神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

物理の時間はお昼寝タイム(それが今になって)

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ひさしぶりにカートリッジをオーディオテクニカからベンツマイクロに取っ替えようと思ったある日のことなのであった。

平成の初めころであればカートリッジひとつ付け替えるのにあーだこーだとSME3012Rを相手に小一時間がところかかってた気がするのが、昨今はせいぜい手こずったとしても15分かそこらのことである。

ほとんどもう熟練の職人芸といったって過言ではないような気もするが、もちろんテキトーなところで妥協するというこの30年の間に溜まりに溜まった「人生の知恵」も加わってのハナシではあるのであった。

いやあそれにしても昭和のおしまいに買ったこのレコードプレーヤーをとうとう平成の次まで使い続けることになっちまったんだなあ。

つうわけで仕上げに針圧調整しようと針圧計をセットして、いままさに針を下ろそうという(瞬間を再現した)のが上の写真なのであった。

針圧0コンマ0グラム(よく見といてね)。

そして、そおーっと針を針圧計に乗せようとちかづけた。
するってえと。


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は? マイナス0コンマ4グラム?
なにこれ。

え、え、え、え、え。

どうしてそうなるのかは、すぐにわかった。ようするにカートリッジのマグネットが針圧計の「上皿」を磁力で上から引き寄せてるからマイナスが表示されてるに違いないんだ。

してみると、この針圧計測用に横に突き出た「上皿」は鉄か。

有名なハナシですけどトーレンスのTD124のプラッターに乗せたレコードに針を下ろすと、その鉄製プラッターにカートリッジ(のマグネット)が吸い寄せられて針圧が重くなっちゃう。ようするにアレの逆というか、トーレンスの鉄製プラッターだってカートリッジをレコード盤に接する直前に「寸止め」させればリクツのうえではプラッターはごくわずかカートリッジに吸い上げられているハズであるから、おんなじだな。

いやいやいやいや。それはいいんだよ。そんなリクツはいいんだ。

この針圧計ですけど、使い始めて少なくとも10年は経っている。たぶん15年近いんじゃあるまいか。その前はシュアーの天秤式のヤツを長い間使ってた。とにかくまあコイツで針圧を計るのはこれが10回目や20回目なんてもんではない。

今までだってこういう「現象」が発生してたはずなのに、なーんでおれは気づかなかったのか。若いころのほうが視力だって圧倒的に良かったんだしさ。

ほかのカートリッジはそこまで磁力が強くなくて、このベンツマイクロだけが強力でしかもマグネットむき出しのスケルトンタイプだからか? いやそんなことはない。ベンツマイクロだって前のGlider L2のカンチレバーをボッキリ折って泣く泣くGlider SLに交換してから数えてもすでに8年だ。針圧なんて数限りないくらい何遍も計ってます。

んー。

ようするに見てなかったんだよなー。見えてないものは、ないのと同じ。いかんなー、注意力散漫だよなあ。きっとほかにもいろんなものに気づかずにこのトシになっちゃったんだろうなー。そう思うと無性に悲しくなってきたぞ。



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いやまあ、そんなことをキッカケに人生全般について後悔したって仕方ないんだよ。

それよりも、だ。この最後の写真みたく針を下ろして「針圧」を計ればドンピシャ2コンマ0グラムなわけだ。きのうまではこの値になーんのギモンも抱かずに、はい針圧2グラムね、とレコードをかけてたわけですけども、磁石で引っぱるあのマイナス0コンマ4グラムはどこ行ったんだろうか。

それはこの2グラムのなかに含まれているのだろうか、それともホントの「針圧」はさらに0コンマ4グラムを足した値なのであろうか。あるいはそんなことは無視しちゃってもかまわないのかしらん。

高校の物理の授業中昼寝をしてたバチが今ごろ当たってるような気がする年の瀬なのである。





Commented by 宗助 at 2018-12-31 00:33 x
>カートリッジのマグネットが針圧計の「上皿」を磁力で上から引き寄せてるからマイナスが表示されてるに違いないんだ
>磁石で引っぱるあのマイナス0コンマ4グラムはどこ行ったんだろうか。

ところで、この問題に結論が出たでしょうか?

