神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

タグ:オーディオ小細工 ( 60 ) タグの人気記事

焼きかつおスピーカー

焼きかつおスピーカー_d0027243_12462455.jpg



これが近ごろ世間を騒がしている「焼きかつおスピーカー」というんである。え、知らない? そうかなあ。

斯界の著名人、新忠篤氏の考案されたこの新機軸スピーカーを、新氏から池袋の某所で密かに直接製造術を伝授されたわれらのアンプ師匠がパーツ調達から何からナニまですべてお膳立てしてくださり、湯島のいつものあそこに先週の土曜日の午後数人の物好きなおじ(い)さんたちが集まって開催された工作教室で悪戦苦闘すること数時間。ついに完成したのが上のナニのアレなのであった。

こうして写真に撮って眺めてみると、どどーんと赤いボール紙の大筒のスピーカーってのはヴィジュアル的になかなかのインパクトやねえ。

しかしじつにこの赤いボール紙のアレが「焼きかつおスピーカー」の「焼きかつお」部分なんである。「いなば」の「焼きかつお」。どうも高級なキャットフードで、そいつがこの紙筒のパッケージにぎっしり詰まってるらしい。

どうもネコちゃんはこの赤い紙筒には見向きもしないらしく、ネコといっしょにヤギでも飼ってりゃまだしも、けっこう立派なパッケージが哀れゴミになる運命であったところを新先生がスピーカーのエンクロージュアに使ってみようと思いつかれたんだそうだ。

で先月のこと、それを実地で教わったわれらがアンプ師匠が持ち込まれた「焼きかつおスピーカー」をみんなで聴かせてもらったところ、その笑える外観とはウラハラな良い音に一同ビックリ、自分で作ってみたかったら教えて進ぜようという師匠のお言葉に甘えて総勢5人のおじ(い)さんが生徒になって、ひとによっては小学校以来の「工作」の時間になったんでした。


焼きかつおスピーカー_d0027243_12471649.jpg


これが5セットぶんのパーツ。SPユニットはSTEREO誌別冊のムックの「付録」になってるマークオーディオ製8センチフルレンジユニットで、こいつは各自が密林や本屋などで調達して持参した。袋には師匠がすべてのパーツを揃えて入れてくだすっている。まったくもう、手取り足取りおせんにキャラメル。じつにありがたいことである。



焼きかつおスピーカー_d0027243_12495100.jpg


しかし一同、どーせ紙を切ったりなんかするだけのことでしょと、甘く見てたのが間違いのモトなのであった。やってみるとそうは問屋が卸さない。なにしろテキは厚紙ですからユニット取り付け穴はサークルカッターで地道にゆっくり開けてやらなきゃならない。取り付けビスの穴だって千枚通しでグリグリってなわけにはまいらない。ましてドリルでぐいーんなんてこともできません。ひとつひとつカッターナイフでちっこい穴を切り出してくんだ。

師匠は師匠で、あたしらの技量について買いかぶりすぎてたね。2時間もあれば悠々完成でしょうなんて言ってたら、多少の個人差はあれども全員フィニッシュするのにおおかた3時間を費やした。もうメガネの度が合わないだのカッターが切れないだの、原因は全部自分以外のせいにしながらそれでも幸いにしてコーンをカッターで突っついてオジャンにしたっつうような重大事故も発生せず、最後にはちゃんと全員音が出たのでありました。


焼きかつおスピーカー_d0027243_12501364.jpg


これはひとつひとつ音出しテスト中の焼きかつお君たち。右端に見えているのはテスト用に師匠が持ち込まれた数千円の中華アンプと中華DACであるが、それぞれに師匠自作のヒミツの電源が奢られていてちょっと信じられないような音がするんだが、それはまた別のハナシ。

いやーもう大満足の楽しいひとときでね。おれも去年はマトリックススピーカー作ったりしてましたけど、なんつったって一人でシコシコやってるからね。楽しい語らいだとか、グチの言い合いだとか、イチャモンの付け合いだとか、そういうコミュニケーションがありませんから、一人で工作やってると作業が行き詰まったときにそのまま煮詰まったりなんかする。

それがこうやって大勢で床にすわりこんでやいのやいの騒ぎながら、いいトシこいたおじ(い)さんたちが手を動かしてるのって思いのほか楽しいモンなのであった。

工作が終わるとその後はいつもの湯島天神下のあの店で、忘年会を兼ねた打ち上げに突入。帰りはおのおの自分でこさえたスピーカーを大事に抱えて帰路についたんでした。途中、転んでハコをぶっ潰したとか、電車の網棚に乗せたまま眠り込んで遺失物とか、そういうハナシも今のところは聞いてないので、おそらくめでたしめでたしの一日が終わったんじゃあるまいか。



焼きかつおスピーカー_d0027243_12503499.jpg



つことで、一夜明けてこんだは自分ちの慣れた装置に繋いでみる。SPケーブルがユニットから直出しなので物置部屋のQUAD405で音を出す。FMとApple Musicで慣らし運転すること数時間。それからSL10でレコードも聴いてみた。

いやーいい音だなあ。どうしてもヒイキしちゃうよね。自分で作ったものはやっぱりカワイイ。客観的に評価することなんて出来ません。いや実際けっこういい音なんだよ。もしかしたらオーディオなんてこれで十分なんじゃないかって、結構マジで思ったりもする。

年の瀬に、こういうのを作ってハッと我に帰るってのも悪くないかもね。




by god-zi-lla | 2019-12-16 17:12 | オーディオもねぇ… | Comments(0)
バカの馬鹿力にゃホトホト困ったもんぢやとGEの#49は言った_d0027243_10130342.jpg



marantz 7のパイロットランプが切れた。

ふつうの白熱電球だから寿命が尽きれば当たり前のように切れるんです。

パイロットランプの交換の実際についてはこのときこのブログにしちゃあ珍しくウソ偽りなく懇切丁寧にレポートしてるので、必要な人はご参照あるべし。

11年前、marantz 7本体と一緒に予備の電球も2本譲ってもらったんだが、その後米国製の古い電子部品のデッドストックを買い集めちゃ商売をしているパーツ屋さんのサイトにGE製の#49つう純正品があるのを発見(純正ったってmarantz 7のバックパネルには単に#49と規格表示があるだけだけどね)。何十個も買うようなモンでもないので、とりあえず10個買ってみたんでした。

で、いただいた予備球も尽きていた今回、初めてそのデッドストック品を取り付けることになった。それが写真のビニール袋に入ってるヤツね。古いもんだから真鍮の部分に少し錆びが浮いてたりするのは仕方ありません。

でまあ、前掲エントリーのごとき手順で電球を交換、新しい電球の付いたソケットをフロントパネルに装着する前に電源を入れて点灯を確認、その後フロントパネルから突き出た金属板にソケットを差し込みボンネットをネジ止めしたうえでmarantz7本体を棚に戻して元通り結線したのであった(せっかくだから接点やらなんやら掃除したけどその話は省略)。

そしてあらためて電源投入。
しかし点灯しません。

え? なんで。

なんかやっちまった、おれ?
とうとうmarantz 7をぶっ壊した?

