神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

歳末熱燗準備号

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なんつうかこうアレじゃないですか。ガラガラガラっと戸車の音がするガラス戸を開けて入るような居酒屋があってね。いやあ今夜も冷えるねえなんか言いながら暖簾をくぐり、カウンターの向こうにいる親爺に熱燗1本頼むとするでしょ。そうすると親爺はおもむろにカウンターの陰から一升瓶を取り出して手元にあった一合徳利(じつは八勺しか入らない)に酒を注いで黒い五徳のガス台に乗っかって湯気の上がってるアルマイトの両手鍋に、八分目ほど(ということは実質六勺ちょいの)酒の注がれたその徳利を注意深くそおっと浸ける。

それから親爺はお通しのゲソわさとキッコーマン醤油の卓上瓶をあなたの前にトンと置き、あなたは湯豆腐を頼んだりするわけだな。

そういう場面でだよ。近ごろは日本酒でもすっかり当たり前になったワインみたいな横文字の、あるいは気鋭のグラフィックデザイナーがMacでこさえたような小洒落たラベルの一升瓶を、徳利に酒注ぐ親爺の手元に発見してごらんなさいな。

あちゃーそれはやっぱちっとばっか違うんでないかと、一瞬親爺にいらぬ講釈垂れそうになっちゃったりするでしょ。でまあ、口には出さねど顔にはそれがちょっと出たりなんかして。

すると親爺のほうもそれと察したかのように、けっ、酒のこと知ったふうな顔しゃーがってコノ若造が、というような視線をこっちへよこしたりなんかする(もしかしたら親爺とあなたはそんなにトシも離れてないのにさ)。

だけど酒にはなーんのツミもないのよ。ラベルと中身の酒の味にはなんの関係もないんである。

しかし、そうは言っても上の写真のような酒を見れば、あーコイツらは燗する酒だろうな。少なくとも外側が冷たく結露した銀色のワインクーラーで冷やされることを待ってるとは思えない。そーゆーのはもっぱら横文字ラベルとかグラフィックデザイナーMacラベルの仕事な気はする。

じつに身勝手な偏見というもんである。

でもね。そんなこと言ったっておれは燗して飲むためにこの3本を買い求めたのよ。なにしろ(ここ数日関東地方は暖冬異変気味とはいえ)季節は冬だ年の瀬だ。今年の暮れと正月はコイツらで楽しくあったまってやろうかなと思ってね(ラベルが揃いも揃ってこうなのはまったくの偶然というもんである)。

しかし考えてみりゃあまだ正月まで20日以上あるもんな。これじゃあちょっと足りそうもない。なにしろまん中の〈神亀〉の4合瓶はゆうべ栓を開けて少しなめちゃったし。ちょっと気が急いたか。年の瀬じゃなくてトシのせいだなきっと。こりゃあ一升瓶のあと1本か2本買わずば済むまいて。いまあるのが埼玉、兵庫、徳島だから北の酒か京の酒あたりかのう。

どんな酒にするか、考えるのも年寄りの楽しみなのじゃよ。




(それだけの話です)



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(オマケ)



ところでこのボヤボヤとした写真は久しぶりにキヤノンFD50mm/f1.4をマウントアダプタ越しに取り付けて撮ってみたんでした。露出は開放側に固定してピントリングをぐりぐりしてピント合わせてるんだけど、老眼も手伝って正直いって相当テキトーなんでした。そうするといろんなテキトーさが組み合わさって、ふつうに撮ってるのになんとなくヘンテコリンな写真になるのがなんだか面白くてさ。

しかし35ミリカメラの50ミリレンズはマイクロ3/4規格では100ミリ相当で、この酒の写真も狭い居間でめいっぱい後ずさりして撮ってんだよな。だから、じっさいもっといろいろ使ってみようと思ったらもうちょっと広角の、できれば24ミリ以下のFDレンズがあったら楽しそうなんだけどさ。

いちど銀座のカメラ屋のショーウィンドウでも眺めてこようかな。銀座にはまだ中古カメラ店が何軒かあるから。


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by god-zi-lla | 2018-12-08 11:33 | 酒だ酒だ酒だ酒だ | Comments(0)