神はどーだっていいとこに宿る


by god-zi-lla

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やつらを高く吊せ、じゃなくてね_d0027243_13385386.jpg
高く吊るされちゃってんのは大相撲の吊り屋根なんでした。
あーなるほどライヴとかに使うときはこうするんだな。
だけどなんか可哀想な姿ではある。

その大屋根の下に大仰なフライングPAシステムと4面のスクリーンが吊るされた国技館でなにを聴いてきたのかといえばウェイン・ショーターとハービー・ハンコック、2大後期高齢ジャズミュージシャンのスペシャルバンドである。メンバーはほかにベースのエスペランサ・スポールディングとドラムスのテリ・リン・キャリントンつう世代違いの女性ふたり。

正直言ってハービー・ハンコックはおれとしたらどうだっていいんだが、とにかく前回ウェイン・ショーターをオーチャードホールで聴いて完全にヤラれちまったからね。84歳という年齢も年齢だし、とにかくショーターが来日するんだったらもう聴いとかなきゃいけない。

だがね。ハービー・ハンコックと組むということは、ショーターの控えめな性格からしてサウンド的にはハンコックペースになるんだろうと予想してはいたんだよ。そして実際始まってみれば予想どおりの展開なのであった。どう言ったらいいのかポップな流線型のフュージョン風味のポスト・バップてゆうか、高尚な雰囲気をちらちらさせながらそれを調味料として使いつつ、一般受けする軽さをキープしたようなスタイルのね。

そういうフォーマットのなかで、ショーターは自分のバンドのときのような尖ったプレイは控えながらもすごく味わい深いソロを取るんだよ。

ちょうどあれだな。ノラ・ジョーンズの〈Day Breaks〉で聴かせるショーターのプレイを想像すると近い雰囲気かな。もちろん「伴奏」じゃないからスペースはたっぷりあるし、もっと自由な感じではあるけど。

そういうわけで全体としたらハンコック的音楽の枠組みなんだが(ヴォコーダーとか使っちゃうしさ)、そういう音楽づくりに寄り添いつつもたんなるパーツには絶対ならないショーターがすこくかっこいい。

ところで主催者のHPによれば当夜のセットリストはこのようであった。
Little One
Some Place Called “Where”
Devil May Care
Memory Of Enchantment
TOYS
Encounters e Despedidas
WAR GAMES
*アンコール
SAMPLE TUNE
休憩なしのおよそ2時間、後半のほうでエスペランサ・スポールディングがウッドベースを弾きながら歌い始めた曲があったんだが、あれえ、この曲どっかで聴いたことあるじゃんか。たしかマリア・ヒタも歌ってアルバムに入れてたんじゃなかったかしらん。だとするとこれはブラジルの曲で、歌われてる言葉はポルトガル語か。

いやーこれがまた良かった。エスペランサ・スポールディングのアルバムは〈Radio Music Society〉というのを1枚(ハイレゾのデータだけどね)持ってるきりだけど、その感じとはずいぶん違う哀愁ただよう語り口で聴かせるんだ。

絶対これってマリア・ヒタが歌ってた曲だよなあと思って、ウチに帰って上のセットリストを見るとポルトガル語と思しき曲名はひとつっきり、CDの棚を調べてみたらマリア・ヒタがデビューアルバムで歌ってた曲で〈Encounters e Despedidas〉というのだった。んー、やっぱりそうだったか。

そしてこのじんわりと心の底に染み込んでくるような歌を誰が作ったのかと見れば、これはミルトン・ナシメントの曲なんだってね。この10年いったい何百回マリア・ヒタのアルバム聴いたのかわかんないくらい聴いてるのに、ぜーんぜん気づいてませんでした。

しかしあれだよなあ。ミルトン・ナシメントといえば70年代ショーターの名盤〈Native Dancer〉にゲストというよりコアメンバーとして参加し、ぎゃくにナシメントのステージにショーターが加わったライヴアルバムもあったりするわけだから縁は非常に深い。

このへんは面白いなあ。この曲がもともとエスペランサ・スポールディングのレパートリーにあったのか、ブラジル好きのショーターがこれをやろうと言ったのか。まあどっちにしても、おれ個人にとっちゃこの曲がこの夜のハイライトだった気がするね。ハンコック色が薄いということも含めて。

とにかくノンストップの2時間、曲の紹介すらしないインターバルさえあまりない、聞こえるのは音楽のみという非常に高濃度なコンサートなんでした。エスペランサ・スポールディングのプレイを聴いて今度この人が自分のバンドで来ることがあったら行かなくっちゃと思わされたし、テリ・リン・キャリントンのドラムスはバンド全体をプッシュするというよりは控えめに後ろから支え続けるいい感じの演奏だし(もうちょっとPAの音量を上げて欲しかったけど)、それになによりやっぱり84歳のウェイン・ショーターがかっこいい。

もう1回聴けるといいんだがなあ。

by god-zi-lla | 2017-11-10 13:39 | 物見遊山十把一絡げ | Comments(0)
ナマDriekusman Total Lossはハン・ベニンクの踵落とし付き_d0027243_10045549.jpg



アタマに鉢巻き、首筋にタオル、ズボンの裾をヒザまでたくし上げ、アルトサックスの横に座りこんでドラムセットの代わりにスティックでステージをガチャガチャガチャガチャ叩きまくる素っ頓狂なジジイが、あのドルフィーの〈LAST DATE〉の若きオランダのドラマー、ハン・ベニンク75歳なのであった。

こんなことする人だったのかよ。

だけどさ。ホントにびっくりするのは床を叩こうがドラムスを叩こうが、バンドをスイングさせてることにはまるで変わりないっていう、そこんとこだ。たんに客を喜ばせるだけの(もちろんそれは多分にあるでしょうけど)派手なパフォーマンスなんてものじゃない。とにかくドラムセットのところからステージ前方に出てくるときも音楽が淀んだりすることがないから、長年にわたって当たり前のようにやってきたこれがこの人の「ドラミング」ってもんなんだろうな。

渋谷のスペイン坂の上のところ、ちょっと前までシネマライズというミニシアターだった建物が〈WWW〉って名前のライヴハウスになっていて、そこで9月3日の午後上の写真のようなハン・ベニンクを目撃したのであった。

その10日ほど前、新しい〈ステレオ〉誌を買ってきて後ろのほうにあるレコードCD評をパラパラ眺めてたところ〈QUARTET-NL〉つうバンドのCDに目が止まった。ハン・ベニンクを中心としたオランダのバンドの初アルバムだっていうじゃんか。しかも今年3月に亡くなったミシャ・メンゲルベルクの曲ばかりを演奏したトリビュートアルバムでもあるんだって(2016年の録音だからその時点でメンゲルベルクは存命)。

え? 亡くなったの?

じつはミシャ・メンゲルベルクが亡くなってたということにまるで気づいてなかった。もう亡くなって半年もたってるのか。念のためウィキペディアを見ればたしかに今年3月3日に亡くなったとある。35年6月生まれだから享年81歳。んー、たしかこのウィキペディアの項目を最近何回か読んでるんだが、それは今年3月以前のことだったのか。遅ればせながら、合掌。

読んでくだすった方があるやもしれませんが、このブログでね、何度か彼の曲〈Driekusman Total Loss〉について触れたんだよ。ユーモラスな親しみやすさと、ちょいゴツゴツっとしたアブストラクトな感じがいい具合に溶け合った、これはジャズメンの作ったオリジナルのなかでもプレイされ続けるにふさわしい名曲だと思うんだけど、ミシャ・メンゲルベルクはこの曲を60年代の半ばからハン・ベニンクの加わったバンドのアルバムで何度も何度も録音している。

いやーこりゃ買わないわけにいかない。長年の盟友ハン・ベニンクが最年長でリーダー格のバンドが作ったミシャ・メンゲルベルクの、図らずも追悼盤のようになってしまった'SONG BOOK'だもん。そりゃあきっと〈Driekusman Total Loss〉をプレイしてるに違いない。買おう買おう急いで買おうアマゾンじゃなくってタワレコで(べつに意味はないです)。
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アルバムタイトルはバンドの名前のまま〈QUARTET-NL〉。なんにも断り書きはないけど'NL'は'Nederland'のことなんだろうと想像がつく。おれはオランダのジャズにまったく疎くてメンゲルベルク、ベニンクそれからこれも先年亡くなったピート・ノールデイクくらいしか知らない。だからよくわかんないんだけど、このCDのプレイヤーはハン・ベニンク以外のメンバーもオランダじゃ知らない人のいないようなプレイヤーばっかりだっていうんだな。国の名前をバンドの名前にくっつけて何ら不自然じゃないくらいの、きっと連中だってことなのでしょう。

そして届いたCDを見れば案の定〈Driekusman Total Loss〉はアルバム幕開けの1曲だ。

で、さっそく聴いてみるとこれがすごくいいんだ。日本盤だけのボーナストラック2曲を除いた7トラックすべてがミシャ・メンゲルベルクの書いたナンバーでさ(いつもながらにアルバムコンセプトになんの配慮もない邦盤のボーナストラックなり)。くだんの〈Driekusman…〉にかぎらずメンゲルベルクの曲はひとクセもふたクセもありながら親しみやすく、モンクやドルフィーの曲でも感じる、なんというか脳の特定の場所をカンコンキンと刺激してくるような感覚に溢れてる。

ベニンクの加わるバンドがメンゲルベルクの曲ばかりをプレイしてるといっても演奏そのものは全体として明るく、ファンキーなところもチラチラ見え隠れする(ことにベンヤミン・ヘルマンのアルトがそう思わせる)あんまりヨーロッパ、ヨーロッパしてないハードバップという感じで、アヴァンギャルドなところはカケラもない(ちょっとくらいあってもいいかなと思わないこともないですけど)。

