赤毛のヒゲもじゃらのおっさんにでもなった気分とかいって(前編)
2018年 10月 08日
つうわけでせんだっての金曜日、新宿西口の恒例西洋骨董市(と銘打ってるわけじゃないけど九割方洋物)を奥さんと冷やかしに行ったんだが、さすが初日とあってすごい混雑。お客の大半はうちの奥さんと同年配かそれより上っていうおばちゃんたちですからバーゲン会場さながらに目指すところへ突進するので、おれのような気の弱いおっさんはちょっとばかし気後れ気味なんだけどさ。
ハッキリ申し上げて日本の骨董(およびガラクタ)よりも西洋骨董(およガラクタ)のほうがわけわかんない物が多いし、付いてる値札が高いんだか安いんだか相場ってのがあるんだかないんだか、そんなこともわかんないところがなんか面白い。
で、店によっては店頭の品を手に取って矯めつ眇めつしてると、店主のおっちゃんおばちゃんが「これはねー、ちょっと珍しいでしょ。ここんとこがねー、ホラ、こんなになってんのがさ。なかなかないんだよねぇ」なんつって頼みもしないのに説明してくれたりするんだけどさ。
これがまた結構アヤシイんだよ。
実際問題、青山や日本橋あたり庶民にはちょっと入りにくいような立派な店出してる骨董屋なんてのはおれらハナっから縁がないから知りませんけど、新宿やら平和島やら、はたまた小田急の大和やら(これは青空市)の骨董市に店出すようなとこの大半はそれほどアカデミックな知識があるってわけでもない。
客)これってわりかし新しいモンでしょ。
店)いやいや、そんなことないよ。これは結構古いもんですよ。1930年代かなあ。
なんつって、まあ気に入ったから買って帰って調べてみたら60年代のブツだったなんてのは別に珍しいことじゃないからね。けど、そういうことに目クジラ立ててたら骨董市なんて面白くもなんともない(たいがい古めに言うしね)。ココロのなかで眉毛にツバつけながら「ほおー」なんて生返事しつつ、ちょっとオマケしてくんない? とか言いながらブツが気に入れば買って帰ればいいだけです。
で、上の包丁のようなもの。
なんだろうねえこのヘンテコリンな包丁は、と手に取って見てたら店のおじさんが近寄ってきた。なんでもイギリスで仕入れてきたもんらしい。ルーペを出しつつ、ここに刻印があるでしょ。シェフィールドって彫ってあるんですよ。シェフィールドっていったら日本でいうと新潟の燕みたいなところでね。刃物とかナイフフォークとかの有名な産地なんですよ。えーと、あと何が彫ってあるのかな、ちょっと見えないね。
こんなふうな湾曲したナイフって見たことなかった。テーブルナイフにしちゃゴツいしハンドルは普通の包丁みたいだし、なにより「刃」がそれなりについている。これってそんなに古いモンじゃないよね。
そう言うとおじさんは、いやいやそんなに新しいものじゃないですよ。結構古いです。って、いつ頃のものかは言わないからきっとわかってないんだろうな。こういうときオトナは根掘り葉掘り詮索するもんじゃありません。でもなんかこのハンドルというか「柄」に違和感あるよなあ。
おじさんはしきりに、これは台所で使うっていうより食卓でお肉とかチーズとか切り分けるのに使うといいんじゃないかなって勧める。いやじつは、おれも最初に見たときからそういうふうに使ってみたらどうかなと思って手に取ったんだよな。
それを見透かしたようにおじさんは、刃もちゃんとしてるからこれは使えますよと「道具」として勧めてくる。古いのか新しいのか、それは調べればある程度わかるでしょうしね。なんか、ガゼン買う気になってきた。おじさんも、コイツはきっと買うだろうなという顔をしてる。
(後編につづく)
by god-zi-lla
| 2018-10-08 09:56
| 日日是好日?
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