なにしろつい何分か前に点灯を確認してるんだから、真空管の足だのソケットだの掃除してるときに致命的ななんかをやらかした可能性がないとはいえない。血の気ひく。冷や汗すこし出る。

とにかく確かめるしかありません。パイロットランプは点灯しないけど電源スイッチはONの状態のままパワーアンプの電源を入れて、そこいらへんにあったCDをかけてみた。

そしたらちゃんと音が出る。なによこれって。しかもあちこち掃除したおかげでしょう、最前よりもフレッシュでクリアないい音がするんだよ。んー。つことは、なんなんだろか。

もう一度電源落として、しばし考えた。

んー、そういえば古い電球を外して新しい電球をソケットに取り付け、光り漏れを遮断する白い樹脂カバーを電球にかぶせてからソケットをフロントパネルから出っ張ってる金属板に差し込んだ。

そのとき、ちょっと以前やったときよりもグイっと奥まで行ったかなという手応えがあったのを思い出す。

ちょっとだけグイっと。グイグイとかグリグリまでいかない。

もしかしてもしかすると、アレか。

また血の気ひく。また冷や汗。

恐る恐るボンネットを外し、ふたたびソケットを引き抜く。一瞬電球は無傷のように見えた。

しかしそれはたんにおれの老眼のせいで、小型のマグライトで電球の先を照らしながら凝視すると、たしかにアタマのところが割れて小さな穴が開いている。ちょうどエッグスタンドに乗せた半熟卵のアタマを、スプーンの背でトントンと叩いて開けた穴のように。

それにしてもこれってすごく薄いガラスだな。顕微鏡用のプレパラート作るときに使うカバーグラスよりも薄いんじゃあるまいか。いやいやそんなことに感心してるばやいじゃないだろ。あー、きっとあの時チカラを入れすぎてフロントパネルに当たって割れちゃったんだ。しまったなあ。

しかしモンダイはその先にあったのであった。

なにしろそんなに薄いガラスの豆球の、しかもアタマのところに穴が開いてる。じつに脆い。ちょっとつまんでみるとピッと亀裂が入った。外して新しい球を付けるためには、とにかくこの割れた球をヒネってソケットから抜かなきゃなんない。けど、このモロさではそんなことは到底できっこない。そのままヒネれば球は粉々に砕けるだけでソケットから抜けないばかりか、こちとら指をケガするのが目に見えてるじゃないか。んー。マズイ。超マズイ。

しばし考えた。

意を決してガラスの球の部分をラジオペンチの先で全部叩き壊すことにした。とはいえシャーシの中にガラス片が飛び散るのはなんとか避けたいから、ティッシュで球を包むようにしながら慎重に砕いていく。

そして根本の真鍮部分だけになったのをラジオペンチで咥えてヒネり、ようやっと取り外すことが出来た。

ったくもー、なんてこったい。

クソの役にも立たない馬鹿力で余計なことをしやがって。ほんとバカバカ、おれのバカ。

つうわけで写真では10本あったエジソン翁直系ゼネラルエレクトリック製豆電球はあっちゅーまに在庫8本になってしまったのであった。あー、こんなことならもうちょっと買っとけばよかったかなあ。

それでまた考えたんである(今日はよく考える日だ)。手に入るんであればもう少し予備をストックしたほうがいいんでないかと。では、どんくらいあれば用が足りるんでしょう。

たしか、おれが交換したのはmarantz 7がウチにやってきて以来11年でこれが3回目。だいたい4年くらいは持ってる感じだろうか。そうするといま新しくしたのを含めて9本だろ。その9本であと何年くらい持つもんであろうか。

4年 × 9本 = 36年。そうか36年くらいは行くんだな。

つことは、おれがいま63歳だから、

63 + 36 = 99。 

なに? 99歳?

わはははは。もういらねーじゃん。





*marantz 7のパイロットランプ交換をお考えの諸賢は、くれぐれも押し込みすぎにご注意くだされたく

by god-zi-lla | 2019-11-28 23:35 | オーディオもねぇ… | Comments(5)
この夏のオーディオお買い物メモその1 だけど音質改善とはなんのカンケイもない_d0027243_08185286.jpg






で、これかよ、といようなモンでもありましょうが、おれとしたら大逡巡のすえのこれがこの夏最大級の買い物なのよ。

なにしろ最初にiPad買いたいなー、どうしようかなー、とウダウダ思い始めたのがブログのバックナンバーをひっくり返すと(ひっくり返すってのもヘンだけど)2010年のことなんでした。

コメント欄を見るとピピエコさんが買え買えとそそのかし「Newtonの再来」とまで叫んでいる。爾来10年弱。ここまでグズグズと「決められない」自分というものをホメてやりたいくらいなもんだ。

おかげでiPadはこの10年で驚くばかりの機能と性能を備えることになり、お値段はずいぶん下がった。

優柔不断は節約の遠い親戚。

エラいぞ、おれ。
なんつて。

まあ物欲はけっこうありますけど別段新しモン好きというわけでもないので、iPad登場してほぼ10年。ようするに、ここへきてようやくiPadにさせる「仕事」が出てきたから買う気になったわけだ。

写真上はAudirvana Plusのリモコンアプリ〈A+ Remote〉。Mac miniにインストールしてあるAudirvana Plus本体をWi-Fi経由で操作して音楽ファイルの再生をする。

このリモコンアプリをiPhoneに入れて、それなりに便利に使ってきた。しかし、なにせ表示が小さくて狭っ苦しい。ハッキリいって老眼にはかなりシンドイ。そもそもこのリモコンアプリだってiPhoneじゃなくてiPadで使うのを想定してるんでしょうから、ムリな使い方してるおれが良くないんだろうけどさ。


この夏のオーディオお買い物メモその1 だけど音質改善とはなんのカンケイもない_d0027243_12473039.jpg


こんな感じだから、見た目は悪くないんだけど実際使うとちょっとツラい。老眼なうえにトシのせいでブキッチョになってるし、そもそも指が太いから手元が狂って別のアルバムにタッチしたりはしょっちゅうですしね。

もうひとつの写真は〈FileMaker Pro〉で作ったCDのデータベース。これは以前のエントリで書いたようにMacのOSをモハーヴェにしたらFileMaker Proが起動しなくなったので、iOS専用のフリーアプリ〈FileMaker GO〉で開いてる。