ハッキリ言ってここ数年で聴いたメインストリーム系のジャズの新録音のかなで、おれとしたらいちばん楽しく聴けたアルバムなんだよ。 

でさ。2回くらい聴いたあとでCDのオビに細かい字で印刷された惹句をぼんやりと読むでもなく眺めてたんだ。そしたら一番おしまいのところにこうあるじゃんか。
●2017年夏来日ツアー予定。
は? 2017年夏来日ってホントかよ。だけどもう8月も終わりで今はもう秋だれもいない海。

で慌てて調べてみたらほんの数日後の9月3日渋谷でライヴがあるっていうじゃんか。チケットぴあで検索するとオールスタンディングでまだ入れる。やー、これは行かなくっちゃ。ハン・ベニンクだってもう若くない。ここで聞き逃したら「次」はないかもしれない。急げ渋谷へ。スペイン坂を駆け上がれ(なんちて)。

つうわけでハナシは冒頭に戻るのである。

なにしろこのCD自体がライヴアルバムだから、同じようにミシャ・メンゲルベルクをトリビュートするセットを同じようなノリでやるんだろうとある程度予想はしてたんだよ。

だけど2曲目に〈Driekusman Total Loss〉を実際目の前で聴けたときには、なぜか一瞬うるうるとしてしまったんであった。そういえばなんだかどうという理由もなくこの曲を追っかけてたここ数年だったよなあ。とうとうそれを(ミシャ・メンゲルベルクがいないのは本当に残念だけど)「当事者」のひとりハン・ベニンクのバンドの演奏で聴けたなんて、おれはなんてシアワセものなんだろか。長生きしてよかった(まだ61歳ですけど)。

というわけで、今日もあの日ハン・ベニンクがフロアタムに見舞ったカカト落としを思い出しながらCDに聴き入る秋の昼下がりなのであった。

(55RECORDS / FNCJ5565)

by god-zi-lla | 2017-09-05 12:39 | 物見遊山十把一絡げ | Comments(2)
黄金週間へらへら日記2017_d0027243_00254857.jpg
5月1日
朝から東京プリンスホテル恒例の〈美術骨董ショー〉を散歩がてら冷やかしに行き、冷やかすだけで相手にもされず退散。買えそうなお値段でちょっといいなと思ったのは小山冨士夫のぐい呑みかな。ひとケタ万円だけど、おれにはやっぱり買えません。

つうわけで、れいによって何も買わず(いや、買えず)会場をあとにして地下鉄に乗ろうと東プリの玄関へ出てみたら、ありゃま外は土砂降りじゃんよ。仕方ないのでそのへんの空いたソファで外国人観光客に混じってしばし休憩。

小降りになったとこで御成門まで歩き地下鉄で日比谷。TOHOシネマズスカラ座で〈ライオン 25年目のただいま〉。日本の町なかであれば国じゅうどこで迷子になっても最後は親の元に帰れそうだけど、コトバもいろいろ宗教も生活習慣もイロイロ国土はだだっ広く人口は日本の10なん倍のインドじゃそう簡単にはいかない。だけどこんなことが実際にある現代なのだなあ。きっと帰ってくると信じて25年住まいを変えなかったお母さんに、ちょっと泣く。

5月2日
コーヒー煎った。掃除した。包丁研ごうと思ったがサボった。
おかげで熟れたトマトが切りにくい。

5月4日
山手線とモノレール乗り継いで平和島流通センターの〈古民具骨董まつり〉。なんかいつもより客が少ない感じ。そういえば出展してる骨董屋古道具屋も心なしかふだんより少ない。いつも見る常連の店も何軒か出てない。なんで? 大型連休で骨董屋さんも行楽にお出かけか、それとも他に儲け仕事の出来か。

ここんとこ骨董といわずデパートの食器売り場といわず町の瀬戸物屋といわず、長い間に1枚2枚と割れ数の足らなくなった普段使いの小皿の後ガマを物色して回ってたんですけど、ようやく平和島で(お値段的にも大きさ的にもデザイン的にも)ちょうどいいのを発見。バラ売りしてたので8客くらいあった中から矯めつ眇めつ4客選ぶ。うちの奥さんが店のおじさん相手に値切るも見事敗退。

ちなみに奥さんこの日はほかに2枚で1500円の皿を千円に値切って敗退。1個1500円の指輪をやっぱり千円に値切って敗退。阪神タイガース快進撃のこの連休、我が家は骨董屋さんに3タテ喰らう。

しかし考えてみりゃあ1500円の500円、金額は少ないけど「率」としたらデカいぜ。
33パーセント負けろって、それはちょっとムリでしょ奥さん。

だけど久しぶりに骨董市で「買い物」したなあ。

5月5日
團菊祭五月大歌舞伎午前の部。歌舞伎座行く前に弁当調達す。

ここんとこ芝居弁当といえば三越地下に入ってた梅林つうトンカツ屋の生姜焼き弁当ばっかりだったのが、残念なことにこのトンカツ屋さん三越から撤退。んー、タレの染みたゴハンがとっても美味しかったのになあ。

で、仕方ないので先月は寿司岩の助六、今回は別の弁当買ってみたところ味は悪くないのにフタを開けたら煮物の汁気が外に染み出し手がベトベト。狭い歌舞伎座3階席でヒザの上に広げて食いやすく、味もそこそこ良くてお値段手頃な弁当を次回も探さにゃなりませぬ。

歌舞伎はニュー彦三郎(ヘンな呼び方してごめんよ)が梶原平三景時をする〈石切梶原〉。ひょっとするとこれが歌舞伎座では最初で最後の可能性もあるから見逃したくなかった。これまでに幸四郎の平三を1回、吉右衛門の平三は2回見たけど吉右衛門のやり方と今回の彦三郎のやり方ではずいぶん違うんだな。

最後に手水鉢を上段の構えから真っ二つに斬り下げるところの違いもたしかに大きいんだけど、ふたつ胴を重ね斬りする支度の仕草。娘梢が父親の命乞いをしながら泣くところで吉右衛門の平三は白鞘の刀の束に下げ緒を無言のうちに巻き続けるというところがあるんだが、今月の彦三郎にそんな描写はなく平三の快男児ぶりを単刀直入に見せるような演出になってる(斬り割った石の手水鉢の上を跨いでみせるとこなんかもそうだな)。なるほど歌舞伎の「型」ってのは役者の家によってずいぶんと違うものであるよと初心者は感心しきりなのであった。

それにしても近ごろ気づき始めたんですけど、吉右衛門の芝居はいちいち深い。

吉右衛門だけ見てても初心者のおれにはわかんないことが多いんだが、ほかの役者が同じ役をやったのと比べるといちいと「あー、あそこはこういうことだったのか」って気づくんだよ。石切梶原で吉右衛門が下げ緒を束に巻く動きもそうだった。梢の嘆く声を聞きながら、平三の心の動きをその動作とうつむき加減の顔で客に推し量らせてんだな。

すごいといえば昼の部最後の〈魚屋宗五郎〉の菊五郎もすごかった。江戸っ子ってのは正真正銘こういう人ですって感じが、なんかもうとんでもないです。

イナセで格好いいけど、おっちょこちょいで無鉄砲そのうえ酒に意地汚くて意志が弱くて銭勘定に疎い。

いいねえ、やっぱり菊五郎の〈芝浜〉を見てみたい。

芝居がはねた後、出来立てマーマレードを受け取りに湯島まで歩いた。

歌舞伎座前から晴海通りを日比谷交差点までまっすぐ出て日比谷通りを右に折れる。ずんずん行けば日比谷通りはそのうち本郷通りに名前が変わり、そのまんま一直線に進めば神田橋を渡って小川町の交差点。さらに坂を登ってニコライ堂の前を過ぎればもう目の前に聖橋だ。

ところでニコライ堂と湯島聖堂、ふたつの聖堂の間の神田川に掛かるから〈聖橋〉というんだそうですね。

5月6日
ラフォルジュルネ、今年は国際フォーラムのホールB7で昼から夕方までずっといるっていう変則技に出てみたのだった。

まずリシャール・ガリアーノ六重奏団でピアソラほかのタンゴ。ガリアーノのクロマティック・アコーディオンに弦楽四重奏+コントラバス。ちょっとお行儀良い感じ。

それからシモーネ・ルビノという若いパーカッショニストのソロコンサート。スネアドラム1個を相手に最初は普通に両手にそれぞれスティック1本ずつ、そのあと右手にブラシ左手にスティックとマレット。最後は両手とも素手とかで精緻に叩きまくる。なんじゃこいつはすごいじゃんか。スネアのあとはバッハの無伴奏チェロをマリンバで。

しかしいちばん面白かったのは、あらかじめ録音してあるパーカッション(&環境音&ノイズ)の曲に合わせて照明を落としてほとんど真っ暗な(楽器のない)ステージ上で蛍光色のスティック1本だけをあやつり、あたかもそこで何かを叩いて音を出しているようにスピーカーからの再生音と超絶的にシンクロさせるパフォーマンス。

これって多分CDとかのメディアで再生不能。映像作品として再生してもライヴでやるような「意味」は伝わらないんじゃあるまいか。げんにそこにいて体験しないかぎり鑑賞不能というあたり、音楽の演奏というより現代アートのインスタレーションってやつに近い気がしないでもない。

これ見てたら、音楽とか演奏行為とかってのは一体全体なんなんだ、なんてことをガラにもなく考えてしまったんであった。

でもさ。こういうの見ちゃうとマリンバ用にアレンジしたバッハなんてのは(主催者がプログラムにとっつきやすさを求めたのかもしれないけど)てんでつまらないものに聞こえてしまうのだった。

