神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

ひとんちのステレオは(聴くよりも)覗いてみたいもんなんです

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ヒマつぶしにちょっと入った本屋で見つけてしまったのがこれなんである。
カーサ ブルータスの別冊の〈A ROOM WITH SOUND〉ってやつ。本体1500円。12月25日発行と印刷されてあるからまだ出てないことになっている。

なにしろオーディオ雑誌なんかで人んちのステレオを覗き見してるページをまっ先に見たりするほうだから、こういう日本人とか日本人じゃない人とかオーディオが趣味の人とかそうでない人とかのステレオ装置のある部屋の写真がたくさん並んでて、それがほぼ雑誌まるごとそういうページばかりなんつったらもう買わない手はない。

覗き見るなんて良い言い方じゃないと思いますけど、雑誌のそういうページを見るおれの気分としたらそれ以上にぴったり来るコトバが思い浮かばない。こっそりと覗き見するように見るのが楽しい。ほいでもって、ぶっちゃけ言えばそういうページのないオーディオ雑誌はあんまり面白いと思わなかったりする。

そしてそういうページを繰りながら、ここんちのこのステレオ装置からどんな音が出るのか想像するのが楽しいわけだけど、実際そこで鳴る音を聴いてみたいかっつうとそうでもなかったりもする。あくまでも覗き見ることが楽しみなわけだ。

でこの冒頭の写真見ただけでピンとくる人はピンとくるように巻頭で一番ページが割かれてるのが村上春樹の部屋の写真とインタビューであるからもう勝負はあったも同然である。

それでこのインタビュー記事がまたとても面白い。なにしろインタビューされるほうが喜々として喋ってて、もしかして聞かれないことまでこの文豪は喋ってるんでないかと思うくらい。

だけどまあこういうお宅のオーディオ拝見みたいな特集をワールドワイドにロンドンとかニューヨークとかまで取材して作っちゃうとこがブルータスだよなあ。もうワールドワイドに真っ当なステレオからヘンテコなステレオ、それからポータブル電蓄しかない部屋とか。しかもアタマに世界の村上春樹だ(ベイシーの菅原さんもお約束のように登場するが、なくてもよかったな)。

それにしてもだ。この雑誌を眺めてると茄子や瓢箪の巨大オブジェを合成樹脂でこさえたようなというか等身大のマトリョーシカみたいなというか、そういうイマドキの「音響的に正しい」らしいスピーカーがほとんど写ってない。そのかわりアルテックのA7がふたつ出てきたりパラゴンだったり村上さんちのゴールドウィングにタンノイだったり。

ようするにイマドキのああいうスピーカーは「絵」になんないんだな。


Commented by KT at 2017-11-17 21:33 x
「音のいい部屋」って、時々、記事になっています。
今回の表紙、昔の記事の使いまわしですね。
BRUTUSのチョイスは、眉間にしわを寄せて聞き入っているような部屋が少ないところが素敵です。
実は、午後の散歩のついでに、近所の本屋に寄ったのですが、なくて、Amazonさまにお願いしました。
Commented by god-zi-lla at 2017-11-18 06:58
KTさん こんにちは。

> 眉間にしわを寄せて聞き入っているような部屋が少ない

カウチで家族がゴロゴロしてるようなのとかね(笑) それといかにもオーディオマニアみたいな人はいるものの、ぴかぴかに整って隙のない「モダンリビング」のような部屋を選んでないのもポリシーなんでしょうね。

どこも適当にゴチャゴチャしてるのが、かえってフォトジェニックな感じです。
Commented by mono-mono at 2017-11-18 08:32 x
早速買いに行こうと思います!

> 12月25日発行と印刷されてあるからまだ出てないことになっている。

昔からこれ不思議でした(笑)
発行日前に手にしていると、得した感もあるのですが。
Commented by god-zi-lla at 2017-11-18 10:12
mono-monoさん こんにちは。

月刊誌とか、そろそろ「2018新年号」が出ますよね(笑)
もともとは先手必勝的な商売の思惑だったんでしょうか。

このCasa BLUTUSの特集は何かの参考になるというようなもんじゃないと思いますが、ウチももっとゴチャゴチャにしようかな、なんて思いながら、パラパラ眺めてるのがとても楽しい。

しかし感心するのは、マッキントッシュのアンプが写ってる部屋が意外に多いことです。

Commented by 宗助 at 2017-11-18 20:47 x
こんばんは
早速近所の本屋を覗いてみたのですが残念ながらこの雑誌はありませんでした。

ところで写真の左上のジャケットは、ホレス・シルヴァーのソング・フォー・マイ・ファーザーですね。このアルバムを高校生の時ガールフレンドと一緒に神戸元町の日本楽器で買った時の事を、ポートレイト・イン・ジャズ2に書いていましたがとても良い文章でした。

探してみまましたがこんな風です。
”彼女は特にジャズに興味を持っていなかったけれど、「それ素敵なジャケットね」と言った。季節は秋で、空は晴れて、雲は雲は目をこらさなけらばならないくらい高いところにあった。そんなことまでよく覚えている。このレコードを買ったことが、よほど強く印象に残っていたんだろう。”
ここを読むといつも、訳もなく切なくなってしまいます。

私はこの文章と、「意味が無ければスイングはない」のプーランクの章の最後が、彼が書いたオーディオに関する文章のなかで一番好きです。
Commented by god-zi-lla at 2017-11-18 23:28
宗助さん こんにちは。

インタビューのなかで作家はそのSong For My Fatherのことも語っていて、写真に写っているのが元町の日本楽器で買ったまさしくその盤だということです。

そして「2800円もしたんですよ」って。
Commented by tweed champ at 2017-11-23 11:17 x
初めまして。

以前にも村上さんのオーディオルームが雑誌の載ったことがあります。たまたま古本屋で見つけて買いました。

Sound & life―いい音と暮らそう (別冊ステレオサウンド) – 2005/5

文章は「意味が無ければスイングはない」だったかに収録されていたと思いますが、やはり写真があるとないとでは全然違います。
今手元にないので確実ではありませんが、今回の Brutus の写真を見ると、LUX のレコードプレーヤー以外は、当時とあまり変化がないような気がします。
Commented by god-zi-lla at 2017-11-23 20:42
tweed champさん こんにちは。コメントありがとうございます。

その、ほとんど変化のないところがこの作家らしいところだなあと、つくづく感じます。そして聴いてる音楽もあまり変わらない。というか音楽に対する嗜好が変わらないから装置(とくにスピーカー)も変わらないってことなんでしょうね。

しかし考えてみると、村上春樹のインタビューを巻頭に持ってきたのは雑誌のセールス的には当然ベストでも、この特集の指向からしたら、どうかな、って気がしないでもありませんね。
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by god-zi-lla | 2017-11-17 11:03 | オーディオもねぇ… | Comments(8)