神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

海を渡って行ったり来たり(ナゾの『転送』の顛末プラスワン)

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雪といえばセンター試験だな。

しかしそのセンター試験も聞けば今年で終わりだそうだから、雪も今年で終わりかもしれない。

まあそんなこたどーだっていい。

せんだっておれんちのベランダから見えるところにある宅急便センターから忽然として消え去り、翌日にはまた戻ってきて配達されたというナゾの荷物の中身というのが左の酒二本なのであった。

最初こいつぁ品違いかなにかで荷主の酒屋が引き取ったのかと思ったんだが、それにしちゃあ一瞬のうちに戻って来たことになっている。あーこりゃあきっと「お荷物追跡システム」のエラーでもあったんだろうかと一応徳島の酒屋さんにメールで問い合わせたところがどうやら輸送途中で配送業者が割っちまったらしい。

それが四国の内なのか山陽道東海道のどこやらなのか、とにかくもウマい酒3,600ccが土に帰っちゃったというんである(もしかしたら瀬戸内海に流れたか)。

酒屋さんは平謝りなのだが割れたという連絡は配送業者から来たわけですから酒屋さんに責任はない。たぶん連絡を受けた酒屋さんは急ぎ品物を集荷に来た兄ちゃんに(ふだんはプリンターで印字した伝票のところを)手書き伝票をつけて渡し、おそらくこの速さをみれば陸送便でなく航空便で東京に送られたに違いない。

こっちは日時指定して注文したわけじゃないから、まあせいぜいが普段より半日くらい遅れて届いたかなー程度の気分だったし、こっちのセンターの兄ちゃんもこんくらいのタイムラグなら荷受人に実害もないし黙ってりゃあ分からないだろうと思って、イキサツを知らないうちの奥さんに黙って手渡したんだろうな。

おれが玄関先に出てれば、この「転送」ってのは一体全体なんのことだいと聞くつもりだったんだが、まあそうであったらまた業者が慌てて「お詫び」に来たりなんかして鬱陶しいことになってたかもしれないから、これで良かった気はする。

酒屋さんにはアンタとこにはべつだん落ち度もないし、こちとらだって酒が切れて七転八倒なんてことのあるわけもないんだから、おれに詫びる必要なんてありませんぜとメールに返信しておいた。

まあしかし、配送業者からおれんとこに連絡が行ってると思ってたというが、ひとこと連絡あってもよかったかもな。なにしろ今日び「お荷物」いまどこにあるか伝票番号さえわかってれば誰であろうと一目瞭然なんだからさ。

つうわけで左端は淡路島の〈都美人〉の無濾過生。都美人はさほど珍しい酒でもないし外でなら飲んだこともあるけど、酒屋さんのサイトの紹介に、ここの杜氏さんは近ごろとみに名高い能登杜氏Nさんとこのお弟子さんで関西の国立大学の農学部を出た若い人だっていうのに興味が涌いて買ってみたんでした。

ちなみにN氏の醸した酒も飲んでみたことはありますけど、おれはとくにこれといった感想はない(あのプロモーションの仕方に違和感はあるけども)。でもこれはいい感じの酒だな。師の薫陶宜しきを得たということなのでありましょう。

まん中は讃岐は金毘羅さまのご近所らしい〈悦 凱陣〉の、これは初めて飲む「ふつうの純米酒」。いままでは山廃純米無濾過しか飲んだことがなかった、つか、ふつうの純米酒はひょっとして地元で消費されちゃうのか、見たことがない。

火入れもしないアレもしない「純米無濾過」なんてのは非常に特殊な酒でしょうからね。そんなものがいつも台所に転がってて「常飲」してるほうがよっぽどおかしい。だからきっとふつうの純米の〈悦 凱陣〉は地元で消えちゃうんだろうと思ってた。

で、ひとくち飲んでみると、やっぱそうだよなーって感じの「ふつうにうまい」酒なのだった。だよなー。そうじゃなかったら辺鄙なイナカの古くて小さな蔵元が生き残ってるわけがないもん。

しかしとっても品のよい、なにかイキサツがあって都から落ちてきて山里に隠れ住むお公家さんみたいな酒なり。

そして右端ですけど、こんかいの事故の顛末とはなんのカンケイもない〈辯天娘〉は鳥取の酒で、こいつがここで写真に写ってるについてはちょっとしたイキサツあり。

ぢつはオーディオ関係のあるブツを(それはけっしてオーディオ用ではないんであるが)、それを試しに使ってみたいというある方に差し上げたのでした。

というのもそのブツ自体、おれはある人から10年ちょっと前にタダで譲っていただいたんである(まったく同じブツがもうひとつあるんだが、それはそれより少し前に中古品をネットで1万円で手に入れた)。だからそいつをタダで差し上げてもおれのフトコロはまったく痛まない。つか、ここんとこ使ってなかったからオーディオまわりに空き地がほんの少しだけ出来て嬉しいくらいのもんなのであった。