三つ目のコンサートはオーヴェルニュ室内管弦楽団が「笙」の宮田まゆみを加えて細川俊夫の作品を演奏するのを息を殺して聴く。もしかすると雅楽以外で笙のナマ音を単独で聴いたのは初めてな気がする。それにしてもすごい緊張感。ホールの空気がひりひりとして痛い。

最後にテレマンの〈ドン・キホーテのブルレスカ〉が演奏されて、音楽家もお客もほっとひと息って雰囲気がホール全体に充ち満ちてましたね。

いやー今年も初めて聴いたものばっかし。

去年のラフォルジュルネではブルンジの太鼓青年団(そんな名前じゃないけど)を聴き、今年はてんでばらばらの音楽を同じ場所で続けて聴くってのはどうだろうって、タンゴとパーカッションと現代音楽を聴いてみた。

知らないものに初めて触れるのはホント楽しいよ。

さて連休も今日でおしまいだってさ。
あーくたぶれた。


by god-zi-lla | 2017-05-07 21:56 | 物見遊山十把一絡げ | Comments(6)
庭園美術館でサティとドビュッシー_d0027243_10344278.jpg
おととしだったか東京都庭園美術館の大規模なリニューアル工事が終わったあと久しぶりに館内を見学してみたら、以前だって贅沢で美しい内装と調度品のかずかずだよなあと感心してたのが、じつは相当にすすけたりくたびれたりしてたんだと一瞬でわかるクラクラするような清々しさなのだった(ここに修復作業のフォトギャラリー)。

なにしろ「美術館」のくせにヘタな美術展だと展示室の内装の美しさに展示品が負けちゃうんだから困ったもんである。修復前「あーこりゃ負けてるぜ」つう展覧会にふたつばかり遭遇したことがあるからね。それがさらに見事に磨き上げられちゃったんだから展覧会のほうもよっぽど覚悟してやってもらわないといけません。

じつはここの大広間でコンサートが定期的に開かれてたというのをまるで知らなかったんだよ。それが修理後ホームページを眺めてたらそんなものをずっと前からやってたというじゃんか。いやーああいう建物のなかで音楽を聴ける機会なんてそうそうないよな。というので去年藤原真理のチェロ独奏を初めて聴きに行き、つい先日こんだは小川典子のピアノでサティとドビュッシーなのであった。

でその大広間というのがこれです。写真の正面のガラス装飾はルネ・ラリックの特注品の扉でその向こう側が正面玄関になってるんだが、このラリックのガラス戸の前にグランドピアノが床に直置きされて、そのピアノと同じフロアいっぱいに並んだ椅子にお客が座る。

ここで開かれる音楽会は自由席で、初めて行った藤原真理のとき開演直前に入ったところ後ろの隅っこの窓際で演奏家の姿は見えず(なにしろ平台ひとつ置かれてない)折しも降りだした雨の音とチェロの音が混ざって聞こえてくるんだ。だから今回はもう少し良い席を確保しようと開場前から正面玄関の前に並び、前方3列目の中央あたりに席を取ったんでした。そうだなあ、ピアニストからおれの席まで5メートルは多分ない。

30年以上も昔、東京文化会館へポリーニのピアノを聴きに行ったことがあるんだけど、そのときの席が2列めの中央付近で(よくもまあそんな高い席を買えたもんだ)頭上から降ってくるフルコンサートグランドの轟音に耐えていたのであったが(いや当時のポリーニはすごかった)、普通サイズのヤマハのグランドピアノとはいえこんかいの席はさらにピアノに近い。

プログラムはサティの〈ジムノペディ〉第1番、〈グノシエンヌ〉の1と3番、〈ピカデリー〉それから〈ジュ・トゥ・ブ〉、ドビュッシーに移って〈映像〉第1集と〈喜びの島〉っていうサティもドビュッシーもよく知られた曲ばかりで、ドビュッシー〈亜麻色の髪の乙女〉とサティの〈おしゃべり女=『あらゆる意味にでっち上げられた数章』のなかの1曲〉をメドレーにした、ちょっと皮肉っぽい趣向のアンコールを最後に演奏しておよそ1時間。

日本のアールデコの「殿堂」で聴くサティとドビュッシーっていう、それだけでもなんかうれしいプログラムでしょ。朝香宮夫妻は1920年代、数年滞在したパリでアールデコにどっぷりハマって帰国後いま庭園美術館になっているこの邸宅を建てたんだそうだが、パリでドビュッシーやサティの音楽に触れたことがあったんだろうか。

しかしあれだよ。ピアニスト自身による楽曲の解説もなかなかに楽しい(こういうトークに小川典子さんはとても慣れてるんですね)気のおけない小さなサロンコンサートという趣きなんだけども、なにしろグランドピアノから数メートルだ。

サティだってドビュッシーだってチカラ任せに鍵盤ぶっぱたくような箇所はほぼないとはいえ、やっぱフォルテはフォルテだよ。じつは大広間に入ったときヤマハのふつうサイズのグランドピアノを見て、あー、なんかちっちゃいピアノだなあなんて思ったんだけども、実際問題あそこでスタインウェイの巨大なコンサートグランドピアノなんかがババーンと目一杯鳴らされたとしたら、前から3列までのお客は爆風で死にますね、多分。

そういう意味でも貴重な体験だった。これでプログラムがショパンやリストのピアニスティックな曲だったりすると、もう少し後ろの席で聴いたほうがよかったかもしれない。

じつはすでに同じ会場で開かれる吉野直子リサイタルの切符を買ってあるんだ。あの部屋で演奏されるハープって、なんかしらちょっと惹かれるものがあるでしょ。

終わって夜の8時半ころ、車寄せから正面玄関を振り返って撮ったのが上の写真なり。明るいラリック作のガラス扉の向こう側がすぐ音楽会のあった大広間になっている。

by god-zi-lla | 2016-10-29 11:15 | 物見遊山十把一絡げ | Comments(2)
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ピーター・バラカンの始めた〈LIVE MAGIC!〉に行ってみたいと思いながら、ようやっと3年目にしてきのう覗くことができたんであった。ホントはおとついの初日も行きたかったんだが高校のクラス会とバッティングしたもんだから涙を飲んで2日目だけ行ったんだよ。

いやー、でも濃いというのか偏ってるというのか趣味性が強いというのかなんと申しましょうか。なにしろ聴いたギターリストでスライド弾かなかった人がひとりもいないっつう恵比寿ガーデンスライド祭り状態だもん。濱口祐自とRei、サニー・ランドレスは申すまでもなく、しょっぱな聴いたレゲエインストバンドのレゲレーション・インデペンダンスのやや変態がかったギターも、お父さん高田渡のアルバムを「再現」するっていうコンセプトで出てた高田漣も、みんなスライドをどっかで弾くのであった。いやーうれしいじゃありませんか。スライドギター好きとしたら、とってもうれしい恵比寿ガーデンプレイス秋の大収穫祭なり。

そもそもこのフェスを覗いてみたかったってのは、まずReiをライヴでぜひ聴いてみたかったってのが第一でね。それから次の目当てがサニー・ランドレスと濱口祐自。ほら、おっさんのミュージシャンのライヴならべつにそんな気にもせずにお金と日にちがオッケーならどこにでも出かけて見物に行きますけども、若い女の子のライヴで、しかも小さいハコにお客さんも若い女子ばっかのとこにおっさんチョボチョボなんつうような状況ってさ。

そんなこと気にしなきゃいいんでしょうが、気が小さいもんだからおれ。

で、予想通り予想を上回るギターと歌のパワーなのであったReiちゃん。いやまったく末恐ろしいといいますかハタチをちょっと過ぎただけでぱっと見中学生かって感じの今現在でも十分恐ろしい実力だけど、これからどんな音楽家になっていくのか、変化するのも変化しないのもどっちもすごく楽しみな若者なり。

しかしサニー・ランドレスはすごいです。ルイジアナ州ラファイエット出身なんだそうだけど、なんちゅうかこの(アラン・トゥーサン然りネヴィル兄弟然りクラレンス・ゲイトマウス・ブラウン然り)アメリカ深南部の音楽的バックグラウンドの覗き込めばクラクラするような底深さに加え、それがあってこそ光るあの超絶技巧。いやーすごい演奏を聴かせていただきました。

そしてアンコールはサニー・ランドレスのバンドにその日出演のミュージシャンが何人も加わってジャムセッションになったんだけど(下のほうに写真)、サニーがソロを取り始めたらとなりにいたReiがちょっと前に出てサニーの演奏をじいーっと見てんだよ。ふつうとなりのミュージシャンがソロ取ってたら一歩引くところを逆に一歩前進するReiちゃん。もう完全にギター小僧(いやコムスメか)状態でそばに寄って凝視してる。やっぱり一種神様的なんだろう若いギターリストにとってサニー・ランドレスって。

しかしそのスライドギター攻勢のなかに潜んだ思わぬ伏兵がZABA DUOつう二人組なのであった。エレキベースとパンディーロのデュオ。そもそも、そんなデュオが音楽的に成り立つのかと思わず思っちゃうんだけど、そう問われれば無理やり成り立たせてるとしか言いようがない感じもあってさ。だけどこれはちょっとした聴きモノではありました。とくにパンディーロのラファ・ペレイラに度肝を抜かれたというか、あんな小さな打楽器ひとつでこれだけ多彩な表現ができるものかっていう驚き。とにかくおれも含めてお客はみんな最初のうちは、なんじゃこのヘンテコなデュオはと思って遠巻きにしてるって雰囲気だったのがラストのCOME TOGETHER(もちろんビートルズの)のころはもう大喝采の大嵐だもん。

しかしふつう考えないよなーベースとパンディーロのデュオなんてさ。何がキッカケでこんなヘンテコリンなユニット組むようになったんだろか。じつは演奏終了後物販コーナーで二人のCDを買ったとき本人たちがそこにいたもんだから、パンディーロからどうやってあの野太い低音を出すのかと身振り手振りで尋ねたら目の前で実演してみせてくれたんだけども、どうしてベースとパンディーロのデュオかって尋ねるのは身振り手振りだけではちょっとムリなのだった。

