神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

近ごろ欲しいものといえばオートチェンジャーだったりして《Dorothy Kirsten Sings Song of George Gershwin》

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つうわけで、ここんとこ家事多忙につきブログの更新まで全然手が回らない。まあ時間がないわけじゃないんだけど、寄る年波に勝てずクタビレてヤル気が出ないってのが本当のとこで、それを乗り越えてまでブログでっち上げて自慢たらたらしてやろうっつう「大ネタ」もないってことなのさ。

なので、小さいヤツでご機嫌を伺います。

これは夏の終わりくらいに7インチ盤のエサ箱から引っこ抜いてきた〈EPアルバム〉だけど、そもそもEP盤(つまり『シングル盤』ではない)の「アルバム」とは何ぞや。

1940年代の後半、シェラックの78回転盤に代わる塩化ビニールレコードが登場したころ、33回転盤と45回転盤がシノギを削ってた時期がしばらくあったらしいというのは聞いたことがあった。

ようするにレコード会社各社はヨノナカが33rpmに落ち着くのか45rpmで決まるのか、はたまた78回転盤がそのまま残るのか判断つかなかったので、三者を併売しながらどっちに転ぶか様子を見てたんでしょうね。33回転盤なら10インチ1枚、45回転盤は同じ内容で7インチが2枚(2枚セットにして『アルバム』で売ったり、1枚ずつバラ売りしたり)。

かつてのビデオカセットの〈ベータ〉と〈VHS〉のシェア競争みたいなモンかな。

それはともかく、これは《Dorothy Kirsten Sings Song of George Gershwin》というEP2枚がゲートフォールドジャケットに収められたアルバムなのだった。

え、だれ? ドロシー・カーステン? ぜんぜん知らない。少なくともジャズシンガーじゃないよな。でもカーステンさんの名前が前面に出てんだから少なくとも当時有名な歌手だったにちがいない。パティ・ペイジみたいなポピュラーシンガーかしらん。

それに、このいかにも古めかしいカヴァーデザインもなんか気になる。このクルクルした筆記体の「書き文字」も。レコード会社はColumbiaだし、こりゃあひょっとしてひょっとすると、とジャケットすみっこの文字を凝視すれば案の定 'Steinweiss' とクレジットされてる。やっぱりね。

スタインワイスは名著《12インチのギャラリー》によればSPレコード時代に活躍したCOLUMBIA専属のデザイナーで、LP時代になっても仕事をしてたひとだけども、編著者の沼辺信一さんは「その愛すべきイラストはむしろ10インチ盤の小さな正方形に似つかわしいようだ」と記している。

決まりだ。スタインワイスがデザインしたジャケットのレコードは多分1枚も持ってない(なのに分厚い作品集は持ってたりする)。買うしかないよ。あとはカーステンさんの歌が悪くないことを祈るのみ。

検索するとちゃんと日本語版ウィキペディアに項目が立ってるじゃんか。読むとドロシー・カーステンというひとは1945年にメトロポリタン歌劇場デビューしたソプラノ歌手とあって、75年には同歌劇場のツアーで来日もしてるとある。ずいぶん長いキャリアだからメトロポリタン歌劇場の重鎮的なひとだったんだろうか。

おれはオペラにもオペラ歌手にもほとんど興味ないから、このひとがどういう歌手なのか全然わかんないけど、ともかくキャーっていうような大音声でガーシュウィンを歌ってなければいいなあと思いつつ針を降ろしたのだった(すまんね、こんな表現してオペラファンの人には)。

そしたら、そんなことはちっともなくてすごくいいんだ。まったくジャズ的なところはないんだけども、ゆったり、たっぷりとした歌いぶりで、かといってモタモタしてるようなところは微塵もない、なんつうか古き良きアメリカンポピュラーミュージックって感じがひしひしと伝わってくるような、あーこのひとポピュラーミュージックも歌い慣れた実力のあるひとなんだなって、オペラなんて完全珍紛漢なおれにもハッキリわかる。もちろん大仰な「大音声」なんてどこにもありませんでした。

