神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

辛味大根おろしぶっかけそば

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いやそれにしても思うのはマイルスが〈ON THE CORNER〉でやってたのはファンクビートに乗ったフリージャズっつうかフリーファンクっつうかね(プロレスラーっぽいな)。なんかそんな感じにきこえてきた。

マイルスって人はフリージャズには距離を置いてたようだけども、まーそりゃそうだよな。ああいうメジャー指向の人がフリージャズに向かうとは思えませんわね。コルトレーンの長いソロにも「おまえなんでそんなに長く吹く必要があるんだよ」って言ってたっていうしね。

けどあれじゃないですかね。けっこうフリー系のミュージシャンがなにをしようとしてたのかってことについては、理解してたんじゃないんでしょうかね。もともとジャズの制約を1個1個とっ外して自由を獲得しつつもメジャーで「売れる」音楽を作ってきたのがマイルスだもんね。

〈BITCHES BREW〉から活動中止までのマイルスの音楽ってなマイルス(とテオ・マセロ)が発明した「売れるフリージャズ」だったなんつうと、ちょっと違うかもしれんけど、なんかそんな感じはするんだけどね。

だってわかりやすいメロディがあるわけじゃないし。おれシロートでよくわかんないけど〈ON THE CORNER〉なんてそもそも「調性」がないよね。ファンクビートに乗っかってるマイルスのトランペットだってまあ「ソロ」っていうよりか、ビート感にちょんちょんちょんと色を足してってるような、89年に厚生年金で聴いたときもときどきキーボードに触ってビーとかベーとかいう音をマイルスが出してたんだけども、そういう「装飾音」とトランペットのソロはけっきょくおんなじもんなんだろうな。

「ジャズのソロ」っつう概念がもうマイルスのアタマん中からなくなってる。でもフリージャズの「集団即興」みたいのとはまたぜんぜん違う。でもできあがってきこえる音楽はもう、どうしようもなくマイルス個人のものって感じがするんだけどね。

いやそれで辛味大根なんですけど。ごめんよ。

この辛味大根てのを近ごろはスーパーでも売ってるわけですけども、昔っからあったんですかね。てゆうか、昔ってわざわざ「辛味」なんてことわらなくても大根はツンツンヒリヒリと辛いもんだったんじゃないでしょうか。なかには「当たり」の大根があって、そりゃもう辛くて辛くて涙鼻水止まんないくらいなのも10本に1本くらいはあったんじゃなかったっけね。

それがまあきょうびの大根はすりおろしたって一向に辛くありません。よくわかりませんがこうなったのは「青首大根」が店頭を席巻してからのような気がするんだけどね。どんなもんなんでしょう。

いやそんなもんだから、たとえばサンマやら「ちりめんじゃこ」やらにちょいとピリっとした大根おろしを添えて食いたいなんてときにですな。なんかこう不満が残るんだよね。ピリっとこない大根てのにさ。そんなことないすか。

そんなこんなでこの「辛味大根」つうチビっこい大根が、けっこうな割高のくせに店頭に出てくるようになったわけなんでしょうか。まあいいんですけども、おれとしちゃありがたい存在ではございますね。なにせ「はずれ」なく必ず(多少の個体差はあるけど)あの大根らしい辛さを味わえるんだからね。

ところがですね。ふと思いついて今しがた手元にあります95年小学館発行の「FOOD'S FOOD 食材図典」を繙いてみますと「辛味大根」てな、京野菜で外形は小カブのような形をした(つうかカブにしか見えない)大根だそうじゃありませんか。以下まるごと引用します。

辛味ダイコン
京都の特産で、丸くて直径3〜5cmで小カブ程度の大きさしかない。肉質は緻密できめが細かい。辛味が強く、すりおろしてそばのつゆに使えば薬味として絶品である。


うーん、「絶品である」なんて主観が堂々述べられてるところがどうもこの「図典」のいいとこなんですね。
まあそれはともかくとして。そういや築地の手打ち蕎麦屋で食ってた辛味大根蕎麦についてきてたのがこれかもなー。ごく少量ですっげー辛かったし。

さらに追加でネットで検索してみますてえとこの京野菜の「辛味大根」。蕎麦の薬味以外に用途がないもんだから、どんどん廃れて今じゃ2軒の農家しか作ってないとありますな。うむむむ。

するってえとこの冒頭の写真の、いまどきスーパーでもおなじみさんのこの「辛味大根」て何? ちなみに95年版「食材図典」にはそれらしき物体は出ておりませんね。つまり10数年前にはなかったってことでしょうかね。

しかたないのでこれもまたネットで検索してみますと、どーも近頃は辛味の強い大根を総じて「辛味大根」と称するようになってるらしいですね。

けっきょくふつうの大根が辛くないもんだから、辛い品種の大根を「辛味大根」と総称するようになっちゃったんだろうなきっと。ちなみに前述の「食材図典」によれば。


1980年代に入り、外観がみずみずしく、味は甘く辛みがなく、多汁という長岡耐病総太り(基本となったのは青首宮重総太り)の消費が激増し、青首ダイコンのブームになった。(太字おれ)


てなわけでこの「自称」辛味大根君をすりおろして、ぶっかけそばにしてみましたもんね。大根はおろしたまんま絞らずに、そのかわりツユはそのぶん濃いめに作ってぶっかけます。せっかく辛い大根を薬味にしてんだから、ほかのジャマものは入れてないよ。

ソバはここんとこ気に入ってる乾麺の二八蕎麦。じつは何回か食ってるうちに袋に書いてある茹で方じゃないタイミングで茹でるとかなりいけることがわかったもんで、それがうれしいもんだから、スーパーで買っちゃ食ってんだよね。でも書いてあるとおりに茹でるとダメなの。

というわけで幻の京野菜の「辛味大根」も手に入れて食ってみたいとは思いますが、まあそこまでしなくても、それなりにおいしい昼メシにゃ少しの努力でありつけてるんで「良し」としようじゃありませんか。
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by god-zi-lla | 2008-06-20 10:41 | 食いモンは恥ずかしいぞ | Comments(0)