FileMaker GOは新しいデータベースの開発・製作は出来ないんだけど、CDと料理レシピ、ふたつの既存データベースのデータを更新することは普通にできる。

おれはもう新しいデータベース製作なんかする気がないから、高いお金出してMac上で動く新ヴァージョンのFileMakerを入手する必要はないんだけど、さすがにiPhone上でCD探したり台所に立ってiPhone画面のレシピ見るのは、これまたけっこうシンドイ。それからデータの更新もなんか「裏ワザ」的なやり方だからホイホイホイってわけにもいかなくってね。

まあ、この先毎日ぶつぶつグチこぼして暮らすよりか、この際iPhoneより断然画面の大きいiPadを買やあどんだけ人生明るくなるかわからない。

なにしろ、先日なんかiPhoneでレシピ確認しながら料理してたら字が細かくて見えない。なんて書いてんだよー見えねーよー、なんつって手を拭いて老眼鏡かけてiPhoneの画面で調味料の分量確認して、なんてしてたら危うくナベ焦がしそうになったもん。

買えないお値段じゃないんだから、さっさと買えばよかったんだよな。

ちなみにコイツは〈第6世代〉と説明のついてたやつを、Appleのサイト「整備済み製品」コーナーでお安く手に入れたのであった。


by god-zi-lla | 2019-09-15 13:32 | Macとか、あれとか | Comments(0)
帰省ラッシュで渋滞中な回転台(しかし改善の余地はない)_d0027243_13362729.jpg




ぢつはお盆休みとは関係なく、春先からこうなってんですけど。

奥は前から変わらないマイクロのMA505Sにモノラル専用CG25Diがくっついてるだけだが、メインのとこはSMEに取って代わりオーディオクラフトAC3000が、先っちょにシュアーのV15typeVとJICOの交換針を付けておさまっている。

そのまた右手すみっこに見えますのはオーディオテクニカAT50ANVの付いた交換パイプでございます。

こうなったイキサツなんてのを書き留めとこうとずいぶん前から思ってるうちに夏になっちゃって、ソーメン茹でて啜る以外のことはまるでヤル気が出なくなっちまった。

とにかくまあ、あーだこーだ考えてるうちにこれはどうかってことになった。キッカケはフィデリックスのMitchakuシェルを買ったことにあるんだけど、ようするに風が吹けば桶屋が儲かるんである。

とにかくいまはこーなっている。

プレーヤー周りではほかにも手に入れたモンがあるんだけど、それもやっぱ暑いのでまだ試してない。

なにしろ、ぶつかりそうで大変なんである。写真じゃぶつかってるようにも見えますが、CG25Diの指掛けとオーディオクラフトとは5ミリあるかないか。ホントはマイクロはもっと後ろにしたいとこだけど、オーディオクラフトの後方になるようアームレストを調整すると、レコードをかけるたびにオルトフォンはオーディオクラフトの上をいちいち(手動で)越えてこにゃならない。

そのほうがよっぽど恐ろしいよ。

モノラル盤をかけるときはオルトフォンの指掛けを右手人差し指の上に乗っけたまま、小指の先をオーディオクラフトとターンテーブルの間に付けて支えるようにしながら針を盤に下ろす(これを書いたあとで、あらためてやってみたら小指じゃなくて薬指だった)。

いわゆるひとつの熟練のワザってヤツですかね。慣れればどってことなさそうだが、慣れるのがまた怖い。

で、こんだはステレオ盤をかける。オーディオクラフトの先のシュアーがレコードの最内周まで行ったときは結構スリリングである。オルトフォンのオデコのとこにオーディオクラフトのアームパイプがどんどん迫っていくんです。

いっとう最初のときは、シュアーの針が最内周へ向かっていくのを固唾を呑んで見守ったもんである。

ラベルぎりぎりまで溝を切ってある盤の場合、暴走列車が終着駅の車止めスレスレで急停車するサスペンス映画でも見るような気分にひたれる。

見てるだけで脂汗がにじみ出てくるような光景で、まあこれも夏向きとはいえない。

(to be continued)




by god-zi-lla | 2019-08-12 14:29 | オーディオもねぇ… | Comments(0)
こんなふうな構造だったなんて30年間知りませんでしたのさ(THORENS TD521のプーリー)_d0027243_13383848.jpg



花冷えとはまたうまく言ったもんだと感心するような曇り空だ。

どんなキカイもそうだけどオーディオ装置も長年使ってると次第に衰えてくるもんではある。衰えるってのはヘンな良い方かもしれないけど「劣化」つうと、なんだか情け容赦ないような気分がするじゃんか。人間だって年を取れば衰えてくるわけで、それを「劣化」といったっていいわけだが、なんかヤな感じだ。衰えると言われても老いぼれると言われても、おれはかまやしませんが「劣化」してるって言うのはカンベンしてほしいもんではある。

まあ、いまんとこ人間サマに使われる例は少ないようだが、まるでないわけじゃない。

だから慣れ親しんだオーディオ装置も劣化といわず「コイツも衰えたよなあ」などと言いつつ労りながら使ってやろうと思うわけだが、中古品として手に入れたものはソイツがさらっピンのときの状態というのを知らない。おれんちでいうとmarantz7が工場を出た半世紀以上もむかし、初めて電源を入れたときの音なんて想像もできない。

コイツがおれんちのラックに収まってからでもすでに10年が経つわけだが、その前の数十年、どんな音を出してたのかわからないが、最初っからいまと同じ音で鳴ってたと思うほうがヘンだ。

そこいくとトーレンスTD521つうレコードプレーヤーをおれは新品で買い、いったい何万回こいつでレコードを聴いたのか見当もつかないが、届いた段ボール箱をわくわくしながら開け取扱説明書の指示どおりに組み立て、ベルトをプーリーとサブプラッターに掛け、そこへアウタープラッターを乗せてゴムシートをさらに乗せ、それからレコードを出してきてスピンドルに刺し、初めて電源を入れスイッチを押してターンテーブルが回り始めたときにどんなふうだったかってのは覚えている。それがコイツの「初期状態」というもんである。

なんで長ったらしい前口上を申し述べてるかというと、最近のコイツはその30年前ドキドキしながら初めてレコードをかけたときとは随分と違ってきたということなんであるが、もしおれがコイツをいま中古品として手に入れたとしたら、これがTD521つうレコードプレーヤーの当たり前の状態だと思っちゃうだろうなあということである。

なにしろ無事スタートしたあとはモーターもちゃんと安定して回転しており、ひとたび針を盤面に下ろしてしまえばなんの不足もなく音楽を聴くことが30年前だってこんにちただ今だって出来る。