そしたらどうもその方はタダで譲られるのを心苦しく思われたようで、後日この辯天娘をくだすったんである。

だから、なんだか結果としてお酒1升と中古パーツを取っ替えっこしたようなことになってしまった。でもアレですよ。ここだけの話ですけど、おれの差し上げたブツは10年以上前にすでに中古品だった使い古しである。正直申し上げて、いつぶっ壊れたっておかしくないシロモノである。

それにひきかえ、いただいたのは当然ながら封も切っていない、おそらくわざわざおれにくださるために手に入れられた酒である。しかもご本人がお酒好きだから、ウマくない酒を下さるわけがないんだ。

なんだかおれのほうが得してしまったような気がする。いや、気がするんじゃなくてそれが真実ってものだろう。

で、お燗つけて飲んでみました。これまたウマい酒ですね。ためしに冷やでも飲んでみたが(冷や、ってのは『常温』のことなり)、冷やでもいける。蔵元が燗して飲むのを勧める所謂「燗上がり」する酒なんだが、神亀のふつうの純米酒のように燗つけないで飲むにはちょっと抵抗のある人もいそうな酒とは違う。これもなんつうか「ふつうにうまい酒」だな。

いやーありがたいありがたい。

ぢつは、このブツを引き渡すにあたって待ち合わせをした。どうせ待ち合わすなら(まあどちらも酒飲みですから当然のことながら)どっかで一献ということになって、日比谷のいつもの店へ行ったんでした。

まずは酔っ払う前にブツを差し上げた。こいつが5キログラムもあるから、持ってきたおれはシラフだからいいですけど、持ち帰ったその方は大変だったろうと思う。なにしろ飲みましたからね。もちろん日本酒を。なにを飲んだかまるで覚えてませんけど、女将の勧める酒で杯を重ねる。

しかも、よせばいいのに次の店へハシゴして安バーボンまで飲んでしまった。正直申し上げまして、よくもまああのブツを無事にお持ち帰りになられたものだと後で思ったものですが、そのときはこちとらへべれけでそんなことにアタマの回る状態じゃなかったね。

ところでセンター試験は今年で最後っていうから来年はどうなるのかと思ったら、来年からは〈大学入学共通試験〉ってのが始まるんだってね。それってどこが違うんですかね。

そいうや昔〈共通一次試験〉てのもありましたけど、アレが「センター」になり、こんだはそいつが「共通試験」になるってことですかい?

なんだかよくわかんないが、とにかくそういう試験を雪の降る日にやりますっていう、そこんとこだけは変わんないってことだな。

すまんね、昔から(自分のときですら)そういうことにとんと興味がないもんで。








Commented by harayumi at 2020-01-28 16:06 x
先日は良いものを頂き、また良い店をご紹介して頂きましてありがとうございました。重

量5Kgだったのですね。その後、5Kgの金属をどのように扱ったか?特に困ったという記
憶がないというか、正確にはgod-zi-llaさんもご存知の、「憶えていない。」という台詞が頭
に浮かびます。「憶えていない。」趣味の同好会の合言葉みたいなものでしょうか。(笑)


2軒目の店は、店が無くなってしまうかも知れないというような悲しい話があったような

気がします。店が無くなると、ここで働いている人達はどうなるのか?皆楽しそうに働い

ているように見えるけれど、背中に背負ったものがあって本当は辛さを取り繕っているだ

けではないか?なんて考えたのか考えていないのか?そして、そんな話が実際にあったも

のなのか?これも「憶えていません。」(笑)


そして、Ice Breaker、ご馳走様でした。一口飲むと旨味もある、切れも良い。そして、氷

が解けるに従い、なんと旨味も変化がしてくるという日本酒ではなかった展開に驚きつつ、

ボトルと氷に手が伸びます。ラベルも南極を思わせるペンギンのイラスト。伝統の花鳥風

月とは少し違います。Ice Breakerは日本酒のBreakthroughですね。
Commented by god-zi-lla at 2020-01-29 07:25
harayumiさん こんにちは。

「憶えていない」は趣味の同好会の合言葉! はははは、たしかにたしかに(笑)

2軒めの店は60代なかばの経営者夫妻が、孫も出来たし、たいして儲かってるわけでもないからボチボチ店じまいしようかなあなんて、たまに言います。

そこで、ここは畳んで夫婦二人で切り盛りできる小さなバーにすればいいじゃん、みんな通うと思うよ、というと、そしたら勤めてる子たちが行くとこなくなっちゃうからねえと。

なので、当分は店じまいしないと思うんですけどね。

たしかにIce Breaker、オン・ザ・ロックス前提の日本酒なんて破天荒な試みは日本人の杜氏の発想にはなかったでしょうね。あの濃厚さはウィスキーの国の人だからってのもあるんでしょうか。

しかしあれに燗をつけたらどうなんだろうと、思っています。
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by god-zi-lla | 2020-01-18 13:43 | 酒だ酒だ酒だ酒だ | Comments(2)