つうようなわけで10月23日の13時から20時半までスライドギター三昧で存分に楽しんできたのであったが、まあフェスの食事といえばそういうものなんでしょうけどケイジャン系だったりインド系だったりイタリア系だったり、前夜クラス会で飲んだくれ朝になってもへろへろの二日酔いじじいにはヘヴィ過ぎて臭い嗅ぐだけでも額に脂汗がにじんでくる。

仕方ないので会場を出て向かいにある三越のデパ地下に駆け込み助六寿司とペットボトルのお茶を買い、ガーデンプレイス中庭のベンチに腰かけしょぼしょぼとランチタイム。気がつけば食ってるものが歌舞伎見物もLIVE MAGICもあんまり変わらなくって、あーおれはやっぱ昭和の日本人だよなーと思わず自分でも笑っちゃう秋の昼下がりなのであった。
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濱口祐自とReiのデュオ演奏にニール・ビリングトン(ハーモニカ、左端)が飛び入り
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レゲレーション・インデペンダンス。ギター、キーボード、ドラムスがなかなかの変態なり
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ザバ・デュオ(左端はゲストの日本人TOKU)。パンディーロのこの超オンマイクがキモです(本人談)
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サニー・ランドレスのバンドのアンコールでジャムセッション。左から高田漣(ペダルスティール)、Rei(g)、サニー・ランドレス(g)、サニーのバンドのドラマー(名前がわからない)、チャーリー・ウトン(サニーのバンドのe-bかつザバ・デュオの片割れ)、TOKU(tp)、ニール・ビリングトン(ハーモニカ)、ラファ・ペレイラ(パンディーロ、サバ・デュオのもう一人)
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by god-zi-lla | 2016-10-24 22:18 | 物見遊山十把一絡げ | Comments(0)
近場で黄金週間その2はラフォルジュルネ_d0027243_101591.jpg
あの台風みたいな風雨の夜のあと、いきなり夏の黄金週間は東京だな。

5月3日憲法記念日。

平和島の骨董市をぶらぶらと2時間あまりも冷やかして結構ふらふらになったところで日比谷に出て、慶楽で奥さんは叉焼炒飯おれは牛バラご飯(メニューにはそう書いてないけど、それで通じる)の遅い昼メシを済ませ、夜になってから切符を買ってあったラフォルジュルネの〈四季をめぐる旅〜フランス・バロックの「四季」〉というプログラムを聴きに行った。

これはちょっと残念なことに予定してた歌手が声帯の不調というので歌手が代わり曲目も変わったせいなのか手探りな感じが少しあってさ。ヴィオラ・ダ・ガンバ(フランスだからヴィオールというのかな)ひとりと、ポジティフオルガンとチェンバロ(じゃあクラヴサンだな)を兼ねるひとり、それと女声。

国際フォーラムのホールB5って200人くらいの会場だったんだけど、ホールったってそもそも音楽ホールじゃなくって展示ホールだからね。きっと中世フランスの宮廷でもあのくらいの容積のサロンはあったろうからクラヴサンとヴィオールというような小音量デュオでもじゅうぶん部屋のすみっこまで美音が響き渡ったでしょうが、如何にせんデッドに作られた21世紀トーキョーの展示ホールだもん。あえかな音色を愛でるバロックのサロン音楽を奏でるには、万全の備えの音楽家だってきっと厳しかったに違いないんだ。

せめてラフォルジュルネの会場のひとつに残響の長い築地の浜離宮朝日ホールか虎ノ門のJTアートホールか紀尾井ホールのどれかでも入ってればなあっていつも思わずにいられないんだけど、そうはいかないオトナの諸事情いろいろなんでしょうね(そうそう。大手町の読売本社の新しいホール、あれはどうなんだ。徒歩圏内だぞ)。

でその後ホールC(ここは収容人員1500人くらい、地方の市民ホールと同じような多目的ホール)に移動して20時30分から〈渋さ知らズ〉。なんつってもまあ、かそけき音色のバロックアンサンブルから爆音集団つうこの落差がすごいんだけど、いっぺんライヴを見たいと思ってた〈渋さ…〉に行けるチャンスがようやくめぐってきたんだからいいんです。

いや面白い。想像してたとおり、いやそれをうんと上回ってすごく楽しんだ。予想どおりこのバンドはCDで聴いててもぜんぜん真価がわからない(悪いんだけどCD聴いてるだけだと、ただただウルサイだけにきこえないでもない瞬間がけっこうある)。まあフリージャズとその親類スジの音楽にはそういうことがままありますけど、完全にその範疇だな。

それにしてもあのダンサーたち。鍛えに鍛えた暗黒舞踏系のひととコンテンポラリーダンス系のすごいうまい人と、それからどたんどたんしたベタ足の素人バイトかよ? というおねえさんたちの混ざり具合がなんかすごい。きっといつもああなんだろうな。でもそこがまたすごくいい気がするのはなんかの錯覚かなあ。

それにしても冒頭いきなりアナウンスで「当公演は45分の予定でしたが、やりたいことが盛り沢山のため、ラフォルジュルネにお願いして倍の90分やります。後のプログラムを予定されてるお客さまには申し訳ありませんが45分たったところで一度インターミッションを入れますので、あとはご自由に」だもんなー。たまたまホールC最後のプログラムだったから可能だったんでしょうけど、こっちは大喜びだね。

で結局90分も超えて大方2時間近く。それで延長料金なしの2600円(笑)。単純にウレシイ。しかも途中退席を余儀なくされたお客さん方にはたいへん可哀想なことに後半のほうが断然盛り上がって楽しかった。

〈渋さ知らズ〉はいまやラフォルジュルネの常連バンド(オフィシャルガイドには『裏フォルジュルネの顔』とあり)らしいから、来年も出たらまた見たい。

それから5月4日憲法記念日とこどもの日の間の「オセロ休日」。

また夜。19時15分こんだはホールB7。これも結構広い展示ホールで、そういえば以前ここで弦楽四重奏聴いたことがあったけど先述のバロックアンサンブルと同じようなことを感じたのを思い出した。思い出したんだが、こんだはなにしろブルンジのタイコだから。

オフィシャルガイドでは〈ドラマーズ・オブ・ブルンジ〉という名前になってる。輪切りにした直径40から50センチメートルくらいの木をくり抜いたところに動物の皮を張った(ように見える)太鼓が10台くらい。それを屈強の若者たちが約50分ほとんど休むことなく叩き続けるんですから。いやまったく、ちゃんと昼メシ食って出てきてよかったよ。

これがまた単純なビートを刻んでるだけに一瞬きこえたりするんだがポリリズムになってて、とにかくなんだかわけわからんくらい一瞬もダレずに小一時間、見た感じ大まかにいって三つのパートに別れてるようで、しかもそれぞれのパートを踊りながら入れ替わっていくんだ(タイコの数より若者が二人多いから適度に休みながらやっている)。その木をくり抜いたタイコ以外の楽器はなし。

なにしろ、こういう音楽を聴くことなんてめったにないから(つか、おれなんかも含めてお客のほとんどが初めてだったろう)、どう反応していいのかよくわかんない。だから客席も最初のうちは拍手していいんだか悪いんだか、だけどズンズン身体に響き渡るからスゲーなあって感じはたぶんみんなヒシヒシとあるんだ。

だからお終いに近づくほどお客のノリが良くなってきて、最後のほうはイエーイって感じになったんだけどね(さすがクラシック音楽のフェスと申しますか、ブラヴォーの声もかかってた)。

ラフォルジュルネって、こういうふだんあんまり聴けないような音楽がプログラムにちょこちょこ入ってるんで、そういうのをやっぱ聴きたいと思って切符取ろうとするんだけど考えることはヨノナカみな同じらしくってさ。そういうプログラムはけっこう早めに売り切れちゃったりするから油断なりません。

さて来年はどんな音楽が聴けますかしらん。
by god-zi-lla | 2016-05-06 07:24 | Comments(0)

ここんとこの物見遊山

ここんとこの物見遊山_d0027243_1232492.jpg
しばらくぶりでございます。

日々おもしろいことと忙しいことが多ければブログは後回しになる運命なんであった。きのうは梅雨の晴れ間とて家じゅうの掃除しながら昼過ぎまで衣更えで片付ける衣類などいったい何度洗濯機を回したことか。その合間合間には包丁6本研いで、ちょっとしたら夕餉の支度だ。

土曜日は京都からうれしい人が来たので一杯飲み、翌る日は午前中から歌舞伎座の3階席で芝居見物、その前の金曜日は朝から掃除を始め日の暮れる時分から六本木ヒルズ行きの都バスで東京ミッドタウンに向かい、サントリー美術館で尾形乾山の展覧会を覗いてきたりしたんであった。

☆東京ミッドタウンは六本木じゃなくて赤坂なのよ

それはともかくとして乾山はいつどこで見てもとても良いですね。茶碗のひとつも欲しいもんだと思いますけど庶民はそんなこと死んでも思っちゃあいけない。見るだけ見るだけ。見るだけだけどこの人とその工房はたくさんこさえてたくさん商売もきっとしてたんだろうというのがちょっとした親しみやすさにもなって、だからついそんなことを考えてしまうんじゃあるまいかしら。だからこの展覧会にもいくつか出品されてた仁清のこしらえたものを見たって、とんでもなくすごいもんだよなあとは思うけど欲しいなんてこれっぽっちも思わない。

そういえば会場にあった仁清の、鶴のかたちをした香盒、あれがいちばん目に焼き付いてしまって乾山の展覧会に行ったつもりだったのに困ったもんだな。乾山では四角い蓋物の、以前MOA美術館で見たのとは別のやつが大らかに大胆でとても気に入った。