ただ、そこまでにいたる前がなんだかおかしい。なんかどっかが衰えてきてる。

しばらく前から(ひょっとすると1年かもっと前から)、ときどきゴムベルトがサブプラッターから外れるようになった。

このトーレンスTD521(それからTD520も、もしかしたらシリーズのTD320や321も)はきちんと安定した設置場所に水平に置かれたうえ、サスペンションを適正に調整してくと、あとはスタートボタンを押しさえすれば音もなくサスペンションがブルブルと振動するようなこともなくターンテーブルは回り始める。

もちろん普通に使ってるかぎりベルトが外れるなんてことはなくて、もしも外れるようなことがあればそれには必ずなんらか原因がある。そして、たいていの場合サスペンション調整の不適切がその原因だってことも長年使ってるうちにだんだんとわかってくる(つまり何度もサスペンションの調整不良の状態を作っちゃったってことだけどさ)。

ところが、ここんとこわりかし頻繁にベルトが外れる。サスペンションが適切に保たれてるのもかかわらず、スタートボタンを押すとかすかにシャララーという音がしてベルトの外れたのがわかり、ターンテーブルは数回転惰性で頼りなく回ったあと、あえなく停止する。どうもよくわからない。今までとは違う何か原因があるようにも思えるんだけど、わからない。仕方ないので最近は手でターンテーブルの外周を軽く回してからスタートボタンを押す。こうするとベルトは外れることもなく、いつものようにすぐに定速に達するのであった。

なんなのかなーこれは。30年使い続けて熟知してるつもりだったけど、とにかくまだナゾの部分があるってことだよな。

で、上の写真のごとくアウタープラッターを外して、プーリーのあたりをしばらくぼんやりと眺めていたんである。ふと思った。そういえばコイツを外してみたことってなかったよな。

まあそんな必要もなかったからね。だからそもそもプーリーがどうやってモーターに取り付けられてるのかもわかんない。プラスティック製のプーリーの上にある真鍮の帽子っぽい部品はプーリーを押さえる役目なんだろうか。

見るとこの部品はモーターの軸に二つの小さなイモネジで締め付けてあるらしい。観察してもよくわかんないのでごく細いL字の六角レンチを差し込んで回して緩めて引っぱってみると、プーリー本体と真鍮の部品がいっしょにポンっていう感覚をともなって外れた。


こんなふうな構造だったなんて30年間知りませんでしたのさ(THORENS TD521のプーリー)_d0027243_16535643.jpg
こんなふうな構造だったなんて30年間知りませんでしたのさ(THORENS TD521のプーリー)_d0027243_12195707.jpg

するとプーリーの底面、モーターの軸のところにはもうひとつ真鍮製の薄い円盤状の部品があり、軸にはコイルスプリングが被せられている。ポンっと軽くはね返ってきたのはこのせいだったのか。触ってみるとこのコイルスプリングも薄い円盤も固定されてなくて、ただモーターの軸に乗ってるだけだ。

そこにプラスティックのプーリーがさらにモーター軸に通されるが、こいつもただ中心に軸が通ってるだけで固定されちゃいない。

そしてプーリーの上に真鍮の帽子を乗せ、コイルスプリングの弾性に抵抗しながら圧すように軸に通してイモネジで締め付けてある。つまりモーターの軸に固定してあるのはこの真鍮製の部品だけってことだ。


こんなふうな構造だったなんて30年間知りませんでしたのさ(THORENS TD521のプーリー)_d0027243_17031596.jpg

でその真鍮の帽子だ。コイツをひっくり返してみるとプーリーと接触している面に黒いフェルト状のものが貼り付けてある。いや、「フェルト状」じゃなくてこれはフェルトそのものだな。

拡大してみるとこんな感じ。


こんなふうな構造だったなんて30年間知りませんでしたのさ(THORENS TD521のプーリー)_d0027243_22570697.jpg

ひとつ上の写真に写るプーリーを見ると、中心のモーター軸の通る穴のすぐ外周にドーナツ状の凸部が成型されてるのがわかる。ここのところが黒いフェルト部分と接触してるらしい。

そして写真だとわかりにくいけど、そのプーリーの凸部とちょうど接触してるところのフェルトは接触してない部分とハッキリ段差が出来るくらいヘコんでいて、どうもその部分だけ押し潰されてそうなったみたいだ。

しかしさらに目を凝らして見ると、フェルトは押し潰されてるだけじゃなく摩耗していて、じゃっかん真鍮の地肌が透けて見えるハゲチョロケ状態だ。

なんでここにフェルトが貼ってあって、しかもそれが摩耗してんだろか。

しばらく考えて、あーそういうことかってようやく気がついた。これはクラッチだ。

ようするにモーターの回転するチカラは軸に直接ネジ止めされたこの真鍮帽子を回転させる。電源オンになって回り始めたモーター軸とこの部品は一体になって回転を始めるが、プーリー自体はモーターの軸に固定されてるわけじゃないので、コイルスプリングによって下から押し上げられ、モーターと一緒に回転している真鍮部品に押しつけられることによってモーターのトルクを受ける。

しかしフェルトを介しているため、電源オン後一瞬のうちに定速に達するモーターの回転をよそに、プーリーはフェルトによってスリップするため、そこでモーターのトルクの一部を逃がしながら徐々に滑らかにスピードを上げ、モーターよりもやや遅れて定速にたっする。

たぶんこれはそういう仕組みなんだろうと思った。

その先のチカラの伝達もついでにいうと、そうやってプーリーが回転を始めるとプーリーに掛かってるゴムベルトも多分プーリーのところでスリップしながらチカラを逃がしつつ(たぶんそのためのこのプーリーの材質と形状だ)、さらに遅れてサブプラッターをゆっくり回し始める。

そしてアウタープラッターはそのサブプラッターに固定されることなく乗ってるだけなので、おそらくこの接触面でもわずかなスリップが発生し、これら全体の機構が働くことにより、モーターがメインプラッターに一気にチカラを伝えることなくスムーズに定速まで上げていく。それによってサスペンションの揺れなど不要な振動を呼び起こさず静粛にレコード盤を滑らかに回そうということなんだろう。

そうかクラッチだったのか。ぜーんぜん知りませんでした。そうするとこのフェルトの摩耗は30年にわたってモーターのチカラをプーリーに優しく伝え続けたその結果なわけだ。もしかして、この摩耗がベルト脱落の原因なんじゃあるまいか。

つまりですね。フェルトがチビて起動トルクを適度に逃がす機能が働かなくなってプーリーにモーターのチカラが急激に伝わるようになる。そうするとそのチカラをモロに受けたゴムベルトの、プーリーに向かっていく側とプーリーから遠ざかる側のテンションに大きな差が生じ(プーリーよりサブプラッターのほうがはるかに重たいから、起動時のベルトはサブプラッター側がほとんど固定された状態でプーリーに向かっていく側は引っぱられ、遠ざかる側は逆にたるむ)、その不均衡によってベルトが外れちゃうんじゃないか。