〈1950〉とcopyrightのクレジットにあるから72年前の録音で、当然バックのオーケストラも一緒にスタジオに入ってるのでしょうが、これがまた滅法いいんだ。ジャケットにあるスタインワイスのクルクル筆記体を読んでみると、パーシー・フェイス&ヒズ・オーケストラ&コーラス! さすがムード音楽界のスター、どうりでキモチいいわけだよ。

こりゃあ知らなかったのはおれだけで、なかなかのレコードを拾い当てたみたいだ。調べてみるとこのガーシュウィンのほかジェローム・カーン集も録音してるらしい。ポピュラーアルバム3種をまとめたCDもある。

つうわけで、近ごろはこういう7インチEPレコードの「アルバム」がマイブームでね。7インチ盤のコーナー漁っちゃあ、たまに見つけて買ってる。これがなかなか楽しいんだ。さっき書いたとおり10インチ盤と併売されてたケースが多いから、10インチサイズのジャケットがそのまま縮小されて使われてることがほとんどでね。たまに(10インチならそれなりのお値段しそうな)有名盤がちっちゃくなって7インチコーナーに隠れてたりしてさ。ひゃあー、キャワイイ! なんてね。

だけど、なにしろ7インチだ。シングル盤よりも片面の演奏時間が長いとはいえ5、6分でひっくり返さなきゃなんない。アルバム聴き通すのに3回レコードプレーヤーのとこまで行かなきゃいけないわけだ。

しかも 'side1' のウラは 'side4'、'side2' のウラが 'side3' つう、オートチェンジャーでプレイする前提にどれも全部なってるから、律儀にその順に聴こうとすれば超メンドくさい。

だからここんとこ、あーオートチェンジャー付きのプレーヤーがあったらいいなあなんて、つい思ってしまうのであった。ガラード、トーレンスなんて贅沢は申しません(買えれば欲しいけど)。デュアルとかBSRでも構わない。完動極上美品で3万円、なんてのがないかな。あるわけないよな。

あ、チェンジャー付きならポータブル電蓄でもいいんだ。つか、そのほうがオサレでいいかも。

こういうヤツね(右がチェンジャー付き)。



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Commented by s_numabe at 2022-11-23 23:03
god-zi-lla殿、こんばんは!
またもやゴキゲンな盤を手に入れましたね、さすがです。この "Dorothy Kirsten Sings Songs of George Gershwin" は同一デザインのジャケットの10インチ盤でも出ています(Columbia ML 2129, August 1950)。おそらく同時発売でしょう。そう、小生がかつて「その愛すべきイラストはむしろ10インチ盤の小さな正方形に似つかわしいようだ」と評したうちの一枚として。ただし写真が主なので、拙著のセレクションからは惜しくも漏れた次第。でも一目でスタインワイスとわかる書き文字が素敵な一枚でした。
メトロポリタン歌劇場の歌姫カーステンは往時の大人気ソプラノですが、オペレッタ、ミュージカルの歌も滅法上手。この時代のアメリカでは、クラシカル~ポピュラー~映画音楽の垣根は思いのほか高くなかったんです。
カーステンの別のLPが拙著の74ページの左上隅にチラっと小さく載ってますので、お暇なときにご照覧あれ!
Commented by god-zi-lla at 2022-11-24 08:26
s_numabeさん こんにちは。

んーむ、s_numabeさんはこのレコードについても「先刻ご承知」でしたか。いやあ恐れ入りました。

しかし、これは素晴らしいレコードですね。オペラについては完全なモンガイカンなのでまったく知らないひとでしたから驚きました。たしかに仰るとおり、クラシックとかポピュラーとか意識させない「古き良きアメリカ」の歌声です(パーシー・フェイスの演奏もまた)。

でもこれが《12インチのギャラリー》で初めて知ったスタインワイスのカヴァーデザインじゃなかったら、間違いなく素通りしていました。
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by god-zi-lla | 2022-11-23 09:47 | 常用レコード絵日記 | Comments(2)