神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

地道にやってますぜLONDON国内盤

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ここんとこ雑誌やなにやらのCD評とかコラムとかが休載になってるのが気になってたら黒田恭一さんが亡くなってしまったな。

おれはとりたててクラシック愛好者というほどでもないけど、黒田恭一さんはああいう文体(というか字面の見え方も含めて)でずっとむかしから評論やエッセイを書き続けていて、あれはいったい意識的につくられた文体なのかそうでないのか、以前からすごく気になってんだけどね。

ある部分吉田秀和の文体を下敷きにしたというか換骨奪胎したというか、そんなふうに見えないわけじゃないしたぶん黒田さん自身非常に影響を受けたんだろうと容易に想像はつくわけだけども、ただあの文章からすれば黒田恭一という人は吉田秀和のように偉大な批評家であるよりもまず「紹介者」であろうとしたんじゃないかと、ふと思ったりもする。

どうせ吉田秀和にはなりえないという思いがあったかどうかは知らないけども、少なくとも吉田秀和という巨人とは別の道を行こうという意識はあったような気がするね。まあしかし、れいによっておれの勝手な思い込みだけどさ。

高校から大学にかけて買った何枚かのレコードの裏解説やステレオサウンド誌の連載エッセイで読んだ黒田さんの持って回らない、つか持って回ったような表現をたぶん非常に意識的に避けて、場合によったらちょっと鼻につくくらい平易な言い回しに執着してるといえるような文章にすごく惹かれてきた。
正直なところ内容よりも文章そのものに惹かれてたとこがちょっと申し訳ないってば申し訳ないんだけどさ。

あの30年以上もむかしのステレオサウンド誌というとその黒田恭一さんのほかに岡俊雄や三浦淳史、それに五味康祐といった(みんな亡くなってしまった!)人たちの音楽やレコードやオーディオにまつわるエッセイがたくさんあって、いま考えてみてもあれはすごい雑誌だったなあと思わずにはいられないね。

すごい雑誌だったなあなんて、まるでなくなってしまった雑誌のような言い方ですいませんけど、ここんとこの弁当箱サイズのいわゆる論壇誌ってやつがつぎつぎと休刊になってくような時代に、かつてはたしかにあったはずの「こころざし」がいまは失われてしまった雑誌なんてもう枚挙のいとまもないくらいなもんだからさ。とりたててステレオサウンド誌がけしからんとかそういう問題じゃないよ。

まあ、あのへんの雰囲気をたぶんこれこそいまは亡きサウンドステージ誌は引き継ごうとした形跡が見えたけど、たぶん商業的にうまくいかなかったから休刊になったんだとすれば、結局のところそういう雑誌が読者から支持されなくなったってこと以外ないわけじゃんか。

唐突かもしれないけど、ようするに雑誌より先にまず読者が劣化しちゃったってことなわけだろうな。だからたぶんステレオサウンド誌が昔と変わってしまったんだとしたら、それはとりもなおさず読者が変わって(あるいは代わって?)しまったからじゃないでしょうかね。

なんでおれこんなこと書いてんだ。
まあとにかくその今考えてみれば生半可じゃない執筆陣のなかで、たぶん当時は若手のほうだったんだと思う黒田さんの「ぼくは聴餓鬼道に落ちたい」(だっけ? うろ覚え)や「さらに聴きとるものの彼方へ」(これも、だっけ? うろ覚え。なにせバックナンバー全部捨てちゃったもんで)を、じつは五味康祐の連載よりずっと熱心に繰り返し読んでいたのでした。

そんなわけで、じつのところほとんどレコードの裏解説とステレオサウンド誌だけというくらいで黒田さんの文章にたくさん触れてきたわけでもないくせに、そのわりには少なからざる影響を受けてしまった読者のはしくれとして黒田恭一さんのご冥福をお祈り申し上げないわけにはいきません。合掌。

でその、おれが勝手に思うところのステレオサウンド誌黄金時代を支えた筆者のひとり岡俊雄先生が裏解説を書いてるのがこのロンドンレコード国内初期盤ご存知アンセルメ/スイスロマンドの「展覧会の絵」。手に入ってうれしいす。最高。エサ箱からひっこ抜くとき思わずジャンプしちまったくらいなもんだぜい。英DECCAラージラベル深溝のオリジナル盤手に入れるのよりきっとうれしい。多分だけど。

