神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

今年も顔見世の京都

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昼間はこの前で写真撮ってるおばちゃんとか大勢いたりして、そういうとこに混じって自分もスマホ構える勇気はないんですけどさ。さすが深夜12時を回ればひっそりと静まり返ってお客はひとりもいない河原町御池のホテルのロビーのツリーなのであった。

あと2時間くらいしたら来そうだよね、サンタのおじさん。

顔見世夜の部がはねて虎吉さんに連れられ南座からほど近いなかなかの居酒屋で旧交と胃袋を温めた帰りなのだったが、なにしろ芝居のはねたのがもう10時になろうかって時分ですからね。飲み屋のカウンターの前にいたのはちょっきり2時間くらいである。

つうわけで、この暮れも京都までわざわざ芝居見物に行ってきたんでした。われながらじつにまったく酔狂なことだと思うんだが今年は久しぶりの南座ですから。

おととしの年の初めころ、松竹のホームページに「南座はしばらく休館します」ってお知らせが、わりかし唐突な感じで出た。しばらく? しばらくってなにさ。いつからいつまでって告知がない。

さいきんビル建て替えでしばらく休業しますって貼り紙を出してラーメン屋とか飲み屋が店を閉めると、まあビルは建て替わるるんだけどその店は永遠に消えちまうって事態がよくあるじゃんか。だけどまさかね。南座だしね。重要文化財だしさ。松竹はちょっと信用できないようなとこもあるけど。

南座の長い長い耐震補強工事の期間中、「京の師走の年中行事」っていう枕詞のかならず付く顔見世興行はおととしが先斗町の歌舞練場、去年は東山のロームシアターに掛かった。

ロームシアターで見る歌舞伎には少なからずげっそりしちゃったけど、先斗町歌舞練場はよかったねえ。正直言ってここでずっとやってくれるんだったら南座がラーメン屋のように消えちまっても構わないとまで思えたもんだった。いやまったくもってあの古くてこぢんまりとした小屋の雰囲気の良さといったら。

芝居ってのは掛かる小屋によって印象がコロコロ変わっちゃうもんである。まあ、だからこそ近ごろのたとえば新国立劇場小劇場にしてもシアターコクーンにしても池袋の東京ゲージツ劇場プレイハウスとシアターイースト&ウェストにしても、改装するときに内装の基調をまっ黒けにして劇場の個性を消し、芝居の邪魔をしないようにするんだと思うんだな。

だけどやっぱり紀伊國屋ホールには紀伊國屋ホールの、本多劇場には本多劇場の、そこはやっぱり消すに消しようのない個性ってものがあって、どうしたってそれ込みの芝居の印象になる。まっ黒けに改装した小屋だってそれが薄まりはしてもそこから逃れられるってことはない。

そこいくと同じ芝居でも歌舞伎は最初っから小屋込みで楽しむもんである。やっぱり「いかにもそれらしい」小屋で、舞台には作り付けの本花道があって両脇の壁の客席の上にはズラっと提灯がぶる下がってね。まかり間違ったって壁をまっ黒けに塗るなんて無粋はやらない。

外観だってそうだよ。四条河原町の交差点のとこで鴨川を挟んで四条大橋の向こう側に帝冠様式の古い建物が見えてきただけで、あーおれはこれから顔見世見物だあーって気分が盛り上がってくるもんな。

そういう「らしさ」って間違いなく歌舞伎見物の楽しみの一部になっている。そういう意味じゃエコノミー症候群で死人が続出してても全然不思議なじゃない3階4階席のあの狭っ苦しさをなんとかしてほしいとは思いつつ、少なくとも「らしさ」についちゃあ歌舞伎座に勝ってるんじゃあるまいかしら。

かりに南座がなくなって祇園や先斗町の歌舞練場も使えず、これから先、京の師走の年中行事の顔見世はずっとロームシアターでやることになりましたなんてことにでもなれば、もしかしたらもう京の師走に用はないかもしれない。

まあそんなこんなで、そういえば初めて南座の顔見世を見物に来たのはいつだったかと思い返してみても全然思い出せないから以前のブログをひっくり返してみれば(ひっくり返しゃしませんけどね、本じゃないんだから)、勘九郎の襲名披露のときだから2012年が初めての顔見世見物だった。

新橋演舞場(歌舞伎座建て替え中で大歌舞伎の櫓は演舞場の軒の上にあった)で勘九郎の襲名興行が行われたときは勘三郎が披露口上で挨拶をしてね。とても華やかな笑いの絶えない口上が続いたんだけどさ。勘三郎が亡くなったのが12月に入ってすぐだからその年の顔見世の初日のころだったんじゃなかったか。

おれたちが南座に行ったのが23日で、披露口上は演舞場のときと打って変わって客席から啜り泣きが聞こえてくるんだよ。そりゃあ無理もないよな。だけど勘九郎と七之助の兄弟はあのとき上出来の舞台を務めたんだから、じつに天晴れなものであったと思う。

それから古い南座にはあと1回、ということは今年が5回目の「京の師走の年中行事」で新装なった南座で初めての顔見世だ。なんかもう、徐々にわたしら夫婦にとっても顔見世見物に京に上るのが師走の年中行事になりつつありますね。




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初めてここに「まねき」を掲げてもらう名題さんは、きっと晴れがましいのだろうなあ。





Commented by 虎吉 at 2018-12-23 19:50 x
ゴジラ殿

こんばんは
東京はいい感じのお湿りですか こちらもポツリポツリがありました 暮れの顔見世お疲れ様でした 移動やら前夜の盛り上がりなどに加え、冷たい雨で体調がややこしくなられたかもですね でも師走吉例でお待ちします 

さて見始め・見納め演劇が蒼井優ですか 小生も27日予定しています どんな舞台か楽しみな作品なんです 東京は「アンチゴーヌ」は1月だっったんですね こちらは2月でした あの演技はよかったですね
Commented by god-zi-lla at 2018-12-23 23:02
虎吉さん こんにちは。
京都ではお世話になりました。

「スカイライト」はいいですよ。蒼井優はもちろん共演の二人もいいです。

イギリスの芝居というか文学全般がそうなのかもしれませんが、人間を見る目が重層的というのか一筋縄ではいかなくて、見ているこちらの気持ちも俳優の台詞とともに揺れ動いていくようなところがあります。

でもやっぱり、蒼井優がいいなあ(笑)

兵庫公演は1日2回公演だけなんですね。

新国立の小劇場より大分大きくて舞台機構もだいぶ違うようだし、どんな演出になるのか気になります。

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by god-zi-lla | 2018-12-19 11:38 | 物見遊山十把一絡げ | Comments(2)