つことは、もしその推測どおりならフェルトを貼り替えてやればクラッチ機能が復活して、ベルトの脱落は起こらなくなるんじゃないかしらん。おー、べつに大変そうな作業でもなさそうだからやってみようじゃん。

こういうのは純正のパーツがあって交換すりゃ済んじゃうんでしょうけど、残念なことに現在トーレンス製品を扱う輸入商社がないらしいんだな。つか、トーレンスというレコードプレーヤーの老舗はここ十何年か不安定に迷走を続けてて、いま現在企業として存続してるのかどうかもよくわからない(ブランド名だけが売り買いされて、技術の継承なんて跡形もないんじゃないかという気もする)。だからここは一番、自力でなんとかするしかない。

さて、テキはフェルトだ。もしかしたらウチのどっかにあるんじゃないか。子どもが小さいとき幼稚園のスモックの胸のところに付いてたアップリケの切れっぱしとかそういうのが、お裁縫箱のすみっこかなんかにあったりするとうれしいよな。そう思って奥さんに探してもらったんだけど、考えてみりゃあウチの子どもたちは下の息子ですらアラサーだもんなー。あるわけないよねアップリケ。

そしたらたまたまその翌日、新宿紀伊國屋ホールに芝居見物に行くことになってて、ちょうどアルタの裏あたりにオカダヤっていう生地・手芸材料店が今でもあるはずだから、そこならフェルトなんてきっとヨリドリミドリだよと奥さんが言うので連れてってもらったんでした。



こんなふうな構造だったなんて30年間知りませんでしたのさ(THORENS TD521のプーリー)_d0027243_00131483.jpg


その前に摩耗したフェルトを帽子から剥がさなきゃなんない。カッターであらかたこそげ落としてからベンジンで拭き取ると、こんなふうにキレイに取れた。

そしてフェルトだけど、もともとは多分厚さ1ミリくらいだったんじゃないかと思われたから、オカダヤで1ミリ厚の10センチ角でウラ面に接着剤のついたヤツと念のため2.2ミリ厚のやや大判のフェルトを買ってきた。

その1ミリ厚のフェルトを円盤状に切り出して部品に貼り付けたのが下の写真なり。



こんなふうな構造だったなんて30年間知りませんでしたのさ(THORENS TD521のプーリー)_d0027243_00210322.jpg


ちょっとカワイらしい色でしょ。べつに黒くなきゃいけないってこともないしさ。もっとも取り付けちゃえば全然見えないんだけどね。

まあしかし、モンダイはこれがほんとに原因だったのかということだ。これをもう一度プーリーにセットしてスタートボタンを押したらどうなるか。

元通りになったトーレンスのスタートボタンをターンテーブルが静止状態のまま押してみると、ベルトが外れることもなく、どこかが振動するということもなく、アヤシイ異音もせず、ターンテーブルは粛々と回り始めた。おー、やったじゃんか。やっぱりこのプーリーに貼られたフェルトの摩耗が大きな原因だったのは間違いなさそうだな。

ただ、こういう摩擦部分で使われることなんて手芸店で買った裏ノリ付きフェルトは当然想定してないでしょうから(まあ用途はふつうアップリケだよなー)、どのくらいの耐久性があるのか見当もつかない。まあ当分の間、要観察ってやつだな。なんかあったとしたらその時はその時だ。

あと、どうせここに手を入れたんだったら、プーリーやベルトの表面をキレイに拭いてやり、さらにサブプラッターとアウタープラッターの接触部分をコンパウンドかなんかで磨き上げてやるのもスムーズな回転の維持には必要かもしれないと考えている。

というのも、もともとこの亜鉛製のサブプラッターとアウタープラッターの接触面だけが滑らかな研磨仕上げになってて、その他の部分はそこまでの表面仕上げはされてない。もしかしたら30年前はもっとツルツルだったような気もするので、この部分のメンテナンスもそれなりにやっておいたほうが良さそうな気がしてる。

まーしかし、よく働いてくれてるよトーレンス。これからも頑張っておくれ。おれとしたらコイツが壊れて使い物にならなくなるまでレコードプレーヤーを新しくするつもりは全然ないからね。

その証拠に、じつはひと月ほど前にSMEの3012Rを外して新しい(といっても30年落ちの中古ですけど)トーンアームに載せ替えた。そしてその音がたいへんよろしい。ぶっちゃけ言えば今回のプーリーの修理も先日書いたヒッコリーボードの件も、トーンアーム載せ替えの副産物っつうか「行きがけの駄賃」つうか、リニューアルオープンつうか(違うか)、そういうもんなのであった。

その件についてはいずれそのうちまた。

by god-zi-lla | 2019-03-30 12:14 | オーディオもねぇ… | Comments(0)
棚板は棚に(バレないうちにそおーっと戻すのよ)_d0027243_11520402.jpg




どうしちゃったのかねえ。こんな季節にこんな長雨ってありましたっけ過去に。

おれは全然わかんないんだけど、雨降ると花粉が飛ばなくてちょっとラクとかあるんですかね。だったら多少のご利益はあるってことだね。洗濯干せなくて困るばっかでもなく。

まあいいんです、そんなこたどーだって。

ぢつはこのときムリやりダブルアーム復活さすのに、トーレンスの下に高さ稼ぎの板っぺらが必要になってさ。なにかないもんかと家捜ししてみれば作りつけの戸棚の棚板が1枚。使わずに取り外してあったので寸法計ってみると、お誂え向きたぁこのことだなってくらい丁度ドンピシャだったもんだから、おーほっほっほ、なーんて喜び勇んで使っちゃったのよ。

もちろん奥さんに無断で。

まあとりあえずそこに1段なくても当面困らないっつうか、収納してある荷物の寸法がそれでよかったから外してあったわけでね。使わないで仕舞っとくよりか使ってお役に立ったほうが棚板の野郎だって、このまんま捨てられたりしたらどうしようなんて、いらない気を揉まなくっていいだろうというようなモンである。

それがあなた。

いることになっちゃったんである。入れとく荷物が変わったから、こんだはおまいさんに出番が回ってきたよって。

つか、おれが自分でこの戸棚の荷物の片付けしてたら、おー、ここんとこに棚板1枚ありゃあバシっと整理がつくじゃんか。あれ? だけど、たしかここに入る棚板もう1枚あったよなあ。どこへ仕舞ったっけかしらん。

こういうのを「耄碌」というんである。

「耄碌爺ィ、いま何時?」
「もう6時」

つまらんこと言ってる場合ではない。

半日くらいウチんなかじゅう探し回ったのに見つかんない。しゃーない、ちょっと休んでレコードでも聴いてやろうじゃんと思ってトーレンスの前に立ってようやく気がついた。あたたたたたたた。そういやあのときトーレンスの下敷きにしたのはおれだった。どうしましょ(どうしましょじゃねーよ)。

