神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

ジョン・グレンは地球を3周してきたが、こいつは最初の1周が回れない




ジョン・グレンは地球を3周してきたが、こいつは最初の1周が回れない_d0027243_09121161.jpg






先般出かけたついでにブルーズのエサ箱を漁ってたらLPレコードの間にこれが埋もれてたのだった。あー 'BLUESVILLE' といやあプレスティッジがブルーズアルバムに使ってたレーベルじゃないですか。しかもこの7インチはライトニン・ホプキンスだぜ。右手が勝手に反応して引っこ抜いている。

おれが持ってるライトニン・ホプキンスのアルバムはどれも国内盤かUK盤でオリジナルどころかUS盤すら持ってない。だって高いんだもん。ブルーズはそこそこ日ごろから聴くけどブルーズファンてほどでもないし詳しくもない、だからレコードを集めてるなんてこともない。

なのでこれがBLUESVILLEレーベルの初期プレスかどうかなんて全然わかんないけど、ちょっと欲しいじゃん。そういやBLUESVILLEのライトニン・ホプキンスってば、あの、ガキんちょが何人かたむろしてる殺風景な通りを、前をはだけたシャツとだぶだぶのズボンにカンカン帽をアミダに被ってすっげーダラシない格好でギター抱えて歩くライトニンのジャケ写のアルバム。たしかアレってBLUESVILLEだったよな。

曲名を見ると〈Happy Blues For John Glenn〉とある。それが両面でPart1とPart2になってる。へ? なにそれジョン・グレン? ひょっとしてあのジョン・グレン? アメリカ初の地球周回軌道に乗った宇宙飛行士のジョン・グレン? マーキュリーセヴンのひとりのジョン・グレン? 「ザ・ライト・スタッフ」の一方の主人公のジョン・グレン?

くどいっつーに。

結局この1枚だけ掴んでレジへ行ったんである。そこで検盤したらデッドワックスに 'RVG' の3文字が両面刻印されている。おー少なくとも最近の再発盤じゃないことだけはこれで間違いない。でもライトニン・ホプキンスがテキサスからヴァン・ゲルダー・ステュディオへ行ったとは思えないから、きっとカッティングだけヴァン・ゲルダーがやったんだろうな。

だけどなんなんだ〈Happy Blues For John Glenn〉、ジョン・グレンのためのしあわせブルーズ? そもそもhappyとbluesが並んでるだけでも、なんか違和感あるし(敏いとうとハッピー&ブルーくらいなもんだ)。たしかに年代的にはジョン・グレンが「フレンドシップ7」で地球の周りを回って無事帰還した時期と同じころだ。同姓同名の「ジョン・グレン」がブルーズの詞の世界にいたとも思えない。

ま、とにかく帰ったらかけて聴いてみようじゃん。



ジョン・グレンは地球を3周してきたが、こいつは最初の1周が回れない_d0027243_18012732.jpg



用事をすませて帰宅後、いそいそとドーナッツ盤1枚袋から取り出してみると、ありゃまこれは一体どうしたことか。南部煎餅か坂角の海老煎餅か、いやこういうふうに欠けるのは風月堂のゴーフルかな。なにを言ってんだおれは! いつどこでこんなふうに欠けたのか全然わからん。もちろん検盤したときはこんなふうになってない(なってたら、さすがのおれでも買わないって)。よーく見ると欠けたところから内側に1センチくらい亀裂も入ってる。

気がついたら割れてたってのは、あのときのズート・シムズ以来だ。あれもナゾだったもんなー。なにか衝撃を与えた覚えなんてまるでないのに、ある日気づいたら割れてた。なんだったんだアレは。

フチがちょっとだけ欠けてるレコードつうのは何枚か持ってる。だけどそれは最初から承知の上で、しかも音溝にかかってないことを確認のうえ買い求めた盤だ。だけどこれは見た感じリードイングルーヴを通り越して、音楽が入ってるミゾの1周か2周目くらいまで欠けてる感じがする。

んー、ジョン・グレンの件は後回しだ。とにかくかけてみる。

でもさ、あんまりギリギリ狙って針先が「崖っぷち」からゴトっと落ちて、次の瞬間反対側の「絶壁」にガシッとブチ当たってお陀仏ってのだけは避けたい(当たり前だけど)。

つうわけでビクビクしながら45rpmで回るドーナッツ盤にそおーっと針を降ろした。だけどマジ怖い。欠けたフチから5ミリくらい内側にしか降ろせない。そこいらへんまで行っちゃうとさすがに「無音」てことはない。ライトニンのかっちょいいギターのイントロがドラムスとベースを従えて始まってる。んー。しょうがないよなー。まだ歌い始めにかかってないだけ良しとせねばなるまいて。

これってやっぱり製盤技術や材質の問題なんだろうかね。だいたい欠けたり割れたりするなんて国内盤で経験したことない。プレスするときに不純物が混じったとか温度管理にモンダイがあったとか、そういうことなんじゃあるまいか。もともと品質にモンダイがあったブツが、おれの手元に来るまで60年経ってんだもん。

欠けたあたりをマクロで撮影してみた↓ 数えてみると8周にわたって欠けてる。時間にしたら10秒から11秒くらいか。ミゾの形状からすると最初の2周くらいは無音だろうな。

欠けたところからさらに内側に向かって亀裂も入ってる。だけどかけてみたら、これはちゃんとトレースして針飛びしないうえに「音」にも出ない。不幸中の幸いというべきや。

よく見ると欠けた断面のザラザラのところに、なんか「異物」のようなものが見えてる。ジャマイカのレコードにはワラ屑やら砂粒やらが一緒にプレスされてるっていうけど、US盤も似たようなモンなんだろうか。



ジョン・グレンは地球を3周してきたが、こいつは最初の1周が回れない_d0027243_12250763.jpg


この写真、なんか2回続けて「針と溝」みたいなことになっちゃったぜ。

もしまたこの盤を見つけたら買い直してみたい気もするけど、多分二度と巡り合わない気がする。これからはときどきコイツを引っぱり出してビクビクしながら聴くことにしよ。

ジョン・グレンのことはあらためるとするか。







名前
URL
削除用パスワード
by god-zi-lla | 2022-07-10 23:42 | 常用レコード絵日記 | Comments(0)