レコードの「ヒゲ」
2006年 05月 07日

ヒゲってのはレコードをターンテーブルのセンタースピンドルに挿すときに、一発で乗っけられずにレーベル面をスピンドルでグリグリしてしまったためにできた痕跡のことね。
まーふつう、こいつがあるレコードをマニアは蛇蝎の如く嫌ったりするわけですな。前の持ち主の扱いが悪い。レコードを愛してない。ひいては盤そのものにもキズがあってノイズが出ることが多い。当然市場での取引価格は下がる。
しかしね、おれはそんなに嫌ってるわけでもないのよ。
そりゃヒゲのない盤よりある盤のがノイズ発生率は高いわさ。この写真の盤なんか、すごく広い範囲にヒゲがのさばってたりするので、もしかするとポータブル電蓄みたいなちっちゃいターンテーブルに乗っけられてた可能性もあるしな。そうするとさらに質の悪い針で再生されてたかもしれんね。
でもさ、おれはときにこうも思うわけよ。
たしかに前の持ち主はレコード盤つう物質は愛してなかったかもしらんけど、これだけいっぱいヒゲができるほどの回数は、少なくともこのレコードを聴いたことは間違いない。っつーことはこのレコードに収められた音楽そのものは愛してた可能性は高いな。
どこのどなたであれ、そういうお人から回ってきたものは、ノイズがあったって多少は大目に見てやろうじゃん。交換価値にしかレコードの存在を認めないようなごく一部のコレクターにくらべりゃよっぽどマシだもんな。
ま、それでもヒゲがないほうがいいわけで、ちなみにトーレンスのセンタースピンドルのてっぺんてのは平たく処理されていて、少しくらいレーベルをグリグリやってもヒゲができないように作られてんのね。
それにひきかえ昔使ってたDENONのプレーヤーのそれは逆に円錐状にとんがってて、ちょっとスピンドルがレーベル面に触れるだけでヒゲができちゃうもんだから、毎度毎度大げさにいえばおっかなびっくりレコードかけてたもんね。
もう設計者が日常どれだけレコードに親しんでたかそうでないかが、そのまんま製品に出ちゃってんだよな。
by god-zi-lla
| 2006-05-07 08:41
| 常用レコード絵日記
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