☆駆け出しチャッピーは有楽町

6月になってから映画といえば「チャッピー」と「駆け込み女と駆け出し男」の2本のみなり。チャッピーはAI搭載人型警官ロボットに「意識」を積んじゃったらどうなるかっつう映画だよなーと思って見てたら、終盤近くの意外ななりゆきが面白いんだけど、全体としてB級SFロボットアクションの色が濃厚でエラソーにしないところが一番気に入った。シガニー・ウィーバーの兵器会社CEOは彼女じゃなくてもよかったな。ヒュー・ジャックマンの脳味噌まで筋肉なマッドサイエンティストつう役柄はもしかして新機軸か(笑)

だけど一番はニンジャとヨランディ・ヴィッサー(でいいのか)だな。この人たちラッパーなんだってね。アウトローである意味グロテスクな純愛カップル。この二人がいないとチャッピーはチャッピーじゃなかったとこがシチュエーションとして最高だな。ニンジャの穿いてる「テンション」と太もものところにカタカナで大書してあるニッカズボンもサイコー。

「駆け込み女…」は井上ひさしの連作短編「東慶寺花だより」の映画化なれども、おととし同じ原作を舞台化した新作歌舞伎「東慶寺花だより」も見たんだよ。でさ。映画も芝居も楽しんで見物してきたのに原作読んだことないってのはさすがに片手落ちってもんだろと、文春文庫を本屋で買って読み始めたところなんであった。

こうなると格好なブログねたというようなモンである。
この項to be continued。

5月は「セッション」と「龍三と7人の子分たち」も見た。セッションはとくにコメントありません。「龍三…」はいかにも戦後日本映画らしいオーソドックスなドタバタ喜劇って感じだったな。特筆すべきは中尾彬の怪演、とくに後半は死体になって経帷子着て鼻の穴に脱脂綿詰めてセリフなしアクションなしなのに出ずっぱりで大活躍なところが新機軸か(笑)

☆ライヴは六本木一丁目と渋谷宇田川町と隼町

6月のライヴは3日サントリーホールでストラディヴァリウス・サミット・コンサート2015ってのを聴いてきた。なんか一瞬ウサン臭そうなタイトルでしたがベルリンフィルのメンバーによる(楽器は全員ストラディヴァリの)弦楽合奏でじつに結構でした。プログラムはモーツァルトのディヴェルティメントK.136(125a)、グリークの組曲「ホルベアの時代より」。休憩をはさんで後半はヴィヴァルディの「四季」。

モダン楽器のヴィブラートきっちりかかる「四季」って、もしかしたら40年くらい前に藤沢市民会館で聴いたイ・ムジチ(ソロはミケルッチ)以来かもしれない。これがしかし春夏秋冬四つの協奏曲それぞれ別のソリストがそれぞれのやり方でやって勝手気まま、なのに基本ベルリンフィルがストラドでやる精緻かつ美音だもんだからアタマんなかがクラクラしちゃってね。いやーレコードで繰り返し聴く気にはなんないけど、1回こっきりライヴでならアリだよなあ。そういう意味じゃカルミニョーラのスピード違反の四季もおんなじですね。

アンコールはチャイコフスキーの弦楽セレナーデと、アイネクライネ。

そのちょい前の5月30日には渋谷クアトロで毎年行ってる吾妻光良とスインギング・バッパーズのライヴで、今年のゲストシンガーは元VOW WOWの人見元基。いやーおれロック詳しくないからよくわかってませんでしたけど、吾妻さんより2つ年下の同世代で57歳。つことは、おれも同世代ってことだ。だけどうまいなあ人見元基。爆音でスタンダードナンバーをシャウトしてサマになるシンガーなんて世界じゅう探したってまずいませんぜ。ロッド・スチュワートだってこうは歌わない(ロッドのスタンダードも武道館でいっぱい聴いたけどさ)。声に艶があるしパワフルだし英語うまいし、この人はいったいどーなってんですか。

ネットで検索したらいまは千葉の県立高校の英語の先生なんだってね(高校名すぐわかりますけど、みんな『某』にしてるから『某』)。いやびっくり、高校を定年退職したら本格的にロックシンガーに復帰するんでしょうか。こんどVOW WOWのレコード探しに行ってこよ。

その1週間くらい前に国立演芸場で立川流落語会の千穐楽を見物してきた。お目当てはトリの談四楼ひとり、楽しめたのも談四楼だけなのだった。演し物は「ぼんぼん唄」というおれは初めて聞いた噺だったんだけどもいまは談四楼しかやらないネタで、もとは五代目志ん生の持ちネタだったのを遺族の許しを得て談四楼が復活させたんだそうです。

だけどYouTubeで聞くと志ん生の「ぼんぼん唄」はアッチへ転び、こっち転がりして筋立てとしたら談四楼のやったのとおんなじ噺だってことはわかりますけど、談四楼はキチンと整理してわかりやすい人情噺に仕立て直して、これはやっぱり別物なり。

☆芝居は木挽町界隈

芝居は5月明治座は書いたからその次つうと團菊祭の歌舞伎座、慶安太平記は松緑の丸橋中也。ヨノナカに屈託を抱え腕が立ちながら短慮で道を誤るっつう中也に松緑がよくハマってた。姿もいいし立ち回りも決まってるしね。もっと見たいんだけど、なかなか歌舞伎座に出ない松緑選手なり。自分が中也にならないよう祈る。

海老蔵の蛇柳はパスして「め組の喧嘩」は華やかでキレイで大雑把で理屈いっさい抜きな江戸情緒満点の芝居ですけど、やっぱりこれは菊五郎だよなあ。オトワヤっ! 以上。

それから6月に入って友だちにキップ余ってるからと誘われて新橋演舞場で熱海五郎一座「プリティウーマンの勝手にボディガード」を3階席の端っこの舞台下手から3分の1くらいは見切れて何をやってんだかわかんなくなる安い席で見物なり。

だけどけっこう面白かった。いやしかし、なんつうかこの人たちはいうまでもなく個人技バツグンだしね。脚本がユル目のところは自分で客をなんとかしちゃう感じ、つか、そういうふうに作ってあるのかもしれないけどね。そのあたりが座長三宅裕司のいう東京の軽演劇の見どころというべきなんでしょうか。

そこに見事にハマってなおかつスターっぷりもタップリ見せる大地真央がたいしたもんでした。

歌舞伎がもうひとつ、この前の日曜日の歌舞伎座午前の部の最初が橋之助の勝小吉で「天保遊侠録」。なんだか後ろに控える大幹部お歴々総出演の通し狂言「新薄雪物語」の前座みたいなことになって朝日の劇評でもシカトされてましたけど、橋之助のカラカラっとした鯔背な江戸っ子ぶりが四十俵二人扶持無役のやんちゃな貧乏御家人におれはピッタリだと思うんだけどね。

筋立てもスッキリとしてテンポがいいし、出てくる役者がみんな楽しそうに演じてる感じがしてさ。肩の凝らないおれはいい舞台だと思ったんだけどね。まあシロートの目とプロの目とは、おのずと違うものだし。

でその新薄雪物語はいかにも古典歌舞伎っつう感じでしかも吉右衛門に仁左衛門に菊五郎に幸四郎ですから、ああもこうもございません。そのうえ見てみると話はそう込み入ってもないしセリフはよくわかるし、舞台装置は華やかだし初心者のおれが初めて見てもちゃんと楽しめます(楽しむためには努力が必要な演目というのが、歌舞伎にはやっぱりけっこうあります)。

ちゃんと楽しめると結末が知りたい。なのに昼の部は「夜の部」にto be continuedなのであった。もちろんキップは別途買い求めねばなりません。んー、そんなご無体な松竹さま。

つうわけで、今月はもう1回歌舞伎座へ行こうかどうしようかおサイフとカレンダーと残席表示と首っぴきな今日このごろなのであった(ばやいによっては幕見か)。

最後になりましたが、写真は本文と関係ありません(笑)

だけど何の花かわかる人は教えてくださいませ。4月下旬広尾あたりで見た花なり。
by god-zi-lla | 2015-06-16 13:00 | 物見遊山十把一絡げ | Comments(2)
今年見物したもの映画も芝居もライヴも横着してツイッターから十把一絡げ_d0027243_9572741.jpg
つうわけで2015年が始まってしまったんであった。
どちらさまもご無事でなにより(少なくとも、こんなブログに目を通す気になる程度にはご無事であろうと拝察申し上げる次第でございます)。

ためしに2014年、そのときどきのツイッターから映画や芝居その他について拾ってみたんですけど、ざっと見たところ行って面白かったのにツイートしてないものもかなりあるんだ。たとえば今年最初に見た映画は1月4日の「愛しのフリーダ」はとってもいいドキュメンタリー映画でブログには書きとめておいたけどツイートしてないし、せんだっての京都四条南座の顔見世興行もブログにはさんざぱら書いたくせにノーツイート。まあそんなもんだ(ツイッターにはあるけどブログには書いてないってのも多いんだけどさ)。

つうことで2014年のおさらい、つかコピペしただけ。
長いので御用とお急ぎでない方だけご覧なってってください。
2014年マイベストワンとかは、そーゆー性分じゃないから今年もやらない。ココロのなかにはありますけどね、あの映画のことがいちばん思い出されるよなあとか、あの舞台は忘れらんないよとか、あのレコードは棚にしまえないわな、とかね。

あ。写真はですね。歌舞伎座や新橋演舞場で歌舞伎見物するときに買ってく梅林て銀座のトンカツ屋のショウガ焼き弁当なり。銀座三越の地下で売っててたしか税込み750円くらい。安くはないけど噛み応えのあるちゃんとしたロースが3枚入ってるしシシトウも乗ってるし、三越の地下で「観劇弁当」て言って売ってるいわゆる幕の内弁当各種よりはウンと安いです。ちなみにこのショウガ焼き弁当は三越の観劇弁当の仲間には入ってません。当たり前だわな。

