神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

時間がコマギレなときはシングル盤聴いてるほうがストレス少ない(新宿シングル盤お買い物メモ)

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こないだ新宿ピカデリーで〈イン・ザ・ハイツ〉を見るまえに、紀伊國屋書店新宿本店となりの新築ビルディングに開店したユニオンを覗いてきた。

新築ビルったって、以前建ってたのと同じようなジミで殺風景な事務所ビルでさ。もともとそこにあった古い事務所ビルの上階にオーディオユニオンとひとつながりになった「クラシック館」が入ってたから、まあ元に戻ったようなモンだ。ただし今度はオールジャンルの「中古センター」も出来たっつうので、その日はそこが目当てなのだった。

だけど当然そのあと映画を見るわけだし、映画終わったらデパ地下で晩メシの買い出しもしなきゃなんない。だからこの日はLP買わないと決めた。買うなら荷物にならないシングル盤にする。見るとぜってー買いたくなるからLPのエサ箱から目を背け、すみっこのシングル盤コーナーへコソコソと直行。ほとんどゴキブリのような挙動で自分でもナサケない。

写真のいちばん左、歌詞カードのないヤツはロバータ・フラックがキャロル・キング作〈Will You (Still) Love Me Tomorrow〉をカヴァーした盤なり。61年ガールズ・グループ「シュレルズ」がこれをうたって全米チャート1位の大ヒット。その後キャロル本人が71年名作〈つづれおり〉でセルフカヴァーして、15週連続全米アルバムチャート1位。

そういう大ヒットナンバーをロバータ・フラックがサードアルバム〈Quiet Fire〉でカヴァーしたのをシングルカットしたこれは1枚。以上ぜーんぶウィキペディアの受け売り&切り貼りでございます。ただし、〈つづれおり〉と〈Quiet Fire〉は71年のほぼ同時期リリースみたいだから、キャロルのアルバムのヒットを見てロバータがカヴァーしたのかどうかは判らない。

いや「本題」はそこじゃないんだ。このラベル見た時点ではまだ買うつもりになってなくて、へえ、キャロル・キングの曲うたってんのかーと思ったのみ。ラベルはこんな感じで 'MONO' と表示されてる↓


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でB面に何が入ってんだろうとひっくり返したら、ありゃま。

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A面と同じ曲のステレオ・ヴァージョンじゃありませんか。そもそもA面B面つう区別になってない。赤白ラベルのMONO面にあるレコード番号が 'A-21877 SP' でSTEREO面のほうが 'ST-A-21877 SP' ってアタマにステレオを表す 'ST' が付いてるだけの違いだ。

まあ番号はどうでもいいんだけど、同じ曲がステレオとモノラルで裏表になってるシングル盤て、一体全体なんのためのモンだろか。なんか聴き比べとかするための盤なんでしょうかね。STEREO面だけ白ラベルつうのもアヤシイ。

でもさ。71年ちゃあステレオレコードが登場して10年以上経ってるわけで、いまさらステレオの「ステレオ効果」をデモンストレーションする必要があるとは思えんしな。

それにさ。イマドキだったら逆に「モノラルのほうが音がぶっといもんね」みたいなことが喧伝されたりもしてるけど、「1971年」はまだそういう時代じゃないしなー。なんなんすかね。

つうわけでよくわかんないけど、こう書いとけばそのうちどなたか物知りの方が教えてくれるんじゃないかなー、なんて虫の良いことを考えている今日このごろなのであった。えへへ。

それからその右がシルヴィ・バルタンの〈悲しみの兵士〉。これ「特価百円」の値札が貼ってあるのがなんだか可哀想で思わず求めてしまった。聴いてみるとちょっと勇ましくも悲壮感のあるシリアスな詞と曲調で、もうちっと年嵩のシャンソン歌手なんかが歌いそうな感じ。あんまりフレンチ・ガールポップって雰囲気はない。なんでもフランス革命時代の「兵士」のことをうたった曲だそうで、本国よりも日本でヒットしたみたい。70年つうとおれ中2だったから知ってて不思議じゃない気がするけど、まったく知らない。そこに耳がなかったんだな。

その右はカーティス・メイフィールドのご存じ名盤サントラ〈SUPER FLY〉からのシングルカット。4枚のなかでこれがいちばん高かった。しかしどうかなー。じかに聴き比べたわけじゃないけど、音はLP(US盤)のほうが良かった気がする。

でもまあ、サントラLPではタイトル曲〈SUPER FLY〉はたしかB面ラストに入ってたから、シングル盤のほうが聴きやすくっていいや。名盤のホマレ高いサントラアルバムですけど、やっぱ最高にいいのは〈SUPER FLY〉だから繰り返し聴きたいもんな。

それから、いちばん右は越美晴(現コシミハル)の79年ころのシングル。コシミハルといえばニューウェイヴとかテクノっぽい音楽をやってる頃は少し記憶にあるんだけど、その前はどういう感じだったんだろうと思って買ってみた(このジャケ写からほとんど想像つくけどね)。あーそしてやっぱりこれはいわゆるひとつの「ニュー・ミュージック」って音楽なのだった。あたしら世代には懐かしいというより、ちょっと恥ずかしいような。結局のところニュー・ミュージックつうのは新手の「歌謡曲」だったからね。

このとき18歳くらい? あの頃はこういう音楽をやりたかったんだろか。その後のコシミハルをここからはあんまり想像できない。いまや悠揚迫らざるオトナの雰囲気のヴェテランシンガー。

つうわけで、さて今夜も家事の合間にあれこれ掛けかえて聴くとするか。ここんとこ何故かゆっくり座って音楽聴く時間がなくてね。用事と用事の間を縫うように、シングル盤両面聴いて長くて8分とか。

これが意外と悪くない。LP片面ちょっと座って聴く時間すら作れないのかと思うとストレスだけど、シングルA面B面聴いて立ち上がるってのはそれはそれで完結するせいか悪くない。ほいでもって、また時間が出来たらシングル1枚楽しんでみる。

まあなんちゅうか、ニンゲンなににつけても心の持ちようひとつ、ってことっすかね。





Will You Still Love Me Tomorrow ATLANTIC(USA) A-21877 SP / ST-A-21877 SP
悲しみの兵士(c/w 将軍になれたら)RCA(日本)SS-1955
スーパーフライ(c/w エディもう少し考えろ)BUDDAH(日本コロムビア)LL-2589-DA
マイ・ブルーサマー(c/w いい気なものね)RCA(日本)RVS-1184









Commented by s_numabe at 2021-09-02 09:27
god-zi-llaさん、おはようございます。急に涼しくなりました。
さて、この表裏「ステレオ/モノーラル」シングル盤ですが、これは放送局用に配布されたプロモ盤だと思われます。1970年代に入っても、アメリカのラジオ局の大半がAMモノーラル放送でしたから、世間がとっくにステレオ時代でも、わざわざモノ・ミックスの試聴盤が必要とされたのでしょう。これがFM局だと無論ステレオ放送なわけで、したがってプロモ盤にも両方が必要だったというわけです。こうした事態は80年代初め頃まで続きました。
Commented by god-zi-lla at 2021-09-02 09:53
s_numabeさん こんにちは。きのう今日の急激な気温の変化は、かなり身体にこたえますね。

なるほど、AM/FM兼用のプロモ盤ですか!

ステレオ時代になってからでも結構長い間、多くのプロモ盤がMONOだったのは承知してたのですが、そうか、FM局用にはたしかにプロモ盤もステレオじゃないとマズいですね。それでステ/モノで両面か。

片面白ラベルなのでこれはプロモ盤だろうとは思ったのですが、FMのことに思い至りませんでした。

ありがとうございます。スッキリしました。
やっぱり書いてみるもんだなあ(笑) すいません。
Commented by mono-mono at 2021-09-02 13:02 x
ご無沙汰しております。
違ってたらすみませんなのですが、補足的に。

アメリカには大小すごい数の放送局があって、局によっては、資金難からステレオ化が遅れていることが案外あったらしいです。
モノカートリッジではステレオ盤が再生出来ないので、プロモ盤オンリーのモノ盤がずっとプラスされていたと聞いた事があります。
Commented by mono-mono at 2021-09-02 13:06 x
プラスされていた、ではなく、
プレスされていた、でした。
お恥ずかしい。
Commented by god-zi-lla at 2021-09-02 18:11
mono-monoさん こんにちは。

いつもインスタグラム拝見しております(すいません、コメントの仕方がわからないので『無言』ですけど 笑)

> アメリカには大小すごい数の放送局があって、局によっては、

あ、なるほど、それは大いにありそうですね。ひょっとするとステレオ盤をモノ針でかけてダメにしたなんてクレームも沢山あったかも。

なんか、面白い盤を手に入れちゃった気がするなあ。
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by god-zi-lla | 2021-08-31 23:17 | 常用レコード絵日記 | Comments(5)