なにせ千円ちょっとだからね、バカっ高いオリジナル盤買って一瞬「おれはもしかしてまたバカな買い物しちまったんじゃないだろうか」なんて悔悟の念が脳裏をよぎるなんてことは絶対ありませんもんね。ただ純粋にうれしいだけ。

まあ後ろめたさの快感てのも否定はしませんけどさ。

つうことで、れいによってこの演奏についてあたくしのようなものが申し上げることはございません。たんなる自慢たらたらってやつでございます。へへへへ。
Commented by jazzamurai at 2009-06-10 01:38
またオモロイジャケットでんなあ~。
Commented by god-zi-lla at 2009-06-10 06:41
DECCAのオリジナルジャケットもこの写真のようですが、なんちゅうか、ちょっとアイデア倒れな写真のような気もしますね。
Commented by ノイ at 2009-06-10 18:54 x
だんだんと充実してきましたね。キング盤。
今度バックハウスの皇帝を献呈いたします。
そのかわり、ちょっと人柱つか、儀式が必要なんでございます(爆
Commented by god-zi-lla at 2009-06-10 20:01
は? ぎ、儀式すか?
バックハウスの皇帝は欲しくて探してる1枚なので素直に「ありがとうございまっす!」って言いたいんですけど、うーむ、なんかコワいぞ(笑
Commented by ノイ at 2009-06-10 21:23 x
> なんかコワいぞ(笑
その予感は当たってますよ たぶん。
お楽しみに。
Commented by jazzamurai at 2009-06-10 23:35
EL&Pの展覧会も、額縁だけでした。あっちがパクリなんでしょうか・・・・。
Commented by god-zi-lla at 2009-06-11 05:55
EL&Pはもっともらしい額縁に真っ白なキャンバス、アンセルメは額の裏側ってどっちも「絵」を見せないとこが同じ発想だったりするんでしょうか。

音楽だけで想像力を喚起させようってとこが出発点かな。

ただ、どっちもそれほど優れたデザインには見えないんですけど(笑
Commented by god-zi-lla at 2009-06-11 11:04
> その予感は当たってますよ たぶん。

非常にヤな予感がする(爆
「儀式」は20日ですね。
Commented by ひろかーちゃ at 2009-06-11 16:12 x
黒田恭一さん・・・
私がJAZZに興味を持った一因は彼のある記事でした。もう半世紀ほど前のこと。
私の母が購読していた「暮らしの手帳」にクラシックレコードの紹介を黒田さんが執筆されていて、たまたまある号に「たまにはジャズを聴こう」と題し、3枚のモダンジャズレコードが紹介されていました。
その一枚、ビル・エバンスの「インタープレイ」が私が購入した初めてのジャズレコードです。
当時国内ビクター盤1800円でした。(今でも大事に持っています)
なつかしい・・・・・・合掌。
Commented by god-zi-lla at 2009-06-12 06:16
「暮らしの手帖」というところが黒田恭一さんらしい感じがしますね。
ひろかーちゃさんがその記事でジャズに興味を持たれたように、やはり黒田さんて人は優れた紹介者たらんとしてたっていう想像は、あながち的外れでもないのかなと思いました。

しかしビル・エバンスの、しかも「インタープレイ」ってとこが、クラシック紹介記事に潜ませるジャズとしては、すごくいいとこ突いてる感じがするなあ。音楽もジャケットも。
Commented by ひろかーちゃ at 2009-06-12 08:43 x
でも、最初はジャズの良さというか、聴き所というのは何も理解できなかったですね。かろうじて知っていたのはディズニーの「星に願いを」のメロディだけでした。
その頃ジャズの大人びた、高踏的な雰囲気に憧れていたようです。
ちなみに、うろ覚えですが黒田さんが紹介していた他の二枚は
オスカー・ピーターソン/ナイト・トレイン、シェリーマン/マイ・フェア・レディ(もしかしたらアンドレ・プレビン/ウエストサイドだったかも)でした。

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by god-zi-lla | 2009-06-07 10:16 | 常用レコード絵日記 | Comments(11)