いや、ぢつは弁当の写真撮りためてそのうち「芝居弁当」つうようなタイトルでもってブログでっち上げてやろうかと思ってたんだけどさ。去年だけでも歌舞伎座と演舞場と明治座と国立劇場に幕見を除いて都合18回通ったくせに、このショウガ焼き弁当ばっか食ってるもんですから全然写真が増えないの。だから諦めてここに写真使うことにしたんでした。あと食ったのは焼そば(これは弁当じゃなくて惣菜。まさか歌舞伎座の客席で食ったとはお店の人だって想像もしないだろうな)500円、助六寿司(チープだが名前がいかにもカブキだ)700円、かき揚げ弁当650円(これはけっこうウマイが買える時間帯が少ない)とかね。まあしかし、どいつもこいつもあんまりフォトジェニックとは言えんわなあ。あと同じトンカツ屋梅林ではカツ丼弁当(たしか800円)つうのもあるんだが、冷めるとやや食いにくいんです。

いやそんな話じゃないんだ。本題のツイッター抜き書き。

★12月20日
藤原真理のチェロ、大改修終えた庭園美術館の大広間でさっきまでサロンコンサート。ベートーヴェン魔笛の主題による変奏曲、同ソナタ2番。シューマン、アダージョとアレグロ。アンコールにバッハ無伴奏3番前奏曲など4曲。演奏も会場もたまりません
 ★12月7日
世田谷パブリックシアターで鼬(いたち)。白石加代子と鈴木京香の激突。仙台出身の鈴木京香は東北弁の啖呵でアドバンテージもらって白石加代子に予想以上の健闘(ってラグビーの試合かよ)
★11月30日
シネリーブル池袋で遅ればせながら「まほろ駅前狂騒曲」。多田・行天・ハルちゃん3人の1か月半だけで、とくにナニゴトも起こらない映画作ったらどうだったかなあ(そのほうがきっと難易度高いんだろな、作るほうとしたら)
 ★11月29日
丸の内ピカデリーでインターステラー。現在35㎜フィルムで上映。オスカー最有力っていう惹句は大げさじゃないね
★11月26日
新宿ピカデリーで「福福荘の福ちゃん」。いいわあ
★11月23日
本多劇場で伊東四朗「吉良ですが、なにか」。金曜日に始まったばかりだから、これから日に日に練れて面白くなりそうな感じ
★11月19日
国立劇場大劇場で「通し狂言伽羅先代萩」。もしかして国立劇場、今年初めてか
★11月18日
昨夜は世田谷パブリックシアターで首藤康之/石丸幹二/若林顕による一夜限りの「くるみ割り人形」。面白い舞台を楽しんだけど、手を入れるところはたくさんありそうな気がする。再演期待
★11月16日
明治座で猿之助「通し狂言四天王楓江戸粧(してんのうもみじのえどぐま)」。ここまでハチャメチャだとかえって爽快だな。超くだらないものを目一杯カラダ動かしてやりきる面白さ(口上で猿之助本人がそう言ってたとおりの中身だった)
★11月14日
きのうは丸の内ピカデリーでエクスペンダブルズ3。あのじいさんどもがナニモノかわからん若者たちには、どう見えるんでしょうかこの映画(あ、若者は見ないのか。だよなあ)
★11月12日
有楽町スバル座で「0.5ミリ」。着地姿勢に入ってから飛距離伸ばしK点超え、みたいな映画。なるほどそのための3時間か。見るべし
★11月3日
初めてのシアターオーブで「SINGIN' IN THE RAIN 雨に唄えば」。主役のアダム・クーパー見るのは新国立劇場「兵士の物語」以来2回目だけど、なにをやってもたいしたモンだ
★11月1日
ことしになって見た音楽にかかわる映画とミュージカル映画は「愛しのフリーダ」を皮切りに「舞妓はレディ」までで7本。「ストックホルムでワルツを」もたぶん見るだろうな(音楽の映画はどれも楽しいしさ)
★10月31日
ヒューマントラスト有楽町で「アンナプルナ南壁」。結末はこういうことだったのか
★10月30日
しかし「大人は判ってくれない」。あの時代、子どもを顧みない親なんて今よりずっと多くて、それを「ネグレクト」なんて呼んで問題にすることもなかった。だからこそ映画はアントワーヌ少年個人の物語として成り立つわけで、ひょっとして21世紀にこれを見たおれは、当時のお客と違う見方をしてたかも
★10月29日
ああー、新宿ミラノ座(ミラノ1)は今年いっぱいで閉館するのか。バカでかい映画館だったよなあ。学生時代、あそこでサタデー・ナイト・フィーバー見た気がする(封切館にはほとんど行ったことがないのに)
★10月29日
角川シネマ有楽町でトリュフォー「大人は判ってくれない」。サービスデーとは言え満員札止めはスゴい
★10月24日
昨夜は初めてのよみうり大手町ホールで弦楽六重奏版シェーンベルク「浄められた夜」と石丸幹二の語りによるストラヴィンスキー「兵士の物語」。いずれも読響メンバーの演奏。弦楽六重奏版は初めて実演聴く。若手団員の演奏は精緻で緊張感溢れる好演と聴いた。兵士は、いつどうやって聴いても、いいねえ
★10月20日
ワケワカラン芝居を死ぬほどシャカリキになって突き詰めるからこその面白さ(新橋演舞場の猿之助『獨道中五十三驛』)
★10月19日
TOHOシネマズみゆき座「ミリオンダラー・アーム」。いかにもアメリカっぽい実話を嫌味なく。アラン・アーキンのじいさまが相変わらずいい味
★10月16日
シネスイッチ銀座で「めぐり逢わせのお弁当」。思ってたよりずうーっとビターな味わいの秀作。ほのぼの風な邦題に危うく騙されるとこだったぜ。シネスイッチはあす17日まで
★10月5日
風雨を突いて「ジャージー・ボーイズ」また丸の内ピカデリー。見応えも聴き応えもあるミュージカル映画(だけどセリフは音楽に乗せてない)。監督本人カメオ出演。チラっと写るテレビ画面のなかにローハイドのロディ!
★10月4日
きのう「柘榴坂の仇討」丸の内ピカデリー。ごくオーソドックスな時代劇の作りで悪くないんだけど、雪のシーンのリアリティがもうちょっとあったらなあ
★ 9月25日
ピーター・バラカン+久保田麻琴のトークショーの整理券ゲット。始まるまでオーディオショウ覗くとするか(本末転倒なり)
★ 9月23日
いやー大竹しのぶがすごい。コクーン「火のようにさみしい姉がいて」
★9月15日
きのう「るろうに剣心 伝説の最期編」を丸の内ピカデリー。かなりの大入り。江口洋介、伊勢谷友介、福山雅治の自己陶酔系3人組が良いねえ
 ★9月10日
ヒューマントラストシネマ有楽町で「ローマ環状線、めぐりゆく人生たち」。見てるうちに先日見たばかりの「大いなる沈黙へ-グランド・シャルトルーズ修道院」のことがしきりに思い出されるのだった
★9月2日
大いなる沈黙へ-グランド・シャルトルーズ修道院を角川シネマ有楽町。3時間弱、ナレーションなし、音楽なし、会話ほどんどなし。疲れた。無言で修道院を見学したらこんな感じか
 ★9月2日
先週土曜日、シャンテでマット・デイモンのプロミスト・ランド。ちょっと惜しい感じ
★8月27日
それにしても8月は芝居見まくったなあ。木挽町で歌舞伎、軽井沢で狂言、松本でサイトウキネンの兵士の物語。ハズレひとつもなし。散財の甲斐があったというものよ(身体ヨレヨレだけどさ)
★8月27日
歌舞伎座八月納涼歌舞伎千秋楽第二部、大佛次郎作の「たぬき」を幕見で見物。今月は谷崎潤一郎作「恐怖物語」、圓朝の「怪談乳房榎」ともにとても楽しく見物したけど比較にならない。三津五郎すごい。参りました。すぐに再演してほしい
★8月24日
松本は涼しかった。新宿駅に着いたらそのまま「あずさ」で引っ返したくなった(『兵士の物語』も良かったし)
★ 8月16日
ヤゲオ財団コレクションのほうは杉本博司「最後の晩餐」がすごい。あれは8x10で一発で撮ったんだろうか
★8月16日
たまたまなのか、わざわざなのか、8月15日の東京国立近代美術館の所蔵品展示に藤田嗣治の「アッツ島玉砕」が出ていて初めて実物を見た。国威発揚のために書いた絵かもしれないけど、ものすごい絵だ
★ 8月15日
きょうは夕方から竹橋の近代美術館で「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展」を見物してきた。ホントはゲンダイビジュツで大笑いしてこようかと思ってたのが、いきなりサンユウ(常玉)の「裸体」に圧倒されてしまって、まるで思惑が外れてしまったのだった
★ 8月14日
シネマート六本木。これから「マッスル・ショールズ」。前の回はこの劇場メインの韓流映画。終わって出てくる客と、外で待ってる客が、笑えるくらい別世界(^o^)
★8月14日
いまさら言ってもアレですけど、六本木からWAVEが消えてなくなったときはホントにショックだった(きょうはこれからシネマート六本木へ映画見に行くので、ふと思い出したんです)
★8月14日
きのうは歌舞伎座、谷崎潤一郎作「恐怖時代」を幕見で見物してきた。血生臭くドロドロの悪人しか出てこないが筋立ては単純な芝居。見物的には面白いけど文豪はなんでこんなもん書いたんですかね
★ 8月8日
きのうは飲む前にシネマート六本木でGIFT見た。荒削りで不器用で美しくもなく綻びもあって洗練とはほど遠い作りだけど、そんなことお構いなしに面白い。松井玲奈ちゃんのフテクサレ顔が意外にも見事
★8月1日
今夜は、るろ剣
★7月29日
シャンテで「ジゴロ・イン・ニューヨーク」。エロくてシニカル。夏休み、お子様とご一緒にどーぞ。なんちて
 ★7月23日
テアトル新宿で「革命の子どもたち」見た。テアトル新宿、いつの間に今風の小綺麗な映画館に?
 ★7月5日
そういえば「インサイド・ルーウィン・デイヴィス」の、ルーウィンが友人宅でレコードをかけたときのカートリッジは、針の前にブラシの付いたピカリングだった(どーでもいいけどさ)
★7月1日
気を取り直して日比谷でインサイド・ルーウィン・デイヴィス見た
★6月18日
ゆうべはコクーン歌舞伎「三人吉三」。言うことないくらい面白い
★6月15日
満席のシャンテ、スクリーン1でグランド・ブダペスト・ホテル。ナカグロが鬱陶しい邦題だけど映画自体は最高。ウェス・アンダーソン監督すごい
★6月12日
ゴジラ 60周年記念デジタルリマスター版、特別料金1000円で見てきた(シニアに間違われたわけじゃないからな)。子どものころテレビで見てるけど映画館で見るのはたぶん初めて。思ったよりずっと面白かったし見応えもあった。それに思ってたよりはるかにメッセージ性強し
★6月9日
きょう六本木で「青天の霹靂」。面白い。劇団ひとり、たいしたもんです。作風が似てるわけじゃないけど、伊丹十三のことをちょっと思い出した
★5月22日
えーと、ホラ。だれだっけ、あの、アレに出てたあの、んー、なんで思い出せないんだ!(いつのもことだけど)。あーそうだそうだライトスタッフの、えーと、チャック・イェーガーやった、あの…。そこまで思い出してるのに結局エンドロール見るまで思い出さず。八月の家族たちにサム・シェパード!
★5月9日
今月の歌舞伎は明治座の花形しかチケット買ってない。歌舞伎座の團菊祭は幕見だけだね。菊之助の春興鏡獅子と…
 ★4月28日
テルマエ・ロマエII、日劇で見た。曙がいいねえ悲しみの剣闘士。それから四股踏むのがヘンにうまいグラディエーター誰よと見れば琴欧洲。お懐かしや白木みのるはラーメン屋の親父。松島トモ子はライオンじゃなくクマに頭囓られる。だけどやっぱりローマ皇帝を演じれば市村正親が世界最高(^o^)
★ 4月24日
シネスイッチ銀座で「世界の果ての通学路」見終わって、ウチまで歩いて帰ってきた(笑) 演出も結構あるけど、すごい道のりを通学する子どもたちに思わず見入ってしまう映画
★4月15日
ウェイン・ショーターすごい! 80歳超えてるなんて信じられません。ブライアン・ブレイドも噂にたがわぬ凄さ。たまらんぜよ
★4月4日
きのう丸の内ピカデリー1の最終回でデニーロとスタローンの「リベンジ・マッチ」。なんと1時間たったころ映像切れてスクリーン真っ暗。昔フィルムが切れるとスクリーンが明るくなって音声も切れた。きのうはプロジェクターの故障か音声だけが約3分。映写技師がスクリーン見てなかった証拠だな
 ★4月3日
スタローンとデニーロのボクシング映画も見たいけど、メリル・ストリープとジュリア・ロバーツの母娘映画も見たい
★4月3日
お花見が降雨中止になったので、シャンテでネブラスカを見た。モノクロームの渋いロードムービー。それにしても老人主役の映画が近ごろ多いな
★3月22日
今月の歌舞伎座は昼も夜も人間国宝5人中4人出演で「お宝」率高し。頑張ってるなあ。つか、頑張らざるを得ないんだろうなあ人材不足で
★3月3日
たしかによくできた、なかなか面白い映画だとは思ったけど、しかしなあ。ゼロ・グラビティ
★ 2月22日
今夜はシアターコクーンで串田和美「もっと泣いてよフラッパー」。長いけど面白い。面白いけど長い
★2月21日
昨夜の武道館のクラプトン。プリテンディングで始まって、レイラはやっぱりアコースティックだった
★2月16日
パルコ劇場、三谷幸喜「国民の映画」再演もとても良い。初演の駆け出し女優役からゲッベルス夫人役に「昇格」した吉田羊が初演の石田ゆり子よりずっと良い感じ
★2月13日
歌舞伎座二月昼の部「通し狂言 心謎解色糸(こころのなぞとけたいろいと)」。1973年以来の蘇演ということですけど、なんでこの面白い芝居を40年も放っぽらかしてたのかね。今月は夜の部(白浪五人男)より昼の部です
★ 2月7日
昨夜TOHOシネマズみゆき座でアメリカン・ハッスル。面白い! けど、コンゲーム映画としてのスリルよりも、「人間ってなんてバカで強欲でカワイイんだ映画」の比重大。過剰に脂ぎってむせ返るような70年代の雰囲気が画面から溢れて、映像的にはザラっとしてどこか「アルゴ」に通じる印象
★2月6日
いやー、良かった! 渋谷公会堂のテデスキ・トラックス・バンド。最高!
★2月4日
「バックコーラスのディーバたち」はすごくいい! いろんな意味でグッとくる。六本木シネマートへ、韓流オバかき分けて見に行こう(笑)
★2月1日
いま思い出したんだけど映画「ジャッジ!」にはあがた森魚が出てるんだよ。スーツ着てネクタイ締めてヘンテコリンな発言して妻夫木聡をきりきり舞いさせるクライアントの宣伝室長。最初気づかなかった。エンドロールに名前があって「えー!?」
★1月25日
丸の内東映でゼロ・グラビティ。面白いけどやや小粒感。エド・ハリスがまたヒューストンの人で、だけど声だけってのが趣向です
★1月23日
銀座WINSならびの共楽でラーメン食ってから、歌舞伎座昼の部「松浦の太鼓」を幕見席で見物してきた
★1月17日
ビルボードライブのファンキー・ミーターズはすごく良かったけど、アート・ネヴィルの健康は大丈夫か? 腰掛ける姿勢が非常にツラそうで、途中、B3をちゃんと弾けてないところもあった
★1月15日
時間調整のつもりで見た「ソウルガールズ」って映画、すごく良かった! ヒューマントラストシネマ有楽町
★1月13日
東京宝塚劇場で初めてタカラヅカというのを見物中。ふだん地声の芝居ばかり見てるので、アンプリファイドされた声の「方向」というか「定位」に戸惑ってる。なるほどなあ
★1月12日
丸の内ピカデリーの2階席でジャッジ!。1階席よりずっと入りが良い。巨大スクリーンが真っ正面の快感なりよ。映画自体はくだらないんだけどクダラナさで自己崩壊せず、楽しんで笑ってきた
★1月9日
角川シネマ有楽町でハンナ•アーレント。シリアスで重たい映画だけど、やっと間に合って良かった
by god-zi-lla | 2015-01-02 07:49 | 物見遊山十把一絡げ | Comments(2)
師走手前に東奔西走中なのだった_d0027243_791139.jpg
なにしろ聖護院大根の甘酢漬けのことを書きとめたのが14日で、その日の夜は有楽町の丸の内ピカデリーへ奥さんと「エクスペンダブルズ3」。ほかにいくらでも世間様で話題になってる見たい映画があるってのになんでまたよりによってこんな老人アクション映画を見に行ったかっつうと、これはひとりだったら絶対見ないだろうと思ったからなのだった。おかげでいちばん見たい映画を見逃しかねない事態である。なんかおかしい。