んーむ、こりゃあ悪事が露見するまえに隠蔽せねばなるまい。しかしこのまま元に戻したらせっかくのダブルアーム大作戦が頓挫してしまうじゃないの。この期に及んで選択の余地などあるはずもない。代わりの板っきれをなんか買おう。

この際だからハンズにでも行ってベニヤを切ってもらおうかな。んー、それもいいけど、やっぱ一応オーディオ用だし。おれも一応オーディオマニアだし。せっかくだから、なんかここにちょうど良く収まってくれるオーディオボードとかないもんかなあ。それもそんなに高くなくて、外見もフツーっぽいやつ。

まあ、そうは思ったもののホントはそんなに都合良く見つかるとは思ってなかったんだけどね。そしたら、ありやがんの。短辺はほぼ棚板と同寸、長辺は1.5センチほど短く、厚さはもほぼ同じ。アコリバの〈ヒッコリーボード RHB-20〉ってのがドンピシャ寸前ってことがわかった。もう買うしかないね。およそ2万円。まあこの際、高くないということにする。

よーし、これで隠蔽工作はカンペキだ。外した棚板は、そおーっとモトのところに戻しておこう。ねえ、ここの棚板ってどっかに仕舞った。あーそれならここにちゃんとあるよ、ホラね。いつでもすぐに使えるよ。なんちて。



棚板は棚に(バレないうちにそおーっと戻すのよ)_d0027243_16464423.jpg



そしてトーレンスをどけたGTラックの上に置いてみるとこんな感じだ。んー、ダークな色合いで写真じゃちょっとわかりにくいかもしれませんけど、いいではないか。ちゃんとダブルアームの台も奥のほうに置けました。トーレンスを戻すとほとんど見えなくなっちゃうんだけど、いかにもヒッコリーって感じがとってもいいよね。よくわかんないけど。

もとの棚板もそれなりに重たかったけど、これはやっぱりずっしりと重い。やっぱオーディオ用品て感じですかね。もしかしたら音も良くなるかもしれない。いや、それはあまりにメーカーに失礼な物言いというものであるな。きっと良くなったと思いたい。

しかしそれを確かめることが出来ない事情がちょっとあるのであったが、その「事情」についてはまた近々のうちにあらためて。

by god-zi-lla | 2019-03-07 17:37 | オーディオもねぇ… | Comments(0)
ガキのころのおれの勉強机のようにとっちらかった_d0027243_18010489.jpg




このランサーのトップボードを見たら、こんなことするヤツぁオーディオマニアの風上にも置けんわ! なんつってお怒りになったりする人がひょっとしているかもしれませんけど、いいんですべつにアタクシ風下でじゅうぶん。

いやーロジャースstudio 2aの天板の上は広くてよかったねえなんて一瞬思っちゃうくらいラグ板取り付けたベニヤ板は大理石のケツより後ろにハミ出してるし、T90Aの前面がオフサイドラインだとするとアッテネーターも作りかけのヒコーキも向こう側に見える中2のときに作ったF4Fワイルドキャットも、みーんなオフサイドで、ゴジラだけがプレイアブルだもんなー。

でも、いいのいいの。プラモもゴジラもほかに行き場がないから、ここでずっと肩寄せ合って生きていくんです。

それにさ。コイツらを全部きれいさっぱりどけてみても、音の違いをおれはぜーんぜん聴き分けらんないのね。だからスーパートゥイーターも一緒になってみんなで仲良くやってくれ玉へ。

つうわけで先日こさえた『減衰器付きハイパスフィルター』(馬子にも衣装、俗ブツには肩書き)をおとつい取り付けてみたのであった。

スーパートゥイーターT90Aをいったん外してから2週間ちょい、いろんなものを聴いてみたけど正直なとこスーパートゥイーターがないとちょっとなあっつうアルバムや曲はほとんどない。

古いジャズやなんかはいい音で鳴るに決まってんだからべつにまあいい。新しいジャズだって楽しく鳴ってます。LP買ったらすっかりヘヴィーローテーションになっちゃったヴァン・モリソンの去年のアルバム〈You're Driving Me Crazy〉だってめっちゃ楽しくてウルサい音がする。

(あ、そうそう。その『楽しくてウルサい音』ってのが最大のキモなんですけど、説明しようとすると自分でもわけわかんなくなるので説明省略)

しかしたまに、あまり新しくない、かといって古いと言い切れるほどでもない70年代の主としてクラシックのLPレコードのなかにウルサいんじゃなくてキツい音がして楽しみにくいのがあってさ。まあこの時代のレコードには珍しくない傾向だから、どうやったってキツいのが治るわけじゃないんだが、それにしてもコイツが多少でも和らぐのであればそうしたいとは思うわけだ。

こういうヤツらはコンデンサーで切っただけのT90Aが乗っかってたほうが、キツいとはいえまだマシな感じだったんだから、んー、このへんのキツい音のする(しかし音楽としては気に入ってるから見放したくはない)アルバムを少しでもマシな音で聴くためにはスーパートゥイーターがあったほうがいいよなあっていう感じがしてね。

しかもやや存在を主張しすぎな気分のしないでもないT90Aのレヴェルをちょっと絞ってやったらさらにいいんじゃなかろうかって予感もしたわけだ。

それに、そもそもT90Aを外してランサーだけにしたほうがいいっていうレコードや曲もとくになかったのと、T90Aを外してみると例えばウッドベースのぶうーんって感じの余韻とかオーケストラの低弦の合奏がホールの空気をぶわっと膨らますような感じがほんの少しだけ薄まったような気もしてさ。

そういうわけで、とりあえずアッテネーターの目盛りで3デシベル見当絞った状態で聴き始めたとこなんだけども、まあこういう素子が回路に馴染むまで多少の慣らし時間も必要なんでしょうが、いまんとこ3デシベルまで絞ることはないのかなっつう感じでさ。もうちょっとウルサくてもいいんじゃあるまいか(すまんね。ウルサいウルサいと、ウルサくて)。

アッテネーターのツマミをグリグリやるのはいつだって出来るから、もうしばらくこのままいろんなレコードやらなんやら聴いてみることにする。



by god-zi-lla | 2019-02-15 15:12 | オーディオもねぇ… | Comments(0)
冬の工作まつり。またソレかよ、なんつて。_d0027243_11435140.jpg





なんかさー。最近ちょっと思ったんですけど、おれのばやいオーディオって道楽とそのオーディオで音楽聴くってことは、あんまし関係ないんでないのって。

まあふつう、いい音でオンガク聴きたいからオーディオ装置いじくったりおカネつぎ込んだりするってことになってるわけだけど、ひとさまはともかくとしておれのばやいってそれはいわゆるひとつの外交辞令つうか他人さまに一応説明つくようなことを言うための辻褄合わせに過ぎなくって、いい音でレコードやなんか聴きたいと思ってんのはたしかにそうなんですけど、たとえば上の写真のようなモノをこさえてるときのアタクシってのは、いい音でオンガク聴きたい一心で手を動かしてんのか? いやーなんか必ずしもそーゆーわけでもない気がするよなーって。