実はこの問題が私の頭から離れず、年末の片づけや掃除が全くはかどりませんw 
私の安物の針圧計は受け皿がプラスチックなので、カートリッジと皿は引きあうことは無いから、岡田理論による針圧表示の変化は元々無い訳ですが、ただ、針圧計を傾けたり裏返ししたりすると針圧計の表示がマイナスに変わることは確認できました。
情けないことに、あまりにああでもないこうでもないと動かしているうちに安物の針圧計が壊れてしまいましたw

それで一つ確認したいことがあるのですが、そちらの針圧計の皿は本当に鉄などの磁性体でしょうか?

色々考えてみるのですが、そのデジタル針圧計に皿を上に引っ張る「磁力」を計測する能力があるのか疑問です。

試しに、先ず電源の入っていない針圧計に2グラムに設定したカートリッジを乗せ、その後に静かに針圧計のスイッチをオンにしていただくと、多分メモリは0gを表示すると思います。その後、おもむろにカートリッジを持ち上げると、マイナス2g表示に変わりませんか?

これは多分電源を入れた時の状態(2gが乗った状態)をゼロと針圧計は認識して、その重さが無くなったからマイナス2g表示をするんだと思うのですが、これは「重力」を図っているのとは違うと思うのです。

とすると、最初のマイナス0,4を表示した理由が説明できないことになるので、困っていますw
Commented by 宗助 at 2018-12-31 00:54 x
これは「重力」を図っているのとは違う、という所は、これは「磁力」を測っているのとは違う、です。失礼しました。
Commented by god-zi-lla at 2018-12-31 09:41
宗助さん

年の瀬にヘンなことで悩ませて申し訳ありません。そのうえお手持ちの針圧計まで壊れてしまったそうで重ねて申し訳ありません。

じつは自分でもウチの針圧計の皿の部分がホントに磁石で吸い寄せられているのか疑問に思うところがあったのですが、うっかり磁石を近づけて針圧計を壊したりしたらイヤだなと試していませんでした。


しかし宗助さんがこんなブログのために針圧計を壊すハメになったと伺っておきながら、それを試さないのは人の道にもとると言わざるを得ず、さきほど台所のホワイトボードにくっついているマグネットを近づけてみました。

すると、わずかに吸い寄せられます。この、わずかというのがどういう材質かを物語っているのかもしれませんが、文系のアタマにはわかりません。しかし僅かとはいえ間違いなく針圧計の皿はマグネットに吸い寄せられました。

だからやはりマイナス0.4グラムはカートリッジのマグネットに針圧計が吸い上げられたせいだと思うのですが、じゃあそのとき計測した針圧2グラムはなんだったのか。

プラスチックとか木材とかで「皿」を作って試してみればいいのですが、暮れの忙しさに取り紛れて試してません。

年が明けたら是非やってみるつもりです。

それにしても、こんなフザケたエントリに「こういうコメントが付いたら面白いのにな」という密か願望にドンピシャのコメントを下さって、宗助さんのいつもながらのお心遣いに感謝しつつ、ぜひ来年もよろしくお願いします(笑)
Commented by 宗助 at 2018-12-31 13:58 x
そうでしたか。そうすると、多分間違いなくマイナス0,4gの表示は磁力を針圧計が計測していて、その結果には再現性があるんでしょうね。

そうするとますます面白くなりますね。磁力の強さは距離の二乗に反比例するわけだから、マイナス0,4gを表示している針の距離から倍だけ離すとマイナス0,1gを示すことになる(?)

ギリギリ皿に触れるか触れないかの所に置くと磁力が強くなるから、もう少し接近させるとマイナス1g を表示し、ほんとに少しづつ、少しづつアームリフターを上げていくと-0,9g,-0,8,-0,7・・-0,1となって、最後に0表示になったりしたら、拍手喝采ですねw 良い冬休みの自由研究になりそうですww

それはさておき、今年も貴ブログには入院中も含めて随分楽しませていただきました。来年も益々ご健筆が冴え亘りますよう願っています。

どうぞ良いお年を!
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by god-zi-lla | 2018-12-26 15:08 | オーディオもねぇ… | Comments(4)