン製ワッシャ(サエクのビス留めワッシャのビス無しのようなワッシャ)がありますが、現状、全てのシェルに、ヤマハの金属線の輪っか採用です。理由は特にないかも。悪さがないから、30年くらい?変更無しです。機会があったら、2〜3個お分けします。
あと、SMEが2ピンシェルだとは知りませんでした。舶来のアームやシェルには縁がなかったもので...
国産だと、有名なのが、オーディオクラフトのシェル、最近だとフィデリックスのシェルがそうだと思います。
ついでに、プレーヤーのアームをJELCOのアームに換装したのですが、付属のシェルも2ピンでした。
Commented by god-zi-lla at 2017-08-21 21:13
KTさん こんにちは。

フィデリックスの新しいシェルで、上下のピンがシーソー状に連動して「密着」を助けるという新機軸のやつが出てますね。

じつは雑誌で見たときは、ふーん、と思っただけだったんですが、こんなブログを書いちゃったらガゼン興味が涌いてきました(笑)。

このヘッドシェルの輪っかって昔から議論のタネになってますが、それだけこのコネクタが普及してるのと、普及してるわりには不完全だってことなんでしょうね。

RCAピンプラグ/ジャックとおんなじですね。
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by god-zi-lla | 2017-08-20 14:18 | オーディオもねぇ… | Comments(2)