ハンダのフラックスの煙を吸いながらフトそう思ったんである。

なんつうかむしろ、板っぺらをノコギリで寸法に切り出したり(コイツはせんだってのマトリックススピーカーの残材のベニヤなり)、赤と白の配線材を切って被覆を剥いたり(写真に写ってる青いベルデンの安物SPケーブルがまだいっぱいあるから、その芯線を引っこ抜いて使ってる)、それからラグ板をベニヤにネジ止めして、アッテネーターと電線とラグ板をハンダづけしたりするのって、そういう作業自体をやりたいからやってるだけで、出来上がったものを使ってツイーターのレベルを少し絞ったらどんなもんかなーなんてことはとりあえず二の次だったりしてさ。

どうもソレとコレとが脳味噌のなかでちゃんと繋がってない、つか、やってるうちに最初はいちおう繋がってたものが、いつのまにか途中のどっかで外れちゃうのかもしれない。

まあいいんだけどね、それでひとさまに迷惑かけてるわけでもないしさ。

つうわけでホーンツイーターT90Aにコンデンサー1個を宙ぶらりんに繋いだだけの、そのへんの地下道でゴロ寝してる横着な路上生活のオジサン状態からアッテネーターを繋ぎ台の板にラグ板を取り付けコンデンサーもそこにネジ止めし、言ってみりゃあ路上生活もねぐらを段ボールで覆うくらいまでには年季も入って安定してきたというようなモンなのであった。

でまあ、出来上がったのですぐに取り付けてアッテネーターぐりぐりやって試してみてもいいんですけど、せっかくツイーター外してあるんだからこのへんでもういっぺんランサーだけの音を聴いてみようじゃんというようなことにしたわけなのであった。

最初から半年くらいたったら一度振り出しに戻してみるつもりでいたんだけどね。ランサーが届いたのが去年の黄金週間のころだからぼちぼち9か月、T90A譲っていただいてからだと8か月、ちょうどいい頃合いでしょ。

なにしろ50年近くむかしの古いスピーカーを中古品として買い求めてるわけだからさ。その長い年月いったいどういう状態で鳴らされてたのかまるでわからない。もしかしたら前の持ち主が長年愛用しておれんとこに来る直前まで毎日毎日鳴らし続けてたかもしれないし、ぎゃくに長い間薄暗い物置のようなところに仕舞い込まれ、おれんちに来て何十年ぶりかでちゃんと鳴らされたって可能性もないわけじゃないし。

だからおれんところで鳴らし始めの音がそもそもランサーってスピーカー本来の音だったのかどうかなんて、おれにはまるでわかんないわけだ(いかにも古いJBLらしくって、おれ好みの音じゃんかとは思ったけどさ)。だけどこれくらい鳴らし続けてくればさすがに長いこと物置の片隅で眠ってたとしても、目を覚ましてそこそこ調子を出してくる頃なんじゃあるまいか。

で、きのうからL101ランサーは「すっぴん」の状態で鳴っているのであったが、明らかに去年の5月よりも音がほぐれたというか、いま鳴ってるこの音と比べれば、あのころはまだ荒れたような固いようなキツいような芯が残ったインスタントラーメンのような音だったような気がする。

やっぱりスピーカーってのは鳴らし続けてみなきゃわかんないよなー。

さてこうなるとアレだな。アッテネーターとコンデンサーの「段ボールハウス」は作ったけど、急いでT90Aを戻すこともないよな。9か月前とどのくらい変わってきたのか。場合によっちゃこのままにしといたほうがいい感じの音なのか。ずうーっと聴き続けてるうちにやっぱり上に乗っけたほうがいいと思うようになるのか。

まあとりあえずこれから半月やそこらは「素」のランサーを楽しんでみるとするか。ほかにもやりかけてることがあるしさ。次はそっちだ。




冬の工作まつり。またソレかよ、なんつて。_d0027243_16244159.jpg


いまはたんなる置物。









by god-zi-lla | 2019-01-24 16:18 | オーディオもねぇ… | Comments(0)
秋の工作まつり 年越しちまったぜい(その6)この際カタつけようぜ(その7) 合併号、なんちて。_d0027243_11372379.jpg




でターミナルを背面に取り付け、ケーブルを回路図どおりに結線していった。スピーカーユニットの入力端子がファストン端子対応なのでケーブル側に端子を圧着ペンチで取り付けた。そこまでするかどうかわかんないけど後日ユニットをもっと上等なヤツにしてみたくなったりしたときには、ハンダ付けしちゃうよりファストン端子のほうがラクでいいしね。

吸音材にはずいぶん前にだれかに貰った断熱材のようなものの切れっぱしを少しだけちぎって、ごく控えめに入れてみました。長岡先生は「入れなくてもよい」と書いておられますから入れすぎは禁物でしょ。

つうわけで外側は最低ランクのラワンベニヤのしかも使い古しでめちゃくちゃ汚らしいけど、とにかくあとユニットを取り付けさえすれば音は出せるってとこまできたぞ。根性なしのおれにしたらたいしたモンだ。自分で自分をホメちゃおうかしら。

以上が「その6」なのであった。











秋の工作まつり 年越しちまったぜい(その6)この際カタつけようぜ(その7) 合併号、なんちて。_d0027243_15271830.jpg



そしてとうとうユニットもメデタク取り付けられ背後のターミナルにはスピーカーケーブルが繋がった。ドライヴするパワーアンプはエレキットのKT88シングルなり。BTLアンプもデジタルアンプも左右のグランドが独立してるからヘタするとマトリックス接続すると壊れるかもしれなのでシングルエンドのアンプじゃなきゃいけないらしい。パワーアンプより上流はうちのふだんのステレオ装置です。

いやこれがなかなかケナゲというか、カワイイ音で鳴るのよ。フォステクスの小型フルレンジつうと40年以上も昔FE103を使ったっきりだけど、あれは同じエンクロージュアでユニットだけFE103からパイオニアのPE101に取り替えたときに、なるほど人によっちゃ103はカサカサ紙臭い音がするってのはこういうのを言うのかとパイオニアと比べて初めて気づいた。

そういう感じはこのユニットにはないね。それが技術の進歩というもんなんだろうな。当時のFE103の値段と比べたってこのP800Kはその半分くらいなんだから、考えてみりゃあスゴいことだよ。

だけどまあ8センチつう小口径でハコも小さいし、特殊な結線で総合的な能率も高くないから音量的には限られてるし迫力のある低音なんて当然出ない。なにしろ長岡先生はテレビ用のサラウンドスピーカーとして設計したっていうんだから、あくまでもこっちからスピーカーににじり寄り、コイツがよく鳴らしてくれそうな音源を自分ちの棚やハードディスクのなかから見つけ出して、ときに不思議な感じでさやさやと広がる「音場感」を楽しむスピーカーだな。

で、ふつう考えるとワンポイントマイクでシンプルに録音した音源だと自然な広がり感が出ていいわけで、じっさいそういう録音の例えばヨーロッパの田舎の古い教会で録音された(よーく聴いてると鳥の鳴き声など屋外の環境音も入ってるような)リュートの演奏なんていうのをかけて、耳を澄ませて聞き耳を立てて聴くようにしてみるとこれは案の定いいんだ。

だけどワンポイントマイク録音をウリにしたギター独奏のスタジオ録音CDが意外と面白味がなくて、これはいったいどういうことなんだと思ったりする。

いっぽう意図的に位相をいじってるらしい最近の音楽のなかに、え、なにこれ、みたいなヘンなところから音がきこえるような箇所があったりして(かといって全体がそういう面白さの連続ってわけでもなかったり)、なかなかこれは一筋縄ではいかんなあというか、一筋縄でいかんのはむしろレコードやCDほかヨノナカに存在するいろんな音源のほうかもしれないと思ったりしてさ。

なんていろんな音楽を取っ替えひっかえ面白がって聴き続け、いっときはランサーよりこっちを聴いてる時間のほうが長かったりしたんであった。

まあそれにしてもこの外側の小汚さをなんとかしてやんないとなー。このままじゃそのうち音の面白さよりもガワの小汚さに嫌気がさしちゃいそうな気がするもんだから、いったんユニットを取り外して(ファストン端子接続にしといてよかった)外装を小ぎれいにする作業に取りかかったのが昨年暮れのことなんでした。

でそのまま年末年始で作業中断、なにをするにしても屋外仕事はちょいとツラいしね。かといって室内で表面に紙やすりかけたり塗装したりもできないしさ。

まあ、万が一運良くキレイに仕上がるようなことがあったら自慢たらたらの(その8)もあるかもしれない。

つうわけで(その7)おしまい。






by god-zi-lla | 2019-01-11 21:18 | オーディオもねぇ… | Comments(2)
秋の工作まつり 冬になっちまったぜい(その5)_d0027243_11594505.jpg



で、こうなった。

ご指摘のとおりセンターのバッフル両サイドの木口は45度で隣り合ったバッフルと接してるんだけど、おれのような横着でイイカゲンな人間はここをナナメに切ろうなんて考えない。ここはなんかテキトーな木っ端で埋めてやろう。それがなきゃエポキシパテで埋めるってのはどーだ。なにしろ正攻法で正々堂々正面突破を図るなんて「正」の字が3個も入ってるような人生ほど苦手なものはない。

でまあ、三角形の断面の工作用の木ってハンズとか行けばいろいろあるよなー。近所のホームセンターにはないだろうけどさ。なんて思いながら洗剤かなんか買いに行くついでに材木コーナー覗いたら、ちゃんとあるじゃんか長辺1.5センチくらいの直角二等辺三角形の断面の朴の木が。

これで埋めたの図が上なんである。めでたしめでたし。

そしてどうだ。遠目にはちゃんとハコになったように見えるではないか。よし、ここまできたらもうこっちのモンのような気がしてきたぞ。

ところで長岡先生はオリジナルの試作時にはユニットに繋ぐケーブルをバスレフポートから直出ししたようで、ちゃんと作るときはターミナルをリアバッフルに取り付けなさいよ、みたいなことが書いてある。そしてターミナルはひと組手元にあるんだ。


秋の工作まつり 冬になっちまったぜい(その5)_d0027243_12181397.jpg



これね。今回「ハコ」に切り刻まれる前のベニヤが平面バッフルだったときからずっとユニットにぶる下がってた、どこのメーカーの製品とも知れないスプリング式のスピーカーターミナルなり。もしコイツを使わないでしまいこんだりすると、このターミナルはそのままパーツ箱のコヤシになって形見分けの対象にもならずに捨てられる可能性が大きい(そういうのが、いっぱいあるのよね)。

ところでこのスプリング式のスピーカーターミナルなんですけどね。だいたい安物のスピーカーシステムに付いてるのはこのたぐいの物件である。安いプリメインアンプの出力端子なんかもそうだな。

たいがいのリッパなオーディオマニア諸賢はこういうターミナルには見向きもしませんが、おれはこれが大好きでね。つか、なんでこの手の端子が安物として隅っこのほうに追いやられてるのかがわからない。近ごろのたいていのスピーカーの入力端子はバナナプラグも刺せるようになった比較的大型のネジ式のターミナルが付いてるわけだ。


だけどさ。あらゆるネジは緩む。つかネジってのは締めるためのものだが同時に緩めるためのものでもある。だからもう緩むのが必然である。どんなに強く締め込んでも時がたてば徐々に緩んでくる。緩まないようにラッチの付いたターミナルなんて見たこともない(あってもいいような気がするんだけどね)。

しかもあまり締めすぎるのはかえって音に悪いそうでトルク管理をしろなんてことまで言う。きつく締めてないネジはなおさら緩む。一瞬もとどまることなく緩み続けるネジの締め付けトルクを常時管理するなんてじつにご苦労さまなことである(トルク管理をするってことはそういうことでしょうから、それをしたくないんだったらやっぱラッチ付きのネジは必須だな)。

そこいくってえとこのスプリング式のターミナルは緩まないようにするためにスプリングを入れて接点を常時一定のチカラでもって押さえ続けてるわけだ。安物でエエカゲンかと思えばこっちのほうがよっぽど合理的なんじゃあるまいか。

べつにいいんですけどね。こんなものは好き好きだから。

で、とにかくこのスピーカーターミナルを2面あるリアバッフルのおのおのにひとつずつ取り付ける前に「内部配線」を行ったわけである。フルレンジユニットだからネットワークってのはないんだけど、なにしろマトリックススピーカーなのでユニットからターミナルへ一直線に電線を繋げばいいってもんではない。つか、ここんとこが一番のキモというもんだろう。



秋の工作まつり 冬になっちまったぜい(その5)_d0027243_09415323.jpg


右チャンネルのターミナルのグランド端子は空いたまま。完全な文系アタマのおれはクラクラするのみ。しかしすでにこの数十年、世間ではあまたのマトリックススピーカーが作り続けられてきたのでしょうから(そうでもないのか)、ここは長岡鉄男先生を信じるのみ。




by god-zi-lla | 2018-12-14 09:50 | オーディオもねぇ… | Comments(0)