なんかおかしいのは翌々日の16日明治座へ猿之助「通し狂言四天王楓江戸粧(してんのうもみじのえどぐま)」を見物に行き、翌17日には世田谷パブリックシアターでダンサー首藤康之/語り手石丸幹二/ピアノ若林顕の3人による「くるみ割り人形」を見物し、さらに19日には上のチラシの「通し狂言伽羅先代萩」を国立劇場へ見物に行って、きのう22日は六本木のビルボードライブで吾妻光良とスインギングバッパーズを聴きに行ったりしてるもんだから、いつ映画館へ行きゃあいいんだっていうもんである。

なんでこういうダンゴ状態になるのかっつうとチケットを買う時期はバラバラだからで、たしか「くるみ割り人形」なんかは当の首藤康之が出た「兵士の物語」を見に松本市民芸術館へ行ったときにもらったチラシで知って、たった3人でチャイコフスキーの大作をどうやってやるんだと興味津々だったから夏のうちに切符を買ったわけです。きのうのバッパーズも予約したのはたぶん9月、明治座は10月。まあカレンダー見ながら切符買ってるわけですから途中で、あーこの時期はなんかとんでもないことになっちゃうかもなあとは思ってんだよな。

それなのにその間隙を縫って国立劇場なんかほとんど当日券を買うのと変わらないように突発的に思い立って見に行ったりする。

なんか、ライブというか実演の魅力(いや魔力か)に勝てないんだよ。とにかく現場行ってドキドキしたい。生身の人間が、しかも鍛えに鍛えたプロ中のプロというような人たちが目の前で、それが芝居にしても音楽にしてもダンスにしても、とにかくものすごい緊張感のなかでワザを見せてくれたり聴かせてくれたりするのを見たいっつう誘惑にまるで勝てない。ここで見逃せばエリック・ドルフィーじゃないけど、すべてどこかへ消え去って二度と取り戻すことができないと思うといてもたってもいられないもんだから、たまたま見たいものが重なるような時期にはとんでもないことになっちゃうんだよ。

そんなことだから映画もなかなか見られないけど、ウチでレコードCDを聴くという時間も当たり前ですけどここんとこぐっと少なかったりしてる。いわんやブログ書く時間をや、でさ。

とりあえず書きとめておけはエクスペンダブルズ3と明治座の猿之助は話しのスジなんておかまいなしのドンパチ大騒ぎをお客に見せて楽しませるということじゃ同類項で、どっちも楽しく見物してきた。スタローンも猿之助もその点じゃ一緒なんだろうな。ふたりとも間違いなくカラダ張ってるしね。

ダンスと語りとピアノのくるみ割りはどうすんのかと思ってた。クララをヒゲの首藤康之が踊るのか。これが踊ったんである。ヒゲのクララ。なるほどこういうテもあったのかとは思ってあちこち感心することしきりの一夜限りの「くるみ割り人形」ではあったんだが、だけどやっぱり男3人しかもダンスと語りとピアノでやるのはむつかしい。もっといろいろやりようはありそうだから、ぜひ練り直して再演してほしいもんだと思ったのだった。

伽羅先代萩は中村梅玉の足利頼兼と細川勝元(チラシの裃姿)の二役がじつにかっこいい。歌舞伎見始めたころはなんて線の細い役者なんだろうと思ってたんだけど、なんというかこういう品位っつうか格調の高さみたいなものをほかの役者に感じるとこはないんじゃないかと近ごろは思うようになってきた。いやあ、すごいもんだよな歌舞伎っていうのは。初心者でも日々気づくことはあるもんなんである。

だけど客席には空席が目立つ。すごくもったいない。
ちなみにおれは2600円の席で見物しましたが、ゆうに1万円ぶん以上楽しんだね。

ビルボードライブのバッパーズはいつも通りといえばいつも通りだったんだけど、おれらはいつも渋谷クアトロで年1回老体にむち打ってスタンディング3時間強ぎゅうぎゅう詰めのなかで楽しんでるのが、六本木の高級ライブレストランじゃあなんか調子が狂っちゃってね。見てると吾妻さん以下バッパーズのご老体がたもココロなしか調子狂ってるように見えないこともないんだ。

こちとら座って楽しめるからすごくよかったんですけど、だけどなんかあの中高年には苦しい立ちっぱなしのすし詰め3時間が懐かしいような気になっちゃうのがニンゲンなんて現金なもんですね。

とまあそんな次第ではございますが、少し前の3日には渋谷のシアターオーブというのに初めて行ってアダム・クーパー主演のミュージカル「雨に唄えば」も見物してまいりました。これも非常に楽しい。アダム・クーパーはロイヤルバレエのもとトップダンサーだからダンスはもちろん桁外れなわけだけど歌もなかなかのもんで、こういうふうに自分の得意分野からどんどん外へ出てくひとたちってのは見ててホント楽しい。ダンサーだったらさきほどの首藤康之もそうだしさ。こういうのも現場に行く楽しみの間違いなくひとつだよな。

あの有名な雨のシーン(映画でジーン・ケリーが街灯相手に踊るとこ)はステージに大量の雨が降ります。

で、今日は今日とて下北沢へ芝居見物なり性懲りもなし。
by god-zi-lla | 2014-11-23 07:09 | 物見遊山十把一絡げ | Comments(0)
ゆうべ4月15日は渋谷オーチャードホールでウェイン・ショーター・クヮルテットを聴いてまいりましたが、いやあすごいね。なにがすごいってトシ取ったからありきたりのスタンダートかなんかを気楽にビバップ風に料理して余生を過ごしましょう、みたいな雰囲気が全然ないんだな。

まえにリー・コニッツがビル・フリゼールやなんかとライヴでやったCD聴いたときにも思ったけど、昔やったことを聴きたかったら昔のレコードでもCDでも聴いてくれればいいだろ、おれはおれでいまこういうのやりたくてやってんだから、それを聴いてくれよなっていう感じ。なんつうか、自分らで歴史作ってきた人たちは強いっていうか、ひとさまは歴史っていいますけど、おれらにとったらそれは過去ってことなのよっていう態度というかね。

なんてったって功成り名を遂げた巨匠ですから、手慣れたことを手慣れたバンドで手慣れた客相手にやってたって全然モンダイないと思うんだよ。だれも非難しませんぜ、そんなこと。だけどそれはやらないという根性がすごい。

それにしてもブライアン・ブレイドは素手でドラムス叩いてるわダニーロ・ロペスはピアノん中に手突っ込んで内部奏法やるわ、ウェイン・ショーターはといえばラーサーン・ローランド・カークみたいなホイッスルをヒュウッと吹くわ、それから途中で口笛吹いてたのは誰? みたいな、どこまでが書かれた音楽でどこからが即興なのかわかんないけど、かりに全部があらかじめ書かれた音楽だったとしても全然かまわないというような、そんなことを詮索すること自体意味のないような音楽だったな(上のYouTubeの演奏は、きのうのオーチャードホールに比べたらまだオーソドックスな味がするくらい)。

ただいかにもウェイン・ショーターらしいというか、ブラックミュージックっぽさ、あるいはブルーズ的な味わい、またはファンクネスというようなものはほとんどなくってさ。ただたんにコンテンポラリーミュージックっていう感じのね、そういう音楽。だけど昔っからレコードで聴いてた濁った感じのあまりしないテナーとソプラノのサウンドは、やっぱりウェイン・ショーターだよなあって思うんだよ(あの濁らないサウンドもまた黒っぽくなさのひとつなんだろうな)。

しかし80歳だぜ。すごいよ。

せんだって4月11日の金曜日は娘に誘われてサントリーホールで「デューク・エリントン没後40周年記念 ジャズピアノ6連弾〜ビッグバンドに捧ぐ〜」っていうのを聴いてきた。何日か前にジャズピアノ6連弾ていう新聞広告は見た覚えがあったんだけどさ。娘からチケット半額で買えるから行ってみないかってメールがあってね。正直言ってこういう色物っぽい企画にあんまり興味ないうえに小原孝・国府弘子・佐藤允彦・佐山雅弘・塩谷哲つうメンバーが佐藤允彦を除いてあんまりおれ好みじゃないです。

ただ穐吉敏子が出るっていうのにちょっと引っかかってはいたんだけど、じゃあ行ってみるかってとこまではいかなかったのが、娘が半額で買えるっていうもんですからね。せっかく娘がメールくれたんだし、だったら聴いてみるのも悪くないかなと思ったんでした(娘にちょっとおべんちゃらしとくのも将来的に悪くないかも、なんて)。そういうわけでなかば穐吉敏子の名前に引っぱられるようにしてサントリーホールへ向かったんだが、だってもう80歳をだいぶん過ぎてるでしょ。もしかしたら聴き納めになるかもしれないと正直思ったってのもありました。

前にも書いたかもしれないけど秋吉敏子(そのころは穐吉じゃなかった)/ルー・タバキンのビッグバンドを79年2月1日、中野サンプラザの2階席で聴いた(みょうに詳細なのは半券が残ってるからなの)。秋吉敏子がね、ピアノ弾きながらバッと大きく手を振り上げて指揮するんだよ。名前はダンナとの双頭バンドだったけど実質は秋吉敏子オーケストラでルー・タバキンはメインソリストという感じだったな。オトコばっかりのビッグバンドの手綱をぐいっと引いて、とにかくすごく颯爽としてかっこよくてさ。ジャズ聴く経験の浅かった学生のおれにはちょっと難解な感じのしないでもないコンサートだったけど、それでもなんだかスゴイ音楽を聴いちゃったなあという印象が強烈に残っている。

で、じつはそれ以来のナマに接する穐吉敏子なのだった。

いやあ、驚きました。

娘がね、終わって開口一番言ったのが「穐吉さんだけ全然ちがう。なんなんだこれは」。おれもまったく同じことを感じてて、そう言おうと思ったら娘に先に言われてしまったのだった。あのさ。はっきり申し上げて穐吉さんはピアノ鳴ってないし、指も回らない。当然ながら35年前のバリバリの秋吉敏子と比べたら見る影もないです。だけどなんていうのかなあ。ほかの5人がやってるのと穐吉敏子がやってるのは同じジャズのようで全然別のジャズだっていうか、はっきり言っちゃうとほかの5人の弾くピアノは「日本のジャズ」でカギカッコなしのジャズじゃない感じがするんだよ。穐吉敏子のが弾いたのはカギカッコのないジャズ。

よくわかんないんだが、穐吉敏子のピアノはなんか終始微妙に動いてるものがあって、それはテンポが揺れ動いてるのかリズムのアクセントがごくわずか後ろにあるのか、おれなんかみたいなシロートにはなにがなんだかわからないけど、それにくらべるとほかの5人のピアノがすごくスクエアな感じで「きっちり合ってて狂ってないからいいでしょ」みたいにきこえる。ぎゃくに言うと穐吉敏子のピアノは「合ってなくて狂ってる」ってことかもしれないけど、だったらジャズってのは「合ってなくて狂ってるのが真っ当である」としか思えない。

んー、なに言ってんだかわかんなくなってきたぞ。だけど、そんな感じなんだよ。

しかしこれはもう思わざるをえないんだが、その違いってのは50年代から半世紀以上アメリカで音楽やってきて自分の血肉になるまでアメリカ音楽が染みこんだミュージシャンと、日本でずっとやってきた人との違いなんだろうな。

ウィキペディアで見たら穐吉敏子は84歳だ。

いやー、まいりました。
今週は年寄りに、まいりました。

機会があったら二人とも、もう一度聴いてみたい。
できればもう少しだけ小さい会場で。


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追記:このエントリーをアップロードした当時のYouTubeの動画が視聴不可になっていたので新しい動画と差し替えた(2017.11.10)

by god-zi-lla | 2014-04-16 10:52 | 物見遊山十把一絡